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ステキなクリエイターさん達の素晴らしいノートをまとめています。
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見習い⭐︎魔法少年ポップくん

見習い⭐︎魔法少年ポップくん

先週の金曜日の夜

飲み会でいつもより遅く家に帰ると、ちょうど息子が「魔女の宅急便」を観ているところだった。

僕はそっと、画面を食い入るように見つめている彼の横顔を覗きながら、

「見習い魔法少年が見習い魔法少女のアニメを見ているぞ。」

と思って、ちょっと可笑しくなった。

そして、ひょっとすると、この時の彼女の勇姿に息子は勇気づけられたのかもしれない。

というのも、それから3日後の

今週

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絵のない絵本【青いココロ】(全話)

絵のない絵本【青いココロ】(全話)

ココロは、まっさおな雪の朝に生まれました。

空みたいに深くて、太陽みたいに透き通った目をした女の子。でも、祝福にやってきた人たちは、「こんな赤ん坊は見たことがない」と顔をしかめました。

ココロは、少し歩けるようになると野原に飛び出しました。
本当に飛んでいたのです。
ココロの背中には翼が生えていました。
光の加減で灰色のようにも桃色のようにも見えました。

町の子ども達は、気味悪がって、ココロ

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「悔やまない」と「悔いのないように」

「悔やまない」と「悔いのないように」

店を始めてまだ間もなかった十数年ほど前、知人が劇団四季の『コーラスライン』を観に連れて行ってくれました。
『コーラスライン』といえば、オーディションに集まったダンサー達が演出家の質問に答えていく中で、踊ることの喜びを新たにするというストーリーの超有名ミュージカル。
でも、当時わたしは連れて行かれるまま、内容をまったく知らずに観はじめました。

劇中、演出家がオーディションに集まったダンサー達にこう

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その時はその時、突然やってくる

その時はその時、突然やってくる

知人のお父君が先週脳梗塞の発作を起こしたと聞いた。
座卓で食事中に起きたそうで、立位から倒れ込まなかったので怪我などのダメージがなかった。

頭を強打したり足腰や腕などの骨を折れば、発作そのものは大したことがなくても致命傷になったり、寝たきりを招くともある。

お会いしたことはないが、血圧は高いけれど他に病気はなく、昨年などは単身東北旅行に出掛けたほど、とにかくしっかりした元気な九十歳、らしい。

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AdobeのUXP、CEPよりかなり分かりやすくて良い。
これなら古いscriptを新しい環境へ移行できそう。
https://developer.adobe.com/photoshop/uxp/

【料理エッセイ】アンドレさんからの手紙 - 豆乳スープの絶品レシピ

【料理エッセイ】アンドレさんからの手紙 - 豆乳スープの絶品レシピ

 アンドレさんから手紙が届いた。フルネームはペペ・アンドレ。新代田の伝説的なレストラン、中級ユーラシア料理店 元祖 日の丸軒のマスターで、わたしが学生時代からお世話になっている唯一無二の恩人だ。

 アンドレさんには多くのことを教わった。まるで潜水艦の中みたいな薄暗い店内で、「ターメイヤ」や「海賊おじや」など、他にはない美味しい料理を食べさせてもらった。そして、一晩中、ショスタコーヴィチの交響曲を

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昔、ピーターラビットに会いにいったお話③

昔、ピーターラビットに会いにいったお話③

1991年の夏、イギリス湖水地方のニア・ソーリー村を訪れた時の旅行記です。

前回のお話はこちら。

帰り道は、牧場の真ん中を横切っているフットパスを歩いて行きました。
一応、公共の道とはいえ、いろんな人が歩いたために、自然にできたといった感じで、途中で途切れてなくなったかと思うと、また続くという具合です。 

