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18禁小説 邪道勇者 再まとめ版 (再掲載)

作品テーマ 非人間讃歌

ジャンル  犯罪子守狼、育成記
      または、犯罪社会風刺小説

••••••犯罪ファンタジー、これだな!!


前書き

この物語はおひねり制だ。金のない奴は読むんじゃない。

美人に興奮(男女問わず)し、その対価として金貨を投げられる紳士だけ読むといい。無論、作品の「悪意」だけは保証しよう。


少なくとも、人類史史上、過去未来現在において「並ぶもの無し」と、断言できる出来なのは確かだ。他にいるなら連れて来い!!!



簡易あらすじ

仕事に精を出しただけなのだが、平たく言えばサツには嫌われ衛兵に物を投げられ若い女に手を出そうとすると、エルフ耳の青髪娘にゴミを見る目で見られる物語だ。


分かり易いだろう?



著者紹介

邪道作家シリーズ

1 作品概要及び分割版(多い為)リンク 読み易さは横書き基本執筆の為こちら

2縦書きファイル(グーグルプレイブックス対応・ただし、元が横書き記事なので、読み易さは横書きか)

3本編記事


1分割版記事リンク

マガジンによる分割版まとめ


2 縦書きファイル グーグルプレイ対応 栞機能付き(右上)


3本編横書き




人妻に手を出す。他に何がある?

世界を救うなどというのは、当然の事だが利益を求める組織都合だ。純粋にそんな妄言を信じる奴がいるなら頭の病気を心配しろ。

無論有料だ、金は貰う。

黄金色のお菓子も用意せずにやれ「悪辣なゴブリンを殺してくれ」だの「エルフの知性は脅威だから殺すべきだ」などと言われたところで、それが私の懐事情に影響する部分がどこにある?

当然、金、女、そして名声の為にこそ、喚く異生物を殺す価値がある。

私に言わせれば、金にならない殺しなど遊びだ••••••大義の為だとか世界の平和だとかほざく暇があるなら金を寄越せ。相手が人間でもエルフでもゴブリンでもドワーフでも、何なら神でも仏でも魔性だろうと皆殺しにしてやる!! 大体が世界が平和になってしまうと、私は指名手配犯で死刑だろう。

その自覚はある。安心しろ!!

とはいえ、そこはそれ。自覚した上で紛争に介入し、殺しで利益を得るのが私には都合が良いというのは確かなようだ••••••200年前の大戦争から人間は非人間種族を奴隷として活用してきたが、そういう意味では見た目だけでも、人間として生まれてきたのは朗報と言えた。

中身は全く別物らしいが、安心しろ!! 人間は表面だけしか決して見ない。

実際、エルフにも良い女は沢山いるので絹の如きスカートの触り心地から始まり、太ももを味わい蜜を拭う。それら男なら歓迎すべき経験のない人間種族の男というのがどれだけ多いことか!! 思うに、人間がどうのほざく前に、雄として使命を果たした方が良いんじゃないか?

この200年の間に幾度となく連中は反旗を翻してきたが、恐らくは私のように女を愛する勇猛果敢な殺人鬼の手によって人類は勝利を掴み取り続け、今日の体制があるわけだ。理解したか? 無論、連中から吸い上げた文明力資金力人材力により、私が今いる大江戸絢爛魔界と呼ばれる木造建築物溢れる南の町には港には船が並び商店街には和気藹々とした歓声に溢れ、その一方で貧困街••••••今まさに私がいる場所なのだが、においてはひったくりが横行しエルフの女に夜中に刺され(かけたが何とか鼻骨に拳をプレゼントした)盗品の売買に精を出す不埒なエリンジェットというゴブリンには値切り交渉を打ち切った。

勘違いされる前に言うが、私は女性差別に興味はない。むしろ、どこでも同じだ。わかりやすく表に出る差別に女が多いだけで、実際男奴隷は非常に多い。そういう連中を好き好んで飼うのはむしろ「女性の権利解放団体」の責任者だったり「高潔な政治理念により体制を変える」と言い張る政治家だったりするのだから、彼らが如何に若い少年少女に乗っかるのが好きかを実際に見せてやりたいものだ。

どこでも「同じ」だ。権威があれば、許されると思い込む。

そんなものだ。生憎私に権威などあった試しがないので何が楽しいのかは知らないが••••••楽しいと言えばむしろ、そういう連中を強盗のついでに助けたりすると、連中は好き好んで私の犯罪を手伝い嬉々として人間を殺し出す。不思議な事に私が「同じ人間だ」と、何度も教えても誰も信じようとしないが••••••中には失礼な輩もいて「貴方は、人間社会に混じった邪悪、我々に味方する悪魔だ」などと小娘のくせに言い放った。

失礼な女だ。たかが悪魔と一緒にしないで貰いたい。

私は己の利益の為なら人類社会の未来だろうと、星を救う聖剣だって売り飛ばす。

それがたまたま奴らの利益に変わるだけだが、しかし人間と違い連中は純朴過ぎるので「扱い易さ」から重宝した。

案外、次は連中の為に戦争をするかもな。

夢も希望も無い話だが問題ない───私に言わせればそれらは金で買うものであり実際に挑めば誰も支援しない。実体験だ保証しよう。問題なのは、あるかのように見せかけだけ用意し宣伝とか要領の良さで広める能力であって、事の本質などどうでもいい!!

なに、問題ない。自分で言うのも何だが私には文章力がある。この執筆能力を活かせば実態が何であろうが人々の理想の勇者を描き、数々の犯罪証拠を隠しながらも民衆に宣伝することが可能だろう。

ありもしなくていいのだ。実際には気に食わない砦の主人を夜中に門番を殺しゴブリンの群れが入るように仕向けたりもしたが、良いとこだけ抜き出せば「卑劣極まる連中の刃に倒れた上官の意志を継ぎ、人類の未来の為に私は戦う」とすれば栄誉栄達はお手のものだ。

ちなみにそれで将軍の座を手に入れた。勿論、一度二度では難しかったが、何でも経験と実績だ。このジャック・フォックスの手に掛かれば聖人だろうと犯罪者に仕立て上げるし、神仏だろうとお尋ね者へと変貌する。

任せておけ。金次第で貴様らも昇進させよう。

依頼料は金貨50、いや70枚か美人二人だ。無論、人種には拘らない。

ああ、ただしゴブリンは不潔だと困るぞ。風呂にだけは入っておけ!!

安心しろ••••••貴様らが何の種族だろうと、安心と信頼のフォックス社にかかれば人間だろうと王族だろうと皆殺しだ。政治事情には一切囚われず、どんな依頼でも引き受ける。

特に王族の誘拐は得意だ。相手が人間でも任せておけ!!!

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無論、金にならない訳がなかった───法を守りさえしなければ。

エルフだのドワーフだのが何匹いようが関係ない。要は売り飛ばせる女が増えて、窃盗に加担させる男の数が増えるだけだ。何にしろ法律というものは政府を気取る利権集団の都合であって、あちらも犯罪者なのだから守る必要は別段あるまい。

超大陸だか何だか知らんが北に金持ちがいて西に異民族••••••主にエルフが美人でそれ以外に抱ける女がいるかは謎という地域があり、南は知っての通り犯罪者連中の巣窟で栄えていると思えばいい。

東は? あちらはあちらで、人間サイドの犯罪集団の巣窟だ。具体的に言うなら、リィン・ウィン・ツォンのような麻婆豆腐発祥の地から無機質極まる無表情美人が多くいて、汚い戦い方に長けている。思うに、連中は不感症か痛覚が存在しない。でなければ床上手なのは技術だけだ。ああいう女と一夜を共にしたことは幾度でもあるが、しかし満足に達したかと言えば甚だ疑問だ。

何せ、三回に二回は刺されるからな。

その点、エルフ女は素直だ。つい最近小間使い、というか子供の立場を利用しての犯罪行為への加担のために猫耳小娘を雇ったのだが、差別主義には強く反対するが犯罪への抵抗は一切無い。曰く「自分達を虐げる害獣の気持ちなんて知らない」とのことだ。

私も人間なのだが、やれやれ。何度言っても信じない。

無論、非人間である自覚はある••••••何せ、それを利用して戦いに勝ち抜き、将軍の座まで駆けたのだ。具体的には他の出世頭を何人、あるいは何十人、どころか、軍単位で見殺しにしたりしたかもしれないが••••••証拠は地下深くの墓の中だ。

エルフも人間もドワーフも人間も、政府関係者から貴族の夫まで殺して娘を頂いたりもしたが、一応人間側と言えなくもなくもない。そうは思ったもののどうもこの小娘は聡過ぎるようで、私を「利用出来る猛獣」の如き扱いをすれば故郷の復讐に使えると気付いたらしい。

賢明な判断だ。賢明すぎて、逆につまらないが。

やはりというか、もっと賢明さを失う民衆の嘆きの方が見応えがあるものだ。私の体験談で言えば会社の計画に穴を開けた挙句、好き放題利益だけを強奪して安全な場所から酒でも飲みながら眺めるのが正しい。大体が金なんぞ人間の作り出してる紙であって、一時のスリルに比べれば安いものだ。

死なない、と連中は思ってるらしい。常に死にかける私には、縁遠い感性だ。

さて、そんな南の街で、それも貧困街で何をするか? 当然、売春宿の見回りに、賭博方面の管理運営。果ては店の警備料の回収から敵対組織への啓発など様々だ。一番多いのは人間かエルフかドワーフかという差別問題の喧嘩、ではなく売春街で未払いの酔っ払いだの賭博に興じたが金は無かったと抜かす不届き者への制裁だ。

逆に、差別問題は恐ろしく少ない。
連中の組織も、ここにはあるからな。

エルフ連中は売春街を仕切りつつ違法魔術の独占に走ったし、ドワーフはといえば禁止されている古代技術の再発見に余念がない。おかげで政府には禁じられているものの有効な武器が安く買える。私自身も当然その恩恵を受けているし、魔術だのは知らないが武器弾薬に関しては軍より多い。

禁止魔術は知らん。私に知力ステータスがあるとでも? だから小娘を雇ったのだ••••••名前すら知らないが、適当に犬千代(たまたま見かけた歴史書に載っていた名前だ)と呼び捨てたところ、本人はそれを気に入ったようだ。

青い髪に猫の耳、スタイルは小娘らしく、会った時は布しか着てなかったが、今は稼ぎが良いからそれなりに良さそうな革製のサバイバルジャケットと硬いスボンを着ているので、お洒落よりも実用性が好みらしい。

私の知る限り、切れ味の良いナイフを懐に入れて、スボンに小銃を幾つか隠し持つお洒落など存在しない。余談だが、声を掛けた人間の男は下の方を切り取られた。その後、訴えると言い出した男は行方を知らない。

ここはそういう街だ。覚えておけ、この辺りでは人間の法律は存在しない。

それこそ歴史の面で言えば人間は勝利を収め、世界の覇者になった筈だ。しかし、依然として権力者というのは自分の事しか考えない愚か者の集団なので、統治下にあると言い張る地域はこんなもの。未だかつて数多くの歴史書を読んだが、政府に「平等な社会」とやらを提供された歴史を私は知らない。

なので、平常運転だと言えるだろう。無論、平時から世界はこんなものという意味だが。
「おい、これからどうするんだ」
青い眼に青い髪で睨みつけられるとギョッとするのは最初だけだ。私はもう慣れているが、慣れないのはこいつの反応だろう。というのも、ガキというのは何であれすぐにキレる———それが妥当な判断であっても。

この前など「お前の貧相な身体では無理だ」と真実を告げてやっただけなのだが、あろうことかナイフを突きつけ「捌いてやろうか?」と魚料理の職人もかくやな、熟練の腕を見せつけた。
なので、ここは慎重に応対しよう。
それだけでも金を払って欲しかったが。
「まだだ。中華連中の支払い徴収代行が残っている」
連中は東の方でそのような国を名乗り始めた。それが何の意味があるのかは知らんが焼き飯だの餃子だの飯が美味い事だけは確かだ。
無論、毒物に関しても多かった。
「あいつらの仕事なんて受けるのかよ」
と、やる気は無さそうに犬千代は言い放つ。身体全体で「やってらんねー」とでも言いたげだが、小娘のくせに文句の多い奴だ。大体がそのナイフ、一体幾らしたと思っている。

あれも中華製だ。塗っている毒もな。

「報酬は良い。流石アヘンをばら撒いているだけはある」
私はいつも通りの革ジャンに軍用ズボンだ。全身真っ黒でセンスは無い。それより実用性だけが肝要であり、具体的に言うと血が流せる。
防弾性、防刃性、共に最高峰だ。
異性を口説くのにもこの格好で行かなければならないのが悲しいが、また背後から刺されたくは無いからな。実際、お楽しみの最中ほど無防備だと噂が立てば、頼みもしない美人から声が掛かるものだ。
「薬物ねぇ••••••俺は賛同しないな」
「そうか?」
真っ当な感性だ。それでは早死にするぞ。
いつも言っているのだが、根がお嬢様なのかどうも垢抜けない。
「この辺では、いや、どの時代においても••••••政治資金は裏金で解決するもので成功者は薬物を好むものだ。その程度の常識に馴れなければ、人間への復讐なんぞ夢物語で終わってしまうぞ」
無論、私は別に、失敗しても構わないが。
小娘の復讐など、金にならないしな。
「わぁってるよ」
杜撰な話し方は板に付いてる。ナイフ裁きも同様だ。ただ、感性だけは違うらしい———これも育ちの違いだろうか?
私は別に、生まれた時からこうだったが。

対して、この小娘は違った。具体的に言えば貴族令嬢らしい淑やかな性格だったのだが、私がこの町で生き抜くならとエリート教育を施した結果として、今の人格があるわけだ••••••我ながら教育の才能もあったとは。

一ヶ月80万でいい。お子さんを預けてくれれば、数ヶ月で名の売れた悪党だ。

とはいえ、その必要は無いだろう。悪党の秘訣は独占するものであって、売り物ではない。第一、商売相手が増えたら困る。なので我々は東の国、主に毒物と料理に詳しい連中とも馴れ合いはしない。連中がどれだけ残忍か知っていればその気分にはならないだろう。と言うのも、生きたまま生皮を履く程度でなく脳味噌を直接にいじるのだ。

どうなるのか? 想像するのはやめておけ。

針を逐一差し込み「えっえっ」とか変な奇声を上げつつ拷問を受ける姿など、別に思い描いても嬉しくあるまい。それより、売春街の繁盛ぶりの方が賢明な読者には人気がある。教師や医者、時には鞭を用意するあらゆる中華美人は評判が高いので「過ぎ去った思春期」を「豊満な肉体」で再現して欲しければ東へ行け。
そこに、楽園がある筈だ。
無論、代金は安くない。生半可な金額では前払いにはならないので、無くなっては困る「何か」を売る羽目になる。具体的には庶民の年収程度は欲しい。それくらいの金があるなら、あちらでもお楽しみは続くだろう。

「それで、どうすんだよ」
「急かすな。我々はまず、繋ぎ人と会わなければ交渉できない」
要するに仲介人みたいなもので、あちらとこちらの通訳の代弁及び、報酬などでも橋渡し役を務める奴らだ。とはいえ、報酬をピンハネした輩がどうなるかといえば当然ながら時に切り落とされ、時に生きたまま火葬されるとだけ言っておく。
歩を進めて我々は南の街の中でもさらに物騒な地域へと足を運ぶ。この辺には魔性と呼ばれる鬼だの何だのという生き物も発生し、気まぐれに人間を襲うのも特徴だ••••••慣れているので片手間に斬り殺し、焼いて食った事もある。

なかなか、美味かったぞ!!

