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#222「ビジネス頭の体操」 今週のケーススタディ(2月22日〜2月26日分)

はたらくおとな向け。普段の仕事と無関係なケーススタティで頭の体操。
その日にちなんだ過去の事象をビジネス視点で掘り下げています。
普段の仕事を超えて、視野を広げ、ビジネスの頭の体操をするのにぴったり。
考えるための豊富な一次情報やデータもご紹介。

 →部分は、頭の体操する上での自分に対する質問例、です。


2月22日(月) 子供と猫、どっちが多い?

英文学者の柳瀬尚紀氏らによる「猫の日制定委員会」が1987(昭和62)年に制定した「猫の日」です。
「ニャン(2)ニャン(2)ニャン(2)」の語呂合せ。全国の愛猫家からの公募でこの日に決まったそうです。

さて、猫。
ペットといえば、多種多様ですが、犬、猫がツートップであることに異論はないでしょう。

どちらが多いと思いますか?

私は犬と思い込んでいたのですが、実は2017年に逆転し、猫の方が多いのです。

日本ペットフード協会の「令和2年全国犬猫飼育実態調査」によると飼育頭数は以下の通りです。

☑️ 2016年 犬:935万頭、猫:930万頭
☑️ 2020年 犬:848万頭、猫:964万頭

ちょっと脱線しますが、総務省統計局のデータによれば、2020年8月1日時点の15歳未満の人口は1,506万人ですから、犬と猫の合計(1,894万頭)の方が多いのです。

さらに脱線しますが、65歳以上の人口は3,613万人です。ご参考まで。


これだけ多くのペットがいる、ということは、大きな市場があることが想像できます。

矢野経済研究所の調査によると、2019年度のペット関連層市場規模は前年度比1.7%増の1兆5,700億円となっています。

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内訳ですが、大きく4つの市場に分けられます。

☑️ ペットフード:3,850億円
☑️ ペット用品:1,224億円
☑️ ペット医療:2,623億円
☑️ その他(生体、サービス分野等):8,003億円
(生体というのはペットの販売、サービスはトリミング等)

これら市場でのプレーヤーはというと、

ペットフードではマースジャパンが圧倒的な1位です。馴染みはないのですが、P&Gのドックフードブランド(アイムス、ユーカヌバ等)を買収、ロイヤルカナン等も傘下に収めています。
国内企業ではユニ・チャームが大手でその他に日本ヒルズ・コルゲート、ネスレピュリナペットケア、いなばペットフード等の上位企業でシェアの6割を占めています(すいません、ペット飼っていないので全く知らない企業、ブランド名です…)。

ペット用品では、アイリスオーヤマ、ライオン商事、ヤマヒサ、ドギーマンハヤシなどが有力です。

最後に、ペット市場にも、テックの波が押し寄せています。
その名もペットテック(まんまですが)。

まだ市場規模は小さいのですが、2023年までに50億円と予測されています。

サービスの内容としては以下のようなものがあるそうです。
☑️ 見守りカメラ:単に外出先から様子が見れるという以外に、AIを駆使して、体調に異常が見られる場合に自動でアラートを通知するなどの機能がある
☑️ 健康監視:体重や尿の量、回数を記録し、健康状態を可視化するサービス

→少子化が進む中で財布の緩む子や孫への支出は減少する。ペットは家族、という傾向が強いため財布の紐を緩ませるには良い市場と考えられる。今後どのような商品、サービスが考えられるだろうか?


2月23日(火) 税理士は試験に受からなくてもなれる!?

日本税理士会連合会が1969(昭和44)年に制定した「税理士記念日」です。
1942(昭和17)年のこの日、「税理士法」の前身である「税務代理士法」が制定されたことに由来しています。

税理士。
確定申告の時期に相応しい話題ですね。
ただ、会社員が普段お世話になることはありませんが、企業を経営する方にとってはおなじみかもしれません。

そもそも税理士、どれくらいいるのでしょうか?
そして、無料の会計ソフトなどが話題になっていますが、増えているのでしょうか?減っているのでしょうか?

グラフは2018年までのデータですが、以下の通り税理士は増加しています

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なお、2020年3月末時点の税理士登録者数は、78,617人となっており、やはり増加しています(出典:国税庁HP

一方で、税理士試験の合格者数と受験者数の推移を見ると、年々減少しています。

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これはどういうことか、というと、実は、税理士になるには、必ずしも税理士試験に合格しなくてもいいのです。

「弁護士」は無条件で税理士資格を取得でき、「公認会計士」は指定の研修を受けるだけで税理士資格を取得できるそうです。

さらに、国税専門官として一定期間勤め上げれば、これまた税理士資格を取得できます。

ということで、税理士試験を受ける人が減っても、税理士になる人は増える、という構図になっている訳です。
(なるほど…知らなかった…)

実際、日本税理士会連合会作成の「税理士のリアル」という資料(平成26年度ちょっと古いのですが)によれば、税理士となった資格は、「試験合格」は45.9%と最も多いものの半数に満たないという結果になっています。
次に多いのがご紹介した「試験免除」で37.2%、「弁護士」0.73%、「公認会計士」6.2%、となっており、国税専門官出身の税理士が多いことが分かります。
確かに調査する側で経験を積んだ方ですから、詳しいでしょうね。

