マネジメント 「価値」の再確認:顧客満足を‘実現するためには

広告デザイン専門学校、マーケティングの講義は僕が作成したテキストを使用しています。書き込み式のワークブック形式で約70ページほどですら、半期、160分×17回の講義にしてはなかなかのボリュームです。

内容はコトラーの『マーケティング原理』などを元に、基礎をしっかり理解するためのものになっています。
学校の教材ですから、売り物ではありませんが、出典や参考文献は全て書籍の基準に合わせて作成(というか、癖です)しているので、いずれは書籍にしたいと考えています。

ところでこのマーケティングの講義、今年から、話す内容をかなり変えています。
新型コロナウイルスの影響は、様々な変化をもたらしていますが、特に2010年頃からの変化が、この2年ほどでかなり顕著になったように思います。
そのために今年は、特に「価値」と「価値の変化」という点に重点を置いています。

実はこうしたことは、マーケティングの講義だけでなく、お手伝いさせて頂いている企業でも同じことが言えます。

そのため今回は、「価値の再確認」という視点から、あらためて顧客満足について考えます。

・世代による価値観の違い
色々な方と話をしていると、世代によってやはり価値観の違いを感じます。例えば一定以上の年齢の方は、「モノ」を持っていることに対する「価値」を感じます。これに対して一定より若い方は、そのようなな価値観にあまり良い印象を持っていません。
もちろんこれは人によって違いますから、一概に全てに当てはまるわけではないのですが、こうした世代による価値観の違いは、様々な場面で感じます。

広告デザイン専門学校は、「広告」のデザインを学ぶ場ですから、当然ターゲットとなる層の価値観に合わせた視点が必要になります。これは企業も同じで、自社のターゲットがどのような価値観を持っているのを考える必要があります。

・価値観の変化
上述のような価値観の違いに対して、社会の広い範囲で、明らかに価値観が変化しているとを感じることもあります。

■例.1 社会環境の影響
新型コロナウイルスは、世界中の人達が活動の制限を受け、経済的な停滞や困窮をもたらしました。
こうした変化の影響は、観光業や飲食業といった直接影響のある産業だけではありません。働き方や生活スタイルの変化は、モノの買い方や消費スタイルを大きく変化させています。
また多くの企業がこれまでのような事業経営が困難になり、多くの先延ばしにしてきた問題が明確になりました。例えば日本の例でいえば、低賃金に依存した経営が困難になっています。
このように、社会が極端に不安定になったことで、価値観が大きく変化しています。

■例.2 消費トレンドの変化
先日テレビでお昼の番組を観ていて、気になっなことがあります。
ジャニーズのタレントと女優の方がドライブするというものでしたが、そこで使用されていた車が軽自動車だったことです。
これはおそらく、その番組のターゲットとなる、20代から40代の主婦層を意識した選択なのかと思います。
おそらく10年前なら、高級車といかないまでも、大きめの自動車を使用していたのではないでしょうか。

テレビ番組を含め、市場のトレンドは消費の中心を成す層が牽引します。少子高齢化が進展しているとはいえ、やはり消費の中心は家庭ですから、この層を成す人達の価値観が、全体のトレンドとして扱われ、企業もこれからの市場に照準を合わせます。

こうした消費の中心層の価値観が、社会全体に広がって変化を促します。

・価値観の再確認
今僕は、講義だけでなく経営のお手伝いをさせて頂いている企業でも、「何を提供しているのか?」という視点から、価値の再確認をすることを勧めています。
特に利益率が低下している企業では、この視点を重視しています。

例えば僕が関わっていなくても、しっかりとした企業理念を持った会社はいくらでもあります。経営者の方の言葉を聞いて、納得できる(このとき多くの場合は勉強になります)理念があれば、余計なことを言う必要はありません。

ただし利益率が落ちている場合、その多くが、理念に合った、提供する「価値」が明確でなかったり、顧客の要望からズレていることが多々あります。

だからこそ、また今こそ、「価値」の再設定が必要だと考えます。

・価値を考える
僕が「価値」を考えて頂くとき、必ず問うことが2つあります。

1つ目は、「誰が」「何に」お金を払っているのか、ということ。

これは特に、「面白い」というアイデアを乱発する方や、B to Bの方に問います。

これらは多くの場合、多くは自分の考えに偏っていたり、顧客とクライアントの区別がついていない方に問います。
どちらも共通するのは、目先の「自己の利益」にしか目が向いていないということでしょうか。

2つ目は、提供する製品・サービスが「本質的にもたらす効果」は何かということ。

これも提供者と受益者の間に開きがあります。

こうしたことを再確認することで、価値観が大きく変化している現在と未来の、経営指針が見つかるはずです。

この詳細については、次回お話ししたいと思います。

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