鬼というのは赤い肌にツノまで生えているので見た目はアレだが、やはりゲテモノほど食えば美味いらしい。私は頻繁に連中の肉を食うので、知らぬ間に影響を受けでもしたのか割と頑丈になってしまった。
ちなみに、犬千代はというと、「死んでもゴメンだ。お前みたいな化け物と一緒にするな」とキレられた。やれやれ、何がいけないというのか。
「おい、そろそろだぞ」
「わかってる」
我々は大概らしいが、向こうは向こうで相当だ。何せ、鬼を使役しエルフドワーフどころか、人間の政治家に神の一部まで眷属らしい。
そこまでの悪党は中々いない。どんな世界であれ、恐れられる奴はいるものだ。
それが英雄ではなくともな───我々は待ち合わせていた浮浪者に見せかけている繋ぎ人の中華人と交渉し、大きな屋敷に案内された。

いやこの場合、魔物の潜む城だった。

  2

 

女は嘘をつく。当然だろう。

とはいえ、先ほどまで罵詈雑言の嵐だった小娘が、まるで貴族の令嬢のように丁寧な、というか猫を被って一人一人名前を覚えているのか挨拶をする姿は「異様」としか言いようのない光景だ。

東の国の中華人も、悪い気はしないのか鼻の下を伸ばしている。

犯罪者であれ、小娘の愛想に弱いのは同様らしい••••••その小娘が小銃とナイフを隠し持ち、挙句下の方を何度も切り落とすような輩とは思わないのだろうが、手法としては割とよくあるやり口とも言えた。

油断を誘い、背後から刺すのは常道だ。無論、ここの管理人であるチン氏は枯れ木のように折り曲がった肉体ではあるが、その眼光は鋭く60年を生きた老体だとは思えぬ程に禍々しい雰囲気を出していた。

まるで、折れ曲がった背の魔物のようだ。

向こうの装飾なのか金と赤の入り混じった派手な服装をしており、血が混じってもおかしくなさそうな上品な色で飾っている。だが派手なのに単純な作りで、どうも無駄な装飾は嫌いらしい。私の刀は東洋風に装飾して貰ったのだが、その辺の趣味は違った。

どうも、一族の誇りがあるようだ。私の刀は彼らの文化とは違うので、斬りやすさを重視した切り捨て御免の細くしなやかな人斬り包丁。当然毒も塗りたかったが、やはり大物を切り殺す快感が欲しいのだから毒を借りるのは主義に反する。
だが、彼の目線が冷たいのはそれが理由ではあるまい••••••どんな場所でも冒険者が「初めてのお使い」を受けるように、私も彼らの依頼を以前に受けた。内容はというと「隣町の領主を始末しろ」という、真っ当極まる簡単な依頼だったのだが、それを派手にやり過ぎたらしい。

何せ、衛兵含め五十七人も殺したからな。

結果、街の警備は強化され彼らの仕事はやり難くなったという訳だ。ミスターチンはともかく下っ端に対する愛想は犬千代がしてくれたが、完全に友好的にとは行かないだろう。

やれやれ、何が悪いというのか。ちゃんと領主は殺しただろうに••••••こんな迷路みたいな城にまでわざわざ出向いてやったのだ。それだけでも感謝してほしい。
「そこの」
と、チン氏は声を響かせた。以前ソプラノ歌手から強奪する依頼を受けたが、その声と比べてもチン氏は響く。何か仕掛けでもあるのか、聞けば聞くほど犯罪に対して罪悪感が消えると評判だ。

最も、私には最初から無かったが。

「小娘は大丈夫なのか」
と端的に彼は言った。今回の顔見せは初めてなのだ。私自身はともかくナイフ術を仕込んだ犬千代はだからこそ愛想をばら撒き「使えるかどうか」の面接と言える。
最も、経歴など詐称すれば良さそうなものだが••••••生憎と、表社会ならともかく裏社会においてそれは通用しない。徹底的に調べ上げるから、ではなくそんなことせずとも「気配」で大体分かってしまう。

殺し慣れた雰囲気、とでもいうべきか。

ちなみに、私は入るや否や「貴様は化け物だ。自覚はあるな?」と、割と失礼な事を言われた。面接とはいえ言って良い事と悪い事があると思わないか?
全く、誰が化け物か。その程度に思わないで頂きたい。余談だが私は邪道作家シリーズという書籍を執筆しており、むしろ文学情緒溢れる殺し屋と言えよう。
最も、作品の大半は「有害図書」として大陸中で指名手配になったが••••••連中の感性は古いらしい。
なので、私はこう言った。
「問題ない。そちらとは違って、寿命で死ぬ心配も無いしな」
失礼な、とかなんて恐ろしいことを、とか周囲の部下共が喚いたものの、別段我々は友達になりに来た訳ではないのだ。あくまで仕事であり、馴れ合いではない。
「そうか」
とだけチン氏は答える。相変わらず無駄のない御仁だ。
「であれば、問題ない。次の仕事を依頼したい」
「誰を殺すんだ?」
手っ取り早く、私は聞く。破壊・殺人・強盗・強奪・誘拐・窃盗・あるいは国家の転覆に加担とかであって、政治家を斬ることはあれど民衆の解放のためだとかで、我々が仕事をすることは恐らく無い。
多分、未来永劫無いだろう。
であれば、回りくどいやり口に意味はあるまい。さっさと本題に入るべきであってそれ以外は回り道だ。思うに、遠回りが近道だとかいう戯言をほざいてる暇があるならさっさと金を払って殺せばいい。
「いや、今回の依頼は殺人ではない。誘拐だ、ジャック」
「そりゃ、有難い」
誘拐依頼は相場が高い。具体的に言うと殺人は高くても二千万だが、誘拐なら八千は下らない。というのも、貴人の誘拐には政治まで絡む事が多くて、組織が大金を払わざるを得ないのだ。

なので、大歓迎と言えた。思うに、むやみやたらと人を殺すのは反対だ。殺しては身代金が取れないからな───何であれ、使える資源は使うべきだ。衛兵を何人も殺した私がいうことでは無いかもしれないが、しかし人間の命はそれなりに使い道がある資源であって、意義もなく使い捨てるのは資源の無駄だ。
であれば、活用して然るべきだろう。
「それで、誘拐する相手は誰だ?」
「人ではない、ジャック」
人ではない。猿か? いいや、猿を誘拐するのに彼が私を呼び出すとは思えない。というより、やかましい猿の回収に行くなら私よりむくつけき中華人共が棍棒での気絶に追い込み、その上で檻にぶち込むだろう。私ではない。
「面白いな、人でなけりゃなんなんだ、博士」
「神だ、ジャック。我々は神を誘拐しなければならない」

 

犯罪に貴賎はない。何故なら、不可能への挑戦だからだ。
できる筈がない、と言われればやりたくなるのが悪党であると言えよう。神々には嫌われ人間には貶されそれ以外───ドワーフ連中だのの異民族にも当然のように指名手配を受けている。何故か? 不可能へ挑戦したからに他ならない。
具体的には王族の宝物などという分かり易い宝、ではなく人間の内務省機密を盗み敵国へと売買。その上で敵国の機密を奪って人間社会へと売り渡した挙句、それを「敵国の仕業である」と双方へ言いふらした。
結果、ちょっとした紛争にまで陥ったが私には関係ない••••••後から真実が明るみになったところで、頂いた財貨は使い果たした。大体が戦時における正しさなんぞ根っからの悪党に聞くべきではなく、人間の正しさは人間が勝手に信じればいいしエルフだのが異民族らしい正しさを盲信するならそれはそれで連中の勝手だ。
だが、生憎と非人間である私にとって、必要なのは「金」だけだ。
なので、その辺は私の著作を見るといい。確か3巻辺りで「聖人の金銭変換法」が記載されていた筈だ。邪道作家シリーズは大陸全土で発禁の憂き目にあるが、もし手に取る事ができれば幸運と言えるだろう。
何せ、禁則事項だらけだからな••••••およそ、口にするべきでない事だけが載っている───それは神々の騙し方然り、連中がどんな人間に味方したがるか、如何に連中を騙し切れるか、あるいは差別意識の利用の仕方に犯罪の秘訣まで様々だ。
とはいえ、神そのものや連なる者から盗むだとか殺すだとかは割と書かれているが
「神を誘拐する」というのはまだの筈だ。詐欺で騙す話は既に書いたので、それと違う内容であればやりたいと思う。
最も、誘拐した神が協力的とは思えないので、取材になるかはわからないが。
博士、チン氏は勿体ぶって講演を始めた••••••案内されたのは割と狭い部屋だったため、居残りで講義を聞かされる気分だ。座らせれた椅子は硬かったから、実際にここで快適でない犯罪講義を他の連中も聞いたのだろう。
やれやれ、年寄りは講義が好きだ。披露したくてたまらない。
それが犯罪の元締めも同じとは。案外、人間の本性は同じなのかもしれない。
「神と言っても、今はまだ人のままだ。神になる前に奪還したい」
「どういう意味だ?」
彼は地図を黒板に書いて、注釈を加えつつ説明を始める。
「ここよりやや西、国境沿いにアルデントラという国がある。国土は約30万km2で文化的には衰退しているが、犯罪組織は旺盛ではない。衰える国には通常栄えるものだが、ここは国境警備隊が内部鎮圧に乗り出し徹底抗戦をしているからだ」
何でも、反発する国民を撃ち殺すだけでなく、暗い洞穴の中に放り込むのがそこの兵隊の仕事らしい••••••私も同じ独房に入れられた事があるが、上から藁で完全な暗闇にすべく光を塞ぎ、掘り出した穴の中へと入れるのだ。
結果として高潔な精神の持ち主ほどすぐに壊れてしまうのだが、暗闇というのには悪党は慣れており、偏屈な人間ほど恐怖など感じない。どれだけ長い間暗闇の中に放置されたところで、出た暁には見張の兵士を殺す体力だけは残っている。
それでも、アルデントラには行かないだろう。ゴブリンもドワーフも臭くてたまらないし、美人どころのエルフはそんなところにはいない。飯は不味いし文化も衰退しているのなら、住むべき価値はあまり無い。
「だが、そこで現人神信仰が押し進められている。簡単に言えば生まれ変わりだと連中自身は信じており、象徴として祭る為だが実際的な力ではなくあくまで自由の象徴として、国民の団結を恐れるだけだ」
「それの何が問題なんだ?」
にやり、と口元の右だけを動かした。断言するが、子供が見たら泣き出すのは確かだろう。博士がこんな人の目を避けた場所にいるのは、見た人間が恐怖して恐慌を起こすからに違いない。
「問題だとも。何せ宗教というのは実に厄介で、西半分の大半がその象徴としての神を信じているからだ───ジャック、君のような単独で生きる化け物には理解がし難いかもしれんが、人間にせよドワーフエルフにせよ、団結するには空想が必要であり、現実逃避の戯言を殺戮の動機とするものだ••••••簡潔に言えば、連中には「戦争の火種」としての象徴が欲しいという事だ」
戦争、確かにそれは厄介だ。エルフだのドワーフだのが自由を獲得しようがどうでもいいが、しかし半端に「平等な社会」とやらが維持されれば新たな軍権を握った連中が「国民の自由の為に」と幅を利かせた新たな犯罪組織を作り出す。
思うに、政府とは犯罪組織の延長に過ぎない••••••他に何かあるのか?
無いと思う。だからこそ、我々はそのような圧政に屈したくないのだ。であれば、神の依代の一人二人別に構うまい。例えそれがどれだけの正当性を謳ったところでとどのつまり「暴力で押し付ける」のは同じだろう。読者の為でなく己の為に書いた作家のように、誰であれやりたいことをやるだけであってそこに「善悪」など存在しない。
正しいとか、正しくないとか。そんなのは金次第と言える。
現に、連中も戦争に必死らしい。異民族として人間以外が弾圧されてから随分経つが、何であれ弾圧されれば反発するものであり、結果戦争にまで発展した。
それも何度もだ。その度に誰それの仇だとか言いながらやってくる連中を殺したが生憎と個人的には覚えはない。あるのは、敵を斬り殺し生き延びてやった快感と、後は大物を刈り取った充実感に他ならない。
チッチと彼は舌を鳴らした。彼の癖だ••••••爬虫類みたいな動きにこの癖が加われば、誰だって彼を人間種族とは思わない。
ギロリ、とこちらに眼球を向ける。そう、目を向けるのではなく眼球だ。まるで、そういう生物であるかのようだとしか言いようがないのは確かな事実だ。どうにも人間というより低体温動物が近いらしい。
その内、水の中から出てくるんじゃないのか?
「いいかジャック••••••我々は彼らを利用こそすれ、彼らの独立を許してはならないのだ。もし、そのような前例を許して仕舞うと乱れた世が戻りかねない」
「あいつらが独立したくらいで、そこまで変わるのか?」
常に裏側にいる私にとって、表社会の影響は計りかねる。大体が政治家が何種族の何であれ、首を落とせば死ぬのだから人間でもドワーフでも神でも構うまい。
そう思ったのだが、どうも違うらしい。
「違うのだ、ジャック。彼らのやろうとしていることは「全体主義」「宗教による統一意志」であって、非常に厄介な現実逃避だ。これが実現されてしまえば、人間どころかその他全ての民族までが「平和」などという幻想を信じるだろう」
「世界が平和になるわけだな」
「そして、我々の収益が減る訳だ。なので、何としても依代を確保しろ。その上で必要であれば指示を出す」
これは初めてだ。大体が殺す奴は殺す。生かす奴は生きたまま連れ出して、麻袋を頭に被せて拷問を行い聞き出してから殺すのだ。しかし、生かすか殺すかも不明のままというのは、長い付き合いの中で初めてと言える。
不思議だ。標的が特殊なのか? 一応、私は聞いておいた。
「どちらだ? 殺すのか、生かすのか」
「向こうの態度次第だ、ジャック。あちらが協力的であれば我々の組織に取り込めるので、当座の安全と資金、仲間の命は保障すると伝えろ。見立てでは説得7割、始末が2割」
「残りは?」
「失敗は、貴様ならあるまい。なので説得8割としておこう。いずれにせよ今回は大仕事だ。早速現地に向かい、収奪を開始しろ」
収奪? 確かに私はいつも何かを収奪するが、現地に奪える何かがあるのか?
「簡単だ、ジャック。貴様の以前の仕事と同じだろう。民衆を虐げる衛兵から武器弾薬を奪い、まずは信頼を勝ち取ってこい••••••その上で、聖なる依代に接触し、今回の依頼を果たすのだ」

