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アートに関する覚え書11.~追憶への折り返し地点~

最近、詩も、造形物も、文章も、あらゆるものが創れなくなっている。何も起こらない明日という空隙へ放り込まれる夜が増えた。


本来、創れない方が「幸福」なのだと思う。疑念、反発、嫉妬、熱情。そういった感情の大きな起伏に振り回されずに済むのだから。

たった5年の間に傑作とされる詩を書いたランボー。10代という逆巻く波浪のような時が、彼に詩を書かせた。20代以降の人生は商人として財を成し、生涯を終えた。


20代を折り返し地点に入って、もう「新しいこと」などは、さほど起こらない予感がしている。類似した「新しい」パッケージが淀み無く繰り返され、中身は同じもので構成されているだけなのかもしれない。

これからはもう、感情の残り香を追いかけていくこと位しかないのではないか。ただ、今は何かを創らなくていいという安堵感よりも、同時にこの胸を捉えている青く錆びた寂寞との対話を望んでいる。

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