あかり

ソーシャルワーカー・社会福祉士として、おもに児童、女性分野で仕事をしてきました。出会っ…

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ソーシャルワーカー・社会福祉士として、おもに児童、女性分野で仕事をしてきました。出会った人、できごと、本などを通して、マイノリティの人々のことを知っていただけたらと思っています。リフレッシュはコーヒータイムを楽しむこと、たくさん歩くことなど。

記事一覧

東日本大震災・原発事故後、放射線をめぐっておきた分断・差別①

東日本大震災、原発事故後、10年以上の時を経て、人々に起こった影響を長きにわたり、人々の語りの中で、そして調査の中で明らかにした研究・調査結果などが出ています。 …

あかり
3日前
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ヤングケアラーについて知る②

前回の「ヤングケアラーについて知る①」では、ヤングケアラーの定義、その成長過程で起こる影響について、また2020年度、2021年度に国が行った調査から、こうした子ども…

あかり
2週間前
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ヤングケアラーについて知る①

ヤングケアラー(家事や家族の世話などを日常的に行っているこども)への支援の強化を盛り込んだ、改正子ども・若者育成支援推進法が6月5日の参院本会議で可決、成立しま…

あかり
3週間前
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アイヌ民族の歴史に思いをはせる③  ~子どもも大人もアイヌ文化について知ることができる本とサイト~

前回、前々回とアイヌ民族の歴史について、そして、ウポポイ(民族共生象徴空間)について記してきました。関心のある方は以下もご覧いただけるとうれしいです。 今回は…

あかり
1か月前
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アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

前回は、アイヌ民族の歴史について、その歴史を見つめてきた人々の記録をもとに触れてきました。(ご関心のある方は以下をご覧ください) 今回は「ウポポイ(民族共生象徴…

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2か月前
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アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史、また北海道の彼らの地に思いがありました。2020年7月に開館した、国立アイヌ民族博物館を訪れ、歴史と文化の一端にふれることができたので、今回、この…

あかり
2か月前
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年齢による差別~エイジズム~

1.エイジズムとは 1995年に出版された「エイジズム:優遇と偏見・差別でパルモア・アードマンは、エイジズム(年齢差別)とはある年齢グループに対する否定的、肯定的偏…

あかり
3か月前
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不登校の子どもたちの声が届かない現実

1.不登校の現状 令和5年10月に文部科学省が発表した、令和4年度の調査結果では、不登校の児童数は、ここ10年連続で増加し、過去最高の299,048人になりました。※この調…

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3か月前
7

若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

日本の社会保障制度は、疾病、障がい、高齢、失業、などの社会的課題に対して「公的に助け合うしくみ」になっています。18歳までの子どもについては児童福祉法などによる支…

あかり
4か月前

子どもアドボカシー

子どもの権利条約では、子どもが守られる対象であるだけでなく、権利を持つ主体であるとされています。しかし、子どもは社会的に弱い立場であり、その人権は軽視されている…

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4か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ5回目にな…

あかり
4か月前
3

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ4回目にな…

あかり
4か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ3回目にな…

あかり
5か月前
3

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

前回、スウェーデンにおける、施設から地域サービスへの転換の経過をたどりながら、日本の制度の今後について書きました。ご興味のある方は、以下をご覧ください。 今回は…

あかり
5か月前
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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

長く福祉の分野で仕事をしてきました。すでにある福祉のシステムの中で、利用する人たちのために、できることをと、力を尽くしてきたつもりですが、現実には、システムに課…

あかり
5か月前
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病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本

病気や障がいを持つ子ども、家族の背景は様々です。治療、入院中の困難はもちろん、病気によって子どもを失うことの悲しみは、周囲の人々の想像を超えています。 それで…

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6か月前
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東日本大震災・原発事故後、放射線をめぐっておきた分断・差別①