フットパスの入り口は実に目立たないので、私のような、のん気な旅行者でないと、気づかず通

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昔、ピーターラビットに会いにいったお話②

昔、ピーターラビットに会いにいったお話②

1991年の夏、イギリス湖水地方のニア・ソーリー村を訪れた時の旅行記です。

はじまりのお話は、こちら。

いよいよ、ニア・ソーリーにやって来ました。
村は、もうすぐです。

後ろにいた小さな女の子は、何度も「ファンタスティック!」と叫んでいました。
本当に、その通りの場所です。

「牛に注意」なんて、こんなのどかな標識がたっています。

フェリー乗り場から、テクテク歩いて40分。ついに、ニア・ソ

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昔、ピーターラビットに会いに行ったお話

昔、ピーターラビットに会いに行ったお話

1991年の夏休み。 
イギリスの語学学校に通った最後の週末に、ピーターラビットの故郷、湖水地方のニア・ソーリー村に行きました。
思えば、これが私のひとり旅の原点。
これで味をしめたのだと思います(笑)

当時の旅の記録も、長い年月の経過と共にだいぶ傷んできたので、デジタル化して残そうと記事にしてみました。
文章も、当時書いたものを使っています。
読みやすいように、若干手を入れてますが…。
どうぞ

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クリエイターならではのコンビニプリント活用法|トナー転写をする

クリエイターならではのコンビニプリント活用法|トナー転写をする

私が妻の実家のある宮城県栗原市に移住してきて6年ほどになります。

移住したての時は、ちょっとした用事も車で出かけないといけない不便さを逆に楽しもうと、子供たちを幼稚園に送った後にコンビニに寄ってコーヒーとシュークリームを買って、車内で食べながら話をするのが夫婦のちょっとした楽しみでした。

最近では妻も運転に慣れ、子供たちの幼稚園への送迎や買い物などをほぼ一人で済ませられるようになったので、自宅

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写真は好きだよ。

写真は好きだよ。

「写真」について思う時、そこには感傷が伴う。被写体があって、撮影して、場面を記録するという行為とは別に感情がある。私にとっては、写真を撮影する行為そのものに喪失感があるから。

大げさな例えを出すならば、夏目漱石の「こころ」の作中で、主人公が墓地を通りかかった際、墓石のその形状や種類だけに関心がいったように、その「モノ」への感情が伴った経験がなければ、それそのものでしかないものも、先生のように、自

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【忘れられない手紙】ショートストーリー@uminootoさん

【忘れられない手紙】ショートストーリー@uminootoさん

ルカは、海を見ていました。
仕事帰りに、いつも道路から眺めているだけの海に寄ったのです。

昨日吹いた春の風で、海は荒々しく波しぶきを立てています。

仕事で責任者という名のスケープゴートになったルカ。社会人になって三年目、ようやく仕事を覚えたばかりのルカには重荷でした。

波をみていると、思い出が寄せたり、引いたりを繰り返していました。

どっどう どっどう 

幼いルカは、母親とショッピングモ

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サンドイッチ弁当

サンドイッチ弁当

 この夏、実家にいたある日。
 朝早く起きて、バタートーストとミルクティーを淹れて朝食にした。
 食べ終わる頃、夏休みも休みなく部活動があり、東北大会があって福島県まで遠征して帰って来たばかりの甥が、ひさしぶりの休みなのにいつも通りに朝早く起きて来た。
 早起きするのが甥は習慣になっている。もっと寝坊してもいいのに‥と、夏休みの特権で悠々と寝坊する小学生の姪を見ていたら思うけれど、この日も朝食を食

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積み重なっていくのは雪だけじゃない

積み重なっていくのは雪だけじゃない

こんな冬には温かいものが恋しくなるのは世の常なんだろう。人肌恋しくなるという象徴的な言葉があるけど、それ以外にも温かいものは心を癒してくれる。

寒い朝に離れがたくなるあの布団のぬくもり。寝る前にふと飲みたくなったココア。いつだったか誰かとつないだ手の思い出。そんなものが私の脳裏によぎっては消えていく。

最近私の住んでいる場所でも雪が降った。その時に久しぶりにエアコンの暖房をつけたんだけど、全然

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