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読書感想

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【読書感想】他者との関わりに悩みを持つあなたへのささやかな1冊

【読書感想】他者との関わりに悩みを持つあなたへのささやかな1冊

「人間の悩みは、すべて対人関係の悩みである」

これは、『嫌われる勇気』で一躍有名になったアルフレッド・アドラーの哲学である。国内では、200万部の売り上げだったというのだから、耳にした人も多いのではないだろうか。

個人的には、すべてというのは言い過ぎのような気もする。しかし、多くの人が何らかの人間関係の悩みを抱えていることは事実だろう。逆に、人間関係で悩んだことがないという人は存在しないか、か

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【読書感想】習慣と才能はとても地道なもの

【読書感想】習慣と才能はとても地道なもの

こんにちは、Yukiです。
今回取り上げる本は、佐々木典士さんの『ぼくたちは習慣で、できている。増補版』です。

僕はこの本を読んでとても衝撃を受けました。同時に、今まで抱いていた考えが大きく変わりました。

とても良い本だったのでご紹介します。

明日の自分はスーパーマンという誤り何か新しい事を始めようと準備しているときは、ずっと続けられると思ったことは誰でもあると思います。例えばランニングを習

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【読書感想】倫理学の実践の書

【読書感想】倫理学の実践の書

こんにちは、Yukiです。

最近になって、再び暑い日が続いています。僕の住んでいるところでは、8月の初期の頃は、涼しい日があったのですが、最近は外に出るのも億劫になるほどです。

自身の健康を守るように気をつけたいところです。

さて今回ご紹介する本は、平尾昌宏さんの『ふだんづかいの倫理学』です。

時々、衝撃を与えてくれるような本と出会うことがあります。僕の場合、本書がまさにその類いの本です。

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【読書感想】失敗にどう向き合うか?

【読書感想】失敗にどう向き合うか?

こんにちは、Yukiです。

今回は、畑村洋太郎さんの『やらかした時にどうするか』をご紹介します。

畑村さんは失敗学という学問の創始者です。本書では、そのエッセンスが中高生向けに書かれています。

失敗してしまったときにすべきこと人間は不完全な生き物です。そのため、僕たちの行動には常に失敗の可能性がつきまといます。どんなに完璧な人に見えたとしても、失敗したことがない、という人はいないはずです。

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【読書感想】サッカーをもう一歩深く理解するための戦術入門

【読書感想】サッカーをもう一歩深く理解するための戦術入門

こんにちは、Yukiです。

龍岡歩さんの『サッカー店長の戦術入門 「ポジショナル」vs.「ストーミング」の未来』をご紹介します。

これまで人文社会科学系の本を紹介してきましたが、ここにきて突然サッカーの本を取り上げたので、驚いているかも知れません。実は、僕は小学校3年生から中学3年生までサッカーをしていました。そして高校1年生から大学3年生までは社会人のフットサルチームでフットサルをしていまし

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【読書感想】自分の精神を自分で整える

【読書感想】自分の精神を自分で整える

お久しぶりです。Yukiです。
前回の投稿からだいぶ時間が経ってしまいました。その理由は簡単に言えば、大学院生活が始まり、記事を書く余裕と気力がなかったからです。やっと余裕を持てるようになったので、ぼちぼち書いています。投稿していなかった間の生活について、別の記事でまとめようと思います。

今回ご紹介する本は、保坂隆『精神科医が教える すりへらない心のつくり方』です。

先ほど少し書きましたが、4

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【読書感想】どんな本をいかに読むべきか?~小泉信三『読書論』~

【読書感想】どんな本をいかに読むべきか?~小泉信三『読書論』~

読書をテーマとした本は多い。その中でも、僕が読書論の古典だと考えている本が3冊ある。

ショウペンハウエルの『読書について 他二篇 改版』とM.J.アドラー・C.V.ドーレン『本を読む本』は有名どころであろう。前者が読書という行為を論じているのに対し、後者は読書の技術を説いている。

