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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

121. 令嬢、歴史を知る ②

 二か月近く同じ所作を繰り返している新鮮味に欠ける二人を無視してイーサンがロアに聞くのである。

「建国王パーティの名前と職業でしたね、何と書いてあるのですか、ロア? 」

 ワクワク感を抑えきれない声を発したイーサンの左右でマリアとデビットも興味津々であった。
 ロアがつづられた文字に指を這わせながら答えた、と言うよりも読んだ、それが正確な表現であろう。

「うん、建国王、いいや魔王討伐を果たした英雄パーティーは予想通り五人だったみたいだね! リーダーはルーク、正式にはオルクスと言ったそうだよ! 即位後の名はオルクス・ブレイブニア、我が王国の初代の王、英雄王と言われる方だね」

 エマと並んでモジモジタイムを過ごしていたデニーが気を取り直したような視線を送り、何故だか満足気な頷きをした。

 ロアの読み聞かせは続いた。

「次に記されているのはアイアンシールド、デビットのご先祖様のタンクの事だね、さっきも言った通りパズス・アイアンシールドと言う名前だったみたいだよ、並び立つ戦士は徒手空拳としゅくうけんだったらしいよ、マリアと同じ名前でオーラの色も同じだったのかな? 紫の最強戦士だってさ、名前はシヴァ・レオニー、『雄獅子おじし』と言われていたみたいだね」

 今度はデビットとマリアが瞳をきらめかせて互いの両手を握ってワクワク感を演出したのであった。
 いつもは冷静な感じで話をするイーサンが執事らしく無い言い方でロア、クロードを急かしたのである。

「ロア殿! いつもいつも私の事を後回しにするのですね! 早く言えよ! 俺の先祖は居たのかいないのか! おっと、居たのでしょうか? 早く教えて下さると嬉しいのですが? 」

「あ、ああ、なんかゴメンね、君、我慢強そうに見えた物だから…… えっと、うん、君と同じ名前のスカウトさんも居たよ、変わった名前だったみたいだねぇ、えっと、アジ・ダハーカ・スカウトだってさ、君と同じ斥候せっこうで敵の攪乱かくらん、分身の術が得意だったみたいだよ…… 驚いたな…… 技やスキル迄全員そっくりなんだね? 君達って……」

 感心したような声で呟くロア。

 モジモジプレイの相方、デニーを一早く奪われて手持無沙汰でイライラし始めていたエマが、耐え切れないと言った風情でロアに言うのであった。

「ねえねえ、ロアったらぁー、バーミリオンの事を言ってくれていないのでしてよ? ほらぁ、早く読み解いて下さいませ! 聖女でしたわよね? どう? どんな素敵な女性だったのですか? ほれ、ほれ、言って下さいませぇ! 」

 ロアが急激に落ち着きを取り戻して、冷静極まりない声で答えたのである。

「そうですね、居たみたいですねバーミリオンの人…… えっと、癒し手だそうですよ、ラマシュトゥさんですかね、ラマシュトゥ・バーミリオンとか言うらしいですね、聖女? そう言う記述は見当たらないですねぇ~、恐らく後世の創作なんじゃないですかねぇ~? 」

 ガックシ!

 自分の先祖だけオマケみたいな扱いだったエマは分かり易く肩を落としていた。

 慰めようと近づいて来たパーティーメンバー、立派なご先祖を持った四人の笑顔も素直に受け入れる事が出来ない、言ってみれば、『ああ、そこからそんな高みから慰めてくれるんだー、流石は立派なお家の方々では無いですのぉ! 』的な、面倒臭い腐り方を始めてしまい、少しづつ腐敗臭を漂わせていたのだが、次のロアが発した一言で現世うつしよに呼び戻されたのであった。

「あ、聖女の記述は有りませんでしたけど似通った称号が有りましたよアメリアさん! ラマシュトゥさんの旦那さん、夫が聖王と言われていたみたいですよぉ! 」

「え、そうですの? 聖女では無くて聖王、ですの? なんて書いてありますの? ロアさん! 」

 アメリアは少し元気を取り戻している様であった、良かった…… ロアが本の先を読んで言った。

「そうですね、聖王はラマシュトゥさんの家に入り婿に入ったそうですよ、元は剣士で有りながら竜を操るドラゴンライダー? 何でしょうね、意味が分かりませんが…… 重ねて巨大なボア、山のように大きなイノシシを友とする、世界に一人きりの存在であったとか何とかぁ…… んんん~、正史にこんな御伽噺おとぎばなしの如き記述があるとは、いやはや…… 申し訳ありません、ここらは適当な記述だったようですね、ごめんなさいアメリア」

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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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※この作品は『小説家になろう』様にて、完結している作品でございます。是非こちらからご覧くださいませ^^↓

公爵令嬢冒険02


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