ケンヨウ

日々の思いや鬱積したものを文章にしてみようとはじめました。 池袋に生息中。 表現のジユ…

ケンヨウ

日々の思いや鬱積したものを文章にしてみようとはじめました。 池袋に生息中。 表現のジユウ、平等のアイ、言葉のハコ。普通に生きたいだけなのに、なんだろ生きるのって結構大変です。小さな出版社で働くフツーのサラリーマンです。

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  • ケンヨウの階層

    自分自身に関わる文章を書きとめていきます。仕事のこと、生活のこと、いま夢中なことなど僕自身についてです。

  • コトバでシニカルドライブ

    頭の中でたまーに構成する言葉とコトバ。 その組み合わせは、案外おもしろいとボクは思う。誰に向けるでもなく、自分の中にあるスクラップをつなげてリユース。エッセイや小さな物語を綴ります。

  • すこし詩的なものとして

    言葉を書き留めていきます。

最近の記事

  • 固定された記事

[ちょっとしたエッセイ] 僕らは、ちいさな安心のために生きている

 仕事柄、深夜にメールが届くことがしばしばある。内容にもよるが、すぐに返信してしまうことが多い。特に、フリーランスの仕事相手には、すぐ返信してあげた方がいい場合が多い。担当者として、一区切りの合図というものがあると、お互いに安心するからだ。  先日、深夜2時に届いた、とあるデザイナーから少し様子の変なメールが届いた。ひと通り依頼している制作物のデザインのことが書かれていたのだが、最後に「今日は星がきれいです」とだけ書かれていた。風呂上がりの暇にそのメールを見たので、とりあえず

    • [ちょっとしたエッセイ] エスカレーター・ラブレター

       夕方に外で打ち合わせがあったので、今日はこのまま会社に戻らず、仕事を終えることにした。最寄駅についたのは午後5時過ぎ。このまま家に帰るのは少しもったいない気がして、駅中にあるファストフード店でコーヒーでも飲むことにした。夕方なのにも関わらず、外の気温は30度を越している。季節のスイッチが壊れているような、初夏の一日。夏はこれからなのに、すでの残暑のような厳しさが背中から押し寄せていた。冷房の効いたこの店は、そんな灼熱の世界から逃れてきた僕にとって、椅子の硬さややかましい店内

      • [ちょっとした物語] 彼女のシーン

        海岸を歩く人たちが、砂に長い足跡を残していく。 過ぎた春を洗い流す波は、行っては来てをくりかえし、その小さな足跡をも連れ去ってゆく。 その去りゆく人たちを見上げては行方を気にして、僕は少し不安な気持ちになる。 キラキラときらめく水面を眺め、僕は大きく息を吸った。 まもなく日が沈むそのひととき。あたりは夏の湿った空気が潮風に乗って、頬をかすめる。 ポケットでひとりかなしく震えるスマートフォンを見つけた。 画面を見ると、「うしろ見て」とだけの簡素なメッセージが浮かんだ。 僕は

        • 諦めにも似た願いを七夕に添えて、選挙に行ったけど、結果に対して、やっぱりねと、やはり諦めそうになる。でも選挙は止められないし、投票し続けるしかない。 織姫、彦星を横目にしちゃうくらい自由に天の川を泳ぐ魚になりたい。 https://note.com/kenyo/n/n93ea90e6382c

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        [ちょっとしたエッセイ] 僕らは、ちいさな安心のために生きている

        • [ちょっとしたエッセイ] エスカレーター・ラブレター

        • [ちょっとした物語] 彼女のシーン

        • 諦めにも似た願いを七夕に添えて、選挙に行ったけど、結果に対して、やっぱりねと、やはり諦めそうになる。でも選挙は止められないし、投票し続けるしかない。 織姫、彦星を横目にしちゃうくらい自由に天の川を泳ぐ魚になりたい。 https://note.com/kenyo/n/n93ea90e6382c

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        記事

          [すこし詩的なものとして]0167 忘れないための生と

          薪をくべるその後に 点火のための余白が見つからない ラジオの音は たゆたう言葉の形を失い 音と火と 燃えるよすがを 探している ルビは小さく この漢字の読みが 誰かの放った声のように なんだか違った 意味で踊り出す 湿った新聞紙に 世紀の大発見がなかなか燃えず 薪は白々とした煙だけを 産んでいく ここにいる 生きた人間と やがて死ぬ人間と すでに死んだ人間と まだ生まれぬ人間と 燃え盛る火を想像しながら 煙の中で交差する 音だけが この世界のよすがになろうか 目は霞み

