ビジネスフレームワークの使い方

先日、ふと面白いことに気づきました。

今担当している、広告デザイン専門学校、マーケティングの講義では、最後の課題として、いくつかのビジネスフレームワークを使用し、実際の製品・サービスについて分析を行います。
内容は、PEST分析、FIVE FORCE分析、3C分析、SWOT,クロスSWOTを通じた市場分析。そしてユーザーモデル(ペルソナ)、カスタマージャーニーマップ、エンバシーマップ、UXマップによる顧客満足の分析です。

この課題について、コンサルティング業務のサポートスタッフの方から、「大人でも難しいのに、学生さんの課題って、えげつない」と言われます。
勿論、学生さんに指示や助言をしながら進めていますが、この課題にしてから、出来の良し悪しはあれ、できなかった学生さんはいません。

そんな話をしていて気付いたのですが、経営学やマーケティングといった大学の講義で、ビジネスフレームワークを教えることはありません。また自分論文を書くときや、コンサルティング業務で分析するときも、ビジネスフレームワークを使用しません。

それではなぜ学生さんにビジネスフレームワークの課題を課すのかという質問を受けました。

そこで今回はビジネスフレームワークの使い方について、考えたいと思います。

・ビジネスフレームワークとは
フレームワークは、辞書では「枠組み」や「骨組み」とあります。ビジネスフレームワークとしては、文字通りビジネスでの枠組みで、先に挙げたSWOT分析やPDCAなどが有名です。
つまりフレームワークとは、ルールに従って考えることで、一定の結論を導き出すことができる、いわばビジネスの定石たと考えて下さい。

ところで、このビジネスフレームワークですが、先に述べたように、学者は全く使いません。それどころか、実はほとんどのものは、学者が考案したものではありません。
経営学者の目的は、新たな経営理論の構築で、その業績は論文で評価されます。そのため、新たな経営理論を、一般に広く活用てきるようにすることは、あまり考えていません。
そのため多くのビジネスフレームワークは、最新の経営理論を実務に取り入れる「仕組み」として、主に大手コンサルティング会社などが生み出しました。しかし、ビジネススクールなどの進展により、研究機関発のフレームワークもも、多く見られるようになりました。

かく言う僕も、業務として企業経営のお手伝いをさせて頂くようになってから、様々なフレームワークを使用しますし、オリジナルのフォーマットも作成しています。

それでは、なぜフレームワークを活用法するのでしょうか

・フレームワークのメリット
フレームワークを使用するメリットとして、まず問題を定義する必要がない点です。
例企業の中で、組織の問題や生産の問題、マーケティングの問題など、ある程度問題の種類が判っていれば、とりあえず、それぞれの分野のフレームワークを当てはめ、適切に活用することができれば、何らかの答えを得ることができます。
そしてこのとき、フレームワークの背景となる理論をあまり知らなくても(ある程度の基礎知識は必要です)活用てきます。
例えばSWOT分析で、市場の環境と自社のコアコンピタンスや競争優位を適切に当てはめることができれば、クロスSWOT分析で、今後の事業の方針を決めることができます。

またフレームワークは、適切に活用すれば、偏りのない客観的な結果を得ることができます。加えてフレームワークは、理解、共有することが容易なため、分析した人物以外でも、その方針を、すぐに実行することができます。

・フレームワークの問題点
フレームワークは必ずしも万能ではなく、問題点もあります。
先程から「適切に」と説明しているように、1番の問題点は、多くの場合、適切に活用されていない点です。
ビジネスフレームワークは、インターネットで検索すれば、とても多くの解説があります。しかし驚くことに、その説明がまちまちで、間違った説明も少なくありません。簡単にですが、僕がいくつか見た中で、正しい説明を見つけられなかったフレームワークもあります。
実際にビジネスフレームワークを活用したとき、一般的な事例と、研究者や専門家(背景となる理論を理解している者)が活用した場合では、記入内容や結果が異なります。

ここでもSWOT分析で考えてみましょう。
SWOT分析の結果をクロスSWOTに当てはめることで、事業の推進、改善、差別化、撤退といった、大まかな方針をみちびきだすことができます。
しかし例えば、「社員がいつも笑顔」とか「長い歴史を持つ」といったことが、果たして事業方針を決める要因になるでしょうか。

これは極端な例ですが、こうした間違った方法が、思いの外多く見られます。また、やはりある程度は、基となる理論を理解していないと、場合によっては、間違った判断に至ってしまう危険もあります。

・フレームワークを活用するためには
極論ですが、例えば医師の方は、「家庭の医学」は使いません。病院に行って、医師が家庭の医学を見ながら、症状を判断、、、なんてことはありませんが、そんな医師に治療を任せることはないでしょう。専門職のプロは、基本的にはフレームワークを使用しません。とは言え、理論をフォーマット化したという意味で、適切に活用すれば、意思決定の基準になります。

大切なことは、フレームワークを正しく学んで活用するとです。

フレームワークを適切に活用できる、適切な学びがあれば、良い結果を導き出すでしょう。

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