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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~

54. 令嬢、メンバー募集する ⑤

 デニーが笑いを止めて真面目な声でエマ達に話し掛けた。

「時に、聞いておられるでしょう? 魔王の噂」

 エマも表情を堅い物に戻して答えた。

「ええ、聞き及んでいましてよ、ザトゥヴィロ、ですわよね」

「やはり、名前までご存じだったのですね、という事は皆さんの最終目標はひょっとして? 」

「その通りですわ、私達ノブレス・オブリージュの目標は魔王討伐、そして人々の心から恐怖を拭い去る事でしてよ」

「素晴らしい! 僕は皆さんの様な立派な志を持った冒険者を探していたのです! 是非仲間に加えて下さい! 」

 情熱的なデニーの言葉を聞いたエマ達も嬉しそうに顔をほころばせる。
 エマが最終確認を取る。

「確認したいのですけれど、遠距離からの攻撃がお出来になられるんですの? 」

 デニーは自分の背もたれに立て掛けてあった大剣、エマの背丈ほどもある首切り役人が使うエグゼキューショナーソードを更に分厚くしたような巨大な武器を片手で持ち上げながら笑顔で答えた。

「ええ、この剣は聖け、ぐふんぐふん、僕の家に古くから伝わるもので名を『レジル』と言うのですが、魔力を込めて振るう事で斬撃、『飛刃(リエピダ)』を飛ばすことが出来るんです」

 デビットが目を見開いて唸る様に呟いた。

「こ、これ程の剣を、か、片手で……」

「凄い力だと思うでしょう、実は違うんです、レジルは意志を持った剣でして、自らが認めた相手には重量を感じさせ無いようにしてくれるんですよ」

 言いながら巨大な剣を指先で摘まんで見せるデニー。
 エマが驚いた顔で言った。

「まあ、凄いですわね! それが貴方のスキルですの? 」

 デニーは剣を置いて答えたが、その場所の床がミシミシと限界そうな音を響かせていたのであった。

「いいえ、これらは全部レジルの力です、僕のスキルはもっとつまらない物です、一日一回だけ敵と認めた相手を消滅させることが出来るんです」

「え? それって相手が複数でも出来ますの? 」

「ええ、こう全身から光が溢れ出して行きまして、納まると敵対する者が消えているんです」

 エマは更に質問を重ねた。

「それは…… 例えば軍隊とかでも行けるのかしら? 」

「実際に使った事は無いんですけど恐らく行けるでしょう、前にゴブリンの集落に向けて発動した時、見た感じ数百体以上いたゴブリンが消失しましたから…… ただこの技を使うと体内の魔石迄消えてしまうので冒険者向きのスキルではありませんよ」

 エマは背筋に悪寒を感じたのであった。
 本人は気が付いていないようだが恐ろしいスキルである。

 万が一デニーが『世界よ呪われろ! 全員死んじまえぇ! 』的な事を思ってしまったら……
 今のエマに出来る事と言えば、取り敢えずそんな物騒な力を使わない様に話を合わせて置くしかない。

 そして可及的速やかにデニーを馬鹿にすることを止めるよう、他の冒険者に注意しなければいけないと思うのであった。
 最初は差し詰めアンナだとも心に決めた。

「そ、そうですか、仰る通りあまり冒険者向きでは無いのですわ! な、なるべく、いいえ、私が良いと言わない限り使わないようにしましょうか? どうです? 約束いたしませんこと? 」

「? ええ、まあ構いませんが…… そうか、そうですね、魔石が手に入らなければ困りますから、
結構ですよ、約束しましょう、レディーエマ」

 エマはホッと安堵のため息を吐きながら答えた。

「レディーでは無くてよ、只のエマですわ、デニーさん」

「あ、そうでした! これは失礼いたしました、エマさん」

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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。
これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。

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※この作品は『小説家になろう』様にて、先行して投稿している作品です。宜しければこちらからご覧いただけます^^↓

公爵令嬢冒険表紙01-3m


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