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詩集

44
私の紡いだ言葉たち。 全部のせ。
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2023年12月の記事一覧

【詩】シルバニアファミリー

【詩】シルバニアファミリー

1歳の娘が
シルバニアファミリーの
パパを
しゅーっと
口をとがらせながら
背面へ放り投げた

1歳の娘が
シルバニアファミリーの
ママを
しゅーっと
元気よく発声し
側方へ放り投げた

残された
シルバニアファミリーの
娘は
家の中で
1人
散り散りとなった
家族を探さず
1人
声もあげずに
1人

突如訪れた
一家崩壊の危機に
やさしくほほえむだけ

この子の
パパと
ママが
私の
パパと

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【詩】サンタクロース/継承

【詩】サンタクロース/継承

サンタクロースを信じている

幼い日の記憶
クリスマスが近づくと
庭の木に紙を吊るした
欲しいものが書かれた
Wish List

叶うこともあれば
叶わないこともあった

暖炉も煙突もないから
寝室のある二階の窓から
侵入の痕跡がないか探った
すると
だいたい一階のどこかに
神秘のベールに包まれた
サンタの痕跡を発見する

逸る気持ちに従って
願いの結果を確認した

サンタクロースを演じている

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【詩】砂遊び

【詩】砂遊び

僕の手は
ちいさいから
足元の砂を
掬っては
家やら
山やら
団子やら
作っては
はしゃぎ
作っては
こわし
作っては
ひけらかし

黄昏がうんと
背伸びをする

みるみるうちに僕の姿は
大人と呼ばれる形になっ

次第におおきくなっていく手は
たくさん掴めるようになったから

ついめいっぱい広げるものだから
掬いたくないものまで握りしめ

山も森も川も町も人も営みも
節操なく根こそぎ掴み取

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【詩】ダム

【詩】ダム

堰き止められなかったものが
言葉になってこぼれて
滝のように
勢いよく放水されていく

お日様の機嫌が良ければ
虹がかかるかもしれない
放物線は嬉しそう

その華やかさとは反対に
しずかで
ふかくて
おおきくて
言葉にできなかった
今は何者でもないものたちが

まだかまだかと
外の世界を待って
このダムの裏側で
たっぷりと
ためられていく

ぼくのすみか
だったばしょは
とうのむかしに
そいつらの

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【詩】 3歳のクリスマス ―高階様のTweetより―

【詩】 3歳のクリスマス ―高階様のTweetより―

今回はX(Twitter)で目に留まった高階様のTweetを元に作成いたしました。
御本人の承諾のもと、Tweetのご紹介も含め詩を投稿いたします。

↓元ツイートです。

【詩】3歳のクリスマス
今年もクリスマス
毎年同じプレゼントを買っていく
君の大好きなトミカ
今年で29台目

喜んだ顔を思い浮かべる
29年経った今でも
君の笑顔は3歳のまま
あの時から
永遠に

来年はどんな車がいいかな

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【詩】ピアノの木

【詩】ピアノの木

白鍵と
黒鍵と
それらがずらりと並ぶ八十八の玉座

そして
沈んだ鍵(けん)の窪みから
人の姿に似た木が芽吹く

ピアノから生まれた木は
母なるピアノに還るべく
八十八の玉座を尋ねる

その軌跡を律とし
隠されたパターンを解き明かした時
かの扉が開くのだ

そして
浮かんだ鍵(けん)の頂から
人の姿に似た木が還っていく

私の耳に残った響きは
その生命の旅路
私の心に残った響きは
その生命の循環

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【詩】“祈り”

【詩】“祈り”

かつて“祈り”は生き物だった
苦難に藻掻く人々の前に現れては
奇跡を振り撒き
邪気を退け
傷を癒やした

しかしある時
人びとは
“祈り”の
力を求め
締め上げ
血を抜き
身を洗い
毛を炙り
皮を剥ぎ
腹を裂き
腸を啜り
斧で断ち
肉を切り
鍋で茹で
喰らった

“祈り”の力を得たと言う人達は崇められ
大病が流行ると呆気なく死んでしまった

奇跡は
この苦しみは
私たちの命は
残された人々は血眼で

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【詩】手を引く者

【詩】手を引く者

小さな頃の僕は臆病で
親に手を引かれ
いつも大きな背中を見て歩いていた

思春期を迎えた僕はぶっきらぼうで
親の手を離れ
脇目もふらず先へ先へと走り出した

大人になった僕は久々に実家に帰ると
親の手はしわくちゃで
大きかった背中が小さく見えた

親になった僕は子どもを見せに行くと
親をじいじとばあばと呼ぶようになり
子どもを見る2人の姿が懐かしく思えた

子どもが歩くようになると
今度は僕が子ど

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【詩】うらおもて

【詩】うらおもて

あの地平線をひっくり返せば
空は海になるのかな

音の波に乗れば
色の波に飛び移れるのかな

影を捲れば
そこに光はあるのかな

“嫌い”をなぞっていけば
いつか“好き”に辿り着けるのかな

表を捲れば裏があり
裏を返せば表があり
元々2つは1つだったのかもしれないね

そうして僕は
粗雑に捨てられた“嫌い”という感情を
指の腹でそっと撫でた

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【歌詞】燈火(ともしび)【詩】

【歌詞】燈火(ともしび)【詩】

僕の世界の裏側で
見えない恐怖と闘っている君の
言葉の端から滲んだ不安
大丈夫だよって言う口元が
見えない涙で濡れていた

当たり前のように訪れる未来も
静かに過ぎ去る季節も
悲しみと混ざって
色褪せてしまうのなら
僕と一緒に
鮮やかな炎で燃やしてしまおう

愛してるの言葉なんかじゃ
すぐに無くなってしまうでしょ
他愛のない会話も
肩を寄せ合った沈黙も
二人過ごした時間の全部を焚べて
消えない炎に

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【詩】チューニング

【詩】チューニング

チューニング
チューニング

あー、あ、あ、あ、

僕の声は聞えるかい
僕の姿は見えるかい

聞こえているね
ありがとう
姿は見えないか
なるほど

君たちの構造は
この世界のラジオに似ているね
君の脳がアンテナで
君の想像力が同調回路
君の気持ちが検波回路
君の身体がスピーカー
ってところかな

ただ
この周波数の人間は
アンテナをケチっている
これじゃあ想像力が昇っても
見える世界は変わらない

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【三行詩】特等席

【三行詩】特等席

寒いでしょ

そう呟いて繋いだ手を僕のポケットにしまった

今日は君のための場所

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【詩】鼻毛

【詩】鼻毛

門外不出の
Sensitive Hair
ちゃんと見てなよ

出ちゃう
出ちゃう

ふと見た鼻元
轟いている
黒い稲妻

出てる
出てる

君の門外不出が
飛び出している
あまりにもSensitive

教えたい
教えたい

それとなくじゃ伝わらない
気遣うほど増す
存在感

切りたい
切りたい

愛おしい笑顔も
弾む会話も
心はどこかうわの空

君に夢中
鼻に夢中

言いづらかったんだけどさ

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【詩】トイレットペーパー

【詩】トイレットペーパー

その惑星は擦り減っている

自転をすると共に地表が滑落し
最後には核を残して終わりを迎えるらしい

その惑星では死は身近なもので
そこに住むというよりは死を待っているらしい

くるくると
自転をしたと思ったら
たまに反転もするらしい

くるくると
自転をしたと思ったら
なかなか止まらないこともあるらしい

そっくりな惑星はいくつも見つかっているが
噂では花の香りに満たされた特別な惑星があるらしい

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