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日常の小さなことを集めてつなげて文章にしてみたくて note を始めました。 43歳、…

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日常の小さなことを集めてつなげて文章にしてみたくて note を始めました。 43歳、たぶん一番真剣に取り組んでいることは美術、夫(変人)と子供2人(中高)と黒猫(気の弱いジェントルマン)とドイツの小さな町に暮らしています。

記事一覧

「日々の大切な習慣」

私は43歳、昨日とあまり変わらない今日を過ごした。 明日もたぶん今日とあまり変わらない明日を過ごす。 空に例えるなら、1日中真っ白な空 (いつの間にか明るさが減って…

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1日前
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我が家のイケメン君

erika
5日前
4

昨日の投稿に書いた旅ですが、帰りの電車で本を忘れてきたようです。悲しい…
年のせいでしょうか、最近忘れ物が増えた気がします。

erika
6日前
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見知らぬ町にひとり降り立つ

駅を出ると人はまばらで、殺伐とした交通網がはびこっていた。 ホテルとか事務所とか私にはとうてい関係のない建物たちが、極めて堂々としていた。 右手に一房のブロッコ…

erika
7日前
6

ふと思い出したこと(子育て中にかけてもらった言葉)

「子供のころは一人一人が心の中に箱を持っていて、そこに思い出を集めていくんだ。そして大人になって、普段はそんな箱のことなんて忘れて過ごしているんだけど、たまに思…

erika
9日前
4

うちの子、思春期でしょうか。

うちの息子は13歳。 「今日Ethik(倫理)でPubertät(思春期)についてやって、先生が 『親のことを変だと思うようになってきたら、思春期が来たってことです』 って言うから…

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13日前
6

猫の目の向こうの、幼い頃の記憶

東からの柔らかな太陽が心地よいある日、外で猫をなでていたら鳥の鳴き声が耳に入ってきた。 「ピロピロピーピーピッピピピ」 クロウタドリの雄は自分のメロディーを持っ…

erika
2週間前
6

外で猫をなでながら鳥の鳴き声を口笛で真似ていたら、猫が突然怒って行ってしまった。普段怒ったりしない猫なのに。どうしてだろう。

erika
3週間前
4

カタツムリと、裸のやつ

フォローしている方たちの新着欄に、カタツムリに関する記事が2件続いて出ていた。 それで私もカタツムリについて書きたくなった。 うちの庭はカタツムリでいっぱいだ。…

erika
3週間前
5

自己紹介②(食べ物のこと)

先週、レーゲンスブルクという町のアジアショップを訪れた。この町だったら老後の食事情は問題ないかもしれないと思った。 小学生になって数か月経ったころ、 「給食で一…

erika
3週間前
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自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自分のことについて書くのが難しくて、自己紹介をずっと保留にしていた。 自己紹介は誰かに読んでもらうための文章だから、本当は「です·ます」調の方が適当な気がする。…

erika
3週間前
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唇とお尻の穴って同じなんだって

「唇とお尻の穴って同じなんだって」 と、息子が言った。 「え?どういうこと?」 と聞いたら、 「同じ種類の皮膚からできてるんだって」 という返事が返ってきた。 そう…

erika
1か月前
8

そこでは時間が止まっているかもしれない。

移り行く時間はその流れを止めることなく、さらさらとこぼれ落ちるばかり。 必死になって留めようとするならば、流れを見ることさえできず、空っぽの両手が残るのみ。 こ…

erika
1か月前
4

実は似たようなもんじゃん。

うちにワラジムシが大発生していたことがある。洗濯機が置いてある一部屋限定の大発生。 ワラジムシとダンゴムシの違いは、丸くなるかならないか。ワラジムシの方が少し平…

erika
1か月前
8

「死にな」と青い空の4月27日

「4月27日って『死・に・な」』じゃん」と言ってクククと笑ったのは、中1で同じクラスになったK君だった。 今まで気づかなかったのと聞かれ、今まで気づかなかったよと私は…

