私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
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◆あらすじ◆目次◆世界観と設定◆
◆あらすじ◆
バーミリオン侯爵家の令嬢アメリアは十五歳。
王立学園でもトップの成績を誇る才女である。
ブレイブニア王国王太子との婚約発表を明日に控えた昼下がり。
もたらされた報せは彼女の運命を大きく変えてしまうものだった。
それは王太子との婚約を破棄するという一方的な通達であった。
私、何かしましたでしょうか? 誰かを虐めたりした覚えも無いのですけれど……
訳が分からないまま、婚約破棄の現実を国民の為に受け入れるアメリア。
悪評が立つ事を恐れた叔父の助言に従い領地へ帰る事にしたアメリアだったが、バーミリオン領への帰路で冒険者になる事を決めた彼女は、新たな出会いや経験の中で成長し奮闘する。
まだまだあどけなさが残る彼女だが、新たに出会った仲間と共に魔王討伐を目指すが果たして成し遂げる事が出来るのだろうか?
世間ずれしていない、完全培養、温室育ちなアメリアが悪戦苦闘しながらも冒険者を目指す物語。
執事のイーサン、メイドのマリア、護衛騎士のデビットの三人も揃って爵位持ちの世間知らず。
わからない事だらけの庶民の生活に、時に驚き、時にショックを感じながらも、アメリアが笑顔を絶やすことはない。
立派な冒険者になって魔王を討伐するその日まで!
そんな大望とは別に、恋に恋するアメリアの運命の相手は、果たして……
バーミリオンのドレスに身を包んだ彼女の挑戦は続くのである。
※R15は保険で付けています
※作品はアルファポリス様、ツギクル様、小説家になろう様にも掲載しています
◆目次◆
◆世界観と設定◆
【侯爵令嬢、冒険者になる】を執筆するにあたって、舞台としたブレイブニア王国の世界観と各種設定について纏めてみました。
日本では馴染みが無い箇所や、判り難かった部分のカバーが出来ていれば幸いです。
読み返しの際のお供にどうぞ。
基本的には十七世紀後半~十八世紀初頭のヨーロッパを意識してあるのですが、世界観にモンスターと冒険者を加えたかったので、生活水準は十世紀前後の傭兵社会をイメージして書きました。
そのせいでロココ調の服装に身を包んだキャラクターが、未開の開拓地を跋扈する事になってしまいましたが、そこは娯楽作品という事でご容赦くださいませ。
大きな世界観としては、ブレイブニア王国は四方を敵対勢力と、禁忌の地と呼ばれる死の荒野に囲まれた内陸国で、物語の始まる時点で南方の諸勢力を統一して十年が過ぎており、西方と北方の地では小競り合いや紛争が続いている状態です。
西と北の二家の辺境伯に先んじてバーミリオン家が侯爵に陞爵されているのはこの南方での功績が理由だと言う事は本編の中でも紹介させて頂きました。
ヨーロッパやアジアでも共通の事ですが、辺境伯と言う立場は最前線で敵対勢力と向き合い鎬を削る国防の主役です。
日本で言うならば平氏の鎮西大将軍や源氏の征夷大将軍だと言えば分かり易いでしょうか。
この物語の辺境伯達も地球の歴史と同じ様な設定にさせて頂きました。
具体的には、中央に図ることなく独断が許されている部分です、日本で言えば幕府を開く権利ですね。
王国内にある独立国に近い勢力、そんな立場にしました。
領土内の争いを収束させた辺境伯は文字通り諸侯、侯爵に陞爵され、王家の縁戚とするべく婚約を申し込まれました。
将来バーミリオン家の令嬢アメリアが次代の王を産めば、晴れてバーミリオン公爵家の誕生、そうなればアメリアの妹達の嫁いだ残り二家の辺境伯家も勢力下に加えられ王権は盤石! そんな国王派の思惑の中で物語を始めました。
モンスターや魔人の存在する世界という事で、中央の王都から距離が離れれば離れる程、危険が多くなる事を意識した結果、僻地である辺境がより豊かで勢力が強く、王家を中心にした国王派は常に抱き込み工作を諮っている状態、帝政ローマ末期、それかフランス革命前の危うい感じだと考えて頂ければ良いと思います。
個人的に、王政や帝政が潰える寂しさを回避したくて、東に新たな開拓地、辺境を登場させて王権を未来ある物にしちゃいました。
中世ヨーロッパ物を書いた事が無かったので、服装も小物も貴族なんかの爵位とかも新たに作り出さずにまんま使わせて貰いました。
サンドイッチ問題的には最悪の物語なんでしょうが…… 実はこれ、ローファンタジーでもあるんです。
執筆途中で連載中の【堕肉の果て】が含まれる『観察者シリーズ』の最終作から遥か未来の世界が舞台なのですよ。
なので、現実の地球と色々な物が共通であっても問題なしっ♪
…………ぜひ広い心で許して下されば、そう願ってやみません。
で、では、物語の中でサラッと流してしまった各種設定についてご説明しますね!