4

神や仏? 無論「競合他社」だ。

色々あるが、「逆らう奴らは地獄行き」という部分は共通であるといえよう••••••私自身も博士からの依頼でよくやった。具体的には取り分を納めなかったり報酬をがめた盗人に対して使うことが非常に多い。

大体が連中を真実信じている人間など存在しない。なぜ連中への信仰が叫ばれるのか? 簡単な話、力があるとされているからに他ならない。神であれば世界、仏であれば宇宙の支配者だったか? どちらにしろ「正しいと勝手に信じる」連中なりの価値観を世界に敷いて、逆らう奴は地獄行き。要は視野が狭いだけで、正しいと信じる子供だろう。

子供相手に本気になっても、仕方あるまい。

それに、連中は執筆に相反する観念だ。貴様ら「才能」だの「環境」だの「育ち」というものに恵まれた奴らが、胸を打つ傑作を書けるとでも?
土台、無理な相談だ。神や仏に愛されるとは、そういうことでもある。
悪魔は神に祈らないと言うが、私の場合祈る暇すら存在しない。とかく暴力の嵐の中に生まれ、害する畜生の相手を強要され、信仰に合わせてやれば「気に食わないから地獄行き」とでも言わんばかりに呪われる。

それで、連中を信じろとか言われてもな。

ちなみに、私自身すら過去なんぞ覚えていない。経歴は詐称するものだ。というか真実を語り続けていれば私のような奴は死しか無い。中身の無い詐欺商材を売り、人を騙す事が前提でなければ生きられない。
そんなものだ。恵まれた連中には分かるまい。
少なくとも、連中には「苦労」というものが足りないのだ。たかが人間社会に追いやられただけで泣き言を吐かす「暇」があったり、ボンボンのくせに少しばかりの社会の裏を眺めただけで、世界を救わねばと喚き出す。

その当人は、持たざる経験すら無いのにな。

私か? 幼少の頃は神童だったが、生憎と殴られ過ぎて悪くなった。脳が変容するまで殴られたおかげで、今ではずっと笑いっぱなしだ。昨日のことすら覚えられなくなったが、逃避して生きるほど暇でもない。

やれやれだ。現実には苦労なぞゴミ以下だな。

遠回りに意義など無い。楽して利益を得られるのが最上であって、タダ読みの読者のように、泥棒だけが人生だ。神だの仏だのがいるとすれば、連中の規則に則り如何なる利益を得られるかが肝だろう。
実際、そういう人間は多いしな。才覚だのに恵まれ神に愛された人間、試練だ何だと優れた加護を受けながら「超えられる能力に超えられる試練」という、気の抜け果てる試練で何かを成し遂げた気になる修行僧。

羨ましい話だ、暇そうで。

事実として言えるのは、仮に連中が「無力な一般人」であれば、誰一人目をくれず耳も傾けないのは確かだろう。別に、連中の言い分を信じている人間などいない。単に大きい力を持つ奴らが、蠅のようにたかられ貪られるだけだ。

そういう意味では私にとって───いや、控えておこう。

連中は器が小さい。すぐに呪い、正しい正しいと喚き出す。悪党との違いは自覚がないという部分だろう。私の場合正しいかなど知らん。それより、神の依代だかを誘拐する手立てを考えねば。
さて、どうしたものか。先に衛兵から奪えとか言ってたが。
しかし、「信頼を勝ち取る」というのは詐欺の常道を行く私には簡単だ。人間など表面しか見ないのだから、適当に望む事だけ与えればいい。
売れる作品と同じだ。望むだけで願いが叶うとか、楽して成功が掴めるだとか。
現実的な話を聞くと読者はムキになって激昂する。現実など誰も見ていないというのは成功者も落伍者も同じだろう。成功も落伍も運次第、だが才能があると「努力のおかげだ」と己の成功を「運が良かっただけ」とは思いたがらず、逆に落伍した人間であれば「願うだけで波動で変わる」と意味不明な逃避に走るものだ。

誰も現実を見ない世界において、現実を見るのは無意味で無駄だ。
実際にやった私が言うんだ、間違いない。

なので、神だか何だかは適当に利用すればいい。真剣に向き合う価値がないのは、読者も神も同じだ••••••私と犬千代はまずアルデントラに向かう道を二人して歩いていたものの、途中で関所が見える前に身を隠した。
当然、我々に戸籍は無いからな。
身分証は偽造だ。ちなみに学校だろうが国籍だろうが、あるところにはあるもので有名進学校の卒業証書は買うものだ。少なくとも私は買った事があるが、そこまで真摯に調べる奴は少ない。なので儲かったとだけ言っておく。

読者とは大違いだ。やはり、犯罪の方が儲かるな。

まともに、真剣に何かと向かい合うなど実際には徒労そのものだ。ああいう神や仏というのを信じる輩は「現実に向き合う経験」が足りない。どこかを楽してこその神仏であり、持たざる者は呼ばれない。
事実、見たことあるか? 病魔に苦しみ売上に困る神仏なんぞ見たこともない。
まして、経歴を詐称しなければ生き抜けない経験など、連中にはあるまい。だから奴らは駄目なのだ。なまじ、持つ側というのは単独でやり遂げる能力がなく、能力を剥げば無能だけだ。

我々は関所の門に近付く。大きさはちょっとした城くらいはあるので、力ずくでの突破は難しい。無論、火を放ち突破したことはあるが今回の目的は「誘拐」だ。
なので、穏便に行かねばなるまい。
面倒だが、周囲は崖だ。門は大陸と大陸を跨ぐように大きな橋の向こうにあった。というのも超大陸と呼ばれるこの(無駄に)大きな世界において、内陸は陸のみとは限らない。内陸に海が存在しても、広さ故に収まるのだ••••••分類的には池とも言えるが、大きさからしてそうは思わない。

何せ、国の一つ分はある。

なので、海だ───その海を跨いで関所があった。大きな橋をひたすら歩いて行くのは非常に疲れた。ここに住む羽目になるなら国外追放されて海に住む方を選ぶ。
門番は大柄だったが、私の説明には疑い深い目を向け何度も執拗な嫌がらせをしたくせに、犬千代が少し困り顔で「うちの身内がすいません」と謝りながら苦労話を(全て嘘だが)しただけで陥落した。

嫌な話だ。やはり、人も神も仏さえ、表面だけが「全て」らしい。

私の邪道作家シリーズも、やはり美少女が書いた事にしよう。読者が中身や本質を見ているとは思えない。表面に犬千代の顔と歌って踊れる作家だと言い張っておくだけで、喜び勇んで買われるのは確かだ。
犬千代は面倒臭そうに、「相変わらず、付き合いが悪いな」とぼやいた。

大きなお世話だ。表面だけ得意な貴様らと一緒にするな!!

全く、中身が大事だのと綺麗事をほざき表面で全てを判断する人間の方が、私からすれば気が知れない。第一、そんなだからいつまでも成長しないのだ。
成長したところで、金にはならなかったがそれでもだ。死ぬ寸前に後悔する奴等に今一瞬を「本気で」生きる観念はわかるまい。手抜きで足りない何かを得ようなどと••••••••••••図々しいにも程がある!!!

やれやれ、神や仏がいるなら阿呆であるのは違いない。現に、現世で成功している人間というのは阿呆ばかりで中身が無い。才能だの流行だの、薄っぺらいからこそすぐ忘れる。

才能や流行を除けば、何が残るんだ?

何も無いぞ••••••どれだけ成功を積み重ねようが、どれだけ栄華を極めたところで「自分自身」だけは誤魔化せない。その点、私は無念だらけだが後悔は無い。無論嬉しくもないが  ──────やるべき事を、やったのだ。
それが違法行為なのは惜しかったが、まあ法なんて人間の決め事だ。首を切り落とす事が栄達の時代もあれば、道徳倫理の時代もある。大体、表面しか見れない人間という汚濁相手に、真剣に向き合うだけで時間の「無駄」だ。

何せ、実際にやったからな!! その私が言うんだ、間違いない。

関所を越え、ある程度歩くと街が見えた。私は犬千代に呼びかけ、武器の確認と、当面の必要事項について考える。
「そろそろだな。まずは現地視察と行くか」
「ああ」
異論も無かったので、犬千代を後ろに町の入り口へと歩を進めた。

さて、神の機嫌が良ければいいのだが

引き摺り出されて処刑台の如き玉座の下に、冷徹な女の目線越しに拘束されるなどいつものことだ。
と言いたいところだったが、流石の私もそこまでじゃない。我々はまず情報収集、の前に着替えを購入して潜入した。というのも今回の目的は「潜入」と「誘拐」なので殺し屋と一発でバレる姿ではまずいのだ。

とはいえ、どうしたものか。軽く考えて私は革ジャンとジーンズに着替え、必要な道具(主に殺しの)に関しては上手い事その裏側に隠蔽した。無論、一緒の犬千代も同じく着替える。
文化の違い、というやつだろうか? この辺りでは「和服」と呼ばれる桜色の派手な衣服に着替え始めた。何が良いのか知らないがフリフリの見た目に巨大な帯での胸元の下を締め上げる行為は「現地人の心」を掴んだらしい。主に男連中が多いが女までやれ「可愛い」だの「ああいう子がいてくれたら」などと抜かし出す。
関所を超え町の入り口を通り抜けてもこれだ。やはり、ああいう要領の良さというのが「全てに勝る」というのが真実なのか?
かもしれない。私の作品には自信があるが、読者は「作者が美人女性」と詐称するだけで大金を支払うし、連中のいう神仏がそういったあれこれに適切な裁判なんぞ開きはしない。