erika
2か月前
12

潔くなんてないと思う。

うちの庭にある桜の木は限りなく白に近い花を咲かせる。一滴の赤さえも入っていないんじゃないかというくらい一面の白。ちゃんとサクランボができるので、サクランボの木と…

erika
2か月前
14
「日々の大切な習慣」

「日々の大切な習慣」

私は43歳、昨日とあまり変わらない今日を過ごした。
明日もたぶん今日とあまり変わらない明日を過ごす。

空に例えるなら、1日中真っ白な空
(いつの間にか明るさが減っていって気づいたら夜ってやつ)。
水なら、風ひとつ吹かない沼の表面
(しかも特に澄んでるわけじゃないし魚も見えないってやつ)。

こんな私の日々はさぞ習慣だらけだろう。
「日々の大切な習慣」、これは絶対書くことだらけのはず。

習慣と耳

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昨日の投稿に書いた旅ですが、帰りの電車で本を忘れてきたようです。悲しい…
年のせいでしょうか、最近忘れ物が増えた気がします。

見知らぬ町にひとり降り立つ

見知らぬ町にひとり降り立つ

駅を出ると人はまばらで、殺伐とした交通網がはびこっていた。
ホテルとか事務所とか私にはとうてい関係のない建物たちが、極めて堂々としていた。

右手に一房のブロッコリーのような丘があった。

ひょろんひょろんと跳ねる赤毛のリスがいた。
まん丸な目を静かに動かすウサギがいた。
壮大に広がるカシやブナの木が立っていた。
その一本の枝の上にカラスが2羽となりあって座っていた。

木の下に隠れるようにして口

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ふと思い出したこと(子育て中にかけてもらった言葉)

ふと思い出したこと(子育て中にかけてもらった言葉)

「子供のころは一人一人が心の中に箱を持っていて、そこに思い出を集めていくんだ。そして大人になって、普段はそんな箱のことなんて忘れて過ごしているんだけど、たまに思い出して、箱を開けて、一つ一つ手に取って眺めてみたりする。箱いっぱい楽しいことが入ってる奴は幸せさ」

そう教えてくれたのは、同じ街に住むフランス人のおじさん。

私はその頃
起きている間も寝ている間も
ひたすら母さんの毎日だった。

うちの子、思春期でしょうか。

うちの子、思春期でしょうか。

うちの息子は13歳。

「今日Ethik(倫理)でPubertät(思春期)についてやって、先生が
『親のことを変だと思うようになってきたら、思春期が来たってことです』
って言うから、
『うちの親は今までずっと変でした』
って言ったら先生すごい笑ってた」

と報告してくれた。

子育ては、実験と観察の繰り返しだと思う。
ずっと変だと思われていたことについては初耳だった。最近密かに息子の「変」の位置

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猫の目の向こうの、幼い頃の記憶

猫の目の向こうの、幼い頃の記憶

東からの柔らかな太陽が心地よいある日、外で猫をなでていたら鳥の鳴き声が耳に入ってきた。

「ピロピロピーピーピッピピピ」
クロウタドリの雄は自分のメロディーを持っている。
「ピロピロピーピーピッピピピ」
私も口笛で同じメロディーを吹いてみた。
「ピロピロピーピーピッピピピ」
クロウタドリが歌う。
「ピロピロピーピーピッピピピ」
私は口笛で返す。

すると突然、気持ちよさそうに寝転んでいたはずの猫

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外で猫をなでながら鳥の鳴き声を口笛で真似ていたら、猫が突然怒って行ってしまった。普段怒ったりしない猫なのに。どうしてだろう。

カタツムリと、裸のやつ

カタツムリと、裸のやつ

フォローしている方たちの新着欄に、カタツムリに関する記事が2件続いて出ていた。

それで私もカタツムリについて書きたくなった。

うちの庭はカタツムリでいっぱいだ。小さいのとエスカルゴみたいな大きさのやつ。注意して歩かないと踏んでしまうので、そろりそろりと歩く。
パシャッとやってしまったときの罪悪感はひどい。カタツムリは殻の小さな欠陥は直せると読んだけれど、人間に踏まれたら修復はもう不可能だと思う

