【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
62. 令嬢、快進撃 ①
ダンジョン二十九階層、モンスターの集団が振るう爪や牙、様々な武器や魔法による攻撃をデビットの魔盾が弾く甲高い音が響き続けていた。
襲い掛かるモンスターは全て最上級モンスターである。
知性が高いと言われるだけあって、種族が違うにも拘わらず器用な連携を見せつつ、強力な攻撃を緩める素振りも見せていない。
敵の前衛である数匹の大型モンスターの攻撃を一手に受けながらも、デビットが後ろに下がる事は無く、それどころかじりじりと敵を押し返しているようだ。
シュバッ!
デビットの頭越しに鋭い斬撃が飛び、身体を切り裂かれたモンスターの悲鳴が上がる。
フォーメーションを崩したモンスターの中に、身を躍らせて飛び込んだデニーが、重さを感じさせ無い愛剣レジルを四方に向けて無茶苦茶に振り回し、敵の後衛に向けて時折『飛刃(リエピダ)』の斬撃を飛ばしてはズンズン奥へと進んで行く。
仕留め切れていない手負いのモンスターはデビットの剣と、マリアの拳や蹴りによって次々ととどめをさされていく。
倒した先から手早く魔石を取り出して、手際よく遺骸を捌いていくイーサン。
持ち帰らない不要な部分は一か所に集められ、エマの『浄化(クリンリネス)』によって消失させられて行く。
瞬く間に立っている敵がいなくなり、敵の最奥から戻って来るデニーもとどめを刺し始め、入れ替わる様にイーサンとエマが前へと歩みを進めた時、
ギシャァーッ!
天井付近に身を隠していたのだろう、巨大な蝙蝠型の最上級モンスター、エンペラーバットが鋭い牙が並んだ口を大きく開いてエマに向けて飛び掛かったのである。
ギャ、ギャ? ギャー!
エマに牙が届く直前、ほんの一瞬前に投じられた、イーサンのティザースローンがエンペラーバットに突き刺さり、そこから流される電撃によって痺れ続ける蝙蝠は、地面に横たわり口を閉じる事も出来ないようだ。
エマが呟く。
「『風船爆弾(バルーンボム)』」
上に向けた掌の中には朱色の球が現れる。
サイズは杏子の実位の可愛らしい物だが、向こう側が透けて見えない程の濃密な魔力の塊である。
ポン! ズッドーンッ!! ……バラバラバラバラ
エマがエンペラーバットの口の中に球を投げ込んだ瞬間、内側から爆砕され飛び散る肉塊や体液が彼女に降り掛かるが表情一つ変わりはしていない。
「『清潔(クリンネス)』」
頭から被った汚れは一瞬で消え去るのだった。
ゆったりと仲間達の元に歩み寄ったエマは、先程同様イーサンが集めたモンスターだった不要な物を『浄化』させ、振り返って仲間達に『清潔』と念の為だろう、『フルヒール』を掛ける事も忘れない。
「エマありがとう」
デニーの感謝の声にイーサン、マリア、デビットも続いた。
「「「ありがとうございます、エマお嬢様」」」
「どう致しましてですわ」
言いながら全員でイーサンが纏めた肉や魔石、モンスターの武器防具などをグラオが牽いていたキャリーに積み上げて行く。
もう山積みである。
イーサンが言う。
「もう積めませんね、帰りの分は個々に背負る事として、一旦引き上げましょうか? 」
「そうですわね、二十九階も一番奥まで来てしまいましたもの、でも、モンスターがリポップするまでまだ時間があるのでは? お嬢様、ちょっと覗いて見ては駄目でしょうか? 最下層、三十階の様子を」
マリアが興味津々といった感情を隠そうともせずエマに聞いている。
「うーん、聞く所によると今は無人の階層というお話でしたし、少し休憩しても宜しいかもですわね、行ってみましょうか? デビット、デニー? 」
「僕は構わないけど? 」
「右に同じですよ」
「では、参るとしましょう」
最後にイーサンが言い、頷き合う全員の首からはゴールド冒険者だけが支給され、身に着ける事が許された純金製のドッグタグが輝いている。
当然の事だがダンジョンの中に馬たちは入れてはいない、山積みのキャリーを牽くのは身体強化を多重掛けしたマリアの役目である。
ふざけているのかグラオ用のハーネスを肩にかけて『パッカパッカ』とリズムを取って、気楽な感じで牽いていた。
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感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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