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この本いいよ!

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これまで私がnoteに投稿した読書感想記事をまとめたマガジンです。本選びの参考になればいいなと思います。
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2023年1月の記事一覧

海沿いの町で人々と不思議な猫に癒される物語(植原翠:『おまわりさんと招き猫』1)

海沿いの町で人々と不思議な猫に癒される物語(植原翠:『おまわりさんと招き猫』1)

植原翠さんのライト文芸作品『おまわりさんと招き猫』(ことのは文庫)の第1巻を読みました!

作者の植原さんが静岡出身とのこともあり、本屋で見かけるたびに凄く気になっていたシリーズです。最近あまりファンタジーっぽい作品を読んでないな…と思ったのを機に手にしてみました。

物語は海沿いの町「かつぶし町」を舞台に、人の言葉を話す猫・おもちさんと町の人々の温かくてちょっと不思議な日常が描かれます。個人的に

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好きでいる限り、「推し」はいつも心の中にいてくれる(朝依しると:『VTuberのエンディング、買い取ります。』)

朝依しるとさんのライトノベル作品『VTuberのエンディング、買い取ります。』(ファンタジア文庫)を読みました。

今作はVTuberのトラブルや、推し活の光と闇を描いた物語となっていました。VTuber界隈にはそれほど詳しくない私ですが、誰かを応援する熱い気持ちには共感する箇所も多く、思わず一気読みしてしまいました。

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主人公の業は、夢叶乃亜というVTuberに熱中していたものの、彼女

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図書館本でレトロを楽しむ

図書館本でレトロを楽しむ

最近、私は図書館に行くと、好奇心を高めるために小説以外の本も何か借りるようにしています。

今日は予約した本を取りに来たと同時に、昭和・平成レトロに関連する本も読みたかったので何冊か借りてみました!

今回特に面白そうだな〜と思って借りたのが、「失われゆく○○の図鑑」シリーズ。仕事編と娯楽編の2冊を借りました。

このシリーズでは今では絶滅した文化、あるいは見かける機会が減った文化を紹介した内容と

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この司書さんに会いたい!(青山美智子:『お探し物は図書室まで』)

この司書さんに会いたい!(青山美智子:『お探し物は図書室まで』)

青山美智子さんの『お探し物は図書室まで』を読みました!

noteでもよく感想文を見かける本で、いろんな方の感想を読んでずっと気になっていました。

今作では仕事や家庭の悩みを、コミュニティハウスの図書室の司書・小町さんの選書と「付録」の羊毛フェルトによって乗り越えていく人々の物語が描かれました。仕事をテーマにしたエピソードが多かったので、今の私に参考になった箇所もありました。

小町さんは図書室

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『置き去りのふたり』という本の話

『置き去りのふたり』という本の話

一昨年の夏に読んだ本なのですが、砂川雨路さんの『置き去りのふたり』という作品が今でもとても印象に残っています。

一応恋愛要素の入ったミステリーというジャンルにはなると思うのですが、当時就活をしつつ、アルバイトをしていた私としては、作品で描かれていた主人公の日常が自分と似ていて、「こんな物語に出会いたかった!」と非常に感銘を受けました。

主人公(みちか)は前働いていた会社でいろいろあり、現在はフ

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どんな道を辿っていても、希望は取り戻せる(松村涼哉:『暗闇の非行少年たち』)

どんな道を辿っていても、希望は取り戻せる(松村涼哉:『暗闇の非行少年たち』)

松村涼哉さんの最新作『暗闇の非行少年たち』(メディアワークス文庫)を読みました。

今作では過去に罪を犯した少年少女が仮想共有空間「ネバーランド」での交流やネバーランドに隠された謎を通して、再生していく様子が描かれました。

少年院を出てからも街で堕落した日々を過ごすハノをはじめ、今作に登場した少年少女たちの罪には許しがたいものもありましたが、一方で今でもそれぞれの罪を責め続ける彼女たちに何か希望

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失恋することも、人生では大切な経験(『わたしを変えた恋』*アンソロジー)

失恋することも、人生では大切な経験(『わたしを変えた恋』*アンソロジー)

スターツ出版文庫の『わたしを変えた恋』というアンソロジーを読みました。

このアンソロジーでは、恋愛によって何かが変わった人々の物語が描かれていました。

これまでにもスターツ出版文庫のアンソロジーは何冊か読みましたが、どちらかというと学生向けのメッセージの作品が多い印象がありました。

でも今回のアンソロジーは王道な青春物語だけでなく、かつて学生だった人にも刺さりそうな物語もいくつかありました。

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高校時代に好きだった物語と再会した(沖田円:『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』)

高校時代に好きだった物語と再会した(沖田円:『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』)

今回の本は、沖田円さんの『僕は何度でも、きみに初めての恋をする。』という作品です。

この作品は高校生の時に文庫版をお年玉で買い、何度も読んでは感動した私にとってとても大切な物語です。少し前に単行本で新装版が出たとのことだったので、久々に物語の登場人物たちに会いたくなり、先日購入して読んでみました。

思い出の作品というのもあり、今回の読書感想文はいつもより少し長めです。今の自分が読んだ感想だけで

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人とのつながりが「奇跡」を生む(村瀬健:『神様の絆創膏』)

人とのつながりが「奇跡」を生む(村瀬健:『神様の絆創膏』)

2023年1冊目の読書感想文!今回の本は、村瀬健さんのライト文芸作品『神様の絆創膏』です。一昨年読んだ前作『西由比ヶ浜駅の神様』が凄く良かったので、新作も引き続き読んでみました。

個人的には、前作の2話目(親子の絆の物語。上記感想文でも触れています。)が特に心に残っていたので、このエピソードのあるシーンを深掘りしたような今作の内容には強く惹かれましたね。

前作同様、各エピソードで登場する人物の

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