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当然、このような背景がありますから、年齢層は高くなります。
同資料によれば、20歳代はわずか0.6%、30歳代でも10.3%となっている一方、最も多いのは60歳代で30.1%、次が50歳代で17.8%となっています。80歳代も10.4%いらっしゃいます。

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最後に、気になる収入ですが、年収ラボによれば、平成27年で717万円と、資格別年収では、医師、弁護士に続く3位になっています。

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が、ちょっとカラクリがあって、算出するのに厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」をもとにしているのですが、税理士と公認会計士が区分されていないのです。ということで公認会計士と税理士とが混ざった平均年収なのです。

どんな業界でもそうでしょうが、稼げる税理士さんか、稼げない税理士さんかで相当な差があると思われます。

→税理士。古くは確定申告のお手伝い的な役割から、経営相談のような役割まで幅広く経営者の相談に乗ってきたイメージがある。一方で、単純な事務処理は会計ソフトでかなりできるようになってきており、わざわざ税理士を顧問としないケースも出てきている。今後の、稼ぐ税理士はどのようなことで稼ぐだろうか?


2月24日(水) 雪国育ちでもウィンタースポーツ嫌い!?

1977(昭和52)年のこの日、原野・森林等にコースを設定して走る競技・クロスカントリーの、統一ルールによる初めての大会がイギリスで開催された「クロスカントリーの日」です。

クロスカントリー。
長野オリンピックでの萩原兄弟の活躍が記憶にあるものの、常にニュースになるジャンプ等のその他スキー競技に比べるとマイナーなイメージがあります。

実際、調べてみると、競技人口も「少ない」という以外データが出てきません…

ところが、日本の豪雪地帯の小学校では、冬は運動場が使えなくなるため体育の授業の一環としてクロスカントリーが行われるようになったそうです。学校で板を用意していて、生徒はブーツを用意すればいい、という学校もあるそうです。

であれば、競技人口も増えそうなものですが、競技として知名度がないこと、練習する環境がないこと(確かに普通のスキー場では難しいですね)、などから小学校から続ける子はほとんどいない、という状況のようです。

知名度が上がらない要因として、人が少ない森の中でひっそりと行われる、ということもあるようです。観戦していても、ずっと選手が見れないのでは、なかなか辛いですよね…

さて、そんなクロスカントリーですが、なんと昨年の2月に札幌のど真ん中、大通公園で大会が開かられたそうです。

こちらの記事を読んでいてへぇ〜と思ったが以下の部分です。

雪国・札幌市でも雪で遊ぶ習慣がない子どもは多く、スキーに関しても「体育の授業でやったけど、寒くてつらいという悪い印象ばかり持っている子が少なくないんです」

それではクロスカントリーに限らず競技人口は増えないですね。

→ニューノーマルで変わる環境も加味して、ウィンタースポーツの中でもマイナーなノルディックスキーの競技人口を増やすとしたら、どのようなプロモーションが考えられるだろうか?


2月25日(木) 夕刊は10年で○割減っている!?

1969(昭和44)年のこの日、日本初の駅売り専門の夕刊紙『夕刊フジ』が創刊したことに因んだ「夕刊紙の日」です。

夕刊紙。
みなさんお読みになりますか?
そもそも新聞取ってない、という方も増えている今日この頃ではレアケースかもしれません。

実際、夕刊の発行部数は激減しています。
夕刊フジはその名の通り、夕刊のみの発行ですが、普通の新聞は以前は朝夕セット売りが基本でした。

ところが、夕刊はいらない、という家庭が増え、2002年に産経新聞は夕刊を廃止しました。廃止直前のデータでは、夕刊のセット率は3割だったそうです。

少し、というかだいぶ古いデータになるのですが、新聞の発行部数の推移を見てみましょう。

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1978年にはほぼ朝刊を同じ部数であった夕刊は1990年に2,263万部のピークを境に部数が減少し続けています。このグラフ上では2008年が最後ですが、その際には1,708万部となっています。

ちなみに、新聞協会のデータによると、2000年からの10年ごとの推移は以下の通りです。

☑️ 2000年 朝夕刊セット 1,818万部 朝刊のみ 3,370万部 夕刊のみ 181万部
☑️ 2010年 朝夕刊セット 1,387万部 朝刊のみ 3,425万部 夕刊のみ 118万部
☑️ 2020年 朝夕刊セット 725万部 朝刊のみ 2,706万部 夕刊のみ 77万部

つまり、夕刊だけの発行部数では、2000年から2020年にかけて、

1,999万部 → 1,505万部 → 802万部

と、20年間で約4割も減少しているのです。

一般紙そのものも、約3割減少していますが、夕刊の減少ペースはより早くなっています。

新聞協会のデータには、一世帯あたりのデータもありますのでご紹介します。

☑️ 2000年 1.13部/世帯
☑️ 2010年 0.92部/世帯
☑️ 2020年 0.61部/世帯

やはり新聞を取る世帯というのは減っているのですね。

そして、夕刊フジの発行を行なっている産経新聞ですが、直近の決算短信をみるとかなり厳しい経営状況であることが伺えます。

同社HPで公開されている最新の決算短信は2020年4月1日〜9月30日までの中間決算なのですが、売上高が2割減少の408億円、経常利益は9割近い減少の2億円となっているのです。

