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インテグラル理論の補足パッチ:歴史や社会勉強、現代社会の変化を捉えるのにも使えるインテグラル理論

歴史は、インテグラル理論を使うことで非常に分かりやすくなる。インテグラル理論は、ティール組織の元となるアイデアで、ティール組織に至るまでの過程が説明されている。

無色型(群れ)、マゼンダ型(儀式・風習)、レッド型(力=権力)、アンバー型(ピラミッド型の身分階級制度)、オレンジ型(能力成果主義、利益追求)、グリーン型(文化、エコロジー、社会重視)、ティール型(セルフマネジメント、自己実現、パーパス、アジャイル思考)と変化してきた。

この無色は旧石器時代、マゼンダは新(後期)石器時代、レッドは農耕時代、アンバーは制度国家時代・封建主義時代、オレンジは産業革命、グリーンはIT革命、ティールはWeb3.0と概ね対応している。

この歴史の変化は、ティール組織で説明されているため、ここに二つのルールを補足する。

① 3つ前のパラダイムにあった社会の仕組みはほとんど見られなくなる
② 一つ先のパラダイムに進む直前・最中に、一時的に一つ前のパラダイムへの後退が見られるケースが多く見られる。

この二つだ。産業革命が起きたタイミング(アンバー→オレンジ)で生贄などのマゼンダの習慣は完全に無くなった①。たしかに魔女裁判は産業革命と入れ替わるように消えている。

一方で、市民革命が起こり国家全体が血で血を洗う事態(レッド)になった②。日本は比較的安定的に、アンバー→オレンジの産業革命を起こしたものの、中国では、改革開放の直前に文化大革命を起こし、一時的なパラダイム後退が見られている。今の中国やロシアの動きも、グリーン型に移行する直前の一時的な後退期と捉えることもできる。

グリーン型に移行していく前に、二度の世界大戦と冷戦(独裁体制・アンバー)が起こり、アパルトヘイトなどのアンバー型の風習が起こった。これを一時的な後退と見ることができる。

今は、欧米がグリーン→ティールへの移行期であり、中国ロシアを始めとする、その他権威主義国家がオレンジ→グリーンへの移行期にある。日本は働き方改革(グリーン)が進むタイミングであり、欧米に少し遅れてティール社会に移行する。

日本も宗教団体への過度な献金を取り締まる動きが活発化しているのを見るに、ティール型パラダイムへの移行が始まったことが分かる。三個前のパラダイム(アンバー)が無くなりつつあると言える。(今後、宗教法人が生き残る道は脱アンバーだ)。

しかし、パラダイムが次の段階に移行する際には、一時的後退が起こっていることは看過できない。この一時的後退によって、歴史上、パラダイムの変革期には多くの人々が犠牲となっている。総じて良い出来事はほとんどない。

今年、世界を震撼させた非常にネガティブなニュースは、ロシアのウクライナ侵攻と安部元首相銃撃事件だが、このどちらもパラダイムの一時的後退であるとこの理論は説明している。……冥福を祈る。

つまり、このパラダイムの移行を見極めることで非常にネガティブな災厄から逃れることができる。歴史上、グリーン以上のパラダイム国家同士で戦争が起こったことはなく、パラダイムの一時的後退をとにかく軽く収め、世界全体をグリーン以上にすることが世界平和を達成する究極の方法だと言える。これは、いずれ世界から戦争が消えるという希望も示しているのだ。

今後、世界全体がグリーン型社会へ移行することに伴い、世界から戦争は消えていくだろう。しかし、それまでの間に多くの障壁が現れる。

これを超えるには、事を起こさずパラダイムが上がるのをやり過ごす必要がある。一度事が起こってしまうと、これまでの歴史や、ロシアによるウクライナ侵攻のように歯止めが効かなくなる。

ロシアの戦争はグリーン社会になりたくないという抵抗にも見える。権威主義国家(オレンジ)が軒並みロシアに同調し、それを欧米や日本(グリーン)が理解できないのも、パラダイムが違うためと説明できる。

また、インテグラル理論は、政治的主張の対立も説明できる。憲法改憲反対派も、改憲推進派も実は、事を起こさず中国にグリーン社会になって貰いたい(そうすれば侵略や戦争の心配がなくなる)という共通の狙いがある。その手段が軍縮による事なかれ主義と軍拡による抑止力と真逆のため、徹底的な対立をしている。

そして、グリーンまでのパラダイムでは、互いが致命的に間違っていると考え対立する。しかし、考えてみれば目的は全く同じだ(それが分かったところでティール社会に移行するまで対立を納められるわけではないが……)。

この致命的に間違っていると異なるパラダイム同士で思うことは、パラダイムの一時的後退の理由と言える。このため、ティール以降では、こうした対立や、パラダイムの後退は見られなくなるだろう。

このように、日本で起きている政治的対立もインテグラル理論で説明できる。ティール社会になればより統合された究極的な目標のために協力し合い、建設的な議論ができるようになる。(対立している暇があるならば、統合した点について協力しあう方が遥かに速い)。

ティール社会になるとこうした政治での過激な対立による圧や息苦しさは緩和されていく。日本は、1600時間の壁を昇ることにより今後生産性が一気に上がる段階を経て、ティール社会へと変わっていくことが予想される。

出典:神ノ田昌博「労働時間と労働生産性」. 独立行政法人労働者健康安全機構「産業保健21」2018年10月 94号より

すると、政治参加がしやすくなり、低い選挙率も改善されるかも知れない。こうして失われた30年からも脱却することが想定されるのだ(失われた30年は欧米に対するパラダイム進歩の遅れによるものかも知れない)。パラダイムが進むにつれ、世界は確実に良くなっている(そのことはFACTFULLNESSが代表的だろうか)。

これは、パラダイムが高い方が偉いからでは決してなく、知を広げ、より究極的な意味・目的を考え、協力するようになるだけである。

つまり、重要なのは知の統合、究極思考、協力主義、生きがい、Well-being、幸せであって、そのためにパラダイムは進歩し続けてきたと言っても過言ではない。

そして、その関係を示したものが普段紹介しているCAIサイクルとCAI理論になる。

このようにインテグラル理論を使うことで、歴史を読み解き、昨今の社会問題に対処し、未来に向かって最も意味のあることは何か?を問うことができる。






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