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メンドクサイこだわり

ある日、Amazonプライムビデオを視聴しようとしたらなぜかエラーが出てしまい、解決法を探るべく「Amazonプライムビデオ」「見られない」と入力してネットで検索しました。
すると、検索画面の一番上に、「『Amazonプライムビデオ 見れない』ではありませんか?」との表示が。
瞬間的に「ええっ?!」とわずかに身を乗り出してしまう程度に、わたしは「ら抜き言葉」に反応しがちです。
さらに検索結果リストには、「アマプラが見れない時の……」「プライムビデオが見れない場合の……」などと、見事に「見れない」のタイトルを冠したサイトが並び、脱力感に見舞われてしまいました。
「見れない」は、もうこれほどまでに市民権を得ているのですね……。

そんなわたしは、CMも気になります。
だいぶ前のCMですが、その飲料CMは上司が部下の女性をランチに連れて来た、という設定でした。
上司が、「この店はネットのレビューでの評価が高いから、間違いない」と自信ありげに勧めると、部下の若い女性がキッパリと言うのです。

「それより、部長が美味しいかどうか、じゃないですか?」

CMの意図は、『他人の評価を気にするよりも、自分がどう感じるかで決めるべき』という主旨だと思うのですが、問題はそこではありません。
この部下のセリフを聞いた瞬間に、モヤモヤッとしたわたしは一緒に見ていた夫に言いました。

わたし:「『部長』は、美味しくないよね?」
夫:「ん?」
わたし:「そもそも、『部長』は食べられないし」
夫:「あ?」
わたし:「これは、正しくは『部長が美味しいと感じるかどうか』でしょう。『と感じるかどうか』にしないと、部長自体が旨いかどうかってことになっちゃうよ。
あ、それとも、本当に部長を味わいたいって意味なの?
そうなるとこれはちょっと別の深い意味があるよね……。
そういう話?」
夫:「……。うるさい」

度々こういった発言をするため、夫から「うるさい」と言われることが多いです。
確かに大変うるさいと思いますが、気になって仕方がありません。
もちろん、日常会話で省略はよくあることだし、当人同士で意思疎通ができていれば何も問題はありません。
わたしも省略はするし、むしろ誤った表現をnoteでもしょっちゅうしているはずなので偉そうに言えません。
でも、日常会話や個人のブログではなく、天下のテレビCMの決め台詞となると、ピクリとしてしまうのです。

そして同じ形容詞でも、「と感じる」を入れなくてもそれほど違和感のない言葉もあります。
たとえば、「楽しい」なら違和感ありませんが、「面白い」だとやや違和感、「きれい」だとかなり違和感が出ます。
※注 コメント欄にて、つねたまじめさんのご指摘により「きれい」は形容詞ではなく形容動詞であったことが発覚! お恥ずかしい……。皆様の脳内にて以下の例文中の「きれい」を「美しい」に変換してくださいますようお願いいたします!)

設定を変えてみます。

(遊園地へきて)
部長:「このアトラクションは評判がいいから、間違いない」
部下:「それより、部長が楽しいかどうか、ですよね?」

ほぼ違和感ありません(個人的見解)。

(noteにて)
部長:「この記事は『スキ』が多いから、間違いない」
部下:「それより、部長が面白いかどうか、ですよね?」

やや違和感あり(個人的見解)。

(風光明媚な観光名所にて)
部長:「ここからの景色は評判が高いから、間違いない」
部下:「それより、部長がきれいかどうか、ですよね?」

違和感あり。部長の美醜じゃないですよね(個人的見解)。

以上はあくまでもわたしにとっての違和感ですが、身近な複数人に聞いてみたところ、「どれも気にならない」とのことでした。
実際、言語感覚に敏感だと思われる友人でも冒頭のCMのケースは違和感ないとのことで、多分わたしの感覚がおかしいのでしょう。
しかもこれらの違和感を上手いこと説明もできず、申し訳ありません。

こんなわたしですが、他のことに関してはわりとどうでもよくて、本棚の本の高さが揃ってなくても、音響が悪くても、メガネやネクタイやブローチが曲がっていても、洗車しなくても、エンジン音やモーター音がどうであろうと全然まったく構いませんし、気づきません。
でもこれらがとっても気になる様子の方々もいらっしゃいます。
人によって、どうしても気になってこだわってしまう何かが、ひとつくらいはあるのかも。

でも、いろんな物事にいちいちこだわる人は、ちょっとメンドクサイですね。
そしてすごく面白い。
そのこだわりは、その人の個性でもあります。
店に立っていても、素晴らしきこだわりを嬉々として語るメンドクサイお客様も多く、そんな方々は本当に愉快。
noteにもユニークで魅力的なメンドクサイ人達が集っていて、「わー、この人、めちゃくちゃメンドクサイ〜。たまらない〜」と、そんな方々の記事を読む時間は本当に楽しいです。

どこからどう見てもクセがなさそうで、素直でキレイで感じが良くて当たり障りがない、という人に前にすると、なんだかソワソワして「いや、どこかメンドクサイ部分がきっとあるはず、あって欲しい」と探してしまうメンドクサイ性分のわたしです。


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