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ケンヨウの階層

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自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。
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#つぶやき

[ちょっとした短歌を]2024年を迎えて

[ちょっとした短歌を]2024年を迎えて

風が吹き
見えた余白に傷痕が
残したくないあってよかった

時のスピードは、相も変わらず人の気も知れずに過ぎてゆく。
そんなことを思いながら1日が過ぎ、気がつけば年を跨ぐグラデーションは、あっという間に2024年の感じにシフトしている。もう数日過ごせば、もう完全に23年は過去になる。
40代も半ばを迎えて、改めて人生の後半戦を始めるにあたり、さて「どう生きるか」を少しずつ命題にすることが必要になっ

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[ちょっとしたエッセイ]光と闇と

[ちょっとしたエッセイ]光と闇と

 今年はいつもよりあたたかな12月で、つい先日まで本当に寒いと思える日はいつも以上に少なかったが、ここ1週間くらいは底冷えで、あ、いつもの冬がやってきたな感が出てきた。そのせいで、いつもより遅くなったが、クローゼットの奥からヒートテックのタイツを引っ張り出して、これでようやく冬の準備が完了したような気がした。そして、気がつけば今年も終わりつつある。
 この季節は寒さと相まって、いろいろと昔のことを

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[ちょっとしたエッセイ]寝ることが、もったいなかったあの頃

[ちょっとしたエッセイ]寝ることが、もったいなかったあの頃

 先日、久しぶりに食事をしながら眠ってしまった。とは言っても、一瞬意識を失った程度のもので、ガクンと目の前が上下する現象に見舞われてことなきを得た。しかし、食事をしながら寝落ちとは、学生時代の2徹明けの吉野家以来だった。
 とにかく、最近眠い。酒を飲もうことなら、すぐに酔い、横になった瞬間に寝られる自信がある。この週末も朝に起きられず昼まで寝て、起きてまたボーッとしていたら、夕方になっていた。天井

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[ちょっとしたエッセイ]六本木という街に騙される日々

[ちょっとしたエッセイ]六本木という街に騙される日々

 先日、久々に六本木を訪れた際、休憩にと駅前の喫茶店に入った。ここは駅前の割に、結構広くゆったりしているので、ちょっとした打ち合わせなどで長居するにはもってこいの場所だった。ただ、古い佇まいと、土地柄か、スーツの人とラフな私服の人のペアが多く、なんだか胡散臭いさは拭えない。でも、ひとりでゆったりするには良い場所だった。
 運ばれたコーヒーを飲みながら、あたりを見回していると、背筋をピンとしながら項

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[ちょっとしたエッセイ]知らなすぎた人を想う

[ちょっとしたエッセイ]知らなすぎた人を想う

 かつて。とかいうには少し大袈裟なのだが、今の時代から遡った時の変遷で考えると、かつてと言ってもいいくらい生活の多くが変化した。その、「かつて」の時代に、僕は文通をした経験がいくつかある。
 どれも携帯電話が普及していない時で、今よりも「手紙を認める」ことに時間を割いていた。僕は手紙を書くのが苦手なので、1通の手紙を書くのに、何枚も何枚も便箋を破っては捨てていたのを覚えている。でも、書きたい衝動は

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[ちょっとしたエッセイ]「行かなきゃよかった」でもそれはたぶん嘘

[ちょっとしたエッセイ]「行かなきゃよかった」でもそれはたぶん嘘

 先日、会社を休んで都内の大学病院で検査を受けてきた。ここのところ、体からジワッとしたSOSが出ていたのかもしれない。人生も半ばを過ぎて、五体「超」満足というのは、土台無理な話で、どこかしこにちょっとした不安の塊を抱えながら生きる方が普通だろう。少し諦めに似た感情で、検査を受けてきた。
 終わったのが昼前だったので、病院のある場所から最寄の不便な地下鉄には戻らず、フラフラと散歩がてらアクセスのよい

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[ちょっとしたエッセイ]逆巻く波間の小舟の上で1000年

[ちょっとしたエッセイ]逆巻く波間の小舟の上で1000年

 実は直前まで躊躇していた。人混みは嫌いじゃないんだけど、どうも…というテンションだった。 半袖を着ようか、長袖にしようか、そんな迷いもあったからかもしれない。ただ、これまでもそうやって何度も、言い訳ばかり並べて実現していなかったのだから、今回は…と重い体を引きずった。
 
