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#ショートショート
小説|よみがえるネコ
その猫は短命で長生きでした。戦火の中で初めて生まれた時、子猫は兵士の腕の中で温かく、そして冷たくなります。子猫を守って兵士が負った傷から血が流れました。血を舐めた猫は、新たな命を得てよみがえります。
別の地で、別の猫として生を享けながら、あの兵士を守りました。冷たい銃弾から彼をかばいました。兵士の行く手にあった地雷を先に踏みました。疲れ果てた彼が眠る町へ進む大きな戦車の前に立ちはだかりました
短編小説『時代遅れ』
結婚式の司会の仕事をしている方に聞いたが、近頃は新郎新婦の馴れ初めが「マッチングアプリ」ということが実に多いらしい。41歳の私は「マッチングアプリ」といえば、何やらいかがわしいものと思ってしまうが、10歳も下になると、もっとカジュアルに捉えているものらしい。そのうち、人と人がお付き合いをするためには、いきなり直接話しをすることのほうが「はしたない」と言われるような時代が来るのかもしれない。
※
セカンドパートナー、セカンドピアス
「はい、これプレゼント」
カフェの席につくなり彼が小さな紙袋を差し出した。驚いて記憶をたぐるが今日は何の記念日でもない。私が戸惑っていると
「まあ開けてよ」
微笑みながら彼が言う。
袋の中の包みのリボンをほどき、小さい箱をそっと開けると、キラリと何かが光る。それはダイヤのピアスだった。
「そろそろセカンドピアスにするって言ってたでしょう。だからプレゼント。これなら堂々と身に着けられるでしょう」
初
月と地球のペリドットパフェ
煌々と光る水の球。
暗闇に映える地球の青い光は、月の住民にとって神秘の象徴だ。特に、今日のような満地球は。
誰もが地下コロニーの外に出て、満地球を鑑賞している。もう十分鑑賞した私は、地下コロニーの出入り口であるハッチを開けて、自分の部屋に戻った。
満地球の日には、普段控えている甘いものを食べても良い日にしているのだ。今回は、あの地球をイメージした鉱物パフェを作ろうと計画していた。材料はバッチ