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seiji_arita
2024年6月11日 17:08
「水と風の音」遠い昔 僕等は静かな森の中でひっそりと約束を交わした非現実的な永遠のお伽話僕は水の音を聴き 君は風の音を聴く水面に波紋が広がる でも其処に水は無い木の枝が擦れた様な音がしたでも風は吹いていない僕等は文化的スラムな街に生まれ幻想の中の森で出逢った僕が瞳を閉じ 君が眠る時水と風の音を聴く 続いている何もかもが続いている到着点を示
2024年5月30日 02:53
「悪魔と青く深い海のあいだで」その水は何処までも透明で純粋だったんだそれを知る者は誰も居ない灯りすらない夜の闇 誰かの足音くだらない辻褄合わせに僕等は泣いている銃声の音が聴こえますかまた大切な何かが失われて行く知らぬ間に目隠しをしていた愛の調べ不釣り合いな恋に傷付くのが怖かった水平線の向こうには花は咲いていますか僕等の話を聞いてください
2024年5月25日 21:49
「善導」其れは無意味で硬直した幻想でしか無い四方を囲む幻の壁 其の中で僕は単純で一面的な発想の微笑みを浮かべる疑心暗鬼を押し殺して口に出すべき事柄で無いものの中に真実はある非論理的で無意味な心の通わぬ善導 僕は今日も異論はありません そう笑って答える世界の認識なんて知らない 社会の秩序だってどうでもいいお前達の事だって興味は無い僕は自分の
2024年5月13日 22:11
目には見えない程の細かな雨 白夜の様な清潔な静寂何処かしら温かみを欠いた無機質な風が吹く誠実な靴音を響かせて歩く人しかし其れは硬く的確に不透明を排除する音の様に聴こえた原色が至る所に塗り付けられた肖像画は難解では無いがその絵の意味する事柄が僕には読み取れない何ひとつとして怠りの無い光が床に射し込む違和感は無いが匿名性を帯びコンセプトを持たない人
2024年5月7日 20:29
「言葉」非調和性を帯びた不協和音とトランス状態に似た微かではあるが確実な狂気意識と無意識の境目が手招きをする僕は半円形の世界を見ていた 其れはただ見る必要性に迫られたからで本当に見たいから見ていた訳じゃ無いいつしか僕は現実では無い世界の中に自分の見たいものを自分自身で見つけ出した其処には僕と個人的に結びついているとしか思えないそんな言葉が
2024年4月20日 17:42
「静脈」時間が不規則に揺らぐ僕が心の中の牢獄に閉じ込められている事を誰も知らない 其の牢獄を出る事は 簡単だ自分自身の意志で出てゆけば良い鍵をかけたのも鍵を開けるのも全ては自分自身周りの声達はもう僕に話しかける事を辞めていた僕は誰にも見る事の出来ない風景を睨みつける其処には枯渇した水脈がある僕が解き明かすべき暗号を君は持って居る現実と仮説
2024年4月16日 09:22
「風を待つ月」いつか遠からず其の日はやって来る長い沈黙の後にそう彼奴は言った僕は記憶の寿命を延命する様に 其の断片を永遠に刻み込む様に時折 彼奴の言葉を心の中に落とし込むジムビームとメンソールと小説とあの夜 高速の高架下から見上げた月僕は意識の中にある彼奴の扉をノックした彼奴の愛した最後の女 そして弟桜の花びらが結晶化する永遠を形造るもうひとつ
2024年4月14日 05:01
「方舟と幸せの鐘」心を失くした深い森の中を彷徨っていた全ては無音のうちに始まり邪悪な野獣と純粋な精霊の吐息を聞いた不確かな人生の灯りが揺れる暗い終末の気配を含んだ湿り気を帯びた風彼女は方舟…そう一言だけ呟いた特別な生命の匂いを彼女に感じた僕等に歌う歌があるとしたなら僕は漠然とそんな事を考えていた僕の純粋な仮説が保留の無い激しい愛を呼ぶ彼女に
2024年4月11日 19:52
「月明かり」満月がくまなく街を照らす夜僕は自分自身が失われるべき場所のドアを開けたその場所に君が閉じ込められている事を知っていたから君は残された短い命を慈しむ様に詩を書いていたその事だけは僕には はっきりとわかっていたその場所には僕達ふたりしか居ないそのドアは一方向にしか開かない僕等は正しく人を愛する事が出来なかったそしてまた自分自身を正
2024年4月11日 02:22
「思考犯罪」世界はこの僕に伝えるべき言葉を何ひとつ持ってはいない仕組んだ謀略の行方 謎に満ちた怪文書霞の様な無気力な世界は僕とは無縁な場所で時を刻み続けているパンドラの箱は既に開けられいる僕は世界に不足しているパズルピースをひとつひとつ探し集めて手に入れた終わる事の無いゲームは続いている赤いランダムスターに祈りを捧げた君の髪がキリストより長くな
2024年3月20日 20:22
「冬の月」死がふたりを分かつまでは…そんな言葉を何処かで聞いた冷気を含んだ丘からの風が僕の前髪を揺らす 空は灰色の雲に覆われ静かに雨が降り始めた大きくて白い冬の月を見たのはいったい いつだったろう 思い出せない僕は其の小説を書きあげてはならない其れは未完成で無くてはならない姿形を持たない観念的な象徴の中にだけ物語は生きている其れを具現化
2024年3月12日 21:25
「星だけがやけに綺麗に見えた夜」何が原因で何が結果なのか 何処にも答えなんて無かった夢の中に紛れ込んだ現実の切れ端と現実の中に断片的に現れる夢ただ がむしゃらに追いかけ続けた傷だらけのコルベットC5モーテル 星だけがやけに綺麗に見えた夜使い回された古いベッドの軋む音遮光カーテンの裏側 天井が波打つ 求められた色なら全て与えてやるよいつか俺が途中
2024年3月10日 20:10
「暗雲の隙間」雲が千切れる様に割れ僅かな月明かりが射す暗雲の隙間 途切れ途切れの光が僕の胸の中に隠された言葉を照らし浮き彫りにしては消えてゆく淡い青色の世界が訪れては消え去るそして無音の漆黒が全てを包み込む肉を削ぎ落とした骨格から発する意識の放射が暗闇を貫く其の凝縮された陰影を網膜と脳裏に焼き付ける僕は思考の切れ端を追い続ける脳内の架空の白紙
2024年3月3日 16:41
「時間」過ぎ去る時間の中で沢山の感情と言葉 多くの迷いと沈黙多くの約束と秘密 そして諦めと決して口に出す事の無い想い感情の振り子が弧を描き揺れた僕達の心に傷跡を刻み込みながら色彩の裏側にある骨格を指先でなどった僕が創り出した異なったふたつの人格には共通する欠落があったその共通する失われたものは形象を持たず窓から射し込む朝の光の様な柔らか