nakazumi

長野の高原で喫茶店をやっています。https://r.goope.jp/cafe-na…

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長野の高原で喫茶店をやっています。https://r.goope.jp/cafe-nakazumi/

マガジン

  • 本や映画のこと

    おすすめの一冊や映画についてまとめた文章です。

  • お店をめぐる色々

    営んでいる小さなカフェをめぐる出来事、思いなどをまとめています。

  • 人々との日々

    ちょっと笑顔で心をほぐしたい時に。誰かとのやりとり、小競り合いから生まれた文章です。

  • つれづれと思うこと

    山暮らしの日々の中で考えていることを綴った文章をまとめています。

  • ジーンとした話

    嬉しかったり切なかったりしんみりしたり、ちょっぴり心震えたお話をまとめています。

最近の記事

ヨシタケシンスケ展と上田映劇

上田市立美術館(サントミューゼ)で開催中の「ヨシタケシンスケ展に行ってきました。 以前、虹色のかめと花笑のさるさんが記事にされていて、ぜひ行ってみたいと思っていたのです。 やっと長野県にもやってきました。 ヨシタケシンスケさんの本は、そんなに持っていません。 でも、当店で定期購読している『暮らしの手帖』でイラストの連載をされていて(『みらいめがね』)、毎号届くたびに、荻上チキさんの本文よりもまずヨシタケシンスケさんのイラストを真っ先に見てしまうのです(チキさんすみません)

    • 『奔馬』三島由紀夫 著

      店主おすすめの一冊と、個人的に気に入っているツボをご紹介いたします。 今回は、『豊饒の海』の第2巻『奔馬』です。 以前、第1巻の『春の雪』をご紹介しました。 その後、magobee66さんの衝撃的なタイトルとともに素晴らしい『春の雪』についての記事が上がり、 つい先日、さらに『奔馬』についても、これまた大変鋭いユニークな記事を上げていらっしゃいました。 タイトルの斬新さに意表を突かれますが、「まあでも、たしかにそういう内容ですよね」と思ってしまう的確さがあります。 本文

      • 『笑わぬでもなし』山本夏彦 著

        カフェ店主おすすめの一冊と、個人的に気に入っているツボをご紹介します。 今回は山本夏彦のエッセイ集『笑わぬでもなし』の中から、「犬と私と」です。 たしか30年ほど前に、『ダメの人』(同じく著者のエッセイ集)とともに立て続けに読んだと思うのですが、その中で、この「犬と私と」だけは、ハッキリと今も記憶している大好きなお話。 ある夜、生まれたばかりの捨て犬が、著者の自宅の門前に辿り着きます。 哀れなひもじい子犬の鳴き声を放っておけない妻が、その子犬を自宅に引き入れ牛乳を与えます

        • 冒険のすすめ

          旅先で食事をする際、利用するお店を事前に調べてから訪れるという人が、今は多いのかもしれません。 わたしも、以前は絶対に「調べる派」でした。 旅行中の「食べること」というのは最大の楽しみで、前もって現地のお目当てのお店をいくつかチェックして、ある程度満足が期待できそうなお店を選んでいました。 せっかくの初めての場所で、貴重な一食を失敗したくなかったからです。 ところが、夫は全然「調べない派」。 行き当たりばったりで、その場で選んだお店に入ります。 と言いましても投げやりなので

        ヨシタケシンスケ展と上田映劇

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        • 本や映画のこと
          13本
        • つれづれと思うこと
          46本
        • 人々との日々
          31本
        • お店をめぐる色々
          34本
        • ジーンとした話
          14本
        • かんたんアナログゲーム
          5本

        記事

          オシャレキラー

          ずいぶん前のことですが、IKEAでオシャレなフックを購入しました。 壁に取り付けるタイプのもので、シンプルなキューブ状。 こういうシュっとして角ッとしたデザイン、わたしは大好きなのです。 自宅用にいくつか購入して取り付けて余ったので、夫が「店でもどこかに付ける?」と聞いてくれました。 そこで、「そういえば、トイレ内に上着とかバッグとか掛けるところ無いから、フックあるといいかも!」ということになり、さっそく店のトイレにて二人で設置場所を検討しました。 ただ、このデザインの

          オシャレキラー

          ベテラン夫婦の極意

          実家に帰省した時のこと。 金婚式をとっくに過ぎた両親が、茶の間で何やら揉めておりました。 ちょうど隣の部屋にいたわたしは、(いつもの小競り合いだなー)と思っていたのですが、そのうち母がピシャっと何か一言放ったようで、それを機に空気が一変しました。 普段は温厚でのんびりしていて、母に小言を言われてもまったく口調が変わらない穏やかな父が、珍しく少し間を置いた後に言ったのです。 「どうして、そういう言い方をする……!」 けっして大声ではないけれど、ゆっくりと、強い口調で、襖越

          ベテラン夫婦の極意

          夢見る喫茶店

          古文の世界では、夢に誰かが現れたら、その現れた人の方が夢を見ている自分を想っている、という解釈をするそうです。 学校の古文の授業で初めてそれを聞いた時、「なんて都合のいい捉え方なんだろう!」と驚きました。 どう考えても自分の方が寝ても覚めても熱烈に想うからこそ、夢にまで見るのだろうに自惚れも甚だしいなあ、と。 でも、店を営むようになって、あの古文の世界の考え方はあながち間違いでもないのでは、と思うようになりました。 本当によくあることなのですが、朝の店の開店準備中に、何の

