あやかし

【長編小説】魂の在処 ④

【長編小説】魂の在処 ④

☆主人公・葵とその義兄・薫の、前世を交えての兄弟愛のお話です。はじめから読みたいという方は、こちらからどうぞ。 二章 呪縛               ※ 「ホームルームをはじめます。みなさん、席についてください」  古典文学の教師であり、二年一組の担任でもある稲野辺光が教室に入ってきたのは、一時限目が始まる十分ほど前のことだ。稲野辺は時間にうるさいタイプで、ホームルーム開始の十分くらいまえには教室で待機していることが多い。なのに今日に限って、駆け込むように教室になだれ込

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イラスト練習 2021/09/09-2 がじんぼう
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イラスト練習 2021/09/09-2 がじんぼう

【がじんぼう】 自作小説「朽木堂奇談」に登場するオオカミの妖怪です。 ある目的のためDKに化けた姿になります。 ▼小説リンク https://kakuyomu.jp/works/16816452221233176995

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璦憑姫と渦蛇辜 2章かりそめの②

璦憑姫と渦蛇辜 2章かりそめの②

 島から島へ村から村を廻り季節は流れた。食べ物が尽きれば魚を釣り、水が尽きれば島に寄った。波間に漂う椰子の実を見つける日もあった。遥かな南の島から流れきていくあてもないそれに「気をつけてなー元気でよー」と呼びかけるタマヨリだった。昼の遊び相手はいるかや亀だった。夜は星を数えた。さみしい時は唄をうたった。すると海からふわんふわんと白く透明なものが昇ってきて光って消えた。それが何なのかタマヨリにはわからないのだった。  育った島から出たことのなかったタマヨリには、立ち寄る島々が

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第二の怪異:がじんぼう(前編) ~ 朽木堂奇談

第二の怪異:がじんぼう(前編) ~ 朽木堂奇談

「で、ヘンタイのおじさん、次の怪異は? 教えてたもれ」 「すっかりヘンタイ呼ばわりですか、やれやれ」 「だってそうじゃん。自覚あるんでしょ?」 「う、まあ、ね……」  岬七瀬(みさき ななせ)の強気に、朽木堂(くちきどう)は汗をぬぐった。 「第二の怪異は何なのよ?」 「それはですね、実はごくごく最近、起こった事件に関係しているのですが……」 「ほうほう、なになに?」 「消えたインフルエンサーというお話、ごぞんじですか?」 「あ、ひょっとして、ネットで話題にな

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◎祭りで買った風鈴の話

◎祭りで買った風鈴の話

「あれは女学校に上がる前の年の夏じゃった」  ほとんど寝たきりの祖母が、床に横になったまま語り始めた。外は暑いけど部屋の中はクーラーが効いて心地よい。この前来たとき言われるままにぼくが出して吊るした風鈴が時たま軒下に揺れている。手土産に持ってきた冷えた水羊羹が手付かずで枕元に置いてある。 「そんなもんいらんのに」と祖母は言うけど、祖母の取って置きの昔話を聞かせてもらうのに、手ぶらと言うんじゃ申し訳無い。 「いつものように盆踊りがあって、須磨ちゃんと明るいうちから出かけて行っ

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覚醒呪伝-カクセイジュデン-【改】連載中です
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覚醒呪伝-カクセイジュデン-【改】連載中です

去年の10〜12月にかけて連載していた、覚醒呪伝-カクセイジュデン-を一人称から三人称に変えて、今月から新たに連載を始めています。 初の長編作品だったので、一人称で書き始めてしまったのですが、書ききれなかったシーンやエピソードが多くあり不完全燃焼なところがあったのです。 新しいエピソードや、細くになるような部分を書き足して、10万文字以上の作品にグレードアップ(もちろん、読みやすさも)していくので、よろしければご覧いただければと思います^^ 改変前のものを読んだ事あるよー

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あやかしきちょんきな

あやかしきちょんきな

夕日に照らされながら、全身で風を切っていく。メタルブルーのバイクの相棒は、ご機嫌だ。朝はエンジンが少しかかりにくかった。家に帰ったら、この気まぐれな相棒の点検をしなくては。 トンネルが見えてきた。ここらには妖怪が出るという言い伝えがある。噂では、このトンネルにも無数の幽霊や妖怪がいるらしい。オカルトは信じない質だが、この長いトンネルを通っている間は緊張する。 トンネルの中ほどまで進んだ時、グリップから手に妙な振動が伝わった。嫌な予感がして、すぐにバイクを停める。 スマホ

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香煙揺らめく妖譚

香煙揺らめく妖譚

~ひとりかくれんぼ~ 「ど~も~!!タケシで-す!!今日は都市伝説の”ひとりかくれんぼ”を試してみようと思います!!君は最後までこの恐怖について来れるか!?では、早速始めま~す!!」 俺の名前はタケシ。ユ-チュ-バ-だ。ゲーム実況や都市伝説の体験動画をあげている。 あのひとりかくれんぼの実況動画を撮ってから不可解なことが起きている。四六時中誰かに見られてる気がしたり、勝手に電気がついたり消えたり、この間は金縛りにあった。 さすがに気味が悪い。俺はその手の話に詳しいユ-チ

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◎祭りで狐と踊った話

◎祭りで狐と踊った話

「あれは高等小学校に上がった最初の夏じゃった」  ほとんど寝たきりの祖母が、床に横になったまま語り始めた。若いころは地方の新聞社に勤めていて、終戦の日の新聞社の混乱など事細かく話をしてくれたものだが、最近はもっぱら子供時分の思い出話が多い。先日も夏祭りの帰りに怖い目に遭ったという話をして、そこから妙な具合になってぼくの婚約話が壊れるという騒動があったばかりだ。 「世界恐慌の最中だったはずじゃが、わしら子供には知らんこっちゃ。いつものように盆踊りがあって、須磨ちゃんと明るい

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六車輪(ろくしゃりん)の由来 ~ 小説「朽木九区の由来」

六車輪(ろくしゃりん)の由来 ~ 小説「朽木九区の由来」

 今は昔のことでございます。  武蔵国の西方に奥原という村があって、ここはちょうど甲斐国とは山ひとつで隔てられておりました。  初夏としては涼しい昼下がりのこと。  西国で起こった戦のどさくさに紛れて、お宝をしこたま奪い取った源蔵という盗賊一味の頭目が、金銀財宝をたっぷり積み込んだ荷車と、二十あまりの手下を引き連れて、奥原村へいたるこの山を、すこぶるご機嫌な様子で闊歩しておりました。  この荷車は源蔵が奪った宝をいくらでも積めるようにと特別に作らせたもので、なにせとて

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