東日本大震災・原発事故後、放射線をめぐっておきた分断・差別①

東日本大震災、原発事故後、10年以上の時を経て、人々に起こった影響を長きにわたり、人々の語りの中で、そして調査の中で明らかにした研究・調査結果などが出ています。

東日本大震災の際に起きた原発事故により、多くの人々が家を離れなければならなくなり、その後、被災地に残った人々、避難者(強制避難者・自主避難者)の間でも分断が起こったことが明らかになっています。

また、避難者が避難先などで様々な差別を受

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ヤングケアラーについて知る②

ヤングケアラーについて知る②


前回の「ヤングケアラーについて知る①」では、ヤングケアラーの定義、その成長過程で起こる影響について、また2020年度、2021年度に国が行った調査から、こうした子ども、若者がどのような状況にあるかについて書きました。ご関心のある方は、以下もご覧ください。

「子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律」が、6月5日に国会で可決・成立、6月12日施行され、国がヤングケアラーへの支援を強化することが

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ヤングケアラーについて知る①

ヤングケアラーについて知る①


ヤングケアラー(家事や家族の世話などを日常的に行っているこども)への支援の強化を盛り込んだ、改正子ども・若者育成支援推進法が6月5日の参院本会議で可決、成立しました。今後は、国や自治体が18歳以上の若者も含めたヤングケアラー支援に努めていくこととなります。

ヤングケアラーについて知る①では、ヤングケアラーの定義、成長過程で起こる影響について、また2020年度、2021年度に国が行った調査から、

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アイヌ民族の歴史に思いをはせる③  ~子どもも大人もアイヌ文化について知ることができる本とサイト~

アイヌ民族の歴史に思いをはせる③  ~子どもも大人もアイヌ文化について知ることができる本とサイト~


前回、前々回とアイヌ民族の歴史について、そして、ウポポイ(民族共生象徴空間)について記してきました。関心のある方は以下もご覧いただけるとうれしいです。

今回はいにしえのアイヌ民族の人々の生活、文化について知ることができる絵本をご紹介します。自然の恵み、生活に必要な様々な道具までにも神が宿ると信じ、あがめ、感謝をささげる人々の日々の生活、大切に守ってきた言葉や文化などの一端を知ることができます。

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アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

アイヌ民族の歴史に思いをはせる②  ~ウポポイ(民族共生象徴空間)を訪れて~

前回は、アイヌ民族の歴史について、その歴史を見つめてきた人々の記録をもとに触れてきました。(ご関心のある方は以下をご覧ください)

今回は「ウポポイ(民族共生象徴空間)」について、また、ウポポイの開業までの経緯や取り組みへの様々な思いがつづられた「ウアイヌコロ コタン アカラ ウポポイのことばと歴史」(国立アイヌ民族博物館編)からウポポイの開設までを探っていきたいと思います。

1.ウポポイ(民族

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アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史に思いをはせる①

アイヌ民族の歴史、また北海道の彼らの地に思いがありました。2020年7月に開館した、国立アイヌ民族博物館を訪れ、歴史と文化の一端にふれることができたので、今回、このことも交えて書いていきたいと思います。

アイヌ民族をはじめ、世界各地の先住民族の多くは、国家の政策によって生活基盤である土地や資源を奪われ、独自の言語を使うことを禁じられ、不当な差別を受けるなど、苦しい時代を経験してきました。日本で歴

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年齢による差別~エイジズム~

年齢による差別~エイジズム~


1.エイジズムとは
1995年に出版された「エイジズム:優遇と偏見・差別でパルモア・アードマンは、エイジズム(年齢差別)とはある年齢グループに対する否定的、肯定的偏見、ないし差別であると定義しています。

私たちは老化を何かを失っていく過程として思い描きやすく、そのためアンチエイジングが世の注目を集めています。若者にとっては「子ども扱い」されることを嫌がる傾向がこれを表していると言えます。

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不登校の子どもたちの声が届かない現実

不登校の子どもたちの声が届かない現実


1.不登校の現状
令和5年10月に文部科学省が発表した、令和4年度の調査結果では、不登校の児童数は、ここ10年連続で増加し、過去最高の299,048人になりました。※この調査で不登校とは、何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により児童生徒が登校しない、あるいはしたくともできない状況にある者としています。その数は学年が上がるにつれて多くなる傾向にあります。