自己資本比率が22.8%ありますので財務的には問題ないと思われますが、これが感染症による一時的なものなのか、新聞離れの加速で戻らないものなのか、で中期的な経営にもかなりの影響があると思われます。

最後に、新聞の発行部数トップ10(出典:日本ABC協会)をご紹介します。

☑️ 1位 読売新聞 776万部
☑️ 2位 朝日新聞 521万部
☑️ 3位 中日新聞 230万部
☑️ 4位 毎日新聞 230万部
☑️ 5位 日本経済新聞 221万部
☑️ 6位 産経新聞 134万部
☑️ 7位 北海道新聞 92万部
☑️ 8位 静岡新聞 60万部
☑️ 9位 中国新聞 57万部
☑️ 10位 西日本新聞 51万部

→新聞は発行部数、広告収入の減少傾向が続いている。今後どのような立て直し、あるいは、新規事業等が考えられるだろうか?


2月26日(金) 日本でも「血を売る」時代があった!?

1951年(昭和26年)のこの日、日本初の血液銀行・株式会社日本ブラッドバンク(後のミドリ十字、吉富製薬と合併する等して現在は田辺三菱製薬)が開業した「血液銀行開業記念日」です。

「血液銀行」と聞いて、「献血の歴史」程度に気軽に調べ始めたら、知らなかった事実が出てきました。

当初、日本ブラッドバンクは血液を「買い取って」いたのです。

買取価格は400ccで1,200円程度。当時の高校卒業の国家公務員(一般職)の初任給が約14,000円(現在は15万円程度)でしたから、結構な金額です。

これを目当てに売血を繰り返すと、体内で作るのに時間がかかる赤血球が少なくなり、血の色が黄色くなるそうです。これを「黄色い血」といい、ある事件をきっかけに世間一般でも問題視されるようになりました。

それは、1964(昭和39)年に起こった「ライシャワー事件」です。

ライシャワー駐日大使が暴漢に刺されてその治療で輸血を受け、「これで私の体の中に日本人の血が流れることになりました」と発言、多くの日本人が賞賛を送りましたが、その後、この輸血が元で輸血後肝炎に罹ってしまいます。

これがきっかけとなって売血による「黄色い血」に対する批判が強まり、同年8月、閣議決定により厚生省は「保存血」は「日本赤十字社」と「地方自治体」のみが行うこととしました。

その後の努力により、1974(昭和49)年に輸血用血液製剤の全てを献血で確保する体制が確立されたのです。

この結果、輸血による肝炎発症率は以下の通り劇的な低下をしています(出典:厚生労働省「令和元年度版血液事業報告」)。

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献血者数・献血量の推移を見てみましょう。

平成30年度の献血者数は約474万人、献血量は約200万ℓでした。平成16年度から30年度までの推移がこちら(出典:同)。

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献血者が微減とも言える状況で、献血量が維持できているのは、一人あたりの献血量が増加(200ml献血から400ml献血や成分献血など献血の種類が増えたことによります)したためです。

次に、年代別献血者数の推移を見てみましょう。

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10代から30代の献血者数は、この10年で約4割も減少しています。もちろん、この年代の人数自体が減少していることが理由の一つではありますが、献血可能人口と献血率(下図)を見ても、20代、30代が40代、50代に比べると低いことが分かります。

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さて、献血事業は日本赤十字社が事実上独占していますが、この事業規模はどれくらいなのでしょうか?

日本赤十字社によると、令和元年度で、収入が1,654億円、支出が1,534億円、差し引き120億円のプラスとなっています(出典:日本赤十字社HP)。

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収入の9割は輸血用血液製剤を医療機関に届けたことによるものです。
支出の5割は献血の推進・献血を受け入れる際の器具や献血ルーム等の費用です。その他検査、製造、研究、物流などの費用となっています。

最後に、この感染症の献血に与える影響をご紹介します。

関東甲信越地域の数字になりますが、緊急事態宣言が発出された昨年4月では、計画費半減、5月でも3割減と厳しい状況だったことが紹介され、献血の協力を呼びかけています(出典:日本赤十字社千葉県赤十字血液センターHP)。

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→さまざまな経緯があって確立された現在の献血という仕組み。若年層の献血率が低下する中、感染症も加わり安定確保が難しい状況と言える。一方で災害発生時のボランティアの増加などを見ても貢献したいと考える若年層は多いとも言えそうだが、献血を増やすにはどのようなアイディアがあるだろうか?


最後までお読みいただきありがとうございました。

一つでも頭の体操になるものがあれば嬉しいです。

昨年7月から同様の投稿を毎週しています。かなり溜まってきました。

へぇ〜というものが必ずあると思いますのでご興味とお時間があれば過去分もご覧ください。


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