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『置き去りのふたり』という本の話

一昨年の夏に読んだ本なのですが、砂川雨路さんの『置き去りのふたり』という作品が今でもとても印象に残っています。

一応恋愛要素の入ったミステリーというジャンルにはなると思うのですが、当時就活をしつつ、アルバイトをしていた私としては、作品で描かれていた主人公の日常が自分と似ていて、「こんな物語に出会いたかった!」と非常に感銘を受けました。

主人公(みちか)は前働いていた会社でいろいろあり、現在はファミレスでアルバイトをしています。でも家族からは姉と比べられ、「いい会社」で正社員として働くことを要求されていました。また、このままアルバイトを続けていていいのか不安を抱いていたところもありました。

私は大学卒業後に何がしたいのかわからず、卒業後も就活を続けていた形ではあったのですが、将来に不安を感じていたり、みちかが年下のバイト仲間と自分を比べてしまったりしていたところには共感できたポイントが多数ありました。

その中でも、みちかのバイト仲間のこのような言葉が特に心に残っています。

「“これ”って早々と一本に決めずに、選択肢増やすのはいいと思うんだよね。やりたいことがその中にあるかもしれないし。ゆっくり模索すればいいよ」

P150

今後の「模索中」の期間である今は、同時にこれ
からやりたいことへの「選択肢」を増やす期間でもある。

将来に悩んでいた私に、この言葉はとても参考になりました。そして日頃からたくさん興味を持ち、挑戦をしてみることを大切にしようと思いました。

今に至るまでそこそこの時間がかかってしまいましたが、作品を読んでからの1年とちょっとでアルバイトに対する意欲を考え直してみたり、興味のあることに積極的に挑戦したりすることで、少しずつ自分はどんな仕事がしたいか、どんな人になりたいのかがイメージしやすくなってきました。そして就活に対する自信も取り戻していきました。

転職をした今でも、新しい仕事が本当に合っているのかはしばらく続けてみないとわからないことですし、プライベートでも引き続き興味のある分野に積極的に挑戦することを大切にしながら、これからも次につながる新たな選択肢を増やしていけたらなと思っています。

私はこの作品について、サブ要素のところばかり印象に残っていますが、もちろん恋愛小説としても程よい切なさが残る物語でおすすめです。本屋で見て何気なく買った本でしたが、自分の考え方を変えたこの作品に出会えて良かったです。

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