弁護士 廣井雅治

法の理論と実践について、自分の問いの探究のために書いていきます。特に「法と言葉」「創造…

弁護士 廣井雅治

法の理論と実践について、自分の問いの探究のために書いていきます。特に「法と言葉」「創造的認識のためのレトリック論」「範型・事例比較」「個の創出、その基盤資源」「方法論的分節」「新生的な諸項との切り結び」「永遠の希望」などが探究テーマです。(icon写真 2021年10月撮影)

マガジン

  • メモ

    個人的メモ書き.

  • 個人的音楽室

    汝が魔力は再び結び合わせる 時流が強く切り離したものを すべての人々は兄弟となる (歓喜に寄す) 言葉は分節であり結局は分断であろうか、それを再び結び合わせるのはやはり音楽の律動であろうか。 心から心へ、そして心の自由へ

  • 探訪 言語哲学‐言語技術、知の技法. etc

    法律家の視点で、言語哲学・言語技術、知の技法などを自由に探訪。

  • 法律家 文学を読む

    広い意味での文学を,一法律家の視点で読んでいきます。 「このトータルな省察は文学に他ならない。少し後に歴史学や哲学等々が文学ジャンルとして分化していくが,文学は定義上教義ではない。トータルな省察の結果であってもそれが教義の体系のようなものであれば,その教義の体系が権威を持って批判の外に置かれるから,トータルな批判にはならない。つまり自分をも批判させる媒体が文学である。」木庭顕『誰のために法は生まれた』292頁(朝日出版社,2018 ).

  • シリーズ「判例分析 占有原理の鐘が鳴る」

    「占有原理」を視角として,法律学上の有名な判例を分析します。巨大に集積された判例群を,一つ一つテクストとして「読み」,そして「読み直す」試み。 「かくして法の根底には占有という原理が潜む。占有という価値理念が底を流れる。」(木庭顕『ローマ法案内-現代の法律家のために』61頁(羽鳥書店,2010).

最近の記事

  • 固定された記事

シェイクスピア(安西徹雄 訳)「ヴェニスの商人」より/未知への一歩、ずれ込む一歩

〔シェイクスピア(安西徹雄 訳)『ヴェニスの商人』(光文社古典新訳文庫,2007)の内容に触れますので、この点ご留意願います〕 シェイクスピア(安西徹雄 訳)『ヴェニスの商人』光文社古典新訳文庫,2007 *以下「同書」は本書を指します。 1 はじめにこの戯曲は典型的な喜劇に属しますが(中村保男「解説」,シェイクスピア(福田恆存 訳)『ヴェニスの商人』184頁,新潮文庫,2014)、シャイロックからすれば悲惨極まりない悲劇的結末を迎えます。 捻じれた各自の声が、また心の

    • ◆個別性は無限の内包を有することが分かる動画(ただし、比喩的に捉え、敷衍する必要がある)。 https://www.youtube.com/watch?v=paCGES4xpro 同動画は安西洋之(ビジネス+文化のデザイナー)さんのnote記事https://comemo.nikkei.com/n/na5d94072b02c に教えていただいた。

      • ◆「文学的営為の基本」(木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』42頁)を読む際には気をつけてきた。だから文学作品の登場人物に共感できるかどうかはほとんど関心外である。『カラマーゾフの兄弟』を何度も読むのは、アリョーシャやイワンに共感するからではなく、問題を精度高く感知するため。

        • ◆法学部時代に最も感銘を受けたのはフリチョフ・ハフト『レトリック流法律学習法』であった(ただし現代の司法試験には必ずしも適合しない)。ハフトの構造思考や通常事例方法は、エリック・ヒンゲンドルフ「「法的レトリック」には何ができるか?」『掘り出された術・レトリック』で論及されている。

        • 固定された記事

        シェイクスピア(安西徹雄 訳)「ヴェニスの商人」より/未知への一歩、ずれ込む一歩

        • ◆個別性は無限の内包を有することが分かる動画(ただし、比喩的に捉え、敷衍する必要がある)。 https://www.youtube.com/watch?v=paCGES4xpro 同動画は安西洋之(ビジネス+文化のデザイナー)さんのnote記事https://comemo.nikkei.com/n/na5d94072b02c に教えていただいた。

        • ◆「文学的営為の基本」(木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』42頁)を読む際には気をつけてきた。だから文学作品の登場人物に共感できるかどうかはほとんど関心外である。『カラマーゾフの兄弟』を何度も読むのは、アリョーシャやイワンに共感するからではなく、問題を精度高く感知するため。