そして3冊目が今回取り上げる小泉信三の『読書論』である。

本書では、どんな本を読むべきか、いかに読むべきかという

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【読書感想】感染症という視点から文学と哲学を読み解く

【読書感想】感染症という視点から文学と哲学を読み解く

こんにちは、Yukiです。

今回は、福嶋亮大さんの『感染症としての文学と哲学』をご紹介します。

このような状況になってから感染症というテーマに興味を抱いていたところ、丁度合致するような本が出ました。そして期待通り、いやそれ以上に本書は面白かったです。

全部を紹介することはできないので、いくつかに絞って面白かったポイントを紹介したいと思います。

本の内容と感想まず、本書は感染症が文学と哲学に

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【読書感想】とりあえず1度で良いから読んで欲しい1冊

【読書感想】とりあえず1度で良いから読んで欲しい1冊

こんにちは、Yukiです。

今回取り上げる本は、國分功一郎さんの『暇と退屈の倫理学』です。

つい最近、新潮社から文庫として出版されました。行きつけの書店で新刊コーナーにあった本書をなんとなく買って読んでみたら、とても面白い。夢中になって読みました。

是非とも多くの人に読んでもらいたいと思い、取り上げようと思いました。

本の内容本書のテーマは、タイトルの通り「暇」と「退屈」です。

「暇」や

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【読書感想】アメリカの音楽業界の激動を描いたノンフィクション

【読書感想】アメリカの音楽業界の激動を描いたノンフィクション

こんにちは、Yukiです。

今回ご紹介する本は、スティーブン・ウィットの『誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち』です。

本の内容ここ20年で音楽を取り巻く環境は、劇的に変化しました。一昔前なら、音楽を聴きたい場合CDを購入して再生する必要がありました。ところが今では、わざわざCDを手に入れなくとも、ネットで購入すればダウンロードしてすぐに聴くことができます。他にも、定額制のスト

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【読書感想】雇用について論ずるなら最低限この本を読むべき!

【読書感想】雇用について論ずるなら最低限この本を読むべき!

明けましておめでとうございます。

Yukiです。新年になってからだいぶ時間が経ってしまいましたが、今年もよろしくお願いします!

今回ご紹介する本は、濱口桂一郎さんの『若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす』です。

僕はこの本を読んで、雇用について論じる場合、最低限この本を読んでからにするべきだと思うようになりました。雇用、労働というのは人の一生の内、大半を占めます。それだけ誰にとっても関

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先生から「社会科学を学ぶなら必読です!」と言われた日に急いで買った本

先生から「社会科学を学ぶなら必読です!」と言われた日に急いで買った本

本との出会い
僕は大学で主に社会科学を学んできました。社会科学というのは、

のことで、代表的な学問分野は政治学、政策科学、経営学、法学、経済学、社会学です。

僕はこれらの中でも、政治学、経済学を中心に学んできました。(それらに加えて法学、統計学、歴史学、美術史、科学技術論、異文化コミュニケーション論、教育学など面白そうなものも手当たり次第勉強しました。)

前置きが長くなってしまいましたが、あ

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【読書感想】「働く」を問い直したい人へ送る本

【読書感想】「働く」を問い直したい人へ送る本

こんにちは、Yukiです。

今回は、中島義道(著)『働くことがイヤな人のための本』を取り上げようと思います。

仕事に関する本はたくさんありますが、本書はそれらとは大きくことなります。どこが違うのかについては後ほどに譲るとして、ここでは違うに留めたいと思います。

内容まず、本書には年齢も性別も個人を取り巻く状況も全く異なる、A、B、C、Dという4人の人物が登場します。彼らと中島さんの対話を通じ

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タイトルでずっと避けていた本を読んでみたら実はかなり面白かった

タイトルでずっと避けていた本を読んでみたら実はかなり面白かった

僕にはずっと避けていた本がありました。
それは、ピエール・バイヤールの『読んでいない本について堂々と語る方法』です。

この本を読まないでいた理由はとてもシンプルです。僕の読書に対する考え方とこの本の主張が全く異なるからです。僕は、ある本について語る場合には、その本の内容を理解しなければならないと考えていました。内容を完璧には理解できなくとも、最低限一度は読むべきであり、でなければ正確にその本につ

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