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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
85. 令嬢、踊る ①
訓練に明け暮れる日々は瞬く間に過ぎて、イーサンとデビット、マリアを見送ってクリスに再会した日から、十四日が過ぎ去っていた。
エマとデニーの訓練は順調に成果を出し続け、この日の昼前には、よくぞここまで頑張れたものだと互いの健闘を称え合ったのだった。
想定していた以上の結果に気を良くした二人は久しぶりにダンジョンに向かって狩りをする事に決め、ルンザの草原の中を仲良く走って移動するのであった。
街道を歩く旅人や冒険者達は、デニーの手を牽いて楽しそうに走るエマの姿に目を細めたものである。
夕方まで久々に下層でのモンスター狩りをたっぷりと満喫した二人は、ルンザに戻って来てからクリス商会の様子を見に行くことにした。
最上級モンスターの魔石は大量に持ってはいたが、売却するつもりでは無く本当に興味本位からであった。
第一開店前の商会にはまだ、その準備が整ってはいないだろうと考えていたのだ。
「まあ! 立派でしてよ! 」
「ああ、想像していた以上だね」
クリス商会の新店舗の軒に掲げられた大きな看板を見上げる二人であった。
『モンスター肉ならここ! 魔石と武器防具も充実の品揃え! 買って満足! 売ってウハウハ! お得の宝箱クリス商会』
だそうだ。
他にも店の入り口周辺には『買取査定、常時受付中』だとか、『比べて納得の買取金額』だとか『思い出の武器防具、捨てちゃう前に気楽に相談してください! 』だとか、『それ、売れるかもよ』等々と書かれた立て看板や張り紙がたくさん出されており、通りすがりの高齢者数人が真剣な表情で眺めていた。
店の入り口からほんの少し離れた場所で二人の男が大声で話をしている。
「なあ、聞いたかよ! 」
「一体何をだい? 」
「魔石さ魔石、ここに明日オープンするクリス商会! 他より高く魔石を買い取ってくれるんだってよ! 」
「へーそいつは豪気だな! 明日オープンするクリス商会は他より高く魔石を買いとるのかぁ! 」
「ああ、凄いだろう! 」
「でも、俺は冒険者じゃないし、関係のない話だなぁ! 」
「と、思うだろ? 所がどっこい、冒険者じゃなくても得なんだぜぇ! 」
「冒険者以外にもお得だってぇ? 一体どういう事なんだい! 」
「それはな、ここクリス商会は、どこの家にもある使用済みの魔石を持ってくるとリサイクル魔石と交換してくれるのさ! 」
「えええ、使えなくなった魔石をまだまだ使えるリサイクル魔石と交換してくれるだってぇ! 本当に? 」
「ああ、勿論数は半分になるし魔力も新品の八割程だけど、それでも凄くお得だろう? クリス商会って! 」
「本当にお得なんだな、クリス商会は! 早速家に帰って使用済み魔石を集めておこうぜ! 」
「おいおい、お得なクリス商会がオープンするのは明日なんだぜ、気が早いんじゃないか? 」
「分かっているよ! こんなお得なクリス商会だ! オープンと同時に持ってこなくちゃ行列に並ぶ羽目になるじゃないか! 今から準備して明日は一番に交換して貰わなきゃな! 」
「なるほど、俺も家に帰って準備をしよう! にしても本当にお得だよな、クリス商会って! 」
「ああ、魔石もモンスター肉もお買い得、武器防具の売買もしているし、誰もが嬉しい魔石交換か! 素晴らしいなクリス商会は! 」
「ああ、全くだ! 」
言い終わると歩いて行った二人、何故か店の裏側に消えて行くのであった。
呆気に取られていたエマとデニーに話し掛ける声、クリスの物だ。
「これはこれはエマ様、デニー様、お陰様で明日無事開店いたします、ありがとうございます」
「まあクリス、私達は何もしてはいませんわ! それよりクリス貴方のお店、とても評判が良くってよ! 今も大絶賛の雨霰でしたもの! 」
「本当に! 大したものだよ! この分なら明日は民がこぞって来店する事だろうね! 」
クリスはやや頬を赤らめて答えた。
「いや、まあ、サクラなんですけどね」
「お花ですの? 」
「人間に見えたが? 」
首を傾げる二人に、説明が面倒臭かったのだろう、クリスが話題を変える為に言うのであった。
「それは兎も角、明日の開店を記念して閉店後、店の横の広場でちょっとしたイベントをやろうと思いまして…… 何軒かの露店のお店が食べ放題で出店しますし、広場の真ん中で火を焚いて、傭兵団の楽師が音楽を奏でるんですよ、お二人もいらっしゃって頂けると光栄なのですが、如何でしょうか? 」
まんまと変わった話題に乗るエマであった。
「まー無料で飲んだり食べたりさせて頂けるのは嬉しいですけれど、デニーどうします? 」
「うん、僕は傭兵の音楽に少し興味があるかな? どうだいエマ、二人で来てみないかい? 」
「ぜひぜひ! お待ちしています! 」
「そうですわね、デニーが来たいと言うのなら…… クリス、私達もお邪魔させて頂きますわね」
「ええ、ええ、ぜひお楽しみくださいませ! 」
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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※この作品は『小説家になろう』様にて、完結している作品でございます。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓
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