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アートに関する覚え書11.~追憶への折り返し地点~
最近、詩も、造形物も、文章も、あらゆるものが創れなくなっている。何も起こらない明日という空隙へ放り込まれる夜が増えた。
本来、創れない方が「幸福」なのだと思う。疑念、反発、嫉妬、熱情。そういった感情の大きな起伏に振り回されずに済むのだから。
たった5年の間に傑作とされる詩を書いたランボー。10代という逆巻く波浪のような時が、彼に詩を書かせた。20代以降の人生は商人として財を成し、生涯を終えた
2023.08.11 詩 鉄学
錆びた鉄の色をした
油
微かに流れる
眼球の底
砂塵
捕らわれ
表面で
粒だっている
奥歯
根元から
また
血の混じる唾(つばき)が
滲み出す
硬直した
肩
微積分で
計算しうる
手と
その運動
Rusty
iron-colored oil
flows
slightly in the bottom of
the eyeba
2023.07.28 詩 アメリカの旅人
耳触りのよい
明日の神話
ただ拝むくらいならば
肉体を迸らせ
渇いた泥
節々に纏い
黄金の
鈍い輝き
隙間から漏れ出る
時を満たす
今が
伝承として語られんこと
《大地、それだけで充分だ》
○英訳
Pleasant to the ear
The myth of tomorrow
I would rather
gush out my flesh
jus
2023.07.22 詩 登山
韻律の夏
錆びれた橋の欄干に
震えながら
浸透する
9月1日がくる前
名も知らぬ
汗にまじる
吃り
三年の間
繰り返す
頂からの
街
そして、
額に受けた
一滴の目薬
遮ることのない
黄昏の火が映る
2023.07.03 詩 歌
全てを真綿で包み
天上の微笑にも似た
この白い病に対峙して
マッチを一本擦り
立ったまま
眠りから醒める
その血潮を
浴びせかけていかなければならない
全てを平に均し
善き魂かのように振る舞うもの
全て
その全てを
拒絶していかなければならない
弾け飛ばすのである
筋肉の筋一本たりとも
この踏み締める
脚や
拳を