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140文字小説

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Twitterで日々投稿している140文字小説をまとめたものです。
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2021年1月の記事一覧

憧れの異世界で勇者になったが、月550時間の修行で俺はもう死にそうなんだが。 (Twitter140字小説)

憧れの異世界で勇者になったが、月550時間の修行で俺はもう死にそうなんだが。 (Twitter140字小説)

 異世界転生したい。
 月150時間のサービス残業に俺の心は破綻していた。
 限界を迎え線路に飛び込むと、そこはファンタジーの世界だった。
「勇者様お待ちしておりました」
 俺は勇者と崇められ修行に励む。
 月間550時間の修行は無報酬で無休。
 得られるのは栄誉のみ。
 ブラック異世界だった。

鏡よ鏡、世界一のイケメンは誰だい? (Twitter140文字小説)

鏡よ鏡、世界一のイケメンは誰だい? (Twitter140文字小説)

 くだらない男。
 校内でも指折りの美女に、デートで謂われのない烙印を押された。
 汚名返上に、再度機会をくれと懇願した。
 当日は家柄·容姿·成績と俺が他人よりいかに素晴らしい男かを説いた。
 彼女は頬杖をついて気怠そうに言う。
「本当にくだらない男」
 彼女は一体何が気に入らないんだ。

奥さまは困ったさん!season2 (Twitter140文字小説)

奥さまは困ったさん!season2 (Twitter140文字小説)

 嫁は影響を受けやすい。
「主婦の呼吸/壱の型」と、今も流行り物にのせられている。

 ある日『ゴースト/ニューヨークの幻』を観て、ボロボロと号泣していた。
 その日の睡眠中、俺の腹に包丁が生えた。
「死んで幽霊になって戻って来てね!」
 意識が薄れる中「出来るかアホ」と心で絶叫した。

キミはロボット (Twitter140文字小説)

キミはロボット (Twitter140文字小説)

 彼の体温は冷たい。
 私も平熱は高くないけれど、彼はもっと低い。
 手を握っても抱き締めても、温度は感じない。
 それは彼も同じだと言う。
 温もりがなにかわからないらしい。
 私が落ち込む時、励ましてくれる。
 側にいてくれる。
 それ温もりだよ。
 ヒトでなくても関係ない。
 キミは人だよ。

儚げど、我は散る (Twitter140文字小説)

儚げど、我は散る (Twitter140文字小説)

 雪が降ってきた。
 もし彼らに命があるのならば、蟬より短い寿命だ。
 かるい彼らは落下の衝撃は少ないだろう。
 それでもきっと落ちると痛い。
 私の手に落ちた彼は熱い湯を浴びたように、一瞬で儚い生涯を閉じた。
 私は彼を殺めたのだろうか。
 冬の妖精たちも、そう考えるとなんだか切ない。

わたしの旦那は冷たいらしい (Twitter140文字小説)

わたしの旦那は冷たいらしい (Twitter140文字小説)

 社内で彼は「冷たい人」なのだそうだ。
 会議で理路整然と相手を追い込み、仕事で困った人も助けないらしい。
 なるほど。
 話だけ聞くと冷たく感じる。
 くだらない会議をビシッとまとめ、五時から男を無視し所定時間でサッと帰る。
 家では子煩悩で家事大好き。
 いったい彼のどこが冷たいのか。

ONLY ONE (Twitter140文字小説)

ONLY ONE (Twitter140文字小説)

好きな人は親友が好きな人だ。
抜けがけは無しと約束した。
でも告白したい。
彼は親友に告白した。
わたしは陰から見ていた。
嬉しそうな親友。
悔しさと喜びが混ざって胸が痛い。
突然、親友が彼をビンタした。
理由は私を貶したからだ。

男はいらない。
三十を超え、私達は今も一緒だ。

大きい彼女と小さい彼 (Twitter140文字小説)

大きい彼女と小さい彼 (Twitter140文字小説)

 僕は男だ。
 校舎の屋上から高らかに宣言したい。
 かかとを浮かすことも、あごを上向ける仕草も、もううんざりだ。

 一念発起して身長を伸ばす様々なトレーニングに励んだ。

 半年が経ち計測すると成果は1mmだけだった。

 よしよしがんばったと、彼女が頭を撫でる。
 これは好きなんだよなぁ。

嗚呼!愛しの切り裂きジャック様 (Twitter140文字小説)

嗚呼!愛しの切り裂きジャック様 (Twitter140文字小説)

 切り裂きジャックに憧れている。
 現在でも様々な陰謀説が囁かれ、ミステリーファンとして胸が高鳴る。

 冬の塾帰り。
 私は背後から口を塞がれ、茂みに連れ込まれた。
 男がかざすナイフは、月の光を浴びて夜空に二つ目の月を輝かせていた。

 幸い目撃者がいて事なきを得た。

 Fuck You!Jack!

研究課題は「恋」です! (Twitter140文字小説)

研究課題は「恋」です! (Twitter140文字小説)

幼馴染みはお互いに恋心を抱くのか。
テーマを設定し、私達は協力して研究することにした。
告白実験。
デート実験。
キス実験。
S……実験。
全ての実験が終了すると、互いに恋心が芽生えていた。
論文を発表すると、その日のうちに停学処分が下された。
中学生には最後が余計だったのだ。

関白希望 (Twitter140文字小説)

関白希望 (Twitter140文字小説)

自分で古風と自覚している。
好きな唄は関白宣言。

異動の辞令が下り、俺達は遠距離になった。
だか愛する女は生涯お前ただ一人だ。

ある日、サプライズで女の家を訪ねた。
部屋には俺の知らない男。
繕う女に罵声を浴びせ俺は去る。

嫁に貰う前でよかった。
あっちの女に逢いに行くか。

奥様は困ったさん (Twitter140文字小説)

奥様は困ったさん (Twitter140文字小説)

 嫁は影響を受けやすい。

「おかえり~お風呂?ご飯?それとも…」

 いまは甘い新婚物の影響だ。

 ドラマのクールが変わると、次は不倫物に熱を入れ始めた。

「ちょっと!これなんなの?」

 突然、派手な色のパブの名刺を出された。

「おまえが用意した名刺…」

 男が不倫するドラマのようだ。

アパートの中心でアイを叫んだけもの (Twitter140文字小説)

アパートの中心でアイを叫んだけもの (Twitter140文字小説)

「あんたバカぁ」

 うちの嫁はいわゆるエヴァヲタクだ。

 常々「あなたは死なないわ。わたしが守るもの」とモノマネで僕に言う。

 ある日、隣の部屋で出火し延焼した。

 嫁は僕には目もくれず一目散に逃げた。

 おい、嫁!

 幸い僕は救出され事なきを得た。

 抱きつく嫁に僕は言う。

「さよなら」

出会いの代償 (Twitter140文字小説)

出会いの代償 (Twitter140文字小説)

 治は図書館が好きだ。

 たっぷりの本が並ぶ壮大なパノラマ。

 ふわりと漂う古書の香り。

 それとなく手にとる本が語る心に響く言葉。

 至高なる偶然の出会い。

 今日もどんな出会いがあるか楽しそうにしている。

「また来てる」

「いつもニヤっとしてキモイよね」

 表情の評判は度し難いようだ。