あかり

ソーシャルワーカー・社会福祉士として、おもに児童、女性分野で仕事をしてきました。出会っ…

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ソーシャルワーカー・社会福祉士として、おもに児童、女性分野で仕事をしてきました。出会った人、できごと、本などを通して、マイノリティの人々のことを知っていただけたらと思っています。リフレッシュはコーヒータイムを楽しむこと、たくさん歩くことなど。

記事一覧

アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

前回は、アイヌ民族の歴史について、その歴史を見つめてきた人々の記録をもとに触れてきました。(ご関心のある方は以下をご覧ください) 今回は「ウポポイ(民族共生象徴…

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5日前
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アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史、また北海道の彼らの地に思いがありました。2020年7月に開館した、国立アイヌ民族博物館を訪れ、歴史と文化の一端にふれることができたので、今回、この…

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2週間前
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年齢による差別~エイジズム~

1.エイジズムとは 1995年に出版された「エイジズム:優遇と偏見・差別でパルモア・アードマンは、エイジズム(年齢差別)とはある年齢グループに対する否定的、肯定的偏…

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1か月前
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不登校の子どもたちの声が届かない現実

1.不登校の現状 令和5年10月に文部科学省が発表した、令和4年度の調査結果では、不登校の児童数は、ここ10年連続で増加し、過去最高の299,048人になりました。※この調…

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1か月前
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若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

日本の社会保障制度は、疾病、障がい、高齢、失業、などの社会的課題に対して「公的に助け合うしくみ」になっています。18歳までの子どもについては児童福祉法などによる支…

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1か月前

子どもアドボカシー

子どもの権利条約では、子どもが守られる対象であるだけでなく、権利を持つ主体であるとされています。しかし、子どもは社会的に弱い立場であり、その人権は軽視されている…

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2か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ5回目にな…

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2か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ4回目にな…

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2か月前
4

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ3回目にな…

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3か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

前回、スウェーデンにおける、施設から地域サービスへの転換の経過をたどりながら、日本の制度の今後について書きました。ご興味のある方は、以下をご覧ください。 今回は…

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3か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

長く福祉の分野で仕事をしてきました。すでにある福祉のシステムの中で、利用する人たちのために、できることをと、力を尽くしてきたつもりですが、現実には、システムに課…

あかり
3か月前
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病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本

病気や障がいを持つ子ども、家族の背景は様々です。治療、入院中の困難はもちろん、病気によって子どもを失うことの悲しみは、周囲の人々の想像を超えています。 それで…

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4か月前
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医療における子どもの権利と子どもを支えるスペシャリスト

前回、障がいや病気のある子どものきょうだい児について書きました(以下、前回の投稿を載せますので、ご興味のある方はご覧ください)。海外では入院中の子どもの心のケア…

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4か月前
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障がいや病気のある子どものきょうだい児のそだち

「きょうだい児」とは障がい、または病気のある子どもたちの兄弟姉妹のことを示す言葉です。 きょうだい児は、ライフステージに応じて困難や葛藤に出会うとされています。…

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5か月前
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カフェ色々~みるカフェ~

2025年11月15日に、日本で初めてのデフリンピックが開催予定です。デフリンピックは聴覚障がいを持つ人のための国際スポーツ大会で、オリンピック、スぺシャルオリンピック…

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5か月前
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カフェ色々~スターバックス サイニングストア~

スターバックスは様々な社会貢献のための取り組みをしていることで知られています。今回は国立にある、スターバックス サイニングストアでの体験とともにに、障がいを持つ…

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5か月前
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アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

前回は、アイヌ民族の歴史について、その歴史を見つめてきた人々の記録をもとに触れてきました。(ご関心のある方は以下をご覧ください)

今回は「ウポポイ(民族共生象徴空間)」について、また、ウポポイの開業までの経緯や取り組みへの様々な思いがつづられた「ウアイヌコロ コタン アカラ ウポポイのことばと歴史」(国立アイヌ民族博物館編)からウポポイの開設までを探っていきたいと思います。

1.ウポポイ(民族

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アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史、また北海道の彼らの地に思いがありました。2020年7月に開館した、国立アイヌ民族博物館を訪れ、歴史と文化の一端にふれることができたので、今回、このことも交えて書いていきたいと思います。

アイヌ民族をはじめ、世界各地の先住民族の多くは、国家の政策によって生活基盤である土地や資源を奪われ、独自の言語を使うことを禁じられ、不当な差別を受けるなど、苦しい時代を経験してきました。日本で歴

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年齢による差別~エイジズム~

年齢による差別~エイジズム~


1.エイジズムとは
1995年に出版された「エイジズム:優遇と偏見・差別でパルモア・アードマンは、エイジズム(年齢差別)とはある年齢グループに対する否定的、肯定的偏見、ないし差別であると定義しています。

私たちは老化を何かを失っていく過程として思い描きやすく、そのためアンチエイジングが世の注目を集めています。若者にとっては「子ども扱い」されることを嫌がる傾向がこれを表していると言えます。

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不登校の子どもたちの声が届かない現実

不登校の子どもたちの声が届かない現実


1.不登校の現状
令和5年10月に文部科学省が発表した、令和4年度の調査結果では、不登校の児童数は、ここ10年連続で増加し、過去最高の299,048人になりました。※この調査で不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある者としています。その数は学年が上がるにつれて多くなる傾向にあります。