このうち欠席日数が

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若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

若者(ユース)のセルフアドボカシー(本人主体の権利擁護)

日本の社会保障制度は、疾病、障がい、高齢、失業、などの社会的課題に対して「公的に助け合うしくみ」になっています。18歳までの子どもについては児童福祉法などによる支援がありますが、若者期の社会保障は薄く、若者のニーズとマッチしていないのが現状です。

生きづらさや困難をかかえる若者にとって社会保障制度がセーフティーネットの機能を果たすためには、ニーズに届くための取り組みが必要です。

若者の意見を反

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子どもアドボカシー

子どもアドボカシー

子どもの権利条約では、子どもが守られる対象であるだけでなく、権利を持つ主体であるとされています。しかし、子どもは社会的に弱い立場であり、その人権は軽視されているのが現状です。

2023年4月にこども基本法が施行され、子ども家庭庁が発足しました。今後は保護される存在というだけでなく、当事者である子どもも声をあげ、意見を表明し、参画しながら課題を解決していくことを目指しています。

今回は、イギリス

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように⑤当事者の声から

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ5回目になります。ご興味ある方は、①、②、③、④もご覧ください。

今回はピープルファースト東久留米が出している「知的障害者が入所施設ではなく地域で暮らすための本」当事者と支援者のためのマニュアル、から当事者の望むくらしと支援について考えてみたいと思

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように④当事者視点での支援

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ4回目になります。興味ある方は、①、②、③もご覧ください。

1.レッテルをはられることの影響社会では、障がいを持つことは否定的に受けとめられ、知的障がいとレッテルをはられた人々は、社会から隔離されがちで、ともすれば忘れ去られてしまうことも多いと言え

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように③セルフアドボカシー

施設から地域サービスへの転換をテーマに、スウェーデンをはじめとした、海外の取り組みを紹介し、日本の今後の制度、サービスのあり方について考える、シリーズ3回目になります。興味ある方は、①、②もご覧ください。

今回は、当事者によるセルフ・アドボカシー活動(自ら権利を獲得し、擁護する力を与えられること〈エンパワーメント〉)について取り上げていきます。すでに、日本でも活動している、ピープルファーストは、

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように②スウェーデンの知的障がい支援

前回、スウェーデンにおける、施設から地域サービスへの転換の経過をたどりながら、日本の制度の今後について書きました。ご興味のある方は、以下をご覧ください。

今回は、自己決定、自立した生活という面で最も困難な状況にある知的障がいのある人々のために、スウェーデンでどのような施策、地域生活支援が具体的に行われてきたかについて、また、当事者運動についても記していきます。

1.知的障がいのある人に関するス

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だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

だれもが自らの意志で、選択し生きることができるように①スウェーデンに学ぶ施設から地域への移行

長く福祉の分野で仕事をしてきました。すでにある福祉のシステムの中で、利用する人たちのために、できることをと、力を尽くしてきたつもりですが、現実には、システムに課題を感じることもありました。

今回は施設福祉と地域サービスをテーマに、書いていきたいと思います。現在の日本の福祉システムの中では、本人が望み、地域で自分自身で生活したい、と思っても実現できない場合も多いのが現状です。

実現のためには、地

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病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本

病気や障がいを持つ子どもと家族を描いた絵本


病気や障がいを持つ子ども、家族の背景は様々です。治療、入院中の困難はもちろん、病気によって子どもを失うことの悲しみは、周囲の人々の想像を超えています。

それでも、その子と家族の歩んだ日々が、私たちに大切な何かを語りかけ、時に教えてくれることもあります。受け取る中身は本当に、人さまざまだと思いますが。今回紹介する2冊の絵本、「はしれ江ノ電ひかりのなかへ」と「6さいのおよめさん」は、そうした子ども

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