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【連載小説】私、悪役令嬢でしたの? 侯爵令嬢、冒険者になる ~何故か婚約破棄されてしまった令嬢は冒険者への道を選んだようです、目指すは世界最強!魔王討伐! スキルは回復と支援しかないけれど……~
117. 令嬢、凱旋する ④
デニーが苦笑いを浮かべながら、謝り続けるストラスとカエルみたいに頬を膨らませているマリアに言った。
「別にシンシアが言っているからって訳でもないんじゃないかな? これは現王、僕の父上たちの嫌らしい考えが多分に含まれているみたいだね…… ストラスのダキア家とシンシアのタギルセ家は共に国王派の家柄、対してアメリアのバーミリオン家は王家に継ぐ実力者、貴族派のトップだからね…… 事実バーミリオンの家名が出てくるのは最後の辺りだけだろう? 全く、そこら辺は僕から言って直させる、絶対! 僕たちの戦いを政争の具にされたら堪らないよ」
「まあ、政治のお話でしたのね! それなら私達女性が口を出してはいけませんわ、分かりましたか、マリア? 」
「は、はい、分かりましたわ……」
エマはマリアに言ったがデニーはこれにも言葉を続けるのであった。
「それなんだけど、僕は思うんだよね、これからは男女の違いなく誰でも政治に参加する時代なんじゃないかって、それこそ貴族や法衣貴族だけでなく身分に関係なく能力に優れた者、国を赤心から憂いている者、そんな人達にも力を借りて良い政をしていかなければならないんじゃないかな? そんな風に思うんだよ」
「ほう、思い切った事を言いますな殿下、共和制をお認めになると? 」
ストラスが珍しく貴族らしい事を言った。
デニーは首を振って言葉を続ける。
「いやいや具体的にはまだ何も決めてはいないんだけどね、ナセラとルンザで過ごしている内に、市井の人々の中に優れた能力や哲学を持っている人たちが思いのほか多い事に気が付いたからね! 何となくそうしようかなって、まあ即位した後の事だろうし、まだまだ全然先の話になると思うんだけどね、反対の声も多いだろうな、その時は力を貸してくれるかい? ストラス、イーサン、デビット? 」
「も、勿論です殿下! 力を尽くさせて頂きます! 」
「ふむ、ストラス様だけでなく私達もですか? 男爵位に過ぎない自分がお役に立てると言うのであれば、協力は惜しみませんよデニー」
「私に至っては準男爵なんだが…… まあ戦いになるんなら何をおいても駆けつけるぞ、デニー! 」
デニーは珍しく悪戯そうな笑顔を浮かべて言ったのである。
「ありがとう、爵位か…… ふふふ、君達三人とも今の立場で居られるとは思わない方が良いよ」
「「「へ? 」」」
「ふふふ、内緒だよ、内緒」
エマとマリアも無言で首を傾げていた。
開け放たれたテラスの窓からは、ロアに対して室内で楽しそうにアイディアを告げているシンシアとクリスの声が響いているのであった。
更に十日が過ぎ去った。
エマ達は王都の南門の外で凱旋パレードの始まりを待っていた。
半年余り前、この門を通った時には、ほとぼりを覚ます為だけにバーミリオン領へ旅立ったエマであったが、振り返ればあの時には思いもしなかった冒険の日々を過ごしていた事が、彼女には今更ながら感慨深く思い起こされるのであった。
今日のエマ達の姿は、この門から旅立った時と全く同じ出で立ちである。
貴族が使う物としては質素なキャリッジを引くのはシュバルツとヴァイスである。
御者席には執事服のイーサンが手綱を手繰り、隣にはメイド衣装に身を包んだマリアがチョコンと腰を降ろしていた。
馬車に寄り添うように並んだグラオの背には鎧姿のデビット、後ろにはいつものキャリーを牽いている。
エマは一人キャリッジに乗って、窓から集まった人々に手を振る、そう演出家から指導を受けていたのだ。
まもなくパレードが開始されるのだがエマ達はまだまだ待機しなければならない。
今回の凱旋パレードが予想より大規模で演出されていたからである。
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お読みいただきありがとうございます。
感謝! 感激! 感動! です(*'v'*)
まだまだ文章、構成力共に拙い作品ですが、
皆様のご意見、お力をお借りすることでいつか上手に書けるようになりたいと願っています。これからもよろしくお願い致します。
拙作に目を通して頂き誠にありがとうございました。
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