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映画の感想

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観た映画の感想です。不定期更新。
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#エッセイ

ゴジラ −1.0

ゴジラ −1.0

ポップコーンは買わない。vol.144

ゴジラと僕劇場でゴジラを観た記憶でいうと、シン・ゴジラは実は観ていなくて、かなり遡って、小学生のときだったかな。
「ゴジラ FINAL WARS」
いまだにノベルティのゴジラの起き上がり小法師がうちにある。
本作はゴジラ生誕50周年作品であり、ゴジラシリーズの最終作と銘打たれた。ゴジラシリーズ自体はその後も制作されているが、ミニチュアや着ぐるみを多用した東

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夢の涯てまでも ディレクターズカット

夢の涯てまでも ディレクターズカット

ポップコーンは買わない。vol.133

ヴィム・ヴェンダース監督の特集上映が組まれていて、初めて作品に触れることになった。

代表的な10作品が公開されて、中でも最もインパクトのあったのが、「夢の涯てまでも」だった。

公開当時は上映時間が158分だったものが、
2019年に公開されたディレクターズカット版ではなんと288分と約5時間ある作品。ここまで違うと作品のニュアンス変わってくるんじゃない

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霧幻鉄道

霧幻鉄道

ポップコーンは買わない。vol.132

予告編あらすじ観光化されているダムにいった時に、ダム建設の歴史を記した資料館があった。そこにはダム建設に伴って埋もれてしまった集落の存在があった。

公共の福祉とはいえ、自分の住んでいるところや故郷を追われるというのは耐え難い苦痛であることは間違いない。

そういった苦しみや闘争というのは悲しいことに当事者でないとわからない。

対象が自分でないとわかった

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もっと超越した所へ。

もっと超越した所へ。

ポップコーンは買わない。vol.131

いやぁ、最近サボりすぎてて書く筋力が落ちてきているというか何を書いたらいいのかわからなくなってきたというか。

だいたいぬるっと書き始めてなんとなく言いたいことだけ言って思いついたら足していくみたいな形で今までは書いていたのだけれど、なかなかうまいこといかないのねぇ。

この作品を見終わった時に思ったのは、どんでん返しすぎて正直覚めてしまったー。

演劇が

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さかなのこ

さかなのこ

ポップコーンは買わない。vol.130

鈍感さ、盲目さ好きなことを好きだと言い続けることの難しさは、ある意味での鈍感さや盲目さが必要な気がしている。

好きなことを見つけろとか、好きなことで生きていくには、みたいな文言が方々で飛び交っているが、そのようにしたくてもできない人が多いから、書店にはそういう類のビジネス書が並ぶのだろう。

いってしまえば、やれる人はとっくにやっているし、やれない人はい

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NOPE

NOPE

ポップコーンは買わない。vol.129

消費することされること我々の生活は経済活動、消費に支えられている

求められる仕事をして、お金を稼ぎ、生きるために必要なアメニティは外部化されているため、それを貨幣と交換して手にする。

それらのアメニティを我々は自分で作ろうとしなくなった。
料理が簡単な例だろう。外食、中食とも呼ばれ、家庭で料理をする頻度は全体で見れば減ってきているはずである。

娯楽に

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ガープの世界

ガープの世界

ポップコーンは買わない。vol.128

太田光、TaiTan、「大衆とは」本作を知るきっかけになったのは爆笑問題の太田光氏だ。
彼らのレギュラーラジオ番組である「爆笑問題カーボーイ」を聴いていた時に、同局の同じくレギュラー番組である「日曜サンデー」での出来事を話していた。

日曜サンデーのゲストコーナーで、Dos monosのラッパーで、脳盗のパーソナリティでもあるTaiTan氏が登場し、トーク

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ある男

ある男

ポップコーンは買わない。vol.127

あらすじ

あの人が羨ましい。あの人になりたい。といって自分自身をそこに近づけるために努力することはポジティブなことだ。

人の実存を客観的に認めるものとして戸籍がある。

その戸籍を交換することで、死ぬまで別の人の人生を歩む人がこの世には存在するらしい。

これはポジティブなのだろうかまたはネガティブなことなのだろうか。

自分の過去を葬り去ってまで他者

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秘密の森の、その向こう

秘密の森の、その向こう

ポップコーンは買わない。vol.126

あらすじ

死別の辛さ

死別の辛さについて考えていきたいと思っている。
数年前、遠方に住んでいる叔父が亡くなったということを知った。
自分は正直現実として受け入れられていなかった。いまだに信じられてい信じられていないところがある。形式的に仏壇の前で手を合わせることがあっても遺族の叔母や従兄弟との会話の中で話題として叔父のことを挙げることができなかった。そ

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アネット

アネット

ポップコーンは買わない。vol.125

愛聴するポッドキャストやドミューンでも本作は話題になっていて、ずっと気になっていた作品。たまたまYouTubeで流れてきた予告編を観たときに、これはすごい作品が上映されるんだなって思ってワクワクが止まらなかった。普段は無駄にえっちな脱毛の広告にイライラさせられていたが、今回ばかりはYouTubeのアルゴリズムに感謝しなくてはいけない。

映画を鑑賞する際は

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偶然と想像

偶然と想像

ポップコーンは買わない。vol.124

はじめに私は会話劇が好きだ。

理由はシンプルで、現実世界での会話の参考になるから。

このような言葉をかけるとどういう反応が返ってきて、どう返すのが適当なのかということを擬似的に体験することができるのだ。

特に気にして見たいのは男女の会話について。

異性に対しての言葉の掛け方は同性とはかなり異なり、大きなストレスがかかる。そこまで考えすぎなくても、と

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片袖の魚

片袖の魚

自分を不完全な存在だと思い込むトランスジェンダーの女性が新たな一歩を踏み出そうとする姿を描いた短編映画。詩人・文月悠光の詩を原案に、ゲイ老人の性と苦悩を描いた「老ナルキソス」で高く評価された東海林毅監督がメガホンをとった。トランスジェンダーの新谷ひかりは、周囲との間に言葉にできない壁を感じながらも、同じくトランスジェンダーの友人・千秋や会社の上司である中山、同僚の辻ら理解者に恵まれ、東京で一人暮ら

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ドキュメンタリーは疑ってかかれ。うかつに感動してはいけない。 〜私は白鳥〜

ドキュメンタリーは疑ってかかれ。うかつに感動してはいけない。 〜私は白鳥〜

「私は白鳥」「何気ない日常にある小さな幸せ」

ウクライナへのロシアの侵攻があってそんな小さな幸せというものがいかに尊いものか浮き彫りになってきているのではないだろうか。

物質的な豊かさにまみれた都市の暮らしにはそれを見出すことは難しい。

街を歩く人々は道に生えてる草花や昆虫、雲の形や匂いなど様々な自然が溢れているにもかかわらずそれらに関心が向かない。というより向ける余裕がないのだろう。

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人間性を取り戻すためには多少の逸脱が必要なんじゃねぇかって話。 〜ムーンライズ・キングダム〜

人間性を取り戻すためには多少の逸脱が必要なんじゃねぇかって話。 〜ムーンライズ・キングダム〜

ポップコーンは買わない。vol.120

ムーンライズ・キングダム日本では2013年に劇場公開された作品だ。

こちらは配信で観た。フレンチ・ディスパッチでウェス・アンダーソンを初めて知って、初期作から観てみたい!という動機のもと、前回の「アンソニーのハッピーモーテル」からの流れで鑑賞した。

とはいうものの、だいぶ穴あきの鑑賞記録で、ウェス・アンダーソン作品を順番通りに観ている訳ではない。

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