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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

21. 令嬢、散策する ③

 最初に言葉を返したのは騎士、デビットであった。

「ぶ、無礼なっ! ジジイっ!
申していい事と悪い事がある! 貴様! 死にたいのかっ! 」

 爺が馬鹿にしたように答える。

「ははっ死にたいのかってか?
いいか若造、死にたい庶民なんか一人もいないのだ、
そんな言葉が出て来た時点で終わってるぞ? 御貴族様よぉ? けへへへ!
お前たち貴族たちにとっては今日を生きるって事はそんなに簡単なんだな!
いいか? 死にたいかって言う奴は明日生きている確信を持って言ってるんだよ?
民は今日生きてる事実だけで明日の事なんか考えた事も無いんだ!
御貴族様よぉぅ! 」

 デビットは言葉を無くした……

 イーサンもマリアも、貴族出身のメンバーが黙り込む中、エマ、アメリア・バーミリオン侯爵令嬢が老人に言葉を投げ掛けるのであった。

「老人よ、私の騎士が口にした言葉は詫びるとしましょう、
然ししかしながら死にたいのか、デビットがそう問うた言葉は脅迫では無いのですよ、
一般的な人々が口にしないであろう侮蔑ぶべつを口にしたそなたに対して告げた警告に過ぎないのです、貴方は彼の言葉を許さなければいけない……
確かに私始め、師匠達に導かれここにいる四人は貴族出身の者です……
気持ちよく文句を言うのは弱者にのみ許された特権、
貴方からしたら気分が良い胸がすく思いである事は理解の及ぶ所では在りますが…… 他に言いたい事は、いいえ貴方が我々に言わなければならない言葉があるでしょう? 賢き老人よ! 」

 ジジイは首を傾げる。
 エマは溜息を吐いて言葉を続けた。

「もうっ! 貴方こそ馬鹿ですわ!
今、貴方の後ろで使用済み、真っ白になった魔石が山積みされているでしょう?
ここを偶然、いや、お師匠様達の導きで訪れた私達、
貴族階級の魔力過多気味の四人がいると言うのに、
貴方と言ったら文句を言うばかり、
魔力チャージしてくれの一言も無い有様では無いですか!
あなた一人が文句を言ってやった、
俺、スゲえぇぇ! って喜んでいるだけでしょう? 良いのですか?
頭を下げてでもその背後に置かれた白い魔石にチャージして貰わなくても?
それって、気持ちが悪い自己満足でしかないでしょう?
つまり! 貴方も庶民の敵、そう言う事ですわよ? お爺さん」

 驚いたのだろうか、大きく目を見開いた魔石買取所のジジイは、ふいに柔和にゅうわな笑みを浮かべてエマに向けて言うのであった。

「なるほど…… お嬢ちゃんは他と一線を画すようじゃな!
お前の言葉には懐かしい太古の聖女の如き鋭さを感じる…… ふふふ、
心配しなくとも良いぞ、儂の背後にある魔石じゃったら、それ、この通り! 」

 爺が右手を掲げた瞬間、背後で白くなって転がっていた魔石の全てが深紅に染め上げられたのである。

 爺が間を置かずに言うのであった。

「お嬢ちゃん、
お前が師匠と呼ぶこの二人もこの時代には稀有けうな正直な若者じゃ、
この子たちに導かれるままに見るべきを見て、聞くべきを聞けばええ!
そうすれば、アンタの行くべき道が薄らとでも見えて来るじゃろうて…… ふふふふ」

「? 」

 キョトンとしていたエマは、一所懸命に正気を取り戻しながら言ったのである。

「お爺さん? 貴方の言いなりになるつもりは毛頭ないのですけれども……
私は自分自身が信じる者の為に何事もいとわぬつもりでしてよ!
ただ、これからもお世話になるのでしょうし、
貴方のお名前だけは聞いて置きたいのですわ! 教えていただけますか? 」

「レイブじゃよ、儂の名前は、レイブ・バーミリオンじゃぞい」

「えっ? ば、バーミリオン? ですの? 」

「なははは」

「っ!? 」

 その後、老人は一切の質問に答えることは無く、仕方なく買取所を後にした一行の表情は曇ったままであったのである。

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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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※この作品は『小説家になろう』様にて、先行投稿しています。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓

公爵令嬢冒険表紙01-3m


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