基本的には中世ヨーロッパのまんまですが是非お読み下されば嬉しく思います。
『貴族について』
貴族制度については基本的に中世ヨーロッパと同じです。
王家と親類である公爵、王族の祖父に当たる大公家、引退した先王が就く太公を筆頭に、基本的に一代限りの官僚である法衣貴族の子爵、伯爵、王家直属の騎士が叙される士爵、それに合わせて中央から諸侯や辺境伯を監視する為に派遣された領地持ちの伯爵(世襲可能)達が国王派の勢力です。
対してバーミリオン侯爵家を中心にした貴族派は、縁戚に当たる北と西、二軒の辺境伯家とその寄り子である、伯爵、男爵、準男爵、騎士爵、つまり子爵を除く配下で構成されています。
国王派の貴族と大きく違っているのは、騎士爵を除いて世襲制を取っている事です。
国王派では伯爵のみが永年世襲権を有している事に比べれば、随分緩い制度に見えるかもしれません。
しかし、辺境は危険です。
命懸けの奉公は武人のみならず文官であってもその例から漏れる事は有りませんでした。
世襲制を男爵と準男爵まで広げる事は世代を経る事で家臣たちの忠誠心を高める事に有効だったようです。
また、過酷な辺境では中央と違い、夭折を恐れ、家を継ぐ子供達を多く産んでいました。
長じても家を継ぐことが出来ない子息や子女は、好んで上位の貴族家へ従僕やドライナース(子守り)として仕えたのです。
彼らを家族の一員として迎え入れた上位の家では、彼らにフットマンやメイドとしての知識や教育を施して経験をさせ、優れた者には爵位を叙して独立した権利を与えました。
家令であるランドスチュワートや執事のバトラーがすらっとしたイメージを持たれるのはフットマンを経ているせいでしょう。
フットマンはその名の通り、ふくらはぎの美しさが大切ですからね。
一方のメイドは女主人の代理を務めるハウスキーパーになる事は無かったそうです。
なぜなら、ハウスキーパーの多くは一族の女性、若しくはウェットナース(乳母)が務める事が殆どだったからです。
乳母、つまり母乳を与える女性という事は、彼女の子供も当然いる訳です。
主家の子供には信頼できる乳母だけでなく乳飲み子からの付き合いである乳兄弟がもれなくついて来る。
こういった形が一般的な貴族の在り様でした。
本作中のスコットとトマスがこの関係に当たり、王都のバーミリオン邸で内向きの全てを取り仕切っているのはトマスやイーサンの実母となります。
メイドの多くは家中か寄り子の元へ、主人や女主人が縁談を持ち掛ける事が一般的だったそうです。
自分の家族として送り出すので嫁ぎ先の家でも丁重に迎えられるのですね。
本作のデビットとマリアは恋愛関係にありましたが、もしそうでなくてもパトリックが骨を折って、結ばれていたのかもしれません。
こうして結びつきと信頼感を強めつつ、敵勢力から領地や物資を切り取って力を増していった地方貴族に対して、中央の配下である国王派では内情が真逆になってしまっていました。
基本的に領地を与えられない法衣貴族と違い、都市や街道の管理権を与えられた伯爵達は子供を最低限しか作りませんでした。
長男とそれを補佐する次男、又は妹の連れ添いとして家に婿入りさせた他家の子息、その実家の姻戚関係、人間関係はそれ以上広がらず全体としての繋がりは希薄になっていったのです。
接点は王都での学園生活時代が一番多かった事でしょう。
中にはわざと子供を作らずに隣領と合併しようと画策した例もあったようですが、多くの場合中央は許可しなかったそうです。
開拓村の権利は認められていたそうですが、ほとんど成功しなかったようですね。
本作中でストラスとシンシアが侯爵に陞爵された事は、大変珍しい例で、極めて政治的な思惑が有った訳ですね。
他の方の作品を見てオリジナルの設定を作られて、快活な世界が生き生きと描かれているのは目にしていましたが、想像力の欠如のせいでこういった当たり前の世界で行かせて貰った訳です、面目ない。
王子と男爵令嬢の恋とか、公爵令嬢と子爵令息の恋ですとか、身分違いの恋って難しくて書けませんでした…… トホホ
また、作中で使っている爵位の呼称についても同様にヨーロッパのままでございます……
伯爵以上は純然たる貴族、子爵以下は形式上だけの下位貴族、家中の寄り子は家族扱い、そういった辺りもそのままにしました。
『紋章』
紋章についても中世以降のヨーロッパの仕組みを使いました。
領地持ちと法衣貴族の両方が存在する伯爵家は兎も角、侯爵家以上の貴族は日本で言う所の大名家に当たり、藩札と同様に、独自の紙幣や貨幣を発行、鋳造していました。
