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[ちょっとしたエッセイ]明けるにはまだ早すぎる

 1月も早10日目を迎え、世の中は通常通りの姿を見せている。という自分もなんだかそのフラットでシームレスな時の流れに、まったく余白も継ぎ目もないことに驚きつつ、今この2023年を生きている。
 恋人がいようが、家族と過ごそうが、友人と会おうが、昨日までの延長線なだけで、ことさら年が「明ける」ことについて、いくばくも気を寄せてなかった。流れる慣習が不思議なほどに、無感動を呼び、いつしか子どもの頃のように心躍らせる瞬間にならなくなってしまった。
 これは、なんだろう。加齢による弊害なのか、それともそれほどまでに2022年という年に名残を惜しんでいるためだろうか。
 
 答えは、なんとなくわかっている。
 それでも、そこに疑問を持っておくことで、自分をいまだに続く2022年の余韻の迷路に迷わせておく。
 時は無情に、そして寛大に、人の心を流れと共にとめどなく進んでいく。喜ばしいことも、悲しいことも、そしてすべてが流れていく。でも僕のまわりの風景は極微小を除いて、流れの中における変化がない。これが起因だろう。でも流れていく事実はそのままに、わかっているのに変化のないこと(という認識)を書いている。なんて無駄な作業だろうか。
 そして変化のないことに、嘆き、憤り、悲しみながら生きている。

 とはいえ、まったく楽しみがないといえば嘘で、本を読んだり、音楽を聴いたりしている時は、本当の至福の時となる。人間とは、本当に身勝手な生き物である。でも、それでいい。どんなに辛かろうと、どんなに退屈だろうと、本や音楽は、自分で探して、自分で体験して、良し悪しを自分で決められる。それがひとつじゃない、いくらでも選ぶことができるのだ。

 たぶん、僕にとって2022年が明けるのは、まだ早過ぎた。でも今が2023年であることは間違えないので、ゆっくり追いついていくしかない。
 ということで、ここらで少し明るくなる音楽でも聴いておこう。そう思いながら、プレイリストを作成した。

2023.1.10 play list from kenyo
Bright Whites/キシバシ
I Live In Patterns (feat. Alix Page) /Taylor Janzen
SSWB/D.A.N.
Tu/You/Armaan Malik
Rangi Saari/Kavita Seth & Kanishk Seth
Auf uns/Andreas Bourani
赤と青/ROTH BART BARON
Winter Wooskie/Belle and Sebastian
This Love Won't Break Your Heart/Annalise Emerick
Classy Girls/The Lumineers
KEEP IT UP/Rex Orange County
波よせて/Small Circle of Friends
Fascination/Tamino


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