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ミライの小石を拾いに行こう

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日本総研のメンバーが、日々のニュースや研究成果(Weak Signals)をもとに、今よりも少し自由に、少し遠く、少し広く、こんなことが起こるかもしれないという未来の可能性に思い… もっと読む
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記事一覧

ミライの小石25.周囲を巻き込みながら関係を再生する「リジェネラティブ型転生」

ミライの小石25.周囲を巻き込みながら関係を再生する「リジェネラティブ型転生」

こんにちは、橘田です。もし人生に「リセットボタン」があったら、あなたは押してみたいと思いますか?私は押したくない派です。「あの時ああしておけば」を挙げればキリがありませんが、それも人生の醍醐味として、味わっていけば良いと思っています。しかし、平成を少年期として過ごしていた当時の私は、テレビゲームで小さい失敗があれば、すぐにリセットボタンを押して、完璧プレイを目指していた記憶があります。

また、S

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ミライの小石24.臆病さんが孤独にならないための緩やかな意思表示

ミライの小石24.臆病さんが孤独にならないための緩やかな意思表示

毎晩寝る前に、娘から今日あった出来事を聞くのが私の日課になっています。娘は「今日は学童クラブで○○ちゃんがレゴで大きなおうちを作ってたから『いーれーて』って言って一緒に遊んだんだ。」と楽しそうに話す日もあれば、「『あーそーぼ』って誘ったけど、『だーめだよ』って言われた・・・。」と思い出し、落ち込む日もあります。

自分のことを振り返ってみると、大人になるにつれ、『だーめだよ』の精神的ダメージは大

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ミライの小石23.未来の「消費」と「体験」はどうなるのか?~Z世代を起点に改めて考えてみた~

ミライの小石23.未来の「消費」と「体験」はどうなるのか?~Z世代を起点に改めて考えてみた~

こんにちは、段野です。

年末にニュースサイトを斜め読みしていたところ、Z世代の倍速視聴・ネタバレ視聴に関するニュースが目につきました(注1)。

Z世代がタイパ (タイムパフォーマンス)を重視して、倍速視聴やネタバレ視聴を駆使し、自分が気に入った作品の視聴だけに時間を費やすことはよく知られた行動です。

私もコンサルティングの仕事では、市場調査や技術調査に臨む際、市場調査報告書の概要、技術

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ミライの小石22.中国の新語から見る未来

ミライの小石22.中国の新語から見る未来

毎年恒例の「新語・流行語大賞」。
年の瀬をしんみり感じたり、聞いたことのない言葉が入選していて時代遅れになったかと嘆いたり、ともあれ話のネタとしてすっかり定番化しています。

実は日本のみならず中国にも同様の試みがあるそうです。
2023年12月20日、複数の団体が共催する「漢語盤点2023」で、「流行語」「ネット用語」「新語」のトップ10が選ばれました(大規模データを解析し、言語情報処理技術を活

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ミライの小石21.「止められる」を積極的に疑ってみることもサステナブルな解決策になる

ミライの小石21.「止められる」を積極的に疑ってみることもサステナブルな解決策になる

私たちが生きる世界は、持続可能であるために乗り越えるべき課題であふれています。その代表的な例として、「地球温暖化を止めなければいけない」ということは衆目の一致するところであり、そのために国際的な取り決めがあり、各国で政策が立案され、子どもたちでさえSDGs教育を受けています。

しかし、University College Londonの名誉教授(地球科学)であるBill McGuire氏は、多く

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ミライの小石20.相手を褒めることで自分を癒す

ミライの小石20.相手を褒めることで自分を癒す

ここ数年、「SNS疲れ」というワードをよく聞きます。SNSの投稿を見て自分と相手を比べたり、「いいね」の数やフォロワー数など反応を気にしたり、誹謗中傷されることに不安を感じたりして、心が疲れてしまうことを指す言葉です。

こんな「SNS疲れ」の処方箋になるかもしれない新たなSNSがドイツで誕生しました。
主に10代を対象としたSNS『SLAY』の魅力は、友達からの「褒め言葉」だけを受け取れることに

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ミライの小石14.絵から始まる働き方の未来

ミライの小石14.絵から始まる働き方の未来

日本経済新聞社のローカルビジネスサテライトでアイビスペイントが紹介されていました。アイビスペイントはスマートフォンやタブレットで指でも描ける手軽さが特徴のソーシャルお絵かきアプリです。愛知県の企業が開発したアプリで、日本発アプリとしてダウンロード数1位となったそうです。(※1)

私がアイビスペイントを未来の示唆だと感じたのは、今まで絵を描いたことがない人達への波及を感じたからです。調べてみると、

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ミライの小石19.不祥事リスクの少ないAIキャラが、企業広告を席巻する

