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赤裸々なブックレビュー

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「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

「連休明けのだるい自分」にオススメの一冊

GWも終盤ですね。

前半に3連休、そして3日間の平日を挟んで4連休。これぐらいがバランス的にちょうどいいかもしれません。

大型連休明けに元のスケジュールへ戻って動くことは、連日稼動し続けるのとは違ったしんどさを伴います。

年中無休の書店で働く身です。しかし営業マン時代は、年末年始に1週間弱のお休みがありました。年明け最初の朝礼で社訓を叫んだら声がガラガラ。驚きました。毎日やっている時は平気だ

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本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」

本好き&本屋好き&書店員にオススメの「ほぼ哲学書」

暇な時間にレジで同僚と話をします。

基本的には本に関することだけ。ちょっとした一言が選書や仕事への取り組み方を見直すヒントに繋がります。

数年前、純文学好きの同僚と某作家の話をしました。好きだけど「面白い?」と訊かれて「面白い」と返せる本ではない。不遜にもそう伝えたら、彼は軽く笑ってこう返しました。

「それが文学のいいところじゃないですか?」

たとえばある書籍が「さほど売れそうにない」と評

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「新しい環境でモヤモヤを抱える」人へオススメの一冊

「新しい環境でモヤモヤを抱える」人へオススメの一冊

4月もそろそろ中盤です。

新しい環境に馴染めず、もしくは「思ってたのと違う」と戸惑い、モヤモヤを抱える人が少なからずいるはず。私もそうでした。

新卒で入った営業会社。朝8時スタートで帰宅は早くても夜10時半。出社時間はまだしも、帰りがここまで遅いとは面接で言われなかったし募集要項にも書かれていなかった。しかも休みは週1日。

同期が初オーダーを挙げた直後に「義理は果たしたよ」と言い残して去った

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末端の書店員が「世界的ベストセラー」を読んで考えたこと

末端の書店員が「世界的ベストセラー」を読んで考えたこと

↓を読了しました。

世界的なベストセラーです。日本だけでも450万部突破とか。

100ページに満たないのですぐ読めます。しかも値段は税込922円。このお手軽さが人気の一因かもしれません。

かつては山のようにあったチーズ。勤勉な努力を重ね、やっと見つけることができた自分だけのチーズ。もしそれがなくなったら? 

登場するキャラクターは二匹のネズミと二人の小人。各々が各々の考えを巡らします。ただ

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「日本人好みの固定観念」に縛られない一冊

「日本人好みの固定観念」に縛られない一冊

日本史が好きです。

いまは幕末への関心も高いけど、昔は専ら戦国期のファンでした。特に興味津々だったのが↓。

実際にどうだったのかはわかりません。NHKの大河ドラマでも作品によって描かれ方は様々でした。

印象深いのは「功名が辻」です。激しい銃撃戦。舘ひろしさんの演じる織田信長が鬼気迫る形相で鉄砲をぶっ放していました。

もし「秀吉」と同じ渡哲也さんだったら「団長!」となるところ。さすがにそれは

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「新社会人」及び「新たなスタートを切る方」にオススメの二冊

「新社会人」及び「新たなスタートを切る方」にオススメの二冊

三月もそろそろ下旬ですね。

最近↓がよく売れています。

著者は守屋淳(もりや あつし)さん。すでに文庫になっていますが、好調なのは単行本の方です。マンガ版も出ていてこちらも文庫化しています。

四月から新社会人になる人や新たな仕事、職場にチャレンジする方が購入されているのかもしれない。「何かヒントになる本を」と考えた彼ら彼女らが足を運ぶのは、様々なジャンルが集まった文庫売り場よりもビジネス書の

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「クロスオーバーの調和力」を感じる一冊

「クロスオーバーの調和力」を感じる一冊

8日の仕事中に同僚から聞きました。

「鳥山さんって、あの鳥山さんですか?」と訊き返したのを覚えています。頭の中にファミコン版「ドラゴンクエスト2」の復活の呪文である「ゆうてい みやおう きむこう ほりいゆうじ とりやまあきら ぺぺぺぺぺ……」が浮かびました。我ながら相当戸惑っていたようです。

