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◆クリプトメモリア(criptomemoria)無意識のうちに潜在している記憶.暗示攻撃・防御、分からなくても何度も読む理由、何かがあると直感しその方向へ行こうと思う理由等のベースにあるのだろう。*カルロ・ギンズブルグ「わたしはアルナルド・モミリアーノから何を学んできたか」参照

◆分節という営為の上で、行き詰まりを踏破する新生的な自由のためには、諸項の接続秩序を静的固定的に仮定したうえで、現実の実相(無限の内包、生成変動する流動性)に対応し、ダイナミクスを打ち込む必要があり、その点に永遠の希望という光が見い出されていく原理的根拠があるように思われる。

◆今の法学部生(広く学生)が羨ましいのは、木庭顕『法学再入門 秘密の扉―民事法篇』(有斐閣,2016)を読めることである。じっくり何度も読み、何かを感知し無数の問いが自らの中に立ち上がるのを感じ、諸方面に探究作業をすることができること、その発火点を得られることは素晴らしいことだ。

◆二つに分節(区別したうえで連結)する、ということが自由確立の基礎にある。事実(事実認識、存在)と規範(価値判断、当為)に分節する。主体と客体を分節する。主体はさらに精神と身体に分節する。現実原則と構成的解釈に分節する。記号と指向対象に分節し、記号はSaとSéに分節する等々。

◆「謎掛け・謎解き」は、厳密方面に行けば学問や法廷等となり、気楽方面に行けば推理小説・クイズ等となる。しかしC・ギンズブルグは、シャーロック・ホームズの方法を19世紀末頃の推論的範例の一つとし、これを長大な歴史を持つ思考類型の系譜に位置付けた。こうした自在な横断的知性が好きだ。

◆カルロ・ギンズブルグの手法とアブダクションの関係等についての文献・資料

ウンベルト・エーコ他編『三人の記号 デュパン,ホームズ,パース』東京図書,1990

鈴木良和「エドワード・ミュアー「導入部―細部を観察する」(1991)」先端課題研究19文献レビュー(歴史学)

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◆発見的認識の造形という佐藤信夫レトリック論の視圏は、対象を捉える新しい眼を示唆する。贅沢品たる修飾のための修辞概念を優に超え出て、現実という無限の内包の豊饒性に対応するように、無数のロジック展開(これは諸項の接続秩序の様相の一部)の在り方の一部、特に新生的局面に位置付けられる。

◆訴訟等法実務に飛び込めば、狭小で単調な実証主義的姿勢はすぐに行き詰まり、懐疑から楽天的に至るナラティブ的姿勢はお呼びですらない(これらが結局は「力への信奉」を生むことは興味深い)。そこで徴候からの推論的範例・徴候解読型パラダイムを駆使するのであるが、方法論の蓄積は十分だろうか。

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◆「《あらゆる発言ないし批評はその正面に被批評対象の像を描き出すと同時に、背面には当の批評者の姿勢をありありと描き出す・・・》という言語の必然の作用…」(佐藤信夫「消滅したレトリックの意味」『レトリックの消息』47頁,白水社,1987)。逆なでに読む、つまり読むときの基本。

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◆「もし文法を越えた普遍性をひそかにはらむとすれば、それは、レトリックがじつは文法より上位の文法、けっきょく言語の記号学をわれ知らずにのぞんでいたということではないか。きっと、そうだ」(佐藤信夫「隠喩と諷喩と書物」『レトリックの消息』153頁,白水社,1987)。

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◆要件・効果モデル【法律要件に該当する事実があると法律効果が発生する】は、事実と規範を二分する。規範(法ルール及びこれを統御する法原理)面から趣旨からの法解釈、事実(法的視点から整序)面から事例比較による法解釈。全体的整合性を要請する構成的な方針をとり、根底に占有原理を置く。

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◆ 事実認識の精度.現代の知見においては事実から規範は導出できないとされているはず(事実認識と価値判断の峻別)。他方で両者が無関係であるともいえない。異世界(人に幼年期がない、豊かな土地や綺麗な水が非希少、5分は時間を巻き戻せる等)では、今とは全く違う生の規範が生まれているはず。

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◆占有・暴力モデル【Aがαと高質(緊密、明快、良好)な関係にあるとき、これにBらが曖昧不透明に介入しようとする場合、後者を直ちに違法とし前者をアプリオリ(権原や来歴を問わず)に守る】は、暴力(実力 vis)の対義から、高質な言語使用(契約、政治概念が裏打ち)が発展的に導かれる。

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◆諸項の接続秩序は最も単純に分けても三層、すなわちシニフィアン・シニフィエ・レファランの各層。これに事実認識と価値判断という相と、現実(仮構現実を含む)と虚構という相を加える。ダイナミズムを加味すれば、諸項の切り結び(狭義)や項融合・項分裂などによる新生的局面。つまり非常に複雑。