【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
136. デニー、即位する ②
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子供たちの姿を愉快そうに見送るデニーにエマが話し掛ける。
「それでどうでしたの? やはり考え直してはくれませんか? 」
デニーは自嘲気味な笑いを浮かべて答える。
「ああ、やはり引退する、その一点張りだったよ、叔父上、スコット卿もトマス卿もね」
「やはりそうですわよね、お二人とも頑固ですもの…… 昔から言いだしたら聞きませんのよ」
デニーは笑いの種類を苦笑いに変えて続けた。
「参った事にバース卿まで身を引くとか言いだしちゃってね、つられた訳でも無いだろうけど商務卿も引退願を提出してね…… やはり昔馴染みの力を借りるしかないようだよ」
エマはデニーの肩に手を置いて慰めるように語り掛けた。
「皆、快く協力してくれますわ、きっと大丈夫でしてよ! 私も力を振るって見せましてよ! 」
そう言うと、マリア張りに力こぶを作るしぐさをして見せた。
「ははは、そうだな、皆に頼み込んでみるとしよう、エマ、君の言葉も聞いたよ? 覚悟は良いかい? 」
「モチのロン、でしてよ」
暫く後、国王が五十二歳を機に王太子に王位を譲り、戴冠を済ませたデニーはブレイブニア王国第二十六代、ダニエル王として即位を果たした。
先代王は太公となり、昔馴染みのパトリック・バーミリオン大公と先の式部卿兼王立学園長のイグニス・バース元公爵と共に湖畔の別荘で隠棲すると言う。
パトリックの弟、前軍務卿のスコット・バーミリオンと、同様に刑部卿を辞したトマス・スカウトの二人も子供たちに家を譲って湖畔に住むらしく、仲良く隠居家を建設中であった。
ついでと言ってはなんだが健康に不安を抱いていた商務卿は領地に戻って静養するそうである。
頼るべき重鎮たちが一斉に国政の中枢から姿を消す事になってしまったが、新王であるデニーに不安の色は見られなかった。
戴冠して初めて訪れた執務室の中には心強い仲間達が待っていたのである。
新たな軍務卿にはタギルセ侯爵家当主ストラス・タギルセが、式部卿にはクロード・コロル・ファイアワークス伯爵が付く事になり、商務卿にはクリス・ポンダー伯爵である。
トマス侯爵が抜けた刑部卿にはデニー自らが抜擢した人物が任に当たる事になった。
今や名実ともに王国最強のプラチナランク冒険者に返り咲いた『やり直しの魔法剣士』、アール、伯爵のキックスを選んで国内の警備、公安部門のトップとしたのであった。
数日前に行われた就任の挨拶では、部下の幹部たちから握手を求められ続けて大変な人気だったと言う、上手くやって欲しい、そう祈るばかりである。
残った空位である王立学園長には、エマ、アメリア王妃が就任する事となった。
女性としては初めての登用に世間はやや懐疑的ではあったが、エマ自身はそんな声など一切気に掛けることなく、どこ吹く風とばかりに、ロア式部卿と図って何やら新たな施策を提案する為に、精力的に政務を行い始めていた。
執務室に集まったメンバー、大臣は顔ぶれも新たに十四人であった。
デニー、いいやダニエル王は全員の顔を見まわしてから元気に問い掛けた。
「皆、頼りにしているぞ! やるべきことを為す準備は良いだろうね? じゃあ、国を良くしていこうか! ノブレスオブリージュっ! 」
『ノブレス・オブリージュッ! 』
パーティー『新生ノブレスオブリージュ』のメンバー達は、新たなリーダーダニエル王の元、こうして船出を誓い合ったのであった。
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