        • ◆法学部時代に最も感銘を受けたのはフリチョフ・ハフト『レトリック流法律学習法』であった(ただし現代の司法試験には必ずしも適合しない)。ハフトの構造思考や通常事例方法は、エリック・ヒンゲンドルフ「「法的レトリック」には何ができるか?」『掘り出された術・レトリック』で論及されている。

        マガジン

        • メモ
          270本
        • 個人的音楽室
          12本
        • 探訪 言語哲学‐言語技術、知の技法. etc
          13本
        • 法律家 文学を読む
          19本
        • シリーズ「判例分析 占有原理の鐘が鳴る」
          9本
        • 反効率的学習のための法律学入門
          11本

        記事

          ◆「プロクルステスの寝台」という陥穽 偏狭で単調な論理や言葉は、豊饒な現実を捉えられないと、突如反転して現実の方を間尺に合うように縮めたり伸ばしたりしてしまう。そうではなく、創造的な論理や言葉を工夫し、豊かな現実に挑むこと。虚項を実項へあぶりだすこと。この創造的生命に自由がある。

          ◆「プロクルステスの寝台」という陥穽 偏狭で単調な論理や言葉は、豊饒な現実を捉えられないと、突如反転して現実の方を間尺に合うように縮めたり伸ばしたりしてしまう。そうではなく、創造的な論理や言葉を工夫し、豊かな現実に挑むこと。虚項を実項へあぶりだすこと。この創造的生命に自由がある。

          ◆木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』を所々読む。私自身は読み解く基礎を欠くが、問題群が透徹した眼差しに射貫かれている。 「世界の現実の総体と対峙するという学問の基本姿勢」「古い時代から続いてきた知的姿勢の基本、とりわけ社会の圧倒的な潮流に一人で立ち向かうという基本」310頁

          ◆木庭顕『ポスト戦後日本の知的状況』を所々読む。私自身は読み解く基礎を欠くが、問題群が透徹した眼差しに射貫かれている。 「世界の現実の総体と対峙するという学問の基本姿勢」「古い時代から続いてきた知的姿勢の基本、とりわけ社会の圧倒的な潮流に一人で立ち向かうという基本」310頁

          ◆「私たちが日本語なら日本語とい言語体系にたよってものを言うとは、けっきょく無数の「日本語人」たちがもちいたことばづかいの集積を暗示的に無意識のうちに引用しつつ語る、ということにほかならない」佐藤信夫『レトリック認識』276頁 自然素の体と外部由来の記号で、自分が成り立つ不思議

          ◆「私たちが日本語なら日本語とい言語体系にたよってものを言うとは、けっきょく無数の「日本語人」たちがもちいたことばづかいの集積を暗示的に無意識のうちに引用しつつ語る、ということにほかならない」佐藤信夫『レトリック認識』276頁 自然素の体と外部由来の記号で、自分が成り立つ不思議

          ◆松浦好治『法と比喩』25頁等や植松秀雄「レトリック法理論―法の賢慮と法律学」115頁等でも佐藤信夫(レトリック論)は引用されている。レトリック論は豊饒な水源を有しているのに、今はまだ汲み出す作業に入ったばかり。法律実務家の眼から見れば、無尽蔵の探究課題が眠ったままである。

          ◆松浦好治『法と比喩』25頁等や植松秀雄「レトリック法理論―法の賢慮と法律学」115頁等でも佐藤信夫(レトリック論)は引用されている。レトリック論は豊饒な水源を有しているのに、今はまだ汲み出す作業に入ったばかり。法律実務家の眼から見れば、無尽蔵の探究課題が眠ったままである。

          ◆「二重分節」という比喩的ふくらみをも持つ概念がとても重要であるし有用だと思う。分節が諸項の接続秩序を生むところ、分節自体に自由が内在されているが、二重分節はそこにさらなる自由を加えることにつながる(もちろん、どの段階にも教条化という暗転の契機をもつ。これは避けられない)。

          ◆「二重分節」という比喩的ふくらみをも持つ概念がとても重要であるし有用だと思う。分節が諸項の接続秩序を生むところ、分節自体に自由が内在されているが、二重分節はそこにさらなる自由を加えることにつながる(もちろん、どの段階にも教条化という暗転の契機をもつ。これは避けられない)。

