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ランニング大会の死亡事故から考える

 2023年9月10日、岩手県盛岡市で開催されたマラソン大会で60代の男性が死亡した。男性は10kmの部に出場し、8.5km地点で倒れたという。
 10km程度の距離ならと、普段からトレーニングしている人もしていない人も自由に気軽にエントリーできる一方で、いざ走り始めると競走意識が働いたり、それなりに制限時間があったりするので、無理するケースが考えられる。
 走るという運動形態は、身体機能に不具合が無ければ、誰でも参加し易いものの、普段からトレーニング習慣がある人に於いても、大会となれば無理してしまう場合があるだろう。ましてや、普段からそれほどトレーニングしていない人ともなれば、「走る+心理的負荷」が働き、生体特に呼吸循環器系や内臓系には大きな負担となり得る。
 ランニングが及ぼす身体への影響について、身体持久力が向上したり、心身が快活になったりする反面、あるガンの専門医は、40代以降のランニングには警鐘を鳴らしている。
「若いうちは抗酸化力も強いので、激しい運動をして活性酸素の害を受けても、身体を元に修復してくれますが、中高年になると活性酸素を消去する酵素の量が減ってくるので、活性酸素が溜まったままになってしまう。これが身体にダメージを与えるのです。ですから中高年がマラソンをするのは身体に良いはずがない。
もう一つ、細胞がガン化する原因として『炎症』があります。激しい運動により、内臓や筋肉に慢性炎症を患うと、そこから活性酸素が大量に発生し、ガンになるのです。
 人間は屈強さを求めると寿命が短くなります。男性より女性の寿命が長いのはそのためです。筋肉を鍛える働きをもつエムトール(mTOR)というタンパク質があるのですが、これが老化を促進し寿命を短くする働きがあるのです。さしずめマラソンは命の炎を燃やして走っているようなものですね」

 
 私は、「マラソンは命の炎を燃やして走っているようなもの」という言葉は、とても的を射ている言葉だと思えた。
 減量だったり、健康づくりだったり、中にはブームに乗って走り始めたはいいが、次第に距離やタイムに拘りが出て行くものである。アクセルを踏み続けるのではなく、「ランニングは人生を豊かにしてくれるツール」という俯瞰的な視点を持ちながら、アクセルを緩め、ゆっくり走る余裕のあるランニング楽しむのがイイ。

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