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OMOI-KOMI 我流の作法 -読書の覚え-

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私の読書の覚えとして、読後感や引用を書き留めたものです。
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2024年3月の記事一覧

昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

昭和史をどう生きたか 半藤一利対談 (半藤 一利)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 著者の半藤一利さんの著作は、今までも何冊も読んでいますし、先日も「墨子よみがえる」や「戦争というもの」を読んだところです。
 やはり、半藤さんの戦争反対・平和希求への想いや言葉は強く心に沁み入ります。

 本書もそういった流れの中で手にした本です。

 澤地久枝さん、保阪正康さん、戸髙一成さん、加藤陽子さん、梯久美子さん、野中郁次郎さん、

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ノックの音が (星 新一)

ノックの音が (星 新一)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも行く図書館で日本文学の書架を眺めていた折に、たまたま目に留まった本です。

 星新一さんの著作は、わたしが中学生のころですから、今から50年ほど前にはよく読んでいました。この「ノックの音が」も1965年(昭和40年)の作なので当時読んだ記憶があります。

 ともかく星さんのショートショートは、プロットの巧みさ、独特の語り口に加え、と

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嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

嫌われた監督 落合博満は中日をどう変えたのか (鈴木 忠平)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 気になっていた本ですが、いつもの図書館の新着書リストで見つけたので早速予約して読んでみました。

 主人公落合博満さん、現役時代も監督時代もリアルタイムで知っていますが、当時からそのユニークなキャラクタには大きな興味と少しの共感を抱いていました。

 本書は、担当記者だった鈴木忠平さんが、8年間にわたり中日ドラゴンズ監督を務めた落合さんの

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最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

最強脳 ―『スマホ脳』ハンセン先生の特別授業― (アンデシュ・ハンセン)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストで見つけた本です。

 少し前に、ベストセラーになった「スマホ脳」を読んだのですが、私としては、それほど目新しい情報はなかったので、正直あまり興味を惹きませんでした。

 本書は、同じアンデシュ・ハンセン氏の著作です。
 典型的な “柳の下の泥鰌” 狙いの本ですが、その点も気になったので手に取ってみま

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歴史というもの (井上 靖)

歴史というもの (井上 靖)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着本リストの中で目につきました。

 井上靖さんの講演録と随筆に加えて、司馬遼太郎さん、松本清張さんとの “歴史” をテーマにした対談集が採録されています。

 しかし、井上・司馬・松本各氏の対談というのは “超重量級” ですね。ちなみに、松本清張さんも初期のころ、推理小説を書き始める前にはいくつもの歴史小説を発表してい

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センス・オブ・ワンダー (レイチェル・L. カーソン)

センス・オブ・ワンダー (レイチェル・L. カーソン)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつもの図書館の新着書リストを覗いていて目に留まった本です。

 環境問題にいち早く警鐘を鳴らした書物として有名な「沈黙の春」の著者レイチェル・カーソンの遺作ということで手に取ってみました。

 幼いロジャーとともに自然溢れるメーン州の海岸と森を散策した様子を綴った小品です。
 エッセイのような体裁で、とても大切なレイチェルからのメッセー

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沈まぬ太陽 (山崎 豊子)

沈まぬ太陽 (山崎 豊子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 日本監査役協会のオンライン講義で岡本浩一氏(東洋英和女学院大学教授)の講演を聞いたのですが、その中で「価値観の整備」のための参考図書として推薦されていました。

 以前から気になっていた著作ですが、かなりの大作なので手を付けるのに二の足を踏んでいたものです。
 日本航空をモデルにした物語で山崎豊子さんの代表作のひとつですね。小説なので、ネ

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ひとりじめ(浅田 美代子)

ひとりじめ(浅田 美代子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 笑福亭鶴瓶さんのラジオ番組に浅田美代子さんが出演されていて、この本が話題になっていました。

 樹木希林さんとの思い出を中心に、浅田さんの若い頃からのエピソードもふんだんに盛り込まれた内容ですが、ともかく浅田さんのとても素直で純朴な人柄そのままに “爽やかテイスト” のエッセイです。

 早速、本書で私の関心を惹いたところをいくつか書き

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わかりあえないことから ─ コミュニケーション能力とは何か (平田 オリザ)

わかりあえないことから ─ コミュニケーション能力とは何か (平田 オリザ)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 講談社のpodcastで紹介されていたので手に取ってみました。

 著者の平田オリザさんは日本の劇作家、演出家です。

 本書でのコミュニケーションに関する議論の出発点として、平田さんは、最初に「企業が求めるコミュニケーション能力はダブルバインド(二重拘束)状態にある」と規定します。「ダブルバインド」とは、“二つの矛盾したコマンドが強制さ

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三国志入門 (宮城谷 昌光)

三国志入門 (宮城谷 昌光)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも行っている図書館の新着書の棚を眺めていて「三国志」というタイトルが目に止まりました。

 本書の著者は宮城谷昌光さん。彼の小説は、かなり昔少し読んだことがありますが、やはり古代中国を舞台にした物語だったように記憶しています。
 本書は、その小説家の宮城谷さんによる「三国志」の入門書です。

 「三国志」の時代は、多くの歴史小説のモチ

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新ジャポニズム産業史 1945-2020 (マット・アルト)

新ジャポニズム産業史 1945-2020 (マット・アルト)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも聴いているピーター・バラカンさんのPodcast番組のゲストで著者のMatt Altさんが出演していて、この本の内容のさわりを話していました。その話がとても面白かったので手に取ってみた次第です。

 Mattさんは1973年米ワシントンDC生まれ、ウィスコンシン州立大学で日本語を専攻したあと慶應義塾大学に留学。その後来日し、翻訳や通

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九十八歳。戦いやまず日は暮れず (佐藤 愛子)

九十八歳。戦いやまず日は暮れず (佐藤 愛子)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 いつも利用している図書館の新着書リストの中で見つけていたのですが、予約待ち列が長く、手元に届くのが遅くなってしまいました。

 佐藤愛子さんの著作は、家族の蔵書から引っ張り出して、今までも「九十歳。何がめでたい」「日当りの椅子」とかを読んでいますが、本書は(同時進行のものとしては)佐藤さん最後のエッセイ集ということで、大きな寂しさを感じつ

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小沢一郎 淋しき家族の肖像 (松田 賢弥)

小沢一郎 淋しき家族の肖像 (松田 賢弥)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 ちょっと前に「永久保存版「知の巨人」立花隆のすべて」というMOOKに採録されていた立花さんの代表作「田中角栄研究―その金脈と人脈」を読みました。
 まさにこのころ、小沢一郎氏は、若手議員の中で「田中の秘蔵っ子」として力を振るい始めていました。

 本書は、その小沢一郎氏の “家庭” にまつわるノンフィクション作品です。

 内容についてい

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十万分の一の偶然 (松本 清張)

十万分の一の偶然 (松本 清張)

(注:本稿は、2022年に初投稿したものの再録です。)

 また図書館で予約している本の受取タイミングがうまく合わなくて、年末年始の休みに読む本が切れてしまいました。
 とりあえずの繋ぎとして、納戸の本棚から引っ張り出してきたのが本書です。

 選んだのは、今から30数年前に買った松本清張さんのミステリー小説。
 ちょっと前にも同じような動機で「点と線」や「ガラスの城」を読み返したのですが、この本

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