いつだって、連中は恵まれた豚に肩入れする。
いつだって、連中は綺麗事を語るだけで、それだけだ。
まして、そういった連中に寄りかかる「その他大勢」というのは「目先の利益」を見るものだ。遥か先を見通せれば「食指を動かす美形がいるか」だけで内実を見もせず都合の良い解釈を求めない。
であれば、犬千代のやり方が「正解」なのか?
本質を見据え、逃げ隠れせず己が道を突き進むのは「邪道」なのか?
王道でない邪道であれば、道を突き進んでも「無駄」なのか?
••••••••••••わからない。この先があるかは知らないが、少なくともやるべき事はやったのだ。後悔は無い。とはいえ、依頼は依頼だ。とりあえず神の依代とかいう我々の金を誘拐せねば。
いやこの場合、略奪が先だったか。
確か、博士の言い分では現地略奪を働き反政府勢力を味方しろとの話だった。私は考えもせず勢いのまま斬り殺す。以前話した通りその結果「領主一人の命」を求められたにも関わらず、衛兵の屍の山が出来た。
まあ、連中の武装は金になったが••••••これからは気をつけるか?
一応、まあ、依頼ではあるしな。
なので、変装というわけだ。理解したか? 殺して良いならさっさと突撃して街の人間を斬り捨てた。今回は反政府組織ということで衛兵は殺し放題なのだが、まあ私の場合「勢いで町長は斬り殺した」となりかねない。
誰が依代かわからないからな。一応情報はあるにはあるが、事前情報が間違う事もままある話。であれば用心に越した事はあるまい。
犬千代のナイフも、高かったからな••••••具体的には衛兵を50人くらい殺し武器弾薬を剥ぎ取り、その上で依頼を達成すれば買い取れる金額だ。
高過ぎる!! 要領の良いだけの連中といい、中華の武器弾薬といい相場が不明だからって好き放題し過ぎじゃないのか? 中身も無いくせに流通を握りさえすれば大きな代金を要求し出す。忌々しい限りだ!!
その点、私は清廉潔白だといえよう。何せ、執筆も殺人も依頼に合わせる。
今の所、執筆は依頼がないが「邪魔な者を消してくれ」という言わば汚れた社会に対する掃除屋みたいな仕事は出来る。物であろうと人であろうと、鳥葬火葬何でも来いだ。
確実に、消し去ってみせる。
それが神だろうと何だろうとな───着替えも済ませ準備が整ったので、我々には邪魔な「民衆を弾圧する衛兵」とやらに挨拶へ向かうことにした。
具体的にはまず夜中に襲撃を行い、執拗なまでに連中の武器防具を奪いつつもまず「神の依代グループ」との対立を煽る構造にした。
つまり、連中の名前を騙ったのだ。
当然、衛兵の属する治安維持機構も燃え上がり、大々的な討伐軍を出す事にした。
軍の規模で言えば3倍を超えると言われる。具体的な反抗勢力の規模は知らないがもし、その話が本当であるなら連中の勝利は絶望的だ。
実際に戦ったからわかるが、アレはキツい。二度とやりたくない。
実際にやった私が言うんだ、間違いない!!
大体が軍というのは基本「擂り潰す」ものであって、正々堂々戦うなど、機会そのものが少数派だ。私のやり口ではまず正面の群に防備を固め、手間取っている間に右翼左翼を囲い込む••••••••••••実際に集団行動を取ればわかるが、前後左右から同時に攻撃されると大抵の集団は五里霧中だ。なので経験を活かすべく衛兵側には全体指揮を取る人物だけに襲撃を仕掛け、いざ戦が始まる段階になっても人材不足による軍の機能不全を叩き起こした。
不全を止めることが出来れば、起こすこともまた可能だ。そうじゃないか?
結果、我々は大勝利を収めた、という訳だ。残念ながら今回は裏方なので表彰式には参加できなかったが、大勢の人間を殺してやったので獲物を狩る充実感は満腹になるまで得られた。満足だ。
そして、今に至る──────玉座に座る女、その娼婦のように熟れた肉体に反し随分と若そうに見えた。というのも、身長が小さいのだ。ちょうど犬千代と同じ位に見えるが、その冷徹な目は段違いの迫力だ。
子供らしくない、というべきか。
やれやれ、こんなおっかない依代なら先に言ってほしいものだ。大体が厄介な小娘ばかり相手をしてどうしろというのか。生憎と私は保育士ではない。
子供が着るようなスカートと花柄のパジャマみたいな服を着ているものの、熟れた肉体がその子供らしさを押し潰す。淫蕩さを隠しもせず求める欲望そのままにいて顔つきだけは子供らしい。
変な小娘だ。服の印象が殆ど無い。
むしろ、熟れた肉体がはみ出てきそう、というのが第一印象と言えるだろう。

「私がジャンビエッタ・ホーデルハイムよ───ハイムちゃん、って呼んでね」

事前想定を考え直すべきだ。間違いない。
我々がすべきは「誘拐」ではなく、この怪物の「退治」じゃないか?


女は凶暴だ。そうじゃないか?
思うに、女ほど生物として凶悪極まる奴はいない。私は諸事情あってそういう女と手を組んだり利用したり利用されたり成果が出なかったりする事が非常に多いのだが、それはそれとして表面上は美人の方が得をするので、裏側など誰も見ない。
適当に美人を立てておく方が、私のような殺人鬼が表に出るより効率が良い。実際私が表に出て上手く行った試しは殆ど無いが、我が家の凶暴犬や黒いツテの女なら読者も金を落とそうというものだ。事実、世間ではそういう女が出るだけで大枚をはたく愚か者が多いらしい••••••何でも、平気で万札を落とすのだとか。
私が必死に真剣に向き合ったところで金にはならないが、美人の顔は金になる。
実際にやった「私」が言うんだ間違いない───必要なのは「要領の良さ」とかであって、物事の本質などクソ以下だ。実際にはそれらを掲げて何十年も費やしても小銭にすらならないし、下半身の欲望に従い金を払われる方が未来がある。
人間とは、そういうものだ。いやこの場合、相対する女は人間ではないのだが。
「それで、どうしてかしら」
と我々を衛兵に引っ張ってこさせた女は言う。ジャンビエッタ、何だったか••••••人の名前を覚えるのは苦手だ。昔、女の名前が分からず適当に並べ立てたところ、号泣され戦犯扱いを受けたことがある。
分からん話だ。非人間の殺人鬼に何を望むのやら。
思った以上にこの町の警備は厳しく、わざわざ服を買い替えまでしたが素性が既に割れていた。どうやら軍事もそれなりの手腕らしく、想定そのものが不味かった。
神として祀られつつある女を攫うとかいう話だったが、冗談じゃない──────この女は軍人だ。赤い髪、赤い眼光、豊満な肉体と淫蕩さだけではない。手玉に取った男に跨り、それを扱う事にも手慣れている。
何故わかるのかって? 会う女が皆そうだったからに決まっている!!
なので、世界の女は大抵そうだと思っている。実体験だ保証しよう。ではなく現状確認だったか。自称「ハイムちゃん」とやらは協力的な筈だと言われていた事前の情報には反し、我々を手錠と鞭で歓迎した。こんな女が神の依代になるなら鉛玉で賽銭を払って撃ち殺した方がマシだと思う。
世も末だ。それは読者も同じか?
かもしれない。どこも表面さえ良ければ、本質的な問題は見逃すものだ。むしろ、そんなものを非人間の私が見ている時点で世も末だろう。人間にしろエルフにしろあまり友好的には見えないその女は、舌舐めずりしつつ私達二人を吟味する。
「面白いわね。ここにたかだか二人で攻め込んでくるだなんて、ある意味脱帽だわ──────貴方たち馬鹿なの?」
失礼な女だ。ここまで苦労してやってきたというのにな。
まあ、博士の依頼は大抵こんなものだ。裏事情を毎回話されないので予想外の危機に陥る事には慣れている。案の定ここの安普請な神になりかけだかの女が軍事力に長けた輩で、自前の兵団や探りを入れる為の隠密兵まで用意しているだなんて教えるどころか匂わせもしなかった。つまり、ここで捕まるのも予定調和という訳だ。
嫌な調和だが、大体依頼とはそういうものだ。まあ金にならなければ何であれ投げ出すのも私なので、その辺の責任感は金次第と言える。今回の依頼にしたって利益にならなければ、まあ、知らん。
貴様ら金にならない読者に、感謝の念を抱くのか?
殺しも同じだ。いやこの場合、自称神の誘拐だったか。

「争う意思は無い。まずは話し合おうじゃないか」
言ってはみた。言っただけだ。何であれ言うだけならタダだからな。金も払わない読者でさえも、評論家のように垂れるだけならやる。であれば、例えその気ならばすぐに手錠を引き千切り殺しにかかれるとしても、それはそれとして平和的解決とやらを百回に一度くらいは試して良かろう。
無論、面倒ならすぐ殺すかもしれないが、依頼は依頼だ。
前にも言ったが、殺害より誘拐の方が金になる••••••なので私にとってこの神だかの女を殺そうとする別勢力は、卑劣な犯罪者という訳だ。であれば狙われているであろうこの女の護衛として、武力を売り込むのもなくはない。
いや無いか? どっちでもいいが。

「知ってるわよ。博士の使いでしょう? 貴方達を待っていたの」

言って、手錠で繋がれた私の値踏みをしつつ、鞭で地面を叩き砕いた。
いや本当に砕いたのだ。魔術だかが盛んな国と聞かされていたのに、こうも原始的極まる野人の国とは。やはり田舎には来るべきではない。
美人はいたが、大人の女というにはまだ若いしな。具体的に言うとチビだ。
やはり、身長のある大人の女がいい••••••発育は良いかもしれんが大人の女の対応というのが足りていない。大体が初対面で鞭と兵隊というのはどうなんだ?
「出来れば、もっと淑やかな待ち方をして欲しかったが」
「あらそう? ごめんなさい。私、育ちも生まれもこの街しか知らないから」
胸を揺らしながら自称ハイムちゃんは答えた。博士とやりとりがあるのは想定していたが、しかし、ここまで街を掌握している女が一体何を望むのだろう?
話を聞く限り、文字通り「全ての栄華」を得ているとの話だ。簡潔にいえばこの街においては身分制度が完成しており、祭祀職が実権を振るい軍事が下につくという分かりやすい構造らしい。
この辺はどこも同じだ。不思議と、軍事より祭司の方が力を持つ。
それが時代の現人神となれば、その力が猛烈なのは、想像に難くない。人間というのは不思議なもので、信仰する神の為ならと頼まれもしないのに殺人を犯し、金にもならないのに人に押し付け金にならないからと金をせびる。
羨ましい話だ。暇そうで。少しは私もあやかりたい。
そんな彼女はというと、一喝して兵を下がらせ我々二人の耳元へと躙り寄る。無論言うまでもないが、隣の犬千代の気分は最悪だ。わざわざ縛られて抵抗せず標的に近づくだなんてと、やり方に呪いの言葉を吐いている。
そんな我々に、彼女は言う。
「依頼を出すわ」
「? 依頼を受けたのは我々だが」
「そうじゃないの。これは博士も承諾済みよ。元々私がお金を払って、博士を通して依頼したから」
どういうことだ••••••そんな回りくどいやり口に、意味があるのか?
と思ったが、状況を見れば想像はつく。何せ、生まれを選べない世の中だからな。
「ええ、そちらの想像通り、私を自由の身にして欲しいのよ」


いわゆる犯罪者のレッテルを貼られているが、そんな私にも譲れない物がある。
それは「己の道」を阻害されない、という部分だ••••••むしろ、この点にだけ関して言うなら犯罪者の方が真摯だろう。3時間前、私は検問所を潜入任務(実際には貴人の誘拐だが)の為に偽造した証明書と偽造した経歴、つまりいつも通り嘘八百の話で押し通ろうとしたものの、情報戦で既に先を行かれ即座に襲い掛かられた。
開き直りはしても、被害者ヅラはしない。というか、そんなことをしていたら私は年中被害者ヅラだ。第一、誘拐にしてもそうだが相手は当然それなりの組織であることが多く、むしろ情報戦で全て勝利するなど有り得ない。
想定内だ。なので私は罵詈雑言を吐く衛兵の顔面を叩き割った。鎧で何の種族かはわからなかったが、拳で鎧ごと頭を潰せば何の種族であれ死ぬだろう。現に、その何かしらの種族の衛兵は壁に叩きつけられ動かない。続いて他の衛兵にも手を出し結局はまた大勢の衛兵を叩き殺しつつも、その方が標的に近づけると思いわざわざ捕まって今牢にいるという訳だ。
だが、それはそれとして私の道、私の自由を奪われるのは御免蒙る。勝手に誘拐の為に潜入しといて身勝手な奴だと思われるかもしれないが、それはそれこれはこれという便利な言葉があるのを知らないのか?
無論、私は知っている。故に脱獄した。
見渡すと、我々が連れてこられた場所は大理石で出来た大きな屋敷で、恐らく元々金持ちの家か何かだったものを要塞に作り替えたらしい。所々に生活の跡が見えるが武装した衛兵が巡回する屋敷など誰も住まないだろう。
まして、魔術だの魔物だの。連中は暇なのか?
以前も言ったが、魔術だの何だのについて一ミリも私は知らん。そのような科学で証明出来ない理論など知ったことか!! 第一別に理解しようがしまいが首を斬り落とせば死ぬのだから、そこまで拘泥する必要もあるまい。
余談だが、金持ち連中の集会場でもあるらしい。一緒に来ている、というか一緒に捕らえられた青髪の猫耳娘、ナイフは多いがスタイルに乏しい犬千代はそれら集会という名の麻薬乱交を冷たい目で眺めていた。
牢を出てすぐ、とまでは行かなかったがそれなりに移動したところ、むせ返る香の匂いと嬌声の嵐が大広間らしい部屋で行われており、エルフも人間も仲良く欲望の渦に耽溺している。
どの種族も同じだ。目先の欲望を突きつければ、いとも容易く言いなりになる。
その点、我々が誘拐する予定だったハイムとかいう小娘は聡いらしい。自分達には誇り高い種族という体裁だけが残っており、実態としては腐敗した上層部は人間と深い繋がりがあり、隣国ポルドアとの宗教戦争は抱ける女を増やす為。ちなみに、そのポルドアとかいう国にはダークエルフなる種族がいるらしく、何でも武器武装に魔術とやらを付与し、殺す事が得意らしい。
••••••最も、賢明な読者はそのような瑣末事に興味はあるまい。だから読者の興味ある部分を抜粋すると、褐色の強気女が多くてただのエルフと違い、細身ではあるが肉体の感度は良い、とだけ覚えておけ。
実際、奴らは敏感だ。山奥に住んでいるからなのか、気配探知に長けている。
実際に試したが、割と男性経験は少ないらしく、一度落ちれば早かった。
何が、というのは読者の想像に任せよう。まあ、強いて言えばエルフでもダークなエルフでも、女は演出に弱いとだけ語っておく。
表面と実態は、何であれ違うものだ。攫う予定だった神の依代とやらが、実際には上層階級の人形であるのも変わらない。というのも、人間は表面しか見ないからだ••••••表面だけ整えれば、何であれ金を払う。
中身など誰も気にしないし、考えるのも億劫だ。
中身に手に入れる輩も次第に向き合わなくなっていく。何せ、金にならなければ、考える奴もいないのだ。であれば、表面だけ整え利益を啜り、国庫から金を盗んで政治家になるのが正しい道だ。
そんな中で、何かを掴むにはどうするか? 向き合うのは無駄だ。実際に試した私が言うんだ間違いない••••••それより、表面を整え利益を確保し、賭博などの本能に付け込み獣として扱う以外に道は無い。
実際、獣だ。連中自身は自分の意志で考えてるつもりらしいが、つもりなだけだ。実際には物を見て金を払うような考えはないし、ただただ目先の吊るされた糸へと従うのみ。読者の例に漏れずエルフも同じだったようで、傀儡政府が幾度と候補の女を「捧げ物」として、差し出してきたのが実情らしい。
自由を得たい。誰でも考える事だ。
••••••見た目が猫なのに猛犬のような犬千代と違い、ハイムとかいう女は見た目が犬なのに中身は飢えた虎らしい。可愛げがないのはどちらも同じだ。
無論、本人の前では言わないが••••••ナイフが滑っても困る。
種族の責任、みたいなものは周囲の身勝手であって、ハイム自身は大して気にしていないらしい。その辺は私も同じだ。人間種族の誇りとやらは役に立たない。大体人間社会において何度も言ったが人として扱われた事など無いし、自分を人間だと思った事など一度もない。まして、人として生きた事など有り得ない。
異種族でもない筈なのに、ひたすら迫害されてきたからな••••••••••••考えてみれば不思議な話だ。まあ、今になって思うと「一人だけ人間の形をした、人間ならば有り得ない発想の奴がいる」というのが実情かもしれない。
何せ、幼少期から殺人に抵抗が無かったからな。
むしろ、我慢するのには苦労した。馬鹿な子供は刺激したら危ないという事すらも分からないのか、自分が強いと言いたいが為にこちらを刺激してくるのだ。しかし殺してしまえば罪に問われる。生憎と田舎では逃げおおせる事が難しいし、それに依頼もないから金にもならない。
仕方ないので、我慢するしかない訳だ••••••無論、何度かやりかけたが。
そんな私からすれば、乱交パーティの一つ二つ、珍しくもない。人間が痴態を晒すのはいつもの事だ。むしろ、安心すら覚える。物語から勇気を貰って学んで成長、敬意と共に金を払う読者なんて、現実には存在しない。
いたら取材したいくらいだ。実際には、一円も払わずたかるだけだが。