それによって、王国の正式な金貨で支払うまたは王家への納税、貴族への公金交付の額面上で相殺させていたようです。
王都の貴族街も領地持ちの大貴族が暮らす場所では現金が使われる事も無く、殆ど紋章だけを使って一生を終える事も当然だったようです。
本作ではアメリアとシンシア、クリスを王立学園の同級生の設定で書きましたが、本来、カヴァネスと言う家庭教師が各邸に招かれて教育していた筈で学校のような所は下級貴族だけが集まる場所だったのですが、十五歳と言う年齢でアメリアの優秀さを描く為に通わせてしまいました……
現金を使う下級貴族や商人の子供たちと学びながら紋章しか知らない令嬢と言うのは些か無理が有ったかも知れません。
それじゃあ、馬鹿みたいですもんね…… アメリア、ごめんなさい、作者の安易さゆえに馬鹿に見せてしまって……
『貨幣』
貨幣についても説明してありませんでした。
こちらも中世イタリアのバンコ台みたいなレート計算にしようとしたのですが、作者内で(KEY-STUは三人で共同制作しています)判り難いと猛ツッコミされてしまったので、日本の貨幣に合わせると、
鉄貨 → 十円
銅貨 → 百円
銀貨 → 千円
金貨 → 一万円
と考えて頂ければよろしいかと。
薬草五本一束で三百円で買い取り、大ぶりのモンスター肉の串焼きも同じく三百円。
デニーが食事の介添えに給仕を頼むと一万円以上です。
アメリアの髪飾りが二十八万円で売れて、買い戻しに百万円…… うん?
わ、判り難かったかもしれませんね……
『衣装』
衣装は前述したとおり、十七世紀後半から十八世紀前半、バロック後期からロココ様式の格好をそのままの名前で着せてみました。
個人的な見解なのですが、バロック前期やルネサンス期ゴシック期より、貴族的な華やかさが伝わるのでは無いかと考えたからなんですがね。
やっぱり鎧兜は戦国期の当世具足だよね? 的な勝手なノリです。
分かっています、源平時代の大鎧も良いですよね、分かっていますとも!
他の時代がお好きな方は、ご自由に脳内変換してお読みくださいませ~ すみません。
『馬車』
最後に馬車についてです。
こちらも中世ヨーロッパの通りにさせて頂きました。
貴族の乗り物としての馬車は、大貴族はカブリオレで統一し、牽く馬の数を、
王族 → 十二頭
大公 → 十頭
公爵 → 八頭
侯爵 → 六頭
伯爵 → 四頭
と分けてあります。
下級貴族についても同様にヨーロッパに倣い、クーペに一頭または二頭で牽かせるイメージです。
騎士爵は馬車は使いませんが、必要な場合はキャリッジを借りて使います。
商人はキャラバンの幌馬車や一頭立てのキャリッジですね。
ただし、乗合馬車はエマ達が使っていたキャリッジを更に大きくした物を二頭立てで牽いていました。
作中でエマ達が乗っているキャリッジは、バーミリオン家の寄り子や地方観察の任についている者が使用する馬車になります。
冒険者ギルドの馬車置き場にはさぞ不似合いな代物だったでしょうね。
◆まとめ◆
お伝えして来たように、【侯爵令嬢、冒険者になる】の世界観や設定は、中世ヨーロッパのまんま、まるパクリ、ぐふんぐふん、丸々お借りしていた訳です。
ですので、他作品の様な痛快さがないのは作者のせいでは無く昔のヨーロッパが悪かったのですね♪
とまあ、責任転嫁はこれ位にして本題です。
文中にも書きましたが、【侯爵令嬢、冒険者になる】略して冒険令嬢は、「観察者シリーズ」のスピンオフ的な立ち位置になっていたのでございます。
さぞや驚かせてしまった事でしょうね……
ごめんなさい……
ここで皆様に重要なお報せをしなければなりません。
冒険令嬢の大元に当たります、「観察者シリーズ」の『堕肉の果て』が、現在改稿作業中でございまして、毎日五話~十話のペースで投稿中でございます。
作中で見聞きして頂いた古代の伝説達が生き生きとハチャメチャコメディを繰り広げております。
作中で謎めいていたあの人たちやこの人たちも元気に活躍中です。
時空を超えた長ーい物語をご覧いただければ光栄の砌でございます。
是非、よろしくお願いいたしますぅ~。
お読みいただきありがとうございました。
※この作品は『小説家になろう』様にて、完結している作品でございます。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓
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