 東京の湾岸は強烈な暑さだった。普段は、内勤ばかりで外気から逃れた生活を送っているわけだが、こういう休みの日の外出ほど、体に

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[ちょっとしたエッセイ]失礼な手紙とくどい手紙

[ちょっとしたエッセイ]失礼な手紙とくどい手紙

 今の時点でということで言えば、手で書くことは、嫌いではない。ただ、自分の字が、時々異様に嫌になる時があって、その時は、書くことすらも嫌になるのだが、概ね書くこと自体が苦ではない。
 
 そして、次のフェーズへ移る時、グッと書くことが苦手になる。それは、手紙だ。仕事でお世話になった方へのお礼状や、荷物を送る際の一筆など、月に2〜3は紙に向かって手を動かすのだが、これがなかなか時間がかかる。季節の挨

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[ちょっとしたエッセイ]明けるにはまだ早すぎる

[ちょっとしたエッセイ]明けるにはまだ早すぎる

 1月も早10日目を迎え、世の中は通常通りの姿を見せている。という自分もなんだかそのフラットでシームレスな時の流れに、まったく余白も継ぎ目もないことに驚きつつ、今この2023年を生きている。
 恋人がいようが、家族と過ごそうが、友人と会おうが、昨日までの延長線なだけで、ことさら年が「明ける」ことについて、いくばくも気を寄せてなかった。流れる慣習が不思議なほどに、無感動を呼び、いつしか子どもの頃のよ

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[ちょっとしたエッセイ]身から出るのはサビだろうか

[ちょっとしたエッセイ]身から出るのはサビだろうか

 先日、友人が誕生日を迎えた。すると必然的に僕の誕生日もやってくる頃合いだ。そうやって時間の記憶を数珠繋ぎしながらなんとなく生きてきた。
 人の誕生日とかは案外覚えているのだけど、自分のことはどちらかといえばどうでもよくて(と、そこまでいうのは嘘になるが)、思わぬところで誰かに覚えていてもらえた方が、うれしかったりする。
 
 そういった誕生日といえば、中学の時だった。僕のいた学校は寮があって、地

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[ちょっとしたエッセイ] もう縛られなくてもいいんじゃない?

[ちょっとしたエッセイ] もう縛られなくてもいいんじゃない?

 なんとなしに毎週火曜日をnoteの更新日と設定して早2年くらいが経過した。
 そもそもなぜ火曜日かなんていう理由は特になかったのだが、一旦決めてみると律儀な性格が顔を覗かせ、なんとなく「締切」感が出て、毎週更新が守れてしまっている。そうやっていく方が細々と続いていくんだろうなと、なんとなしに自分の性格のやわらかいところをモミモミしながら思っている。
 そんななんとなしのスケジュールだと特に記念日

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[ちょっとしたエッセイ]見上げる天井

[ちょっとしたエッセイ]見上げる天井

「人生40余年」

 久しぶりすぎるくらいに布団の上で天井を見上げている。不遜のあまりに世の中を見限ったわけでもなく、人生をドロップアウトしたわけでもない。ある日ちょっと具合が悪いからと病院にかかったのは7月の終わり。世の中は、まさに病原菌の蔓延に怯えている最中、僕も冒されてしまったわけだ。マスクをして、結構気にして生きてきたはずなのに、人生とはわからない。そんなアンラッキー程度に考えているのは、

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[ちょっとしたエッセイ] 食う、考える、食う

[ちょっとしたエッセイ] 食う、考える、食う

いつも食べているものに感謝するという、至極当たり前と思っていることを、いつ誰がどのように教えてくれたのか覚えているだろうか。
今この瞬間、目の前にあるすべてのものは、必ず誰かの手を通して生産されていて、その数だけ感謝を持っているだろうか。
そんな考えてみても仕方ないようなことを考える深夜。
テレビに映るふくよかな桃色の豚の群れを見ながら、中学時代のことをふと思い出した。

「豚はネギを食べると死ぬ

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東京という存在がなによりも弱くてあやふやだった 「ワレ想う故の90年代」vol.06

東京という存在がなによりも弱くてあやふやだった 「ワレ想う故の90年代」vol.06

 現在住んでいる場所は、東京に隣接する土地なのだけれど、生まれも育ちも東京の下町で、今もその感覚は変わらないでいるし、実際に勤めている会社も東京なので、ほぼ「東京」で人生の大半を過ごしている。

 毎日満員電車に乗り、人がわんさかいる都会(日本における東京がそういう場所であることを意識しつつ)を行き来していると、ふとどこか静かなところへ行ってしまいたい、もしくはそんな場所で静かに暮らしたいなどと安

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