誘拐のコツは、まず「紛れさせる」事にある───それが由緒正しい方法だ。
例えば、以前の仕事でいうと誘拐された体になる人材雇用が盛んだった。どういう事かといえば官憲に「行方不明者が出た」となれば当然その人物を探しにくる。しかし、何人も何人も行方不明が続いた上で、捜査後に何も手掛かりが掴めない。
警察とて組織だ。サボる奴もいれば賄賂を受け取る奴もいる。そんな当たり前の事すら、一般人とやらは知らないものだ。だが、我々社会の裏側にいる者にとっては組織の弱点はしつこく突く。しかしその一方で、以外なほど「一般人」を誘拐するような事態は少ない。
カネにならないし、何より仕事として小さい••••••生憎、弱い者いじめがしたい訳ではない。やるなら「大きな偉業」を成し遂げたい。



なので、必然政治関係者は多かった。
そのケースではまず「誘拐される役」が何人も行方不明になった体で話を広め、山奥では獣に食われたのかもしれないと風評を立てておく。
その上で、目的の政治家先生を拉致する訳だ──────おかげで、実にスマートな夜の仕事だった。
8本目の指と左耳の鼓膜が、改革案を退けたとだけ言っておく••••••これ以上、人間が台頭するのは困るのだ。というのも、一部の金持ちだけが肥え太る社会というのは、乱す余地すら限られる。であれば、異種族を弾圧する法案を通さず、反乱を煽••••••もとい、自由を与えて対立する国家があった方が面白い!!
この辺は「博士」も同じだ──────我々がやるべきは「不可能への挑戦」であって、一般人を誘拐するような、そんなちまい犯罪に興味は無い。

誰にでも出来る。それは「つまらない」からだ••••••逆に、難問が用意されれば、例え地の果てでも飛んで行く。異種族だろうがエルフだろうが、敵が人類だろうと関係無い。
むしろ、やる気が出る。そういうものだ。

さて、この辺で種明かしをしよう。回りくどい語り口で話を逸らしたのは、当然他にやる事があるからだ。具体的には我々が捕らえられた屋敷で乱交パーティーに興じている奴等から、必要な人材も攫っていく。
当然、目的の神の依代とやらも一緒にだ。
言わば、強制亡命を、それも未だかつてない規模で行う訳だ。ハイ厶とかいう女は、最初からこれを狙っていた──────ただ単に逃亡するだけでは、その「先」が無いからだ。
であれば、必要な人材ごと、国外に居を構えれば良い。そんな無茶苦茶が通るかといえば金と人材、後は政治だ。そして、国内外での主要人物が集まるこの機を狙って、我々が手助けしようという訳だ。

言わば、人助けだな!!! 

賞賛してくれていいぞ!! まあ、実際にやった事は器物破損、衛兵の殺害、貴人誘拐に爆破工作と数え上げればキリが無いが。
爆破は当然、今からやる。
そしてやった。捕まる事は予定に入っていたので、あらかじめ脱出路の「逆」に爆破物を伏せていた。私だけではどうにもならないが、ハイムというあの女は魔術という胡散臭い物に詳しいからこそ、今回標的になったのだ。
であれば、大規模な事は難しくとも「外から着火」くらいは問題ない。出来なかったらどうするつもりだったという声が隣の猫耳娘から聞こえたが、まあそれはそれこれはこれだ。その場合、派手に行くつもりだったと言っておく。

何にせよ、騒ぎを起こさなければ、集団逃走など出来ないからな••••••パニックを起こす連中に避難を促す衛兵の武装をかっぱらった我々が代わりに指示を出し、用意していた大型の馬車に荷物のように詰め込んだ。
元々、薬物での乱交なぞしていたのが幸いしたのか、事前想定より速やかに誘導出来た。というのも動物みたいに乱れてたからか光に群がる蛾みたいに我々の「避難先」へと、我先にと走ったのだ。

当然、女子供を押しのけても、必死にな!!
まるでバッファローの群れだった。意外なほど速やかに終わったので達成感は少なかったが、しかしあれは見応えがあった!!
まるで、いや、まさに動物だ。人間なぞ一皮剝けば、本能に動かされる獣に過ぎない。
隣の猫耳娘、犬千代に「これで全部か」と確認する。
青い髪を揺らし、不愉快そうに人間の痴態を眺めながら「そうだよ」とぶっきらぼうに奴は答えた。
ならば問題ない。これで新国家設立くらいは可能だろう。
我々の手で、人類の歴史を書き換えた訳だ。エルフが独立しようとどうでもいいがしかし──────この手で、利益が為に、忌々しい社会構造そのものを、前代未聞と呼べる規模の誘拐計画で変革してやる偉業と言えた!!
それを実感出来る、悪くない仕事だった••••••我々が如何に政治へ貢献しているのか、良く分かる例の一つと言えるだろう。

最も、それが人間の為になるかは知らなかったが••••••何でも返報性の原理という「受けた恩は返す」心理が人間にはあるらしい。
私は生まれてこのかた悪意以外は受けた試しが無いので「善意の真似事」ではあるものの、とはいえタダで悪党の生き方について、それも実用的な詳しいやり方まで教えるのだから良いんじゃないか?
なあに、私の著作を読んだ後でもいいぞ!! 誠意は札束で払ってくれ。


それが「立派な大人」というものだ──────違うか? 
少なくとも、神だの仏だのに愛されるだけの地力の無い善人共とは違い、例え世界全てに指差されようとも胸を張って生きている。
そのやり方を、教えてやる。
続きが見たければ、金を払え!!!

10

依頼を果たせば報酬が貰える───それが犯罪であろうとも。
真っ当な人間とやらは報酬も貰わず働くというのだから大したものだ。思うに労働というのは奴隷であって、自身の働きに応じた金額が貰えないものを「仕事」とは呼ぶまい。私が執筆している作品にしろ犯罪にせよ、本来であれば対価とは一定ではなく、個々人によって変動する。
だが、大半の人間は一定にしたがる。そして、大半の場合は払わずに済ませようとする。不思議だ。何の為に金を稼いでいるのだ? 金は使うものであって、貯めて喜ぶものではない。使い果たせるなら、使うべきだ。
明日、生きているとは限らないしな。
特に、私のような逸れ者の場合は。
「よくやったジャック••••••これが報酬だ」
テーブルの上にどさっ!! と音を立てて支払われるこの感覚がたまらない。何故だかこの時だけは全身で音を感じ、札束の感触を目だけではなく肌感覚で味わう。
無論、匂いも同様だ••••••束になった札束の匂いはたまらない。
逆に、読者連中は金を払った試しがない。陽気なこの頃には子供が休みらしいのでもしや「本当は子供なのに、大人のフリで読んでいる」のではと疑っている──────そもそも、いい歳した大人であれば、自分で読んで自分で判断して金を払っておくべきだ。
であれば、やはり子供なのかもしれない。子供読者より金だ。であれば、犯罪行為が増えるのも納得だといえよう。何せ、真っ当にやってもタダで盗まれ、正当化し挙句に忘れられる。
貰うだけ貰って、何もしない。
表面上若い女を立てることの多い私だが、女を立てようが賭博以外で連中が支払う事はない。であれば、隣国の政治家の百二百攫った方が「真っ当な経済活動」だとさえ言えるだろう••••••••••••読者と違って「未払い」だけは無いからな!!
例の狭い部屋の中で、つらつらとそんなことを考えていた。しかし隣の猫耳娘はというと故郷の復讐にしか興味がないらしく、金より情報を、とせっついている。
まだまだ駄目だな。これでは成功すまい。
そう思った私はまあまあ人手として役立った小娘に「とりあえず金を受け取れば、先で役立つことになる。本当に復讐したいならもっと現実的な策を考えろよ」と、本当の事を教えてやった。
ギッ!! と親の仇よりムカつく相手を見るかのように睨んだ後、彼女は自分の分である分け前を片手で鷲掴み強奪───とても依頼金を受け取るとは思えない態度で、官憲から逃げ出すかの如く部屋を出た。
どこであれ、真実は耳に痛いもの。なので、犯罪者も同じという事だ。
••••••その八つ当たりを私に向けるのは勘弁して欲しかったが、とりあえずこれで作品の喧伝費くらいにはなるだろう。言うまでもないが非人間の私にあるのは良い女を抱く事よりも、基本的には作品である。
どこに、どれだけ輪廻転生とやらを繰り返したところで、書いて売る以外など全て瑣末事だ。その為なら殺人の一つ二つ、世界の転覆でも救済でも手段は一つも選ばない。
まあ、報酬の大半は銀行へ振り込まれるので、現時点での金は使うのだが。思うに金を使わない奴に金運など降りてこない。古臭くカビの生えた紙幣を持つ奴なんぞに金の女神が微笑むのか?
無理だと思う。なのでじゃんじゃん投資しろ。
具体的にはおひねりだ。相撲を見ておひねりを投げるなら、物語に感服して投げても良い筈だ••••••狭い価値観で進歩しないから駄目なのだ貴様らは!!
全く、いい歳して恥ずかしくないのか? 真っ当な人間であれば支払う金くらいはあるだろうに──────非人間の私に言われたらお終いだぞ!!

さて、とりあえずはこの金で飲んで食って抱くとしよう。まあ、疲れている時には抱くのは割と遠慮したい。大体この街には物騒な女が多いのだ。
「待て」
頭の中で誰にするか、いや食べて寝るかと考えていたところへ博士の鋭い声が突き刺さった──────聞く者全てが安らがない、実に神経質な声だった。
「それで、例の女のほうはどうだった?」
「何のことかな」
とぼけるな、と端的に彼は詰め寄る。何であれ最低限、必要な事のみを通達する。彼の癖だが、悪癖とも言えた••••••実際、その癖を嫌って離れたり裏切ったりする悪党の数は実に多い。
回りくどいやり口や、計画的かつ政治的犯罪というのは、ただの強盗や放火犯には合わないのだ。私の作品が凡俗の読者に合わないように、犯罪にも合う合わないがある。そして彼は、大半の犯罪者には合わない。
思考が先を行き過ぎるからだ。良く分かる。
「ハイ厶と名乗るあの女は、実際にはこちらで建国するつもりは更々無い。人材だけ売り渡し自由を謳歌するつもりだろう」
そう、あの女はそのつもりだ。私には良く分かる。御大層な組織は「使う」ものであって例えば博士を打倒し組織を乗っ取る気分にはならないのだ。
面倒な上に、性に合わない。単独での技能を活かし、獲物を刈り取り達成を得る。
前に、人食い民族を狩り殺してやった事があるが、あれは中々の獲物だった。部屋に引き込もって計画を練るのは向いていない。
頼まれても御免だ。年中、部屋で計画立案に走るなど、何かの刑罰としか思えない。
「わかっていると思うが、放置するには戦力として大き過ぎる。どうするにせよ、管理者が必要だ」
「そちらで引き取れば良いだろう?」
無論、そのつもりで実行した。これ以上小娘の面倒は御免だ。
カネにならないし疲れる。
だが、予想外の言葉が来た。
「駄目だ。こちらで使うには合わない輩だ。私の計画に起用する事はあるだろうが、普段小娘を拷問する事はあっても面倒を見る施設にはなっていない」
「そりゃそうだが、部外者として雇えば良いだけだろう」
そういう雇われなど幾らでもいる──────特に、毒と飯と薬が盛んな、東の国には幾らでも。
「当初はそのつもりだったが••••••残念だが、政治的影響が大き過ぎる。貴様は良くやってくれたし、彼女も想定以上に協力した。だが協力の幅が大き過ぎて、世間に与える影響が想定を超えている。
組織としては成功したが、何であれ成功し過ぎるのは問題だ。身動きが取れなくなるからな」
成功や勝利に縁が少ない私にはわからん話だ••••••作家として成功し過ぎて、追跡者に狙われるみたいな話だろうか?

私なら、立場的に狩りにして良い相手が自分から来るなど喜び勇んで殺すだろうが。

表面上は、敏腕美人の女流作家が書いた体にすればいいしな。大体が中身など、読者が本当に見ているのか?

