連作短編小説『ワンダフルトゥナイト』第6話
「ツツジって漢字でどう書くか知ってる?」
「知ってるよ、躑躅でしょ?」
「いや、それならあたしだって簡単に書けるわ。躑躅。ほら」
「じゃあ、いいじゃないそれで」
「よくない。ちゃんと書かないとどんどん馬鹿になっちゃうよ」
「躑躅って書けなくても馬鹿にはならないよ」
「でも書けるに越したことはないでしょ」
「いいよ別に。躑躅って変換してくれるんだから」
「でもちゃんと書けておきたいって思わない?」
「俺は別にいいけど。だってカタカナでも平仮名でもいいじゃない。いまどき躑躅って漢