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【SF掌編】プルトニウム・レース
「あれがゲートか」
背中から、しゃがれ声が飛んだ。こいつは俺の右手の文庫には関心を持っていない。
「そうみたいだな。思ったより近いじゃないか」
俺たちの向かう先、狐色の砂漠にぽつんと建つ、あの竜宮城みたいな塊しか目に入っていないようだった。
ひび割れた土を踏み続けて数分ほど経過している。乾いた地に二人の足音が響いた。
汗を含んだ文庫は、こぼれ落ちる心配がない。道すがら拾った輪ゴムでしっかり
「あれがゲートか」
背中から、しゃがれ声が飛んだ。こいつは俺の右手の文庫には関心を持っていない。
「そうみたいだな。思ったより近いじゃないか」
俺たちの向かう先、狐色の砂漠にぽつんと建つ、あの竜宮城みたいな塊しか目に入っていないようだった。
ひび割れた土を踏み続けて数分ほど経過している。乾いた地に二人の足音が響いた。
汗を含んだ文庫は、こぼれ落ちる心配がない。道すがら拾った輪ゴムでしっかり