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はじめに

資料作成講座の講師の津島です。今回も資料作成に役立つ情報をお伝えさせていただきます。

経営企画やマーケティング職の方やコンサルティングファームの若手社員はプロジェクトにアサインされると、会議に参加することが多くなると思います。その際に、マネージャーや上長から依頼されることもありますが、自発的に議事メモを作成することができると会議内容の理解が高まり、チームメンバの目に止まるとともに若手や新人であってもチームに貢献することができます
(ちなみですが、マネージャーや上司から事前に議事メモの作成指示を出すべきではありますが、会議後に急に作成依頼が出ることもあるため、議事メモの作成準備を進めていた方がリスクを回避することができます)

一方で、議事メモのまとめ方が分からなかったり、会議前や会議中にやるべきことが分からなかったりする人が多くいると思いますので(私はとても困りました。)、ここで紹介させてください。

議事メモの位置づけ

まず議事メモの位置づけを逐語録や議事録と比較しながら、理解を進めましょう。

逐語録は会議中の一語一句を正確にとったり、議事録は議論の流れに沿って誰が何を発言して決定したかを正確に記載したりするものですが、議事メモはスピーディーに会議内容の要点をまとめて関係者に共有することに意味があります。

逐語録・議事録・議事メモは利用用途が異なり、議事メモはプロジェクトのチーム内の会議やクライアントとの定例会議(ただし、クライアントとは共有せずチーム内で共有する)で利用することに適しています。

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議事メモの目的・効果

次に、議事メモを作成する目的・効果を確認しましょう。大きく3点あります。

① 会議内容を整理・理解することができる。
プロジェクトに入ったばかりの若手社員は会議に出て内容を理解することは、専門用語や背景知識等が分からないために難しい場合が多いです。また、会議中や会議後に上司や先輩に疑問点や不明点を確認したくても、相手が忙しいために躊躇してしまう人もいるのではないでしょうか。そのため、「自発的に議事メモを作成しており、チームメンバに共有したので疑問点・不明点を教えてください」と伝えると、上司や先輩に確認しやすくなります。

② 欠席の関係者に会議内容を共有することができる。
プロジェクト関係者の中には案件を掛け持ちする人がいたり、病欠となったりして会議に関係者が必ず全員参加できるとは限りません。会議を欠席となった関係者に決定事項やネクストステップを網羅的でありつつ、簡潔に伝えるためにも議事メモは有効となります。

③ 「言った言わない」で紛糾した時に、議事メモに立ち返り確認することができる。
プロジェクトを進めていくと、「言った言わない」で紛糾することがあります。議事録の場合、誰が何を発言したまで記載されるためにより確実ではありますが、議事メモであっても決定事項と主要な理由は記載されるため、一定の有効性があります。


議事メモの書き方・出し方

ここでは、議事メモの書き方や出し方についてお伝えさせてください。
まず、成果物イメージはOutlookのメール本文に会議内容を記載することをオススメします。WordやExcelで作成すると読み手に添付ファイルを開く作業が入り、忙しい上司や先輩が確認しない確率を高めてしまうからです。その点、メール本文に記載すると手間が減るため、確認する確率が高まります。

メール本文への記載項目は、「基本情報(日時、場所、参加者、会議資料)」、「議論内容」、「決定事項」、「積み残し/ネクストステップ」となります。そして、記載時のポイントをお伝えします。

「決定事項」は理由+結論のセットで記載すると読み手の理解が深まり、なぜこの結論に至ったのかと質問を受けることを減らすことができます。また、キーパーソンの意見があれば補足事項として記載しておきましょう。
「積み残し/ネクストステップ」は期日と担当を記載しましょう。会議中に期日と担当が決まらない場合がありますが、期日はスケジュールから、担当は役割から暫定で記載しておき、認識相違があれば指摘してもらうように促します。
議事メモからは逸れますが、「積み残し/ネクストステップ」の記載事項はToDo/課題管理表等に転記して管理し、定期的に進捗確認すると抜け漏れなく対応することができます。

文章は箇条書きとすると見やすくなるとともに、階層化や箇条書き単位の上下の移動が行いやすくなります。Outlookの場合、PowerPointやWordのショートカットと同様に、[Tab]キーまたは[Shift]+[Tab]キーにて階層の上げ下げ(見た目は左右への移動)が可能となり、[Alt]+[Shift]+[↑][↓]キーにて1つの箇条書き単位で上下に移動させることができ、入力操作が効率的になります。

議事メモの提出は当日中が理想的ですが、遅くとも24時間以内に作成とします。また、作成時間の目安は議事録と異なり会議内容の要点をまとめることが目的であるため、会議時間の半分とします。
(議事録の場合は作業時間の目安として会議時間かその2倍以内と言われることが多くありますが、チームメンバへの情報共有を目的とし、記載量も少なくなるため、議事メモと議事録の作業時間にも違いが出ます)

下記に「クライアントとの定例ミーティング」を想定した議事メモの例を示しますので、ご参考ください。

22-02-23_3_【_案件名_】2_21(月)14_00実施、プロジェクト定例の議事メモの送付


会議中や会議前の行動

議事メモのアウトプットが分かったところで、会議中や会議前に効率的に議事メモを書くポイントがあるため、お伝えさせてください。

まず、会議前に背景/目的やアジェンダを把握しておき、会議資料が事前に展開されている場合は目を通しておきましょう。内容を把握する際は、会議内容がどのような着地となるかを予測します。予測することで議事メモが書きやすくなります。また、予測する際は、誰がどのような発言をするかまで具体的に想像します。はじめは難しいかもしれませんが、何度も行っていると、徐々に予想の精度が高まってきます。

また、会議中は会議参加者の発言内容と発言者をメモします。具体的には、Outlookのメール本文に箇条書き設定をしておき、1つの箇条書きに、1人の発言内容をメモし、末尾に発言者を記載します。きれいなメモを取るのではなく、発言内容を極力に書ききることを意識します。入力時の変換に気を取られて話を聞き漏らさないようにするため、文字変換時のスペースキーは2回までとルールを設けると効果的です(正しい変換になっていなくても読み返すことは可能です)。理解が曖昧な部分は青字にすると、会議後すぐに上司や先輩に確認箇所を伝えられます。また、重要な部分に下線を引くと議事メモを作成する際に読み返しやすくなります。

最後に

いかがでしたでしょうか。議事メモを作成すると会議内容の理解が高まるとともに、仕事ができる人とアピールすることもできるため、実際に試してみてほしいです。

また、チームや上司の方針によって議事メモの書き方・出し方が決まっている場合もあるかもしれません。その場合は、より生産的な方法を模索するために、この記事で紹介した方法と既存の方法を比較・議論し、より良いアウトプットを目指していただければと思います。

この記事を通じて皆さまが議事メモを理解し、チームや個人の成果に貢献できましたら幸いです。


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