          [すこし詩的なものとして]0167 忘れないための生と

          [すこし詩的なものとして]0166 梅雨はなにかの諦めのように

          カーテンの隙間に見える 目前に迫る梅雨は なにかを諦めたかのように 湿った衣を羽織っている 感情は手に入れた 生命の進化は もしそれが不要なものであるならば 身につくことはない 僕らは 感情を押し殺すことに 慣れすぎてしまった 稚拙で効率的ではないとするのなら 僕らは自らを否定することになるのだろうか 海にボトルを投げたところで 行き先は知らない 人生の崩壊なんて トイレにいても起きる 恥ずかしさが追いつかないうちに 頬を撫で 額を撫でる カーテンの隙間に見えるそれ

          [すこし詩的なものとして]0166 梅雨はなにかの諦めのように

          [ちょっとしたエッセイ] 世界はなんでもいいであふれてる

          「今日なんにする?」と聞くと、「なんでもいい」と言う。 「映画なに見る?」と聞かれると、「なんでもいい」と答える。  日頃から、自分の周りで飛び交う会話の一部というか、すべてというか、大体のどうでもいい会話に蔓延る「なんでもいい」。昨日入った喫茶店でも、隣にいた若い女性がスマホを見ながら、目の前に座る彼の問いに、目も見ずに「なんでもいい」と答えていた。  この「なんでもいい」は結構な意思表示なんじゃないかと思う。大概は「なんでもよくない」時が多い。それは自分にも当てはまる問題

          [ちょっとしたエッセイ] 世界はなんでもいいであふれてる

          [ちょっとしたエッセイ]なんで昼食わないんですか?

          「なんで昼食わないんですか?」  後輩に聞かれた。僕は普段、あまり昼食を摂らない。どうしてそうなったかは置いておいて、もうそうなって4〜5年になる。今じゃ、「お腹がすかない」とか「面倒くさい」とか、至極単純な理由になっている。 「お腹空かないんだよね」と答えることが多い。でも食べたくないわけではなく、外へ誘われれば行くこともある。なので、結局どっちでもいいが正解で、でもひとつだけ、昼休みにはやっておきたいことがある。だから、昼を食べないという確率が高いのかもしれない。  常

          [ちょっとしたエッセイ]なんで昼食わないんですか?

          [ちょっとした物語] 雨上がり、遠回りの夏

           外へ出ると、まだ日差しは強く、晴れと一言で表現するには、少し複雑さが織り混ざっている。1日も後半戦なのだから、夜の帳が降りる前に、日差しくらい抑えてくれればいいのにと、ため息が出た。  少し、人通りから離れる頃、夕立ちが僕の行方を阻んだ。近くのシャッターの降りた商店の軒に逃げ込む。雨はザーッと勢いよく降り始めたが、空の奥には青空が見えた。少しすればきっと止むだろう。そう思い、ポケットからスマートフォンを取り出して、アプリで雨の動きを観察した。向こう20分くらいは雨が続きそう

          [ちょっとした物語] 雨上がり、遠回りの夏

          [ちょっとしたエッセイ] 知らない場所へ、旅したい

           朝の駅のホームで満員電車に乗り込むことをわかっていて、並ぶ乗車列はつらい。たかただ20〜30分だからといって、この疲労感、疲弊感は朝に経験するには早すぎる。せめて、これを過ぎたらあとは寝るだけとなればいいのにと祈りながら、実際はこれが1日のスタートの号砲なのである。乗車列に並んでいると、反対側のホームはガラガラで、東京に向かう自分とは違う静かな雰囲気に、あちら側に行きたい衝動に駆られる。目的なんていらない、予期せぬ場所に降り立って、ひとまず駅前のベンチに腰をおろして、缶コー

