ココロは、まっさおな雪の朝に生まれました。 空みたいに深くて、太陽みたいに透き通った目をした女の子。でも、祝福にやってきた人たちは、「こんな赤ん坊は見たことがない」と顔をしかめました。 ココロは、少し歩けるようになると野原に飛び出しました。 本当に飛んでいたのです。 ココロの背中には翼が生えていました。 光の加減で灰色のようにも桃色のようにも見えました。 町の子ども達は、気味悪がって、ココロに石を投げました。 ココロが泣いて帰ると、お母さんは、だまって翼に口づけ、お父
noteで知り合った人と、自宅で創作合宿をしたら、どうなると思いますか? よく知らない者同士、年代も作風も異なる三人が千葉で過ごした二泊三日。 創作合宿が終わって一週間、私に生まれた小さな変化とは? 綴っていきます。 築50年の我が家で住み開きをしたい創作合宿の舞台となったのは、私の自宅。 千葉県の九十九里浜まで車で15分ほどの住宅地にあり、散歩にでかけると田園風景が広がっている。 自宅は、私が生まれ育った家で、年齢は築50年ほど。私が生まれる数年前に店舗付き住宅として
おはようございます。 絵のない絵本「青いココロ」を読んでくださった方、ありがとうございました。 絵本「ココロ」は、画家さんの反応を見ながら書きましたが、「青いココロ」は私ひとりで書いた物語です。 「ココロ」は、絵と文お互いがなければ生まれない物語を目指し、あらかじめストーリーを書いてから絵を描くのではなく、文→絵の順で1シーンずつ作成した絵本でした。 「ココロ」も「青いココロ」も、始まりは、私の「ココロはまっさおな雪の朝に生まれました」です。それに対し描かれた1枚の絵
絵のない絵本【青いココロ】は、毎日更新し、前日に公開した記事は削除しております。せっかくのご感想を残したくて、コメントの森をつくりました。感じたこと、思い出したこと、反発したこと…物語を読んで感じたことがございましたら、こちらのコメント欄に寄せてください。その日公開した記事にあったコメントもこの森に加えていきます。物語が終わった時、どんな森ができているかな。楽しみです。
裸足でいたら冷え切って、蓑虫みたいに茶色い毛布にくるまって、ベットに寝っ転がってる。 何となく、今日から毎日、以前絵描きさんとコラボした絵本「ココロ」のアナザーストーリーを毎日アップしようと思った。一枚の絵から始まった全く違うもうひとりのココロの物語。どうぞ楽しんでください。
夢の話をしよう。 いつの間にか、夢の話をするのが少しはずかしくなっていた。 夢なんて語っちゃって・・・ いつまで夢なんて言ってるの。 叶えるための努力をしているの? もういい加減あきらめて。 おとなになったらどう? なんて、 誰も言ってない。 でも言われている気がする。 というか、自分がいちばんそう思ってるんじゃないのかい? 本当は、いつも夢を見ていた。 心を痛めても体を痛めても、傷が癒えると、夢を見る。 夢に向かって飛び立とうとする。 飛べる時は自分でわかる。 ひな鳥
ありの坊やアーリーは、とってもいいことを思いついた。 そこで、アブラムシのラムのところへ教えに行った。 ラムは、「ええ!」と大きな声を出して驚いた。 アーリーはあわててラムのおちょぼ口をおさえる。 「大きな声出さないで」 「だって、そんなことをしたら、サンが怒るんじゃないかしら?」 ラムはひそひそ声で言うと、心配そうに首を横にふった。 「サンだってたまには休みたいさ」 アーリーもひそひそ声。 「本当にできるなら、すてきね」 ラムは、小さな手をこすりあわせて
足の悪い親戚のおばあちゃんと文通してる。送る絵ハガキをつくっていて、短歌を詠んだので、noteにもあげちゃう。「寒空の 散歩で見つけた 蝋梅の 蕾のように 開ける心」