ミライの小石19.不祥事リスクの少ないAIキャラが、企業広告を席巻する

本州がほぼ梅雨入りした6月中旬、誰もが知る女優と料理人との不倫報道が日本中を駆け巡った。当該女優が契約していたCM、出演予定であった映画、連載していたエッセーなどは、続々と姿を消した。芸能人の不祥事があるたびに同じ光景が繰り返されているが、これは日本に限った話ではない。アディダスは、2022年末、ユダヤ人に対する差別的な発言を繰り返していたラッパー兼デザイナーのカニエ・ウェストとの契約を解除した。

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ミライの小石18.挫折は「買ってでも」するものに~中国では恋愛が大学で教えられている!

ミライの小石18.挫折は「買ってでも」するものに~中国では恋愛が大学で教えられている!

多かれ少なかれ、人間は挫折を経験するものです。挫折は人を成長させることもあれば、再起不能に追いやることだってあります。言うまでもないことですが、挫折はしようと思ってできるものではなく、不意に強いショックを受けて初めて、挫折だった、と気付く類いのものです。ところで、近年の2つのニュースは、「挫折」にまつわる新たな示唆をもたらしています。

1つ目のニュースは中国から。息子のゲーム依存症に頭を悩ませた

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ミライの小石17. 経験不足の働き手に合わせて、労災の懸念を徹底して洗い出す必要あり?

ミライの小石17. 経験不足の働き手に合わせて、労災の懸念を徹底して洗い出す必要あり?

AIが人間の仕事を代替し、わたしたちは労働から完全に解放される……そんな未来が訪れるかもしれませんし、健康寿命が延びることで、より長い期間にわたって労働を続ける未来が訪れるかもしれません。

労働に従事する時間が長くなることにより、一生のうち労働災害に遭うリスクは高くなり得ます。もちろん、各業界において労災を防ぐための手だてが取られています。危険労働の自動化や機械化に加え、働き方改革にも労災を遠ざ

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ミライの小石16.平均出身小学校数は20校超!?――旅して学ぶ子どもたち

ミライの小石16.平均出身小学校数は20校超!?――旅して学ぶ子どもたち

その日、体験入学から戻った6歳の娘の顔は、つき物が落ちたように晴れやかでした。

今年から、私の娘は小学校に通い始めました。入学にあたり、娘はある私立小学校を志望していました。それは、子どもの自主性を第一に、体験からの学びを実践する小学校です。人一倍自己主張が強い娘の性格を考え、親の私も同校の教育方針には深く共感をしていました。冒頭は、同校での体験入学を終えて戻ってきた娘の様子ですが、この時の娘

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ミライの小石15. 勝手に整う?理研が見つけた物理法則を覆す素材が凄い!

ミライの小石15. 勝手に整う?理研が見つけた物理法則を覆す素材が凄い!

こんにちは、段野です。仕事柄、革新的な技術やエネルギー、サステナビリティの話題にアンテナを立てているのですが、先日、気になるニュースを発見しました。

物理学の世界では「エントロピー増大」の法則があります。誤解を恐れずに言うと、世界は「どんどんと無秩序な状態に自然と拡散」してしまうのです。お風呂に入って熱いお湯を足しても、時間が経てば熱エネルギーは拡散し、全体として均一な温度に落ち着くのが身近

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ミライの小石13.「本のシェア」を通じた自己表現とコミュニティ

ミライの小石13.「本のシェア」を通じた自己表現とコミュニティ

町の書店が閉店に追い込まれる中、「シェア型書店」という新しい形態の本屋が広がりつつあるというニュースを読みました。そもそも現代の私たちの生活の中で、本とはいったいどういう存在になってきているのでしょう?

例えば、日々ウェブニュースを読んだり、ゲームをしたりすることで本を読む時間がなくなり、最近では電車で本を読む人も見かけなくなっています。一方で、かつて読んだ本はその後読まないまま本棚を占有してい

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ミライの小石12.機械には見えるが、人間には見えない、「透明なインフラ」

ミライの小石12.機械には見えるが、人間には見えない、「透明なインフラ」

家の中のロボット掃除機、ファミリーレストランの配膳ロボット、自動運転車など、周りの状況を判断しながら、自律的に動くロボットや乗り物(以下、自律型マシンと称す)も珍しくなくなってきました。自律型マシンは、これまで、工場や物流倉庫など、外乱要因が少ない環境下での導入が先行していましたが、今後、家庭や一般道路など、より暮らしに近い場所での普及が進んでいくのではないでしょうか。自律型マシンとの共存が当たり

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