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コロナ禍2020〜2021随想⑦
最後に
2020年は、平和の祭典として東京オリンピック・パラリンピックが開催された年になるはずだった。オリンピックが平和の祭典と言われたのは、古代オリンピックでは、開催地から居住地間における選手や観客の安全を願い、開催期間の戦争を休止していたことに由来する。その故事を受け継ぎ、1992年より国際オリンピック委員会が「オリンピック休戦」を提唱。選手やスポーツの価値を守るため、1994年のリレハンメ
コロナ禍2020〜2021随想⑥
無駄はない
ランニングの世界に関わらせて頂いたのは、34歳から始めたランニングを通じて自分なりの世界観を形成しつつあった2006年。ホノルルマラソンで偶然お会いした山西先生から本誌への投稿を薦めて頂いたことがきっかけだった。前述したように病気を境に走ることができなくなったことで、仕事をはじめ本誌との関わりや私が創設した湘南ホノルルマラソン倶楽部の代表からも退くことも含め、今後の人生とどう向き合っ
コロナ禍2020〜2021随想④
禍から幸福を見出す
今回の新型コロナ禍は、数年前の私自身の緊急事態を彷彿させた。2016年12月28日夜、東京神田にある居酒屋「太助」で、例年通りに山西哲郎先生を囲んで執り行われる忘年会に出席したものの、体調が優れない私は早々に退席させて頂いた。翌朝、太腿の後ろにこれまでに経験したことのない激痛が走った。尋常ではない。何か得体の知れない異変が身体のどこかで起こりつつことを直感し、恐怖心に包まれた
コロナ禍2020〜2021随想③
今こそ、ランナー的生活を
新型コロナウィルスという得体の知れないものに対して、感染防止のために私たちは社会的活動を自粛した。緊急事態宣言下、人々は走らなかったかというとそうではなく、むしろ走る人が増えたのかもしれない。感染防止策のために一人で走っている人、社会的活動が制限される中自らの健康維持の為に走り始めた人、リモートや少人数で繋がりを求めて走っている人など、コロナ禍でも人々は様々なスタイルで
コロナ禍2020〜2021随想②
恐れからの克服
新型コロナウィルスは、当初得体の知れないウィルスだったため、私も含め人々は恐怖に慄いた。しかし、病気を発症する原因が新型ウィルスであることは、現代は既に可視化できている。1918年から1920年にかけて大流行し、世界人口(当時18億人)の半数から3分の1が感染し、全世界で5000万人以上の死者を出したスペイン風邪(H1N1新型インフルエンザウイルス)は、1939年になって電子顕微
コロナ禍2020〜2021随想①
はじめに
得体の知れないウィルスの突然の襲来を受け、一時的に立ち止まったランナーは、やがてマスクやバフなど感染防止策を講じて、再び走るようになり、緊急事態宣言により社会活動が制限される中、それまで走る習慣がなかった人まで走るようになるという社会現象が生じた。そして、新型コロナの感染拡大に伴い、新しい生活様式、withコロナという言葉が生まれ、コロナと闘うのではなく、知恵を絞って如何に上手く同居し
人生の豊かさに導くランニング
2016年8月14日、リオデジャネイロオリンピック男子400mで、17年間にわたり君臨し続けていた世界記録(43″18)と20年間破られなかったオリンピック記録(43″49)が、ウェイド・バンニーキルク (南アフリカ)によって43″03に書き変えられた瞬間をTVで見ていた。
私は、42秒台に迫るその驚異的な世界新記録にも感動したのだが、それまでの記録保持者だったマイケル・ジョンソン(USA