私は、去年、交通事故を起こした。 不注意で横断歩道を歩いていた男性にぶつかり、骨折させてしまった。 相手は、100%悪くない。 私が、100%悪い。 私は今まで、知って、あるいは知らずに、人の心を傷つけたことを自覚している。 でも、肉体的に、人を傷つけたことは、なかった。 補償の限りを尽くし、法的な罪を償っても、人を傷つけたという事実は消えない。その人も忘れられないだろう。だから、私も忘れない。 100%落ち度がなかったのに、その人は、私に傷つけられた。 その人の立場から
おはようございます。今年の後半は中々noteに入れずにご無沙汰してしまったのですが、前半は、旧知の方や新しく出会った方とコメントや文学フリマなどで交流でき、嬉しかったです。来年は創作の時間を設けて、コンスタントにnoteにも入れたらと思いますのでどうぞよろしくお願いいたします。
ひろ君は、ベッドで暮らしている。ごはんを食べるのもベッドの上。歯磨きもベッドの上。春に小学生になったばかりだけど、入学式もベッドの上だった。おばあちゃんが買ってくれたランドセルをおふとんの上に置いて記念撮影した。 歩けないひろ君をみんな、かわいそうだと言う。でも、ひろ君には、毎日楽しみにしていることがある。 それは、おかあさん。 おかあさんは、毎日、夕方になると、ひろ君の見舞いに来てくれる。 今日もお母さんは、来てくれた。 「ひろ君、メリークリスマス」 仕事帰りの
転ばぬ先の杖はいりませんか。これから旅に行くあなたにぴったり。危ない目に合うことも失敗することもありません。持ってみてください。ね、良いでしょう。え?旅に出るのをやめた?そうでしょうとも。ほら、あなたも1本どうですか。本当かな?やめておく?あなた、いい転ばぬ先の杖をお持ちですね。
こんばんは。 話しかけて大丈夫でしたか。 なら良かった。 人に会うのは久しぶりなんです。 もしよかったら焚き火を見ていきませんか。 わたしは、ただの火の番です。 もうすぐ消えるんですけどね。 パチバチめらめら燃えるより、じいっとした熾火の方が私は好きなんです。 なにもかも昔のことになっても、芯だけは燃えている。 大切なものだけ抱えている。 秋に来たらよかったのに。 虫たちがリンリンシャンシャン賑やかで楽しかったですよ。 でも、冬の夜もいいです。 いつも聞こえない音が
ロミオは、ほんとうにいいやつだ いつも誰かを心配して 自分のことなんかそっちのけで 飛び回っている 皆ロミオが好きだ ある日、ロミオは家から出てこなくなった 皆が心配してたずねると、ドアに張り紙がしてあった 「少しお休みします」 皆心配してお見舞いの手紙をポストに入れた ロミオいいんだよ。無理しないで きっと疲れたんだよ でも、一か月たっても二か月たってもロミオは出てこない 皆どうしたんだろうと噂した ロミオは気にしすぎなんだよ 考えすぎだよね もっと心を大きく
りんりんりんりん タタタタ、タ、ッタン 優子さんは、ひとり、ノートパソコンをたたいている。 昭和に建てられた家は、優子さんと同い年。小さなダイニングには、庭に面して掃き出しの窓がある。カーテンの隙間から街灯が見える。庭は闇に沈んでいる。 「りんりんりんりん」とノートパソコンに打つ。 「優子さんは、ひとり、ノートパソコンをたたいている」と打つ。 マホガニーのどっしりとした円卓は揺るがない。円卓の上には夕食後の急須やお茶碗が出しっぱなし。ノートパソコンに身を寄せるように、縞
秋も深まりつつありますね。 私は身近な草の花を生ける「草生け」をしています。 表紙の写真は、野ブドウ。 秋の草花を散らしたリース さあ、一緒に草生けの旅に行きませんか 朝、起きたら、空一面にうろこ雲 遠くから運動会の声 よし、草生けの旅へ出かけよう 秋の草を探して 長靴とバケツと花器を車のトランクに積み込んで出発進行! 夫の運転する車は海岸沿いの道路を走る 私は窓から目を凝らして草の姿を探す ルドベキアもセンニンソウも咲き終わっていた ススキだけが窓を流れて遠ざ