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自己紹介②(食べ物のこと)

自己紹介②(食べ物のこと)

先週、レーゲンスブルクという町のアジアショップを訪れた。この町だったら老後の食事情は問題ないかもしれないと思った。

小学生になって数か月経ったころ、
「給食で一番好きなのは何?」
と母に聞かれた。
「しおもみ」
と私は答えた。
脱脂粉乳給食世代の母はしおもみが具体的にどんなかを知りたがって、私はキュウリやキャベツのことを念入りに話した。
「浅漬けみたいな感じね?」
と言われて、まあそうなんだけ

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自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自己紹介(noteを始めたきっかけ)

自分のことについて書くのが難しくて、自己紹介をずっと保留にしていた。

自己紹介は誰かに読んでもらうための文章だから、本当は「です·ます」調の方が適当な気がする。でもやっぱり、いつもと同じ「だ·である」調で書くことにした。他の文章と合わせたかったし、いずれ、独り言なのか誰かに伝えたいのか分からないような文章ができるかもしれない。だから、いつでも「だ·である」調と決めておけば気が楽。

私は普段は独

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唇とお尻の穴って同じなんだって

唇とお尻の穴って同じなんだって

「唇とお尻の穴って同じなんだって」
と、息子が言った。
「え?どういうこと?」
と聞いたら、
「同じ種類の皮膚からできてるんだって」
という返事が返ってきた。

そういうことね。

言われてみれば、何年か前に漆かぶれで全身が腫れあがったとき、唇とお尻の穴には湿疹ができなかった。

そこだけ何か違うんだろう。

唇とお尻の穴は、入口と出口でもある。エネルギー補給過程の始まりと終わり。口から始まる管は

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そこでは時間が止まっているかもしれない。

そこでは時間が止まっているかもしれない。

移り行く時間はその流れを止めることなく、さらさらとこぼれ落ちるばかり。
必死になって留めようとするならば、流れを見ることさえできず、空っぽの両手が残るのみ。

この世に生まれた生き物は、みんな死に向かっている。
不老不死、老いないことと死なないこと。それは多くの人間が昔から望んできて、まだ誰も成し得ていないこと。

この間、猫のトイレを掃除した。
うちの猫について語ろうとすればいくらでも語れる

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実は似たようなもんじゃん。

実は似たようなもんじゃん。

うちにワラジムシが大発生していたことがある。洗濯機が置いてある一部屋限定の大発生。

ワラジムシとダンゴムシの違いは、丸くなるかならないか。ワラジムシの方が少し平たくて、背中はゴムのような弾力性を感じさせるマットな質感。ダンゴムシに対して抱く「かわいい」がここでかたちを成さないのは、その表面にしっとりとした潤いを感じるからだと私は思っている。

彼らに遭遇したときの対処方法は2つ用意していた。

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「死にな」と青い空の4月27日

「死にな」と青い空の4月27日

「4月27日って『死・に・な」』じゃん」と言ってクククと笑ったのは、中1で同じクラスになったK君だった。
今まで気づかなかったのと聞かれ、今まで気づかなかったよと私は答えた。
小柄な体を精一杯大きく見せて、12歳にして既にこの世の寂しさの欠片を持ち歩いているような男の子。一目置かれていたけれど、私は彼の怖い姿は一度も目にしたことがなかった。むしろほろっと壊れてしまいそうな、急にふっと飛んで行ってし

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潔くなんてないと思う。

潔くなんてないと思う。

うちの庭にある桜の木は限りなく白に近い花を咲かせる。一滴の赤さえも入っていないんじゃないかというくらい一面の白。ちゃんとサクランボができるので、サクランボの木と言った方がいいかもしれない。
アメリカンチェリーみたいな実は熟れるとどすぐろい赤なんてもんじゃなくて、ちょっとだけ赤い光が溶け込んだ夜の空みたいになる。
私たちがこの家を借り始める頃にはもう古い木の様相をしていたから、今はさらに年を取った高

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