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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

47. 令嬢、伸び悩む ④(挿絵あり)

「ストラス様! 至らぬ点は直します、お嬢様の為にも是非ご一考下さい! 」

「私もストラス様と別れるのは嫌ですわ! お願いします! 」

「ストラス殿、某に至らぬところがあるのでしょう? 言って下されぃ! 私はまだあなたから学びたい事があるのです! 」

 イーサン、マリア、デビットに続けたエマ、アメリア・バーミリオン侯爵令嬢の声は一番大きく周囲に響いただけで無く、誰あろうストラスの心に最も大きく鳴り響いたのであった。

「ねえ、ねえ、ストラス? 私に悪い所が有ったのならば言って下さらないと! 瞬で直しますから、瞬で! ですから、もうさよなら、時間切れだとか、思わせぶりな嫌がらせは止めてくださいませ! これからも一緒、時間はたっぷり! そうですわよね? ストラス? 」

 全員が歩みを止めた状態で、暫く続いた沈黙を破る様にストラスの声が発せられた。

「違うんだ、お前等に何か瑕疵かしがある訳じゃないんだよ…… 悪いのは全部俺なんだ…… 俺自身が誓いをたてた…… その約束を破りたくない…… そんなつまらない、矜持きょうじが全部悪いんだよ…… 済まん、エマ、皆……」

 大きな体をいつに無く小さく折りたたんだようなストラスに対して、どんな言葉を掛けて良いか分からなかったノブレスオブリージュの面々は無言のままで林の中の集落までとぼとぼ歩き、この日の冒険を終えたのであった。

 何となく、突っ込んではいけない感じになってしまったエマ達は、言葉少なくストラスと別れた。
 ストラス自身もいつに無く無口なままで自らの定宿じょうやどへと帰って行った。

 次の日、落ち込んでいたエマとノブレスオブリージュの面々が上級モンスターに囲まれた時、危機を救ってくれたのは、いつも通りのストラスのグラディウス、魔剣グルムであった。

 型通りの礼を返して、ダンジョンから脱出する面々はお互いに気まずい空気を感じつつ、集落へ、そして町へ、いつも通りに言葉少なく分かれて行ったのである。

 十日が過ぎた。

 今日までにエマ達、パーティー、ノブレス・オブリージュが討伐に成功した上級モンスターは十二体、一人当たり三体であった。
 目標にしていた一人当たり二十体、パーティー全体で八十体には遠く及ばなかったのである。

 エマ達が内心で焦ってしまっている理由は、林の中の集落冒険者の内、リーダーのジャックと副リーダー的なチャーリーとハンスの三人組のパーティ、『努力あるのみ』が上級モンスター討伐数、五十九に達してゴールド昇級にリーチ、大手を掛けていた事も、変なプレッシャーとなっていたのである。

努力あるのみ みてみん

 そんな辛く苦しい状況の中で、最近無口になっていたストラスがエマ達四人に向けて言葉を発したのである。

「なあ、みんな、実は昨日実家から手紙が届いてな…… 俺は明後日この町から去る事になったんだ……」

「えっ! 」

「「「えええ! 」」」

 ストラスが塞ぎ込んだ感じで言うのである。

「すまない、以前言った通り、俺は自分自身が交わした約束に従って二日後にこの町を後にするんだ…… お前らを見捨ててな……

だけどな、俺はお前たちが足掻いてあがいて来た日々を見ていたんだよ…… 可能性は低いだろう、いいや見つけ出せるなんて奇跡かも知れない……

でもな、俺が守る事が出来なくなったお前たちのミッシングピース、あと一つの足りない物を探す努力を諦めないでくれないか! ギルドでも知り合い達でも、何とか探してくれよ……

俺は、今から家に帰る無責任な俺が言えた事じゃないが、お前等がここで止まるなんて…… そんなの見たくは無いんだよっ! なあ、エマ? 諦めないで探してみてくれないかぁ! 」

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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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※この作品は『小説家になろう』様にて、先行して投稿している作品です。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓

公爵令嬢冒険表紙01-3m


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