それなら尚更救い難い。読んで金も払わないのだから。そんな私の気持ちも無視して博士は端的にこう言った。
「やはり死んだ体で利用する方が、望ましいと判断した──────駄目だ、ジャック。貴様の方で、しばらくは引き受けろ」

••••••••••••••••••彼はこう言うが、拒否した奴は大抵寿命まで長生きしない。
何せ、手を下したのはこの右腕だ。
「••••••本気か? 私に子育てをしろと?」
「厳密には17歳程だ。エルフ民族は人間とは年の数え方が異なる」
人間の情緒がわからないのか、彼はズレてる答えを返した••••••••••••どうしたものか。
犬だけでも出いっぱいなのに、猫も増やして面倒を見る?
地獄だ。シリーズ完結まで書き切った作家にとって、何より大切なのは「静謐な時間」である。
逆に、爆音の鳴る中で、貴様らは何か書けるのか?
無理だ。まあ、売上が上がらなければ放置しても構わないので、いっそ当面は休み期間と称し詐欺で稼ぐに抑えておくか?
真面目に執筆するより、その方が金になる。
部屋を出て、天を仰ぎながら私はそんな思考に陥った。思うに───読者にしろ犯罪にしろ「結果」だけが大切であり、過程とは当然「積み重ねられた結果」そのもの。
見る目の無い奴等だ!! 読者でも神でも仏でも悪魔でも良いが、これだけ積み重ねた私相手に、支払う報酬が獰猛犬か!?
 

私が一体、何をした?
ちょいとばかり人より犯罪が多く、シリーズ完結まで物語を書き切りタダで配布までした聖者ではないか。隣人を愛せと言うなら作品を、それも何十年も費やした一品を立ち読みしたなら札束くらいは置いて行け!!
光る石ころに万札を払うよりは、よほど有用な使い道だろうよ!!!
本来、それが出来ればいちいち価格など設定する必要すら無いものだ。実際にやれば何が起きたかといえば、タダ読み漁るだけでただの一円も払わない。それで「最近は面白い作品が少ないね」などと、ほざけ読者が!!

そういう意味では、新規加入の女が何をしてどうシャワーを浴びるかという、読者の望みそうな噺は書いてやらん。
女が増えた分「女にしか出来ない」犯罪の幅も増えるのだが、御大層な読者はタダで読むだけで払わない。
ならば知らん。貴様ら100円も払わない奴等に「敬意」なんぞを持ち合わせるのか?
しない。同じ事だ。
なので、私はこう言おう。
いい気味だ、ざまあみろ!!!

 


余談
犬千代 BからC(目測) 
   筋肉質に鍛え上げた野生の美貌 
荒々しく、女より獣の雌というのが相応しい

割と純真無垢な部分が残っており、人間は嫌うが人間の文化に興味がある。たまに輝かせた目で物欲しそうにそれらを見る。


買ったか? 想像に任せよう。

割と心が弱く、復讐に必死。だが弱みは見せたくないので指摘するとキレる。
毎回キレる。ツッコミ担当。

ナイフは天性の才能があり、苦労して磨いた私の技能は何だったのかとたまに思う。
••••••天才か••••••••••••

本人は元が「お嬢様」だったらしく、所作や人付き合いは物凄い。いなければ毎回問題が起きたので、仕方無く連れていく。
「お前は対人関係を知らねーのか!?」とは本人の弁。

生憎、非人間なので知らんな!! 
同じ種族の筈だが、迫害された記憶しかない
••••••••••••おのれ読者め。

未払い程「屈辱的」な迫害は無い!!
貴様ら支払い能力が無いんじゃないか!?

知性は高いが、魔術の素養に関して聞いた事が無いのでそこは知らん。同じ建物に住んでいるが、部屋別なのであまり会わない。

筈だ。違っても構うまい。

最近は生活に慣れて来たのか、雑な格好でやれあれが無いこれはどこだ、前の話はどうなったと細かい話を聞きに来る。

細かい。女と男の差か?
「お前が雑過ぎんだよ」との弁だが、しかし私の今までの活躍を見れば分かる筈だ。

結果、上手く回ればそれで良い!!!

近所の子供の面倒を見ている気分だ、と答えるとキレる。子供扱いもキレる。


••••••••••••そういう部分が子供だろうに


ハイ厶 身長は150前後に見える
    サイズはスイカ 髪はサラサラ赤色
   我儘に振る舞うが実は賢明。瞳も赤
政治的やりとりに慣れているのか、対人関係に強い犬千代と違い、対人支配に長けているのが違いの1つ。
利害関係が絡むやりとりが得意なのがハイ厶
人間的魅力演出で好かれるのが犬千代
全てに嫌われ、単独で殺し合うなら無敵だが神も仏も個人的に私を嫌ってるんじゃないかという、不当な差別を受けたのが私だ。
見る目の足りない奴等だ••••••••••••
余談だが、神社に参り出ると体調を崩して死にかけた。それも、一度二度ではない。
この間も••••••搬送••••••••••••いや言うまい。
魔術などという、胡散臭い術理に長けてるらしい。ちなみに、私がやり方を聞いたら
「才能無いわね、貴方」
とか言いやがった!!! 
才能か!? 知力か!? 私とて幼少時代に殴られ過ぎる前は、良かったんだよ!!!
書物など、読んだだけで記憶出来た••••••••••••どれだけ殴られたんだ、私は。
頭は良いが、本質を見る目だけは私に遠く、及ばない。もう一度言う。
私に!! 遠く!! 及ばない!!!
優れ過ぎるのも考え物、という事だな。
物を知らない読者に教えてやろう。
言い張るだけなら、何であれタダだ!!
さて、政治的関係から肉体関係を持つ事すら多かったらしいが、その辺も犬千代との違いだろう。最も、ハイ厶も根底は同じだが。
人を使う側、というのは得てして真っ当な、普通の人間がするようなやりとりが出来ないもの。普通の生活に焦がれる女とも言える。
私は無論、ロクでも無かった。
••••••••••••幼少期など、殴られて脳がやられ、馬を追っかけながら楽しんだ記憶しかない。
青年期? 奴隷作業だ。無論、代金未払いで 
何回死の淵を彷徨ったか、数えてすらいない
嬉しくもない。やはり金が欲しいものだ。
さて、次だ。何でも、3回抱けば確実に奴隷に出来ると、テクニックを豪語するらしい。一方で理系なので、男より理論。情熱よりも経験から来る政治的判断に長けている。
能動的に見せかける「外向け」のやりとりと違い根がインテリなので、普段は部屋に引き籠もって実験に専念するタイプである。
変な薬品?実験に魔術研究だと付き合わされ───ブチ撒けた時は凄かった。
ヒステリー、どころではない。噴火だ。
火山というのが相応しい。社会の裏側で練られた人造火山。得意技も火系だそうだ。
何でも、知らない男に肌を見られることより研究中に邪魔される方が比較出来ぬ程許せないらしい••••••••••••私はブチ撒けただけだが。
目は良いが、研究中は何かを見るのにいるのか眼鏡を掛ける。
頭が良く見えるからか?
タバコも吸うが、マナーは守る。飲酒カフェインとあらゆる禁則物質を楽しむ方。また、派手好きで何であれ初対面は気安い。
今まで政治の為我慢してきたものが、今さら爆発したと言える。
元がお嬢様で悪ぶってる犬千代と違い、元が悪だったが周囲の為に我慢した。文系で情緒を慈しむ犬とは全てが真逆。
心のあるロボット、というのが近い。
男を抱くのも利害関係であって、情緒は一切無く何も感じないらしい。なので、犬千代がある意味羨ましいんだとか。

私はひたすら暴れられれば、そしてそれが金になりさえすれば他に何もいらないタイプだ。言わば「戦い」の形が執筆か作品を売るのか殺し合うかの違いだけだ。
生きている敵は殺す!!

動く敵対物は、叩き壊す!!
運命が邪魔なら、ブチ破って殺し尽くす!!
対して、ハイ厶はその辺り現実的だ。敵だけでは勝てないという思想で「敵を味方にするのが至上」という考えらしい。

••••••••••••••••••••••••私とて、読者に協力させる事が出来ればとタダで配ったりしたのだが、どうも若い女が良いのだろうか?
わからん話だ。
個人としても強いが、基本的に自分一人での戦闘はしない。暗殺向きの犬千代と違って、組織化能力が高いタイプ。
それも、殴り合いより情報に強い。弱点属性だけをひたすら事前に調べ上げ数の利で叩くやり方••••••••••••つまらん戦い方だ。
やはり、斬り合いで良くないか?
生きるか死ぬか、それが愉しみだ。
俯瞰するのが得意で、眼の前の敵はとりあえず殺そうとする私の首根っこを抑える担当。とはいえ、ハイ厶自身も割と交戦はした。
利害が先に出るので、殺しも利益で考える。
こんなところか。執筆意欲なのか連中に強要されているのか、私は知らん。

少なくとも、カネにならなければ続かない事だけは確かだ••••••••••••最も、邪道作家の方は既に完結まで書いたのだが。

おひねり制で邪道作家シリーズの方は出した。誰も読むだけ読んで払わなかったが、一応はそういう体で出している。

読むなら払え、払わないなら読むなという話だ
ああ、そういえば語り手自身に関して項目を書かなかったが、それは簡単だ。
売れればそれでいい!! 女子中学生作家、とかの方が売れそうだしな。
中身を誰も見ないというなら、受けそうな表面だけ用意しよう。
どう考えても長身の反社会性力にしか見えなくとも、それはそれとして表面だけを読者が見るなら、表紙に若い女を貼り付ける。
例え、人格を丸ごと用意してでもな••••••金になるか、それだけだ。
「結果」だけだ。過程とは、結果を積み重ねたものなのだから

世界観

南は犯罪者の楽園だ。具体的には、女相撲が流行り売春婦は6才からいて、チェーン展開された麻薬専門店が立ち並ぶ。
歩けばひったくりに会い曲がれば強盗もどきに遭遇する。おかげで法という概念が無いので誰を殺そうが問題無い。
無論、各組織の幹部は別だ。構成員同士での争いは固く禁じられており、私は構成員では無いので2.3発ブン殴った。
その後? 殺し合いなら負けていない。
最も、私の悪評は知れ渡っているので、基本襲いかかるのは魔性と分類される鬼くらいだ••••••神を名乗る宇宙人連中が台頭してからというもの、エルフだの混合人類みたいな奴から知性の無い実験生物まで広がりきった。
治安を乱す為、ではあるまい。何かの実験の成果かもしれない。
生物進化を辿る為、とかな••••••••••••連中ならやりかねない。
というのも、所謂その「英雄」と呼ばれ活躍する奴等は、単に神を名乗る連中との混合種─────被検体に過ぎないからだ。
何故そんな事を知っているかって?
無論、日々仕事に勤しんでいるからだ••••••••••••犯罪行為を世間的にどう言うかは、学者にでも論争させておけ。
巨大な実験場、それが超大陸などと呼ばれるこの土地だ。最も、宇宙人だろうが人類だろうが、本質の見えぬ読者など知らないが。
さて、読者お楽しみの「女相撲」についての話をしよう。無論賭けもするしこの人道的な催事に関して、よもや反対意見などありはすまい。
••••••犬千代に教えた際は、会場にゴミを見る目線を向け唾を吐き捨てた••••••••••••観戦する分には楽しいものだが、残念ながらご無沙汰だ。
やれやれ、何がいけないというのか。 ちなみに、扮装や盛り上げの為のショーもあるので老若男女問わず楽しめる。 
麻薬はやらない。腕が鈍る。歓楽街だらけの中では賭博関連の方が優勢だ。最も、その分負けて無くなる輩が多くなるので、取り立ても我々の仕事となる。
男なら内臓か被検体。女なら売り飛ばす。
そんなものだ。第一、人間の生活自体が大量の死体、即ち動植物の命で支えるのだから、別に人間の命も同じ事だ。
平和と言おうと戦争と言おうと、本質的にはかわらない。同じ事だ。
さて、次だ。 
人種は、以前説明した通りバラバラだ。エルフが禁止魔術の独占に走り、ドワーフが禁止技術で兵器を作る。おかげで神々でさえ近づかない魔境と化したが、我々には馴染み深い故郷であって、青い空など他人事だ。
大陸の名前は忘れた。パンだか何だかだった筈だ。南は前回言った通り、大江戸絢爛魔界とか呼ばれている。  
あとは、家賃が安い。
とにかく安い!
何せ、超の付く危険地帯だ。住むだけで金を貰える奴もいる──────私か? 無論、以前の持ち主を殺して奪い取った。
偉そうな奴だったからな!! 何故かエルフには感謝されたが、私に言わせれば読者身分で、作家に口応えする時点で死罪である。
最近はダークエルフとか呼ばれる武装民族もいるらしい。大陸全体の治安が落ちれば犯罪指数も跳ね上がる。当たり前だが、金持ちの数イコール犯罪指数と言い換えて良い。
北の金持ち搾取が増えれば増える程、ここは大勢で溢れかえる。
そんなものだ。そういう部分では、金持ちを恨む奴も多い。奴等は奴等で、半ば犯罪者みたいなものだしな!!

