マーケティング ユーザー、顧客、クライアント、パートナー

企業の支援などをしながら、お客様をはじめ色々な方とお話をさせて頂いていると、「顧客満足」について違和感を感じることがあります。それは誰を「顧客」とし、誰の「顧客満足」を実現しようとしているのかということです。

以前に関わった仕事で、とても嫌な思いをしたことがありました。
単に「面白い」とか、立場のある人に阿り、お金を出してもらおうとするばかりで、誰かに何も価値を提供していないことに関わったからです。この例は、そもそも誰のためにもなっていないのでかなり極端ですが、実はこれに類することがしばしばあります。

残念ながら、僕はまだマーケティングについて、自分の定義ができるほど研究ができていませんが、嫌な思いをした経験から、講義などでは、僕は今、マーケティングを「誰をどんな笑顔にしたいのか、そのために何をするべきかを考えること」と説明しています。

素直に感じていることなのですが、、、この表現は意外と評判が良いです。(
笑)

・「お客様」は誰なのか
例えば小売業などであれば、お客様と直接接することになるのでわかりやすいのですが、現代の産業はとても複雑ですから、「お客様」が誰なのかを、しっかりと把握する必要があります。
単に「お客様」と言うと、「お金を払ってくれる人」になってしまうことが少なくありません。もちろん、その会社にお金を払ってくれる人に対する配慮は必要ですが、それだけになってしまうと、本来果たすべき顧客満足が実現できなくなります。
こうした事態を避けるためにはまずエンドユーザーに目を向ける必要があります。エンドユーザーとは、その製品やサービスを実際に使用する人のことを指します。しかし中間財であったり、B to Bのビジネスなどでは、エンドユーザーが認識していないものもあります。

そのため僕は、提供する製品やサービスがもたらす価値を享受する人と説明するようにしています。

先程、お金を払ってくれる人への配慮としましたが、場合によってはそうした中間の「お客様」を教育する必要もあります。単にお金を払ってくれる人の機嫌をとるだけでは、自社の製品やサービスの質を落としてしまい、共倒れになってしまう可能性があるからです。
本来、自社の理念や方針がしっかりしていて、それに従っていれば、問題点を指摘できるのですが、、、お金を払ってくれる「お客様」に遠慮をしてしまうと、本来の価値を提供できなくなります。
「配慮」はしても「遠慮」はしないこと、ときにはこうした姿勢で「お客様」を育てることも必要になります。そうすることで、本当の意味の「顧客」を獲得することができます。

・顧客とユーザー
「お客様」の定義をするとき、考えなければならないのが、顧客とユーザーの違いです。
先に述べた、「お金を払ってくれる人」が必ずしもユーザーであるとは限りません。例えば子供用品であれば、顧客とユーザーは異なります。提供すべき価値を、購入者(顧客)が理解する必要はあっても、ユーザーが理解している必要はありません。しかし適切な安全性について、「顧客」である購入者、この場合は「親」ということになりますが、教育する必要があります。
これがB to Bであれば、顧客とユーザーの距離は更に遠ざかります。だからこそ、顧客教育は重要になると考えます。

・クライアントとパートナー
クライントは「依頼人」と訳すことができます。「お客様」の中には、クライアントであっても「顧客」ではない場合があります。クライアントが自社の利益や効率ばかりに目が向いてしまうと、本来の顧客満足がないがしろになってしまうことがあります。
コトラーはこの状態について、マーケティング1,0で製品志向、つまり企業中心のマーケティングと呼んでいます。特に第二次世界大戦後、戦争特需が終わると、とにかく売れるものを作るという考えから、かなり強引な販売も行われ、批判を受けるようになりました。そのためマーケティング2,0、消費者志向のマーケティングが求められるようになります。

この状態のクライアントは、自社に悪い影響を与え、結果的には利益も失います。

本来、自社が理念を体現する経営や言動ができていれば、クライアントも無理なことはできませんが、自社の価値が揺らいでいると、簡単につけこまれてしまいます。
そういう視点から考えると、自社のパートナーは、「お客様」であれ、外注先であれ、提供したいと考える価値を、共に実現できる企業(取引相手)と言うことができるでしょう。

自社に不利益や悪影響を及ぼす企業は、パートナーではありません。

・「お客様」の定義
企業のお手伝いをするとき、僕は「自社がもたらす価値」と「自社の顧客」を明確にして頂くようにしています。この中で、「ユーザー」「顧客」「クライアント」「パートナー」を明確にすることが、とても重要になると考えます。

経営者に限らす、仕事がうまくいかないとき、まずは真の「お客様」は誰なのか、考えてみてはどうでしょう。

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