大谷八千代

物語とエッセイ、イラスト。”複雑なことを童話のように表現したい”。難しい言葉を使わずに…

大谷八千代

物語とエッセイ、イラスト。”複雑なことを童話のように表現したい”。難しい言葉を使わずに、子どもにも大人にも響く文章を書きたいと思っています。2020年度千葉日報社主催「第62回千葉児童文学賞受賞」https://ootani-yatiyo.jimdofree.com/

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絵のない絵本【青いココロ】(全話)

ココロは、まっさおな雪の朝に生まれました。 空みたいに深くて、太陽みたいに透き通った目をした女の子。でも、祝福にやってきた人たちは、「こんな赤ん坊は見たことがない」と顔をしかめました。 ココロは、少し歩けるようになると野原に飛び出しました。 本当に飛んでいたのです。 ココロの背中には翼が生えていました。 光の加減で灰色のようにも桃色のようにも見えました。 町の子ども達は、気味悪がって、ココロに石を投げました。 ココロが泣いて帰ると、お母さんは、だまって翼に口づけ、お父

    • 創作大賞応募作【閉鎖病棟から青空を見ていた】を紹介いただきました

      自分にとことん向き合って書いた、「閉鎖病棟から青空を見ていた」が、紹介されました。創作大賞応募作です。#創作大賞 #エッセイ部門の急上昇にものったので、想像したより、多くの方に読んでいただきました。 「閉鎖病棟」という言葉から、「暗い話でいやだな」「自分とは関係ない」と思った方もいるかもしれませんが、「青空」が象徴するように、「絶望」だけではありません。何となくの生きづらさや虚しさ、苦しみを感じてる人に届けたいと願って、思いを込めて、書きました。 ご紹介くださったのは、太

      • 閉鎖病棟の窓から、青空を見てた

        つい、かっこつけた文を書いてしまう。 賢く思われようとする心。 教えたがろうとする心。 慰めてもらおうとする心。 全部バレバレ。 本当は、ちゃんと、伝えたいことがあるんだ。 私は、心をひどく痛めたことがある。 「詰んだ」「ドロップアウト」「負け組」。 そんな風に言う人もいた。 「あの人は、もうおしまいだね」と。 直接言われなくても、言われているような感じがした。 それでも、私は、回復した。 皆に伝えたいことがある。 嘘をつかないで、と。 何年も考えて、気がついた。

        • 露の恋歌

          露 暁けぬれば 儚くならむ ぼくだけど 覚めることなき 夏萩への恋 萩 重いのね あとを残さぬ 露だから 落ちた恋ゆえ 覚めなきゃ冷める

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        絵のない絵本【青いココロ】(全話)

        マガジン

        • 絵本【UNTITLED】絵×文の絵本づくり
          23本
        • 物語のたね
          24本
        • 【素敵なガーデンデザイン】
          8本
        • 文学フリマnoteまとめ
          19本
        • 大谷八千代童話集
          11本
        • 文学フリマへの道マガジン
          4本

        記事

          てるてる頭の天使てんこちゃん①

          てんこちゃんは、てるてる坊主頭の天使です。 なぜ、髪の毛がないの? それはね。 夜に貸しているから。 実は、 てんこちゃんの髪の毛はとってもきれいな夜色なんだ。カラスの濡羽色とも言う。 夜はね。 とっても貪欲なんだ。 何もかも欲しがる。 特に最近、それが強まってる。 この前なんか、黒猫が黒をとられて、白猫になってたし、虎もシマシマをとられたそうだよ。本は文字がぜんぶ消えて真っ白。 みんなとても困っている。 「私が貸したらほかはとらないと約束したのにな」とてんこちゃ

