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エッセイ

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日記とか回想とか
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#20代

日曜日の朝、午前7時

日曜日の朝、午前7時

今朝は4時、5時、6時とたびたび目が覚めて、6時にいい加減嫌になって起きだした。薄いパジャマに夏用のタオルケットで寝たので、少し寒かったのかもしれない。

くもりだけれど、シャッターを開けると室内は明るくなった。朝の風が心地よくて、窓を少し開けた。カラスの鳴き声が聞こえる。

空気はひんやりとしている。
部屋の壁に飾るように掛けてあった、ショールを肩に羽織った。数日前、姉が誕生日プレゼントにとくれ

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いいねの数=実力という価値観は捨てた方が楽になれると思う

いいねの数=実力という価値観は捨てた方が楽になれると思う

今月の頭に、新しいバイトを始めた。ショッピングモールの中に入っている、和菓子カフェ(持ち帰りもイートインもできる)みたいな、変な店だ。

目下、とにかく人手が足りないらしく、次々に新しい仕事を覚えさせられ続けている。ドリンク作りにレジ打ちにシロップ作り。レシート用紙を買いに行く場所、ガムシロップやミルクポーションなど備品の買い出し、などなどなど。

ここでは、前のバイト先と違って、ミスをしても誰に

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お酒を飲むと深海に沈む

お酒を飲むと深海に沈む

昨日は10日ぶりのシフトでバイトに行った。仕事を忘れているかと心配したがそうでもなく、開店前に済ませておくべき雑事も欠かさずこなし、特にミスをすることもなく、帰りに水筒と傘を持って帰るのも、内履きを外履きに履き替えるのも忘れなかった。

今日はいい天気で、二回洗濯機を回した。おまけに、晴れたらやろうとずっと思っていた、靴に防水スプレーをかける作業もした。やり始めたら楽しくなって、新しい靴以外にも、

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ぼっち学生だった私に、25歳の私が伝えたいこと

ぼっち学生だった私に、25歳の私が伝えたいこと

ばかみたいな書き出しだが、私はいま、25歳である。今年26になる。
最近、人生が軌道に乗り始めたような気がしている。気がするだけかもしれない。

友達が多い。いままでの人生でかつてないほど多い。人と会う予定は先月が3件、今月は4件(もう1件増えるかも)あり、会うのはすべて別の人である。

大学生の頃、学校で友達と呼べるのは入学当初に仲良くなった女の子一人だけだった。その子は美人でモテて友達も多い、

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夜のバスケットボール

夜のバスケットボール

ボールがどむどむと弾むと、床が震えて体に響いた。ライブで聞くバスドラムの音に似ていた。
ボールがゴールに入るときの、ぱっ、という軽い音が心地よかった。

夫は真っ白なバスケットシューズを履いていた。かかとに金色のラインが入っていて、動くたびに天井の照明を反射してぴかぴか光った。

土曜日の夜7時、二人で体育館にいた。夫は趣味で週に二回、バスケットボールの練習をしている。一緒にやる?と誘われてついて

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3日間だけ付き合った男の子のこと

3日間だけ付き合った男の子のこと

3月からついこの間まで、GravityというSNSにハマっていた。
Twitterのような投稿とDM機能に加え、音声配信ができるのが特徴だ。ラジオのように一人で喋ってコメントをもらうこともできるし、聞きに来た人にマイクを渡して複数人で喋ることもできる。
結婚してから昼間中一人で家にいて、人との交流に飢えていた私は、取り憑かれたように毎日配信を開いていた。

いい人もいたし、変な人もいたし、最初はい

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好きなことは続けなさい、と母は言う

好きなことは続けなさい、と母は言う

今日の昼過ぎ、用事があって母に連絡をすると、すぐに電話がかかってきた。
急用なのかと思ったが、特に用があるふうではない。察するに、父が泊まりがけで遊びに行っているので、話し相手がいなくて暇だったようだ。

電話は40分にわたった。
「お父さんがいないと好きなテレビを見られるの、こんなドラマを見たけど別に面白くはなかった」だとか、「お友達の息子さんが今度百貨店でイベントに出るのよ。でも新宿なんて遠く

