見出し画像

ミライの小石12.機械には見えるが、人間には見えない、「透明なインフラ」

家の中のロボット掃除機、ファミリーレストランの配膳ロボット、自動運転車など、周りの状況を判断しながら、自律的に動くロボットや乗り物(以下、自律型マシンと称す)も珍しくなくなってきました。自律型マシンは、これまで、工場や物流倉庫など、外乱要因が少ない環境下での導入が先行していましたが、今後、家庭や一般道路など、より暮らしに近い場所での普及が進んでいくのではないでしょうか。自律型マシンとの共存が当たり前になった社会とは、どんな社会なのでしょうか?その一端を想起させられる記事を目にしました。

日本ペイント・インダストリアルコーティングスは2022年4月、自動運転用の塗料「ターゲットラインペイント」で自動運転業界に参入すると発表した。 ターゲットラインペイントは、自動運転車の「目」となる車載LiDARが認識可能な塗料をアスファルトなどにペイント・マーキングすることで、自動運転の精度を高める効果を有する。 人間の目には目立ちにくいのが特徴で、ターゲットラインペイントを活用することで、人間による手動運転と自動運転が混在する空間において自動運転車のみに情報を付与することが可能になるのだ。

※1

従来、自律型マシンは、赤外線センサーやカメラの画像などを用いて、「機械の目」で捉えた情報を解析することで周辺環境を把握してきました。「人間の目」が知覚する情報を、「機械の目」で知覚してきた、とも言えるでしょう。しかし、上記の記事で紹介されている塗料は、「人間の目には目立ちにくい」ため、機械にとっては意味があるが、人間にとっては意味がない、それどころか、知覚することすらない、いわば透明な存在として、社会に普及していくことになるでしょう。今後、社会の中に自律型マシンが普及していくにつれて、このような、機械には見えるが人間には見えない、「透明なインフラ」が増えていくのではないでしょうか?

ドローンや空飛ぶ車が空中を行きかう世の中では、人間の耳には聞こえないが、自律型マシンには聞こえる音波を用いて、交通管制が行われているかも知れませんし、人間の目には見えない電磁波を用いて、ドローンが充電されているかも知れません。 近年、減少危機が叫ばれているミツバチの代わりに、機械の虫で受粉するようになったら、人間の鼻では知覚できないニオイで、受粉させたい花におびき寄せるのかも知れません。

このような、透明なインフラができていく姿は、これまで、自然の生態系を少なからず破壊することで文明を築いてきた人間が、自分たちの生活圏に近い場所で、自律型マシンのための生態系をつくろうとしているようにも見えます。自然との共存は、お世辞にもうまくいっていないように思えますが、自律型マシンとは、うまく共存できるといいですね。

(引用)
※1 自動運転向け「人間に見えない塗料」、日の丸技術に世界驚く | 自動運転ラボ (jidounten-lab.com) 
https://jidounten-lab.com/u_39738?fbclid=IwAR0OuigPC1Es6cO-XkyPfNOOo78-cgd6-kL88-JxNneU27FR7NdDxzeQpN8 2023年3月11日閲覧

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?