見出し画像

【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

63. 令嬢、快進撃 ②

 最下層へのスロープを降り始めて暫くしばらくした時、不意にエマが仲間達に声を掛ける。

「止まって皆! おかしいですわよ…… 下から魔力を感じますわ、それも、凄まじく濃密で巨大な魔力でしてよ…… こんな恐ろし気な魔力、今まで経験したことありませんわ! 」

 デニーが探るような表情をして数秒黙り込んでから言う。

「本当だ! 大きな魔力の波が押し寄せてきているね、こいつはヤバそうだよ、皆、どうしようか? 」

 イーサンが即座に答える。

「私が様子を見て参ります、皆は念の為上にお戻りください」

 仲間達が頷きを返したのを確認するとイーサンは両手で印を結び、煙の様にその姿を掻き消したのであった。

 イーサンの言葉に従って上の階、二十九層に戻って来たエマ達。

 十数分後、再び姿を現したイーサンは、全身を冷や汗で濡らしていたのである。
 イーサンは青ざめた顔をエマに向け乍らながら言った。

「エマお嬢様、かなりヤバそうな相手だと思います! 見た目は全身を金色の金属鎧で包んだ人型ですが、あれは人では無く魔物、言ってみれば魔人とでも呼ぶべきものかと! 恐ろしいのはフルフェイスの兜の形が猛獣の様な凶悪な物だった事では無く、放出された魔力でしょうか、全身から太陽の如きごとき眩いまばゆい光を発していたのです!

魔人は何かの儀式をしているようでしたが、隠れて見ていると土中から銀色の全身鎧に身を包んだ兵士達が、ぞろぞろと現れ始めて来たのです! これらも最上級モンスター以上の力を感じました、さらに私が戦慄したのはその直後、やつはこちらを振り返ったのです、隠形おんぎょう中の私の目を真っ直ぐに見つめた上で…… 金属兜の獣みたいな口元を肉の様にイビツに上げて、楽しそうに笑って見せたのです」

「怖いのですわ、イーサン! こんな時に魔力を増やしてどうするんですの! ちゃんと本当のことを報告してくれなくてはいけませんわ」

 エマの言い様にイーサンは心外だと言わんばかりの表情を浮かべながら短く言い返す。

「本当の事です! お嬢様」

 デニーが横から口を出す。

「エマ、しかして魔王ザトゥヴィロなのでは? どう思います? 」

 エマが少し考えてから答える。

「分からないけれど、その事は重要では無いでしょう? 今はギルドのルール通り、戻ってこのことを伝える事が一番でしてよ! ダンジョンボスにはプラチナランクの冒険者がこれに当たる、ゴールド昇級の時にギルマスから念を押されたことを皆覚えていらっしゃるでしょう? ルールは守らないといけませんわ! さ、素早く戻りましょう! 」

 デニーが加入してから一か月、ゴールド冒険者として活動する間に、エマだけでなくノブレス・オブリージュの全員が、責任だとか大人としての分別だとか、少しは人目を意識する様に成長してきていたのである、理由なき反抗的な行為は目に見えて減っているのであった。

 マリアだけでなく全員でキャリーを押して地上へ向かう五人は、復活したモンスターに構う事無く最短で昇り切るのである。

 具体的な方法としては、リフレクションを発動したエマをデニーが御姫様抱っこして先頭を歩く、これであった。
 後続の三人も魔石だけ拾って肉や素材は無視である。

 地上に出た面々は、いつに無く慌て捲ってルンザに向けて馬を駆るのであった。

***********************

お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

Copyright(C)2019-KEY-STU

※この作品は『小説家になろう』様にて、先行して投稿している作品でございます。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓

公爵令嬢冒険02


励みになります (*๓´╰╯`๓)♡