多くの書店が関連作品を版元に注文し、追悼コーナーを作ろうと考えているはず。もうしばらくお待ちくださいま

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「月の実態」と「太陽の内面」に触れる一冊

「月の実態」と「太陽の内面」に触れる一冊

売れています。

発売は1月下旬。あっという間になくなりました。ようやく入った重版分(を満載したダンボール箱)が数日間仕入れ室へ放置されていたので、勝手にタレント本の棚へ積んだ記憶があります。担当が気づいていなかったみたいです。もちろん事後承諾は取りました。

他の社員に「出さなくていいんですか?」と訊ね、返ってきた答えは「もう出してあるらしい」でした。本当かよと自分の目で店内を隈なく探したけど見

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「歴史から学ぶ意義」を実感させてくれた一作

「歴史から学ぶ意義」を実感させてくれた一作

歴史が好きです。

学ぶ過程で得られた諸々を、仕事やプライベートへ落とし込んでいます。

いま思うと、学生時代は「歴史=暗記」みたいな風潮が強かったです。歴史に限らず? テストでいい点を取るためにとにかく記憶する。試験が終わったら忘れる。親も教師も成績さえ良ければ何も言わない。

人生のある局面では、理屈抜きで覚える作業も必要でしょう。

しかし取り込んだ情報をいかに活用するか、が本来の学ぶ意義の

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「入り口」の一作と「いつかいつか」の二作

「入り口」の一作と「いつかいつか」の二作

今年の9月で90歳ですか。

筒井さんご自身は、昨年11月に出た掌篇小説集「カーテンコール」を「わが最後の作品集」と呼んでいるそうです。しかし職場の売れ方を見る限り、まだまだ終わらない気がします。長年のファンらしき年配の方だけではなく、若い人も買っていくのです。TikTokで話題になった「残像に口紅を」をきっかけに存在を知ったのでしょうか? 

膨大な数の著作がありますが、いわゆる「入り口」として

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「光る君へ」の「入り口」にオススメの2冊

「光る君へ」の「入り口」にオススメの2冊

大河ドラマ「光る君へ」見てますか?

私は普段テレビを楽しむ習慣がありません。なおかつ日曜も働いているせいか、つい忘れがち。しかし清少納言が出てきたとあっては話はべつです。

前にも書きましたが、学生の頃「枕草子」が大好きでした。注釈書を持ち歩き、電車のなかで読み耽っていたほどに。

いま思うと、予備校の古文の先生が「清少納言は髪が茶色がかっていて、くせ毛だった」という雑談をしてくれたのも大きかっ

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「Y2K☮note」の原点となった2冊

「Y2K☮note」の原点となった2冊

noteを始めて3年半が過ぎました。

いつもありがとうございます

一歩踏み出したきっかけは離職した後で時間があったこと。そして堀江貴文さんの「ゼロ」に触発されたこと。何かを変えたい、でもどうしたらいいかわからないという人にオススメです。

著者とは考え方が合わない方こそ手に取ってほしい。相容れぬ意見を持つ人の本にも学べる点はあります。むしろ普段避けがちな分だけヒントの宝庫かもしれない。

話を

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「変えることができる」「流されてたまるか」の一冊

「変えることができる」「流されてたまるか」の一冊

久し振りに↓を読み始めました。

全10巻。独裁者が支配する銀河帝国と民主主義を掲げる自由惑星同盟の戦いを描くスペースオペラです。

双方の陣営に好きなキャラクターがいます。ただそれはそれとして「どちらを支持するか?」となったら初読時の私は100%帝国推し。

1巻を再読して理由がわかりました。

アスターテ会戦で150万人以上の戦死者を出した直後におこなわれた慰霊祭。そこで自由惑星同盟の国防委員

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「『○○○』を読まない」で扱ってほしい二作

「『○○○』を読まない」で扱ってほしい二作

少し前に「『罪と罰』を読まない」という本がヒットしました。

あえて読まずにいくつかの手がかりから内容を推理し、そのうえで実際に読んで語り合う。ユニークなアイデアだと感服しました。

一方で「いや『罪と罰』なら実際に読んだ方が速い」「パッと見は重厚で難解そうだけど、ミステリィ感覚でスイスイ進むし」と感じたのも事実です。

だいぶ前に「100分de名著」がカフカ「変身」を紹介した際も同じ感想を抱きま

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