希瀬望 作家・脚本家・コラム(瀨戸大希)
脚本、小説、コント作家。『ウルトラマンオーブ』『世にも奇妙な物語』『イタイケに恋して』…
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倖せは天ぷら油のように
今日も「からあげクン」を買っている。
高校生のとき、アラフォーになってもこんなジャンクでファンクなめしを食べているとは思わなかった。
サクサクと、キッチンから天ぷら油の音が聞こえる。
そんな家庭が当たり前にあるものだと思っていた自分が愚かしい。
座敷席で蕎麦とかすすりながら、天ぷらをつつきたいな。
いや、いいや。
今の自分のカラダには、もたれてしょうがない。
トリオのブレーンは今日もコーヒーゼリーの汗をかく
今年の賞レースも3回戦で負けた。
まだ4年目。まぁまぁ順調だと事務所のチーフマネージャーはテキトーに励ましてくれるが、そんな言葉を鵜呑みにしていては売れるわけもない。
トリオ芸人がテレビのひな壇で売れるはずがない。
俺たちは賞レースを勝ち抜かなければ未来がない。
そんなことぐらい、俺たち自身が一番分かっている。――つもりだ。
このトリオのネタ作り担当は俺だ。ツッコミであり、ブレーンだ。
相方二
絶対忘れないためにずっとずっと君を想い出すから
「ごめんね」
と、小声で謝られてしまったから、二人の関係は終わりだなとスマホ越しで思った。
それから大好きだった彼から、二度と連絡はなかった――。
でも、私は彼のことを忘れられなかった。
一分一秒たりとも。
そんな重い失恋から、はや10年が経とうとする。
彼以外は男と感じない、彼以外は人に見えない、彼以外は彼になれない。
だから私にとっての10年は、10日ぐらいの感覚だった。
そりゃあ、友