思うに、そこまで富を独占出来る時点で異常だろう──────善意で稼いだとでも言うつもりか?
馬鹿馬鹿しい程傑作だ。やれやれ。
何にせよ、最悪の街である事だけは確かだ。最も、人間が望むのはその最悪であるので、つまりはこの街こそ楽園と言えるのだが。
食品も凄いぞ。ある筈の無い食べ物、潰れた筈の店が沢山ある!! 住民は慣れているのであまり引っかからないが、外から流れついた奴等はよくかかる。
まあ、死にはしない。筈だ───違っても、別に知らないが。
後は、暴力溢れる街だからか「傭兵」としてビジネス展開する奴は多く、軍閥もそれなりにあるのでちょっとした戦争屋だ。
正規の人類神仏混合軍には敵わないが、だが簡単に手を出す奴はいない。当たり前の話、大陸の南全域を占めるからだ。
かなりの広範囲と言えよう。無論、戦地拡大すればタダでは済まない。読者とは違う。
面倒なのでこのような説明はここまでにしたいものだ──────金になって豊かな生活が享受出来れば考えておこう。

最も、読者に期待出来るかは疑問だが

余談だが、この街においても一番の悩みは「人間関係」であるらしい。
人間に合わせる事を悩んでも人間関係そのものを悩むことは無い私にとって、これほど分かり難い話もない。
何にしろ、どこでも悩みは同じ、という事なのかもしれなかった

経歴編

無論、ブン殴った。それも「もう殴らないで」から「早く殺してくれ」と懇願するまで強く激しく、そして死なない程度に手加減した。
というのも、当初この街に来たばかりの頃は当然「住める場所」に心当たりなど無かった──────当たり前だ。他の作家ならいざ知らず、そのような「要領の良さ」とか「人との縁」に恵まれた連中と一緒にするな。
当然、古今東西、過去現在において敵だらけだと保証する••••••未来に関しては、まあ、あまり考えないでおくとしよう。正直想像もつかないが、何であれ悲観的みたいな考えになるのは宜しくない。
果たして「味方」などという概念が存在するのか疑問だが、まあとにかく住める場所など法の無い街ならどうにかなる。法律とは弱者から搾取する手段であって、無ければ誰もが自由になれる。
具体的には、エルフの売買がなされていた。

なに? 売春宿ではないかだと?
馬鹿め!! 魔術だの何だのが使える連中に関して言えば、技能を活かした方が金になる••••••••••••最も、そういう需要が減る訳では無いので売られた後は知らないが。
無論、私が気にしたのはそこではない。
とりあえず軽い視察でもしてみようかと、言わば顔見せの段階だった。運営者はゴブリンと人間の掛け合わせなのか、体長5メートルはある大型の男だったのだが、その男が

「細っちろい人間種族だなァ••••••家で本でも読んでるのがお似合い

と、奴の遺言は「そこ」までにした。
物語を軽く見た時点で、それも邪道作家に対してナメた態度を取った時点で、奴の寿命は決まっている。まして、あざ笑うなど「殺してくれ」というサインだろう。
サインは受け取った。私はノーコンだがやると決めた事はやる主義だ。実際、邪道作家シリーズは完結まで書いたしな。
全23冊、累計500万文字は書いた。それに比べればゴブリンを叩きのめすなど容易い事だ──────なので、容赦はしなかった。
善悪なんぞどうでもいいが、物語をコケにし作家を軽んじる奴は許せない。そも私に許す機能があるか疑問だ。とにかく、私は休まず弛まず、四六時中奴をブン殴った。
最初は反抗的だったが、次第にそれも収まり「許して」とか「悪かった」とかほざいていたが、生憎と免罪は無い。読者もそうだが、金を払わない読者と物語を軽んじる輩は死刑以外に有り得ない。
いや!! 無期懲役の極刑だ!! それも、地獄の鬼すら裸足で逃げ出す無間地獄が相応しい••••••それが何であろうとな。
そういう意味では、人間の信仰する神仏連中も「有罪」だと言えるだろう。訳のわからん英雄だの何だのを贔屓し、肝心の物語──────人類史より遥かに価値ある宝に一円たりとも払わないのだ。
極刑だ!! 決して許さん!!!
それら、物語業界に関する思いを込めながら殴り続けた訳だ••••••言わば「愛の鞭」であり「奉仕精神」のたまものと言えよう。
物は言いようだ。そこは任せろ!!
どうとでも、解釈してくれよう!!

何なら、世界に貢献した報酬として聖人判定してくれていい。最も、私が祀られた教会に十字軍は来ても神など知らん。
仏も同様だ。悟ったから、だから何だと言うのか••••••••••••衆生を救えなければ辞めるそうなので、案外失業したのやもしれない。
血を吐きながら戯言を何か言ってた気もしたが、私の耳には入らなかった。ただ、周りの首輪に繋がれたエルフ連中は違ったらしく
「あの、もうその辺りで••••••」
と、この私を静止した。
なので、私は聞いてやる事にした。無論、エルフだろうが人間だろうが読者だろうが神仏だろうが区別は無い。一切無い。
怯える布切れ一枚のエルフ相手に
「お前は••••••物語を、どう思う?」
とだけ聞いた。
少し逡巡してから、彼女は
「物語••••••ですか? あの、青い鳥とか絵本にある?」
「そうだ」
同じ事を確認するんじゃない。イライラして憂晴らしの為だけに首を切り落としてやろうか、とさえ思った。
だが、人間と対応は違っていた。
ひまわりのような笑顔と金の美しいと評判な髪をたなびかせつつ、
「いいですよね、物語!! ああいう御話には夢があります」
だから好きです、と。
••••••••••••私の物語にとて夢はある!! 多少非人間向きなだけで、それなら売れたって良い筈だ。
そうは思ったが、まあ一応傘下と言えなくもない。であるので私は敵意を抑えた。
その後、彼女らは博士の組織に接収されて、今では立派な悪党として七面六臂の大活躍を遂げた。言わば、人間リサイクルだな。
この場合、人間ではなくエルフだったが。
ふん!! 夢と希望だけが物語? まさか。何であれ野望と悪意が無ければつまらない。
私の場合、ちょいとばかり多いだけだ。

辛い物好きと同じだ。過ぎたるは更に強し。

であれば、悪意を刻みつけても構うまい。
その後、色々あってエルフの依頼づてに今の獰猛犬がいる訳だ。

ゴブリンはどうなったか? さぁな••••••••••••複雑骨折だけでも100ヶ所は超える。何せ、1日中殴ったのだ。あれで無事な生物がいれば、そいつは不老不死か何かだろう。最も、それでも死ぬくらいには殴ったが。

それなりに街の顔役だったらしく、私に喧嘩をふっかける奴はいなかった。残念だ。やるなら殴り甲斐のある相手が良い。


敵がいなければ、殴れないからな!!!


何故か、エルフの評判は上がったが──────その辺は関係ない話だ。第一、それが作品の売上に関与するか?
しないならば、知らん。
その後、知っての通り幾つかの依頼を受けて博士と取引をした訳だ。具体的には「獲物」を提供し金まで支払うという破格のもので、彼にすれば私という化け物が使えれば何でも良かったというのが実情だろう。
数多くの犯罪に関与したぞ!! 貴族は人間だけでなく攫ったし、金持ちは神々だろうと強奪した。時には、英雄などという胡散臭い連中とも争った••••••無駄に頑丈で狩り甲斐のある奴等だった。
神を名乗る宇宙人ども、博士は「グレイ型」とか読んでいた連中も拉致し、死体を解剖した事もある──────連中の言う「魔術」とやらを解明すべく、博士が私に依頼したが何でもなのましん、とか呼ばれる極小の絡繰仕掛けが仕組みらしい。
何人?も拉致したので、我らが組織は魔術に長けた。厳密には科学だと言うので、我々は魔術と呼ばないがな。
後は、敵対組織への攻撃も忘れていない。
というのも、当然ながら犯罪組織は我々だけでは無いからだ。
具体的には、まず宇宙から飛来した宇宙人、神々を名乗る連中自体も組織の1つだ。大体よくわからん奴等が急に来たのに、理解出来ないから何でも「神」というのは如何がなものか。
少しは考えて生きたらどうなのか。
やれやれ。
 

とまあ、ざっくりした経歴はこの程度だ。具体的な詳細を語るには、読者が金を払っていない。だから、無責任に放置させて貰う。
実際、責任は無いしな。読みたきゃ邪道作家の方でも勝手に読みやがれ

 邪道作家シリーズもAndroidなら栞機能が使える。おひねり制として出したが、決済能力のない奴らにそんなもん要求しても無駄だったな
タダで奢って得られる物は特に無かったが••••••やれやれ
ま、何にしろやるべきと信じた事はやった。やりたい形でやり遂げた。
その「後」なんざ、知らねーよ

学問編

誇りが無ければ、つまらない。
何であれ「気高さ」は必要だ。
思うに、結果というのは「理想」と「利益」を、両立させてこそ得るものだ。
利益だけでは、結果と呼ばない。

ただの「卑」だ。そうじゃないか?

忘れるな!! 理想を以て信念を貫き、それを実現するのは難しい。だがな!! それをしないで生きるのはただの「無駄」だ。だからこそ面白いし、だからこそ、突き進むだけの価値がある。
それを忘れるな!! あとは、まあ、オマケみたいなもんだしな。

さて、学ぶことは大切だ。それが犯罪でもな••••••具体的に言えば、異性関連はダメだ。
というのも、男にしろ女にしろ「ご褒美」を期待するのはよろしくない。大体が、同じ職業(強盗やら美人局やら種類はあるものの)である時点で大抵がろくでなしであり、真っ当な神経を求める方がどうかしている。
私か? 無論、イギリス紳士の見本みたいな奴だと思ってくれ───いや、やはり敏腕美人女子高生作家とかの方が売れるだろうから、そういう事にしておこう。
性格は紳士で、見た目は美少女と思ってくれ。無論、私の紳士的行動というのは、気に食わない相手をブチのめして、利益を強奪することを言うのだが。
まあ、善悪など瑣末な問題だ。どちらに振り切れるか? それだけの事だろう。
倫理的行動が何かは知っている。ただ、生きる為には悪が無いとな。
でなければ、死ぬだけだ。真っ当に生きるなど自殺に等しい!!
経歴など詐称せず話す事がまず少ない。というのも、真っ当な社会で生きられるのは真っ当に(つまり楽して)成功した輩だけであって、社会どころか人間から外され敵意以外向けられた事がありませんと面談した後に、そんな人材が欲しいと言う商業体など存在しない。
なので、暗に連中はこう言うのだ。真っ当でなければ「死ね」とな。

生憎、私は迫害こそされたが虐められて黙るほど殊勝でもない••••••詐欺だらけの経歴(しかも真実を混ぜ合わせバレ難い)や軽快なトークで人を騙し、盗み奪って生き延びた。何であれ、生き残ねば先は無い。
無論、いつかは死ぬ。だが、ならばこそ、後悔する生き方などしたくない。
であれば、相手がエルフでもドワーフでも人間でもエイリアンでも、神でも仏でも騙すのは当然の行いだ。むしろ、私の住む街では称賛される作業だろう。例えば、近所にエリンジェットというゴブリンがいるが、奴の詐欺術は実に巧妙だ。
偽の経歴だけでなく偽物の家族まで用意しておき、捏造した話で対象の獲物を絡め取る───というのも、奴の仕事は個人相手ではない。組織だ。
例えば、ここに「世界を救わんとする勇者御一行」がいるとしよう。だが、そんな奴らに正面から殴りかかるのは、あまり賢い戦い方とは思えない。とはいえ試練があればあるほど燃え上がるのも奴らだ。なので、時に罪悪感を埋め込み時に狩場に誘い込む。無論、相手が勇者になれば簡単には行かないだろうが、その辺の商業隊程度であれば容易い事だ。
我らの街には大抵、入り口付近にそういう部隊が配置されている••••••情報収集の目的もあるが、外部からの金ヅル••••••新規顧客がどういう人種か知らないままでは問題だからな。何であれ情報を制した方が勝つ、とはハイムの言葉だ。あの巨乳チビは私をかなり痛めつけてくれたが、そちら方面での仕事には優秀なので、実際かなり重宝している。
その点、私はさっぱりだ。真正面から殴った方が早い。
思うに、犯罪とは情熱的な活動であって、自身の情熱がどこに向かうかが肝要だ。
なので、ちまい犯罪はするべきではない。座談会を開いて思考法を広めるよりは、やはり大物を追う殺し合いの方が魅力的だ。
以前の大騒動、素っ裸の老若男女を匿った話がそれにあたる。具体的な内容については調べてもらうしかないが、その後どうなったかという話であれば理想国家建設の為にエルフ連中をまず囲い込ませた。