          ◆意識的・無意識的に行っている自身の方法論は、noteに書く等どんどん外部化・対象化していったほうがいいと思う。今の方法の内実をつかめるし、さらに練り上げ豊かにしていく必要も分かってくる。ただ、方法は例解とともに展開する等実技を示さないと、ほとんど心得レベルにとどまってしまう。

          ◆意識的・無意識的に行っている自身の方法論は、noteに書く等どんどん外部化・対象化していったほうがいいと思う。今の方法の内実をつかめるし、さらに練り上げ豊かにしていく必要も分かってくる。ただ、方法は例解とともに展開する等実技を示さないと、ほとんど心得レベルにとどまってしまう。

          メモ書き そのままお進みください論法/論証のレトリック

          0 レトリックの意味、定義 「レトリック」という言葉は、使われ方によってその意味なり定義なりがかなり伸縮するので、注意が必要である。 『レトリック感覚』『レトリック認識』(いずれも講談社学術文庫)の著者 佐藤信夫は、主として認識のレトリックに新機軸を見いだした。「発見的認識の造形」である(*「認識」という言葉は必ずしも適切とは思えないが、もっと広く心が感受するものを含む)。発見的・創造的な認識を表現するには、さらにいえば発見的・創造的な何かを認識するには、装飾品としてではな

          メモ書き そのままお進みください論法/論証のレトリック

          ◆Beethoven: Grosse Fuge in B Flat Major, Op. 133 https://www.youtube.com/watch?v=jeyDjb6E9eU 異形で劇的で好きな大フーガ とにかく聴く、とにかく読む、繰り返し。問題は何がそれに値すると直感できるか。澄んだ心なら直感できると思う。

          ◆Beethoven: Grosse Fuge in B Flat Major, Op. 133 https://www.youtube.com/watch?v=jeyDjb6E9eU 異形で劇的で好きな大フーガ とにかく聴く、とにかく読む、繰り返し。問題は何がそれに値すると直感できるか。澄んだ心なら直感できると思う。

          ◆虚数はつかみにくい対象であろうが、複素数平面にするとなぜか分かったような気になる。文章を書くとき、虚数のように背景や深部に潜在している事柄を、複素数平面にプロットしていくように分かりやすく言葉にしていくことができると自分なりに納得がいく。虚世界のものを実世界に化体させる作業か。

          ◆虚数はつかみにくい対象であろうが、複素数平面にするとなぜか分かったような気になる。文章を書くとき、虚数のように背景や深部に潜在している事柄を、複素数平面にプロットしていくように分かりやすく言葉にしていくことができると自分なりに納得がいく。虚世界のものを実世界に化体させる作業か。

          ◆諸項の接続秩序(多層多重で複雑な接続関係がある)をきちっと押さえた上で「仮設項」を想像していくことが、アブダクションや背理法(相手の論理を進めて矛盾や不合理な結論に落とす)には欠かせない。これらは訓練することができるように思うし、実生活にもとても役立つと思う。

          ◆諸項の接続秩序(多層多重で複雑な接続関係がある)をきちっと押さえた上で「仮設項」を想像していくことが、アブダクションや背理法(相手の論理を進めて矛盾や不合理な結論に落とす)には欠かせない。これらは訓練することができるように思うし、実生活にもとても役立つと思う。

          ◆ファウストは「時よ止まれ、お前は美しい」と言って肯定したかった。しかし「誰にも時は止められない」(Robert Nesta Marley)。 ゆえに原子の力を、すなわち何ものをも恐れてはならない。 説明は難しい。時の異名こそ生命であり、如如として来たるものだから。

          ◆ファウストは「時よ止まれ、お前は美しい」と言って肯定したかった。しかし「誰にも時は止められない」(Robert Nesta Marley)。 ゆえに原子の力を、すなわち何ものをも恐れてはならない。 説明は難しい。時の異名こそ生命であり、如如として来たるものだから。

          ◆Art Garfunkel - A Heart in New York https://www.youtube.com/watch?v=V9qNjCgC49E&list=RDV9qNjCgC49E&start_radio=1&rv=b3SuYFYPe4Y 以前、ニューヨークに行ったときに頭の中で流れていた曲。

          ◆Art Garfunkel - A Heart in New York https://www.youtube.com/watch?v=V9qNjCgC49E&list=RDV9qNjCgC49E&start_radio=1&rv=b3SuYFYPe4Y 以前、ニューヨークに行ったときに頭の中で流れていた曲。