          てるてる頭の天使てんこちゃん①

          うちの庭は、草の庭。 月見草の灯る庭。

          うちの庭は、草の庭。 月見草の灯る庭。

          枇杷を食べながら、庭のエッセイの構想を練っている。庭ってやっぱり面白いな〜〜。創作大賞に間に合えば出そうと思います。

          枇杷を食べながら、庭のエッセイの構想を練っている。庭ってやっぱり面白いな〜〜。創作大賞に間に合えば出そうと思います。

          【草生け紀行】初夏の海辺で野の花を生ける

          今日は、私の出身地の千葉県にある御宿までドライブ。 やってきたのは、あまり、人の来ない浜辺。 草むらのわずかな平地に車を停め、先人がつけた藪の小道を歩くこと、5分。 今日は、父が海の絵を描きたいというので、一緒にきました。 さっそくスケッチブックをひろげる父。 私も一緒に描いていましたが、飽きてしまい、海辺の草を探しに。 さあ、海浜植物でどんな草生けができるかな~。 ウツギの花が雲になって流れていくみたい。 海辺の野の花で、ブーケをつくってみました。 初夏の海辺の草

          【草生け紀行】初夏の海辺で野の花を生ける

          悦に入る父

          悦に入る父

          父とドライブで、絵描きの旅に出ました。千葉県にある蠟燭岩。だーれもいない海。

          父とドライブで、絵描きの旅に出ました。千葉県にある蠟燭岩。だーれもいない海。

          立派なおばさんに、なれそうにない。立派なおばさんは、まあなんとかなるよ!と自分やまわりを励ます。立派なおばさんは、主役を人にゆずって皆が笑っているのを見ていちばん大きな声で笑う。立派なおばさんは、気を使わせるほど立派じゃない。いつか立派なおばさんに、なれたらいいな。

          立派なおばさんに、なれそうにない。立派なおばさんは、まあなんとかなるよ!と自分やまわりを励ます。立派なおばさんは、主役を人にゆずって皆が笑っているのを見ていちばん大きな声で笑う。立派なおばさんは、気を使わせるほど立派じゃない。いつか立派なおばさんに、なれたらいいな。

          応募作公開【ないしょのはなし】

          おふとんの中で、アーリーは、とっても「いいこと」を 思いつきました。 アーリーは、春に 生まれたばかりの アリのぼうやです。 「きっと、みんな おどろくぞ」 アーリーは、きょうだいが、ねているうちに、おき出しました。 お日さまのサンに せかいで いちばん早く 「いいこと」を 教えたかったから。 土のおうちから 顔をだすと、うすぐらくて、お空は 雲でいっぱい。お日さまの サンのすがたは、どこにも ありません。 アーリーは、小さな声で ささやきました

          応募作公開【ないしょのはなし】

          ついに、出してきました! 最初から最後まで、心を込めて、書くことができました。楽しかった!

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          八千代ラジオ【童話とブリーンバーンバーンボーン】

          ・近況 角野栄子さん童話賞応募 童話体験 ブリーンバーンバーンボーンはラピュタ ラップから新しい童話を考える

          八千代ラジオ【童話とブリーンバーンバーンボーン】

          誕生日に本当のことだけ書く

          「気にしすぎだよ」とよく言われる。 気にしすぎが私の半分くらいを占めているから、そういわれると、辛い。 「みんなも同じだよ」と言われると微妙な気持ちになる。 特別になりたかったし、なにか残したかった。 今でもそう思っていることを否定しない。 自信がない。 愛されても評価されても自信がない。 だから自分自身の問題だろう。 同年代と比べるとイベント多めな人生だった。 ただ、それも特別な印なんかじゃない。 特別ではないけど普通な人生ではなかった。 「普通じゃない人生

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          noteで知り合った大学生と自宅で創作合宿した話

          noteで知り合った人と、自宅で創作合宿をしたら、どうなると思いますか? よく知らない者同士、年代も作風も異なる三人が千葉で過ごした二泊三日。 創作合宿が終わって一週間、私に生まれた小さな変化とは? 綴っていきます。 築50年の我が家で住み開きをしたい創作合宿の舞台となったのは、私の自宅。 千葉県の九十九里浜まで車で15分ほどの住宅地にあり、散歩にでかけると田園風景が広がっている。 自宅は、私が生まれ育った家で、年齢は築50年ほど。私が生まれる数年前に店舗付き住宅として

          noteで知り合った大学生と自宅で創作合宿した話