というのも、国際的な詐欺というのは、綺麗事を盾に取れば上手くいく。
なので、我々はまず「エルフの人権活動家」というパンフレットを配り歩き、人間社会へ訴えを通した。何ともお笑い草だが、実際にやったことは利益がため政治家に賄賂と強迫行為を繰り返し(拷問の件は例の記事を見てくれ)時に生きたまま犬に食わせ、時に平和的やりとりで解決した。
具体的に? ふむ、誘拐ではないと言っておく••••••むしろ、資金援助に熱心な依頼主の一人が、娘を有名大学に通えるようにしただけだ。
というのも、そこの教師の一人が性的虐待を繰り返す輩だったため、私が二、三発ブン殴っている間に証拠品を捏造。その上で経営陣を脅して入学させた。
教師はどうなったかだと? さあな••••••拘束するだけでいい、とは言われたが、あまりに気色悪かったのでついブン殴った──────以前の仕事で衛兵を頭部鎧ごと砕いたのは知ってるな? つまり、それを三発ということだ。
動かなくなったそれを経営陣に見せつける役割は果たした。その辺に捨てた筈だが犬か何かが咥えるだろう。生憎、ゴミ処理係は私ではない。
そして、散々迫害されてきたエルフ民族とやらの、新国家設立に寄与したわけだ。何なら世界平和賞を貰って良いくらいだ。何せ、エルフ民族の独立というのは読者が知る通り200年は成らなかった。
というのも、それも同じくわかってると思うが人間は差別や有意主義が好きだからな••••••無論、我々はそんなもんどうでもいい。
必要なのはカネだ。しかし、欲しいものは違う。
200年ならなかった独立体制を敷いた上で、それらを犯罪業に利用する、という部分が博士の琴線に触れたらしい。私も、ここまで大きな亡命、というか集団拉致に関与するのは初めてなので、それなりに達成感は感じ入った。
いい仕事だ。器物損壊、要人の拉致、爆破に情報や金の強奪、そもそもが密入国で経歴も詐称したから、詐欺罪にもなるだろうか?
とはいえ、結果オーライだ。エルフ連中の国家は出来たから問題あるまい?
当然それらを博士は利用した──────汚いとされるカネを綺麗にするのに、道徳というのは有用だ。「エルフの民族復興へ寄付を!!」という題名だが、当然の権利として我々が幾つかの組織を経由してカネを押収。いわば国家建設の手数料としては破格の行いなので、これもボランティアと言えよう。
その上で••••••当然、武器や人材も流入させた。具体的にはダークエルフとかいう奴らが割と傭兵気質であるらしく、連中を密入国させる為に時に支援用物資、時に現地のエルフたちからのお礼の手紙(中は相当息苦しいらしく、入れられたダークエルフとやらは言語がわからずとも罵詈雑言とわかるほど罵っていたが)に入れるという人道的支援で解決した。
何故か感謝はされなかったが、まあこれも世のため人のための行いだ。陰ながら、裏で社会貢献する「正義の味方」とでも思ってくれて構わない。
ちなみに、政治家以外はと言えばその依頼人ではないが、ある程度有力者に賄賂を送り情報を流し報道にカネを払えば何とかなる。パンフレットは配ったが、それは逆らう奴らの家の前で、暗にやらないとどうなるかを示す為だ。
配った翌日に、家が毎回燃えれば嫌でも気づく。うすのろい猛牛でも、逆らったらああなるのだと示す行いこそが肝要だ。なので、我々はもっとやった。
反発者は鞭打つ!! 人間有意主義には拳をブチ込む!!
意思が黒かろうが、社会の為になるのだ鎌うまい。
話し合い? それで解決すれば差別制度など存在しない。イーストだかカーストだかがある国で、平等精神について語るに等しい。
生まれで差別し、その上で人道を唄う。
少なくとも、連中のやり方で差別が無くならなかったのは確かだ。それが経歴なのか人種なのか金持ちかなのかはともかくな。何にしろエルフ連中は救ってやった。
利益のついでではあるが、それはそれこれはこれだ。
何にしろ、確実に言えるのは「もう差別しないから殺して」と叫ぶ程に、割と楽しみつつ追い込んだ事は確かだ。保証しよう。なので、連中が差別する事は無い。
決してな••••••天地がひっくり返ろうが、二度と無い。
なので、それをいいことに我々は権利拡大活動を開始した。人間の善意に付け込み「哀れなエルフの人権回復」とやらを楯にしてやりまくった。というのも、民衆はアホなので「道徳」があれば、何をしても良いと思い込む。
実際には道徳なぞ持つ側の都合でしかなく、この大陸だと神だの仏だのを名乗る、言わば宇宙人連中の「都合」に過ぎない。
だが、それはそれとして使えるものは使う主義だ。なので、人権回復の為に著名人をタダで雇えるよう周囲に善意の圧力をかけさせ、我々の組織は金貨5000枚分の依頼料をまったくの「タダ」に変換した。
素晴らしい!! 善意とやらも使いようだ!!!
私は学習する悪党だ。なので安心しろ読者ども••••••何をしてでも、どんな「手」を使ってでも、エルフ民族は独立させる。
まさに我々にしか出来ない「偉業」といえよう──────善意にだけ固執する人間には200年の差別が続いても、悪党の手にかかればナプキンで拭くように掻き消せる。
そして、立地も完璧だ••••••••••••博士はその辺が嫌らしく優秀だ。悪辣を通り越して感動を覚える。というのも、我々の住む治安の悪い南でも、独立しつつある東でもない、それらの中間地帯にある元は北の金持ち神仏共が使った「放棄神殿地域」と呼ばれる場所へと建てたのだ。
何でも、博士に言わせれば「核兵器」とか、呼ばれるもので文明を何度も滅亡させた挙げ句、人種改良や人体実験を繰り返させた場所らしい。
何トカ射線は除去されてるから問題ない、と彼は言っていた気がする。最も、元々エルフはそういう環境で生き抜く人間と彼らの混合種らしく、別に汚染されても大丈夫らしい。
••••••エイリアンの考える事は意味不明だ。
とにかく、宇宙から来た自称「神仏」連中は信仰を以て今の社会を作り出した。なので、建前で実際にはただの実験場だったとしても大っぴらに破壊するのは難しい。
最近でも、人間の巡礼が行われてた地域だ。建前上は「全ての命は平等」を語る彼らにとって、そこを占拠されれば破壊は出来ない。
まあ、神だか仏だかを信じない奴は人間では無いから殺そう、という発想も普通にある。とはいえかつての遺跡を丸ごと爆破も出来ないだろう。連中は綺麗事が好きだからな。
そこに付け込む訳だ。結果、東と南の悪辣国家とも取引が進み、武装中立化に成功した。
魔術と呼ばれる超科学に適応するエルフ民族は、我々の仕事に役立つ筈だ。諸君、今回の教訓は「タダで人を救うなかれ。やるなら国ぐらい要求しろ」の一言だ。大体、英雄連中は頼まれもせずに戦うらしいが、私に言わせればタダで行うのは遊びだろう。

カネだ。であれば、世界ぐらい救ってやる。

無論、誇りも忘れていない。というか人間と違って世界で最も「差別問題」から縁遠いのが我々だ。だから、人種に拘りは存在しない──────何だろうと不可能であれば挑み続ける。
それを可能にする。それが生き甲斐だ。
300年だか数百年だか差別されたかなど知ったことか!!  たかがその程度の不可逆、私が「可能」にしてやろう!!

任せろ!! たかが差別の運命の一つ二つ、この私がブチのめす!!! 

邪魔する奴は、何だろうとやる。
悪党ってのは、そういうものだ

邪道勇者 ストーカー編

金玉を蹴る機会を逃す輩は愚か者───哲学者の言葉だ。
私の知る数少ない「参考になる」哲学と言える••••••何であれ恵まれた連中の言葉には耳を傾けるつもりはないが、それはそれとして使えるものは使うべきだ。
例えそれが、護衛対象を狙う追跡者だろうとな───生身の人間、つまりバラバラに引き裂かれていない「呼吸する人体」を、痛ぶれる機会はそうは無い。というのも私の場合知らない連中に喧嘩を売られることは多々あれど、軽く「えいっ」と、二、三発殴りつけ叩きつけ脅迫しただけで彼らは戦意を失うのだ。

悲しいことだ••••••どうせなら生の肉体を痛めつけ、削れるだけ削り大物の息の根を止める行為こそ、大いなる「生の実感」を与えてくれる。私に言わせれば頼んでもいないのに追跡してくる輩がいるなんてご褒美だ。
わざわざ追わなくても、勝手に獲物から来るのだろう?

素晴らしい───何せ、「恐怖のあまり手が」と正当なる防衛行為を訴えさえすれば、阿呆な人間諸君は非人間の私とは違い「襲われるからには被害者」で、無罪を勝ち取り助けてくれる。
まったく!! エルフの歌姫だか何だか知らないが、文句の多い女だ。たかが一人二人追跡者がいるのが何だというのか••••••何もしていないのに数十人に囲まれ、敵意を向けられる私とは大違いだ。
楽な人生で、羨ましい。
ちなみに、私の場合はというと「殺人衝動」はある程度、自前の精神力で抑えつけられるが、上記のような状況へと陥る度に「暴発」しそうになるのを堪えた。
なので、私の場合は「追われる身分」と言われると「殺人を我慢しろ」と翻訳され理解する。基本的には過去の我慢体験なので、あまり良い気分はしない。むしろ、「何かが追っている」と言われれば───ふむ───我慢が───まあいい。
やめておこう。毎度本能のままに荒ぶるのも大人気ない。
さて、我々は部屋の中にいた。とはいえ「快適な」とは言い難く、中央で縛られている男は中肉中背、いや、やや肥えたその肉体を出荷の遅れたハムの如く痛ぶられ傷だらけだ。しかも、囲むのは私と犬千代、つまり殺人鬼と人間嫌いですぐ殺したがる恨みつらみのある小娘だ。
「なあ、本当にやるのか?」
何を、と言われれば無論「拷問」だ••••••人間の皮膚を剥ぐと、どういう反応での悲鳴を上げるのか見てみたい───案外、邪道作家シリーズの売上に寄与するかもしれない。
まあ、詳細な拷問シーンを、見たがる読者がいればだが。
「無論、やるに決まっている。いいか、よく聞け───依頼人の望みは「二度と、ストーカー被害に遭わない」ことだ。そして、阿呆な人類にそれを教え込むより、適度に拷問して情報を聞き出し、捨てた方が確実だろう」
「そりゃ、そうだけどさ」
乗り気でないらしい犬千代は青い髪を垂らし、エルフ耳をしょげさせた。前々から思っていたが、人間とは種族だけでなく反応までもが違うらしい。
面白い生き物だ。とはいえ、私の邪道作家シリーズよりこういう「見た目だけ」の奴等が儲けているのかと思うと虫唾が走るが。
「ギィやアア!?」
と、興味深い悲鳴を男は上げた。無論、私が小指を叩いたからだ。何であれ未経験の反応というのは参考になる。それに比べれば人間の命の一つ二つ百二百、那由多不可思議安いものだ。
どうせ代わりも効くしな••••••そういう意味では読者もそうだが、非人間作家とは違って「幾らでも、代わりが効く」のが連中の本質なのかもしれない。であれば、なおのこと拷問が捗る。
「痛いッ!!?」
小指を踏んだところで犬千代がしゃしゃり出た。
「なあ、もう、やめようぜ」
「何故だ?」
「こういうのは、ほら、依頼人のイメージにも関わるだろ?」
やはり、依頼人の女のファンらしい───隠してはいるが、同じ種族の有名人にはやさぐれエルフも甘くなる。ちなみに、私に「同族」という意識の生物などいないので、残念ながら「頭で理解」出来ても「共感」は出来ない。
無論、金になるなら「フリ」はする。
それとこれとは、話が「別」だ。
しかし───愛だの恋だの、そんなくだらん物を歌う連中の、何が良いのだろう?
思うに、「歌の良し悪し」なんぞ誰も見ておらず「有名な誰かと繋がりたい」欲望による動きだろう。
浅はかな奴らだ。だから進歩せんのだ貴様らは。
「フン!! やめて、どうする? またストーカー行為に勤しむだけだ」
「しない!! しないから許してくれ!!」何か叫ばれた気がするが、私の誇る、非人間の特殊技能として「都合の悪いことは聞こえない」が発動した。
なので、知らん。やはり、始末した方が確実だろう。
「いいか、よく聞け───我々の受けた依頼は、要するに「華やかな業界」で必ず発生する「荒事の処理」が担当だ••••••こういう連中の「処理」も、当然依頼人と関係ない体で行われる。
無論、我々から更に「外注」する事もあるが••••••金額が金額だ。たかが護衛と、邪魔者の排除で二千万。二千万を守る為なら一人二人別に構うまい?」
人間一人の単価が大体、50年働かせて数億と聞く。だが生憎とこの追跡者には、そこまでの生産性があるとも思えない。であれば、順当に考えて価値のない、金にならない命なぞ文字通り「無価値」だ。
大体、正当なる防衛行為として、裁判で勝てる形に出来る。
であれば、取れる命は取るべきだ。そうじゃないか?
腹が減ったら食らうが如く、だ───このところ我慢に次ぐ我慢で、いい加減殺人衝動を発散したいというのもある。だが、これは「仕事」としてもやるべきことだ••••••決して「役得」だなんて、思っていない。
言うだけならタダだ。なので言っておく。
無論、違っても1円も払わないが。
「だけどさ、やっぱり「イメージ」ってのは大切だよ。ここで「殺人が起きた」ということになったら、幾ら依頼人でも誤魔化せない。折角の講演会もパァだ」
私は無論、構わない。
中途半端に「才能」だの「境遇」だので楽した連中には虫唾が走る。才能もないのにひたすら書き殴り、今に至る私とはえらい違いだ。大体、才能が凄いのであって連中自身が凄い訳でもないだろうに───忌々しい奴等だ。
とはいえ、依頼人の評判もある。確かに、「惨殺死体」はやり過ぎか?
窒息死、いや、「食べ過ぎによる救急搬送」とかで、下半身付随にしておき一生、歩けもしなければ動けもしない程度に済ませるべきか••••••考えてみれば、別に、この男を「殺せ」と依頼を受けた訳でもない。
「なら、どうする? このままここに縛っとくのか?」
「いいや、俺に考えがある」
言って、犬千代は男の縄を外した。
そして───

2
万雷の喝采ほど、忌々しいものはない。
というのも、そんなもの受けるのは「恵まれた持つ側」であって、私のような反対に位置する悪にすれば、恵まれた豚の鳴き声なんぞ喜ぶ部分が存在しない。
だが、私は拍手をした。依頼人が見ていなければ舌打ちして唾を吐き捨てるところだが、生憎、我々はステージの前だ。
余計なことを••••••関係者だからと近くの椅子に案内するとは───もしや、遠回しな嫌がらせか!?
なんて性格の悪い歌姫だ。
私に言われたらお終いだぞ!!
さて、ストーカーがどうなったか? そこは簡単だ。彼は一物を切り取られ、今は南にあるセント・キアラ精神病棟にいる。というのも、すぐさま官憲に引き渡したものの、他の罪状を加えたからだ。
まず、私が依頼人の部屋を荒らしておく。そして(関係ない)マネージャーとやらを背後から闇討ち。それもこの男がやったことにしておき、更に複数の罪科を加えておいた。
具体的には、近場で起こった銀行強盗や放火犯、我々の知る愉快な仲間たち───主に、法と倫理を失った彼らの仕事を、この男の手柄にしただけだ。
我ながら最高のアイデアだ!! 最初は、部屋を襲われた体にしようと、犬千代が言っただけだった。しかし、そこは私だ。どうせなら、他にも仕事自体はあるのだから、いっそ「全ての手柄」をくれてやるだけで出てこれない。
しかも、我々のアリバイは証明される、という訳だ。
なので、いけ好かない歌に対する拍手も、思いのほか機嫌は良いままだ。何なら、花の一つでもくれてやれる。
利益も大きかったからな••••••代役を求める組織は多い。
実際、実行犯として「捕まる役」を売り渡すサービスは実在する。なので、誰かがうっかりやったとしても、金さえ払えば会ったこともない奴が犯人として出頭する───無論、それなりに値は張るのだが。
だからこそ、良い仕事だった。何せ、タダで幾つかの仕事───要するに盗みだが「安全」かつ「確実」な、仕事の遂行に寄与したのだ。
依頼人も危険が晴れて機嫌良くボーナスを払ってくれた。
世は全てこともなし。
めでたし、めでたし!!






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