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2022年8月の記事一覧

読書ログ:『LESS IS MORE』- 脱成長は世界を環境破壊から救えるのか?

最近流行っている脱成長について英国の人類学者Jason Hickelがまとめている、『LESS IS MORE - How degrowth will save the world』を読みました。内容が重いので、読書ログ後回しにしていましたが、ざっくりまとめておきます!

脱成長について、社会ができることに加え、個人ができることまでまとめてあって、非常に面白いです。日本語版が出ていないのが残念です

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歴史的思考が紡ぐコロナ後の世界~ジャック・アタリ『命の経済』

歴史的思考が紡ぐコロナ後の世界~ジャック・アタリ『命の経済』

世界は、「命の経済」を早急に駆動させなければならない。現代ヨーロッパを代表する知性はそう叫ぶ。

2020年に始まった世界規模のパンデミックは、現代社会が抱える構造的なもろさを白日の下にさらした。日常が死の恐怖に取り囲まれるという近年ではまれに見る状況をきっかけとして、われわれの持つ経済システムを大きく方向転換していかなければならないと、著者は迫る。

問題とされているのは、「国家権力」と「資本主

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かんたんビジュアル法律用語「契約と不法行為」 #3

かんたんビジュアル法律用語「契約と不法行為」 #3

今回は、民法 財産法の二大分野、「契約」と「不法行為」についてみていきたいと思います。標準的な基本書、注釈書、法律辞典に基づき、かんたんに解説していきます。

1 基本的意味
(1)契約
契約とは、二者以上の法的人格による2個以上の相対立する意思表示の合致(合意)であって、その効力として債権を発生させるものです(我妻栄ほか『我妻・有泉コンメンタール民法―総則・物権・債権― 第7版』1062頁(日本

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かんたんビジュアル法律用語「自然人と法人」 #2

かんたんビジュアル法律用語「自然人と法人」 #2

今回は、「自然人」と「法人」について見ていきたいと思います。標準的な基本書、注釈書、法律辞典に基づき、かんたんに解説していきます。

1 基本的意味

自然人とは、権利義務の主体である個人のことです。

権利義務の主体というのは、例えば、契約をしたり、物を所有したり、不動産の登記名義人となることができる資格、ということです。金銭の支払いを求める代金支払請求権などの権利を行使したり、借り入れをして貸

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カリフォルニア州、2035年にガソリン車等の販売禁止

カリフォルニア州、2035年にガソリン車等の販売禁止

今日の日経新聞夕刊1面トップ記事は、日本の自動車メーカーのHV(ハイブリッド車)に大いに影響を与える記事でした。

その記事の内容を紹介する前に、これまで私が投稿したEV(電気自動車)に関わる投稿について紹介します。

紹介する3つの記事を読むと、世界でなぜEV化が進んでいるか、EV化に日本がどのように対応しているかが概ね理解できると思います。

1. これまでの電気自動車に関する投稿1-1)なぜ

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かんたんビジュアル法律用語「私法と公法」 #1

かんたんビジュアル法律用語「私法と公法」 #1

今回は、「私法」と「公法」という法律用語を、対比しながら見ていきましょう。標準的な基本書、注釈書、法律辞典に基づき、かんたんに解説していきます。

1 基本的意味
私法とは、私人間相互の法律関係を規律する法です。

例えば、民法、商法、会社法、借地借家法などがあります。

市民である個人同士が契約したり、個人が株式会社などの法人と契約したりする場合などに適用されるのが私法領域の法律です。私人相互を

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新しい「アプリ」の風

新しい「アプリ」の風

column vol.755

日本の夏は暑い…(汗)

そんな背景もあってか、「日陰を選んで歩ける」というウォーキングルート表示アプリの新機能「日陰マップ」が人気です。

〈テレ朝news / 2022年8月16日〉

しかも、このアプリ、実際の日陰と同じく、日陰の表示が時間ごとに変化するそうです。

ナビタイムジャパンヘルスケア事業部・高橋雅士事業部長によると

建物の形状と高さは元々持ってい

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DesignThinkingでメタバース #3.02思い出が仕事になるかもという話(2)

DesignThinkingでメタバース #3.02思い出が仕事になるかもという話(2)

仮称「メタバースで思い出や憧れの街へ!」講座作成UPのための練習で
フランス「ニース」に行ってみました!

「ニース」は、知る人ぞ知る、カンヌ映画祭で有名なカンヌの近くの
地中海がのぞめる、少し先には、「モナコ」が見える 
フランス屈指のリゾート地。
「コートダジュール」と呼ばれるおカネ持ちの人のための空間???
Destination Côte d’Azur France – Le Site o

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大型オブジェをメタバースの中で復元・・・「造形美術館」

大型オブジェをメタバースの中で復元・・・「造形美術館」

油彩画から始まった創作活動の中で、どうしても立体作品にしたいイメージのものがあります。

或る時は、木・流木。金属(銅・ステンレス・鉄・ピアノ線)。石。
ガラス。ゴム。革。瓢箪や繭玉。等 表現したいものに合わせて様々な材料を取り入れて作品を作ってきました。
平面絵画とは違って奥行きのある立体作品の持つ力を感じています。
絵を描くことより何倍も制作時間がかかります。
しかし ここにあるという存在感は

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劣化する日本の購買力【GDPとGDI】

劣化する日本の購買力【GDPとGDI】

「コロナ前」回復は大本営発表
2022年4~6月期の実質GDP成長率は前期比年率+2.2%(前期比+0.5%)と市場予想の中心(前期比年率+2.5%)を若干下回りました。個人消費が想定ほど伸びなかったこともありますが、在庫投資の寄与度が▲0.4%ポイントと大きかったことが響いていそうです:

供給制約の厳しさから在庫取り崩しの動きが予想以上に進んだ実情が透けます。それでも「政府が行動制限をかけなけ

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善性への懐疑と中庸の考察

善性への懐疑と中庸の考察

 道徳の授業が苦手でした。
 善悪の判断を要求して人としての道を説いたり、それを維持する状態を徳と定義して教えたり。小学生の頃に受けた道徳の授業は、思考や対話よりも「かくあるべき」を目指す「答えのある世界」でした。
 善は良いもので、悪は悪いものだと、ある種の勧善懲悪な雰囲気の漂うその時間を、薄気味悪く過ごしていたことを思い出します。

 目まぐるしく変化する世界情勢ですが、特にこの数年の変遷は非

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今年度の設備投資計画が旺盛な訳

今年度の設備投資計画が旺盛な訳

機械受注8.1%増 4~6月期、2期ぶりプラス: 日本経済新聞 (nikkei.com)

新型コロナウィルス感染症に伴う影響やロシアのウクライナ侵攻等により日本経済を取り巻く環境は厳しさを増す中、今年度の設備投資計画は旺盛となっています。

実際、先月公表された6月短観の設備投資計画(日銀)を見ると、GDP設備投資の概念に最も近い「ソフトウェアを含む設備投資額(除く土地投資額)」が全規模合計で前

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白いカラス(最終回の1)  平和のアナロジー

白いカラス(最終回の1)  平和のアナロジー

子どもの誘拐と国葬との間には、なんの関係もありません。

脅迫か、そうでないかの違いはあるものの、憲法9条の改正に反対する人と類似点があります。

それは、主張は一貫しているが、論理に一貫性はない(=没論理)ってところ。
まさに、「無知は力 (IGNORANCE IS STRENGTH)」、あるいは、「非学者論に負けず」(笑)。
そして、口を開けば、いつもトートロジー。

オイラは他国に蹂躙されな

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