          [ちょっとしたエッセイ] 知らない場所へ、旅したい

          [すこし詩的なものとして]0165 鏡に映るパズル

          鏡に映る自分を見つめる 確かにそこに自分がいる けれども何かが足りない 説明できないそれ 天はあえて人を不完全につくった 誰もがパズルのような存在 足りないピースを埋め合うように 人が集まってくる それぞれの言葉が光となり 自分という存在を照らし出す 交錯するのは想い 誰と語り合う夜 それぞれは悩みと喜びを分かち合う 言葉は理解を超え 不完全な自分を受け入れ 互いを支え合いながら生きていく 成長は旅路の路傍 旅の途中で出会う人々 異なる価値観 異なる経験 旅路の果てに何

          [すこし詩的なものとして]0165 鏡に映るパズル

          [すこし詩的なものとして]0164 ダンスには間に合うだろう

          めくるめく夜は 誰かを待っている きっとそれが僕であっても それが君であっても ダンスホールは 待っている 今日は散々だった 流れる時とはかけ離れたように 進まない歩みが いつまでもここに留まらせる 大事なものをなくしてしまった たぶん探せばあるのだろうが 諦めかけたその時に くるりと回るミラーボール 時褪せぬ煌めきが何かを引き込んでゆく 取る手は 少し汗ににじむ 誰もがその場に沈む その場に酔いしれる 止まった足が 横へ前へ ビートに乗せられ 刻んでゆく ため息が燻

          [すこし詩的なものとして]0164 ダンスには間に合うだろう

          [すこし詩的なものとして]0163 結局、寒いままで

          結局触れたいのは 自分だと気づいた 君が嫌そうな顔をしているのに 気づいていて 気づいていなくて なんとなしに 流れのままに 揺れ動くのは 少し後のこと 水面とビルとの間には 密かに引かれた線があり 何かを区切る かなしみの線 あなたはそちらに わたしはこちらに 重く垂れむ雲星のない夜空 冷たく光る街灯 見た目の寂しい影 水上バスの水しぶき 橋の袂に小さな営み 行き先は春の風に乗り 後ろ髪を引かれる 冬の名残り まだわたしは 結局寒いままで ————————————

          [すこし詩的なものとして]0163 結局、寒いままで

          [すこし詩的なものとして]0162 夜明けに酔いながら

          街の灯りがすでに消え 包まれた闇にぼくらは畏れる 静寂はゆるりゆるりと押し寄せて 胸の奥に小さく渦巻いていく 薄らぐ闇は人の世の 行き場のない あらゆるまばらな憎しみが 薄い膜のように ゆらめいている 栞を挟んだ上製本 電車の中で読むには少し重い 口に出したら鳥のように 啄む虫の音が響き出す 白ばむ空に 漂う言葉 夜明けが近づくにつれ 少しずつ光が差し込んでくる 闇は薄らぎ 世界は明るくなる 朝日は希望へ 重く垂れ込めた雲 星のない夜空 冷たく光る街灯 投影された影

          [すこし詩的なものとして]0162 夜明けに酔いながら

          [すこし詩的なものとして]0161 春の午後

          柔らかい陽射しが降り注ぐのは 古びた板の上 まどろいが包む 窓辺に揺れるカーテン 風に揺れる草木 鳥はさえずり 遠くで小さな子たちのはしゃぐ声 思考は止まり 目を閉じ ぼんやりと心地よい眠りに誘われる 光と影のダンス 追いかけても追いかけても掴めないのは何か それでも生きた心地 ふと目を開けると 庭のたどりついた一枚の花びら もも色の花びらは風に舞っている わたしの背中にそっと触れる なにかの香りは季節を運ぶ 人は忙しく動き回り なんのために生き急ぐのか いつも何か足

          [すこし詩的なものとして]0161 春の午後

          [すこし詩的なものとして]0159 幸せな午後

          太陽が昇った 静けさは眠りから目覚める 世界はまだ眠ったままか 窓辺から世界を見る 静かに風がそよぐ 窓辺に揺れるカーテン 風に揺れる草木 鳥のさえずりは子どもたちの笑い声にはずむ やわらかい陽射しが降り注ぐ 縁側のまどろむ午後 何も考えずに ただ目を閉じる 心地よい眠りに誘われる 夢は光と影のダンス 追いかけても追いかけても 掴めない何か それでも 幸せな午後 にゃー ———————————— ぬこ、むこ、るこ、はこ、ほこ、なこ、のこ、まこ、ねこ。

          [すこし詩的なものとして]0159 幸せな午後