このうち欠席日数が

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若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

日本の社会保障制度は、疾病、障がい、高齢、失業、などの社会的課題に対して「公的に助け合うしくみ」になっています。18歳までの子どもについては児童福祉法などによる支援がありますが、若者期の社会保障は薄く、若者のニーズとマッチしていないのが現状です。

生きづらさや困難をかかえる若者にとって社会保障制度がセーフティーネットの機能を果たすためには、ニーズに届くための取り組みが必要です。

若者の意見を反

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子どもアドボカシー

子どもアドボカシー

子どもの権利条約では、子どもが守られる対象であるだけでなく、権利を持つ主体であるとされています。しかし、子どもは社会的に弱い立場であり、その人権は軽視されているのが現状です。

2023年4月にこども基本法が施行され、子ども家庭庁が発足しました。今後は保護される存在というだけでなく、当事者である子どもも声をあげ、意見を表明し、参画しながら課題を解決していくことを目指しています。

今回は、イギリス

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ5回目になります。ご興味ある方は、①、②、③、④もご覧ください。

今回はピープルファースト東久留米が出している「知的障害者が入所施設ではなく地域で暮らすための本」当事者と支援者のためのマニュアル、から当事者の望むくらしと支援について考えてみたいと思

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ4回目になります。興味ある方は、①、②、③もご覧ください。

1.レッテルをはられることの影響社会では、障がいを持つことは否定的に受けとめられ、知的障がいとレッテルをはられた人々は、社会から隔離されがちで、ともすれば忘れ去られてしまうことも多いと言え

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ3回目になります。興味ある方は、①、②もご覧ください。

今回は、当事者によるセルフ・アドボカシー活動(自ら権利を獲得し、擁護する力を与えられること〈エンパワーメント〉)について取り上げていきます。すでに、日本でも活動している、ピープルファーストは、

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

前回、スウェーデンにおける、施設から地域サービスへの転換の経過をたどりながら、日本の制度の今後について書きました。ご興味のある方は、以下をご覧ください。

今回は、自己決定、自立した生活という面で最も困難な状況にある知的障がいのある人々のために、スウェーデンでどのような施策、地域生活支援が具体的に行われてきたかについて、また、当事者運動についても記していきます。

1.知的障がいのある人に関するス

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

長く福祉の分野で仕事をしてきました。すでにある福祉のシステムの中で、利用する人たちのために、できることをと、力を尽くしてきたつもりですが、現実には、システムに課題を感じることもありました。

今回は施設福祉と地域サービスをテーマに、書いていきたいと思います。現在の日本の福祉システムの中では、本人が望み、地域で自分自身で生活したい、と思っても実現できない場合も多いのが現状です。

実現のためには、地

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病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本

病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本


病気や障がいを持つ子ども、家族の背景は様々です。治療、入院中の困難はもちろん、病気によって子どもを失うことの悲しみは、周囲の人々の想像を超えています。

それでも、その子と家族の歩んだ日々が、私たちに大切な何かを語りかけ、時に教えてくれることもあります。受け取る中身は本当に、人さまざまだと思いますが。今回紹介する2冊の絵本、「はしれ江ノ電ひかりのなかへ」と「6さいのおよめさん」は、そうした子ども

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医療における子どもの権利と子どもを支えるスペシャリスト

医療における子どもの権利と子どもを支えるスペシャリスト

前回、障がいや病気のある子どものきょうだい児について書きました(以下、前回の投稿を載せますので、ご興味のある方はご覧ください)。海外では入院中の子どもの心のケアのため、様々なスぺシャリスト(専門職)がおり、日本の子ども病院でも、導入が進んでいます。こちらは入院中の子どもだけでなく、きょうだい児、両親についてもケアの対象という視点で関わります。また、国内では病棟保育士が小児医療における保育を支えてき

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障がいや病気のある子どものきょうだい児のそだち

障がいや病気のある子どものきょうだい児のそだち

「きょうだい児」とは障がい、または病気のある子どもたちの兄弟姉妹のことを示す言葉です。

きょうだい児は、ライフステージに応じて困難や葛藤に出会うとされています。一方で家族に障がいのあることを良い経験と感じたり、人生に満足していると感じる人がいるのも事実です。今回は彼らの抱える葛藤や、必要な支援について書いていきたいと思います。

1.障がいのある子が生まれた時の家族のきもち
生まれた子どもに障が

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カフェ色々~みるカフェ~

カフェ色々~みるカフェ~

2025年11月15日に、日本で初めてのデフリンピックが開催予定です。デフリンピックは聴覚障がいを持つ人のための国際スポーツ大会で、オリンピック、スぺシャルオリンピック、パラリンピックとともに国際オリンピック委員会で認められた大会です。デフリンピックについては、詳しく書いたものがありますので、以下をご覧ください。

デフリンピックを2年後にひかえ、11月15日~26日まで期間限定でデジタル技術を活

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カフェ色々~スターバックス サイニングストア~

カフェ色々~スターバックス サイニングストア~

スターバックスは様々な社会貢献のための取り組みをしていることで知られています。今回は国立にある、スターバックス サイニングストアでの体験とともにに、障がいを持つ人々のための雇用政策についてつづっていきます

1. スターバックス サイニングストアについてJR国立駅の中央改札を抜けた、すぐ先のnonowa国立の入り口にスターバックス サイニングストアはあります。間仕切りのないオープンなフロアは窓から

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