          夢見る喫茶店

          映画『かもめ食堂』

          まだ当店が影も形もない2006年、だけど「店をやろう」と決めていたこの年、映画『かもめ食堂』を観ました。 小林聡美演じる主人公が、フィンランドでひとり開いた食堂を巡る物語です。 映画の序盤、なかなかお客様が訪れず、それでも主人公が毎日グラスを磨き、テーブルを拭いて空っぽの店内でお客様を待つ様子に、わたしは覚悟しました。 「きっとこれから始めるわたしの店も、そうなるだろうな。だけど、信じて辛抱しよう」と。 でも、見ていてだんだん落ち着かない気持ちになります。 お客様が来ない

          映画『かもめ食堂』

          3月8日発売『旅の手帖』4月号の連載「喫茶店のあるじ」に、当店が掲載されました。noteのわたしの文章がきっかけで取材に来てくださったので、宣伝みたいで恐縮ですが、良かったら見てみてください。とても丁寧な取材をして下さって、noteやって良かったって思いました。

          3月8日発売『旅の手帖』4月号の連載「喫茶店のあるじ」に、当店が掲載されました。noteのわたしの文章がきっかけで取材に来てくださったので、宣伝みたいで恐縮ですが、良かったら見てみてください。とても丁寧な取材をして下さって、noteやって良かったって思いました。

          ハラスメント?

          隣に住む姉夫婦がミニチュアシュナウザーを飼っていて、わたしもその犬をとても可愛がっています。 ある日のこと。 留守である姉夫婦に代わって散歩をさせようと隣家を訪れ、玄関にて犬に声をかけました。 普段はわたしの声を聞きつけると、「待ってました!」とばかりに短い尻尾を振り振り黙って走ってくる犬なのですが、その日は珍しく吠えたのです。 「ワンワン、ウー、ワンワンワン!」と吠えながら、姉夫婦の家の奥から玄関へと移動してくる犬。 「ちょっと、なんで吠えるの?」と少し声を荒げて玄関に

          ハラスメント?

          安心できる額

          20代の頃に、「どれぐらいのお金があれば安心できるか?」という話題になったことがありました。 その時わたしは、口には出さなかったけれど、自分の口座に20万円あれば安心だな、と思っていました。 だってお勤め仕事をしていたから毎月お給料が入ってきたし、辞めさえしなければそれがずっと続くと考えていたから。 若き頃のわたしはとんでもなく愚かで浅はかでお恥ずかしいかぎりですが、借金もなく口座に20万円あれば、自分ひとりならとりあえず安心できる、と思ったのです。 ところが、同じ質問に

          安心できる額

          傷ついたって言えたなら

          小学校の頃、教室で突然泣き出す女の子がいました。 授業中に、本当に唐突に。 当然、先生も周りのみんなも心配します。 「どうしたの?」と。 「何があったの?」「いじめられた?」「忘れ物した?」「怪我した?」 ひとしきり皆からの質問を浴びながらしくしくと泣いていたその子は、「具合が悪いの?」という質問を受けて、ようやくコックリと肯きました。 どうやら、お腹が痛かったようです。 その時、近くの席に座っていたわたしは大いに驚き、そして心の中で思いました。 「お腹が痛い」と言えばいい

          傷ついたって言えたなら

          「悔やまない」と「悔いのないように」

          店を始めてまだ間もなかった十数年ほど前、知人が劇団四季の『コーラスライン』を観に連れて行ってくれました。 『コーラスライン』といえば、オーディションに集まったダンサー達が演出家の質問に答えていく中で、踊ることの喜びを新たにするというストーリーの超有名ミュージカル。 でも、当時わたしは連れて行かれるまま、内容をまったく知らずに観はじめました。 劇中、演出家がオーディションに集まったダンサー達にこう問います。 ダンサー達は、踊る喜びに輝きながらこう答えます。 特別ミュージカ

          「悔やまない」と「悔いのないように」

          手作りチョコ

          バレンタインデーなんて今どき流行らないらしいのですが、それでもわたしは毎年この時期に手作りチョコを作ります。 ここ数年はずっと、店で出している定番のガトーショコラをキューブ状にカットしてチョコでコーティングしただけの、手軽に作れる形で済ませていましたが、今年は久しぶりに少し手間のかかるトリュフチョコを作りました。 気分だけは映画『ショコラ』のジュリエット・ビノシュ(厚かましくてすみません)で作りまして、お世話になっているご近所さんに配りました。 毎年渡していたMさんは、一

          手作りチョコ

          限りなくオフに近いオン

          年を取るごとに、冠婚葬祭等に出席する機会は増えていくものです。 そういう場では、いつも熱心に取り仕切って立ち働くおばさんがいたり、完全に電源をオフにして静かに佇むおじさんがいたりします。 子供の頃は、そんなおばさんやおじさんは、「そういう人」なのだろうと思っていました。 もちろん、「そういうタイプの人だから」というケースも多々ありますが、冠婚葬祭の回数も重ねて大人になって、ある時気づきました。 「今回の式で電源オフっているあのおじさんは、以前のあの式の時には采配を振るってい

          限りなくオフに近いオン

          東京めぐり

          久しぶりに上京しました。 長野の山の中に暮らしながらも、ほぼ毎年東京へ足を運ぶ機会はありますが、あちこち見て回ったのは久しぶりです。 メインの目的は、かっぱ橋道具街で店のいろいろを補充すること。 今はほとんどインターネットで何でも購入できますが、どうしても実物を見て選びたいものもあるのです。 道具街で通りを何往復もして目的の品々を物色 & 入手したら、あとは東京めぐり。 実は、この一年間 note でいろんな方々が紹介されていた東京の魅力的な場所を、いつか訪れてみたいと思っ

          東京めぐり