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ラジオと夏の午後

ラジオと夏の午後

午前中、新しいバイトの面接に行った。ケーキ屋だ。
2ヶ月弱働いていたスーパーのお惣菜作りは、タイムカードを押した後にタダ働きさせられるのが嫌で(嫌も何も労基違反だが)、少し前に辞めた。

家から歩いて行ける場所にあるケーキ屋は、やさしそうなご夫婦が面接というか雑談をして、笑顔で見送ってくれた。結果は月曜に電話してくれるそうだ。
受かるといいなと思うけれど、受からなくても別に構わない。また次を探すだ

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夏休みの記憶とひとりぼっちの子ども

夏休みの記憶とひとりぼっちの子ども

もう夏休みだね。友人との雑談にそんな言葉が出てきた。
一日中鳴いている蝉、強い日差し、民家の前に置かれた支柱つきの朝顔。この家の外はなにもかもが夏休みになっているのに、私は全然気がつかなかった。毎日夏休みみたいな生活を続けているからだろうか。

自分が小中学生のときの夏休みを思い出そうとした。でも、一ヶ月半もあった夏休みをどう過ごしていたのか、うまく思い出せない。
少なくとも、外遊びはしていなかっ

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夢の続きを見るように本を読む

夢の続きを見るように本を読む

朝。9時半に目が覚めた。ここ数日いつもそうであるように、起きる理由がないので昼まで寝て過ごそうかと思ったが、どうも家の中が騒がしい。起きて居間のドアを開けると、夫がいた。午前休を取ったのだという。

朝ごはん食べなよ。俺はもう食べちゃったから。
言われるがままに、よく回らない頭でコーヒーを淹れ、食パンを焼いてはちみつをかけた。8枚切88円の、値段以外に取り柄のない食パン。私の朝ごはんは11円。可笑

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わたしきゅうくらりん

わたしきゅうくらりん

目が覚めても布団から起き上がれない日が3日続いた。
昼過ぎまでずるずると寝て過ごし、朝だか昼だかわからない飯を食い、無音になると泣きだしそうなので音楽やYouTubeを流しっぱなしにして、時間が過ぎるのをただ待つ。

いまは、『君の名前で僕を呼んで』という洋画を流している。5,6年前に当時の友達と観に行った映画だ。
夏のイタリアの風景がきれいだった、ということしか覚えていなかったが、音楽もいい。冒

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待ち合わせに遅刻したくない

待ち合わせに遅刻したくない

人との待ち合わせに遅刻するということが、性格上、できない。
もちろん電車の遅延など、やむを得ない事情で遅れることはあるが、自己都合での遅刻は滅多にしない。

遅刻をしないために、自分なりの試行錯誤を重ねてきた。

数年前までは、「一本早い電車に乗る」方式を取っていた。もし乗り遅れても、本来の予定の電車に乗れば遅刻しないという寸法だ。

この方法は確実だが、問題点がある。
乗り遅れずに一本早い電車に

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夏は嫌いだ

夏は嫌いだ

夏は嫌いだ。

しかし、夏を構成する要素の何もかもが嫌いなわけではない。
ここ数年の私は、「夏のいいところは夏野菜がおいしいことしかない」と主張してきた。

なす、きゅうり、とうもろこしにズッキーニ。
特に、真っ赤に熟れたトマトのおいしさといったら、他のなにものにも代えがたい魅力がある。野菜の中で、トマトが一番好きだ。洗えばそのまま食べられるし、そのまま食べるのが一番おいしいというところがいい。7

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レタスチャーハンの記憶

レタスチャーハンの記憶

火の通ったレタスを初めて食べたのは、よく覚えているのだが、サークルの飲み会でいつも行く居酒屋だった。先代の幹事長のお気に入りだったという、昭和の香り色濃い大衆居酒屋で、誰かが頼んだレタスチャーハン。

卵と、なにがしかの肉と一緒に炒められていたレタスは、しゃきしゃきとしんなりを兼ね備え、それはそれは美味しかったのだった。

火の通ったレタスは、透き通ってきれいだ。
